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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第八十四幕 六日目と魔物大量発生
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次の日、探索六日目となった。
朝食を軽く済ませた千夜たちは武器を携えて海底遺跡入り口前へとやってきた。
既に今日探索に参加する者たちが集まっていた。
その中にはタイチたちの姿も見受けられていた。タイチたちもまた千夜たちの姿に気がついたのか鋭い視線を向けてきた。
(別に何かした覚えがないんだが、嫌われているな)
内心そんな事を思いながら参加者たちの前に立つ。
軽く挨拶を済ませると、班分けを述べる。が、
「悪いんだけど、私たちは一緒に行動させて貰って構わないわよね」
不機嫌丸出しのアイーシャの我侭がさっそく探索チームの空気を悪くする。
「あんまり我侭を言うな。この小娘!」
アイーシャの言葉に冒険者の一人が怒声を飛ばす。それに続くように他の冒険者(千夜派閥)たちが暴言や罵声が飛び交う。しかし、
「五月蝿いわよ!今日探索に参加するのは私たちなの!待機組の人たちは黙っていて頂戴!」
その言葉に野次馬的存在の冒険者たちは黙り込んでしまう。
(気の強い子だな)
内心そんな事を思いながら冒険していた千夜だったが、アイーシャの視線に気がついた。
「別に良いが、俺の仲間の一人を同行させるが構わないな」
「なにそれ。もしかして私たちを監視するつもり」
その言葉に今度はタイチたちを支持する少数の冒険者たちが千夜を睨み付ける。
(まったく、出発する前から前途多難だな)
「そうじゃない。一班に冒険者は五人だ。だが、お前たちだけだと四人になって護衛される奴隷が不安がるだろ」
「別に平気よ。それに奴隷が死んだところで別に構わないわ」
(本気で言っているのか?タイチだけでなくこの女も世間知らずが過ぎるだろ)
思わず嘆息してしまう。
それに気がついたアイーシャは千夜を思いっきり睨み付ける。
「何か文句でもあるの?」
「いや、お前たちが奴隷をどう思うが勝手だが、持ち主の前ではあんまり言わないほうが良いぞ」
その意味を理解したのかアイーシャはしまったと言う表情をするとゆっくりとベノワに視線を向けていた。
「センさん、話を続けてください」
「分かった。さて、そんなに俺たちの仲間と行動するのが嫌なのなら他の奴に頼んで入ってもらえ。ただし必ず五人であること。これは守ってもらう」
「わ、分かったわよ!」
赤面しながら答えたアイーシャ。どうやら自分が犯した過ちが恥ずかしくてしょうがないのだろう。
「さて、それじゃ行くとしよう」
その言葉に千夜たちは海底遺跡へと向かった。
因みにタイチたち四班に入る筈だったクロエはミレーネの班に、三班の一人がタイチたちの班に交換する形で入った。
慣れた歩みで螺旋階段を下りた千夜たちは徐々に気持ちを切り替えて二階層へと向かった。
二階層前まではいつも通り何事も起きる事は無かった。
「全員警戒を強化しろ」
千夜の言葉に頷いた冒険者たちは警戒を強化して二階層へと入っていった。
探索済みの部屋を通り過ぎ、十字路までやってきた。
「ベノワどうする?」
「そうですね。昨日は真ん中の道を行かれたのですよね?」
「ああ。途中から膝の高さまで水がある通路だ」
「では、右の道に行きましょう」
「分かった」
(あんまり綺麗な道は進みたくないんだが、仕方がない)
内心そんな事を思いながらも千夜を先頭にして右折した。
他の通路とは違い光を放つ魔法石の量が多いためが照明の魔法が無くても進むことが出来た。
「無駄に魔力を消耗せずに進めてラッキーだな」
一人の冒険者がそんな事を口にするが、千夜はそれが気に入らなかった。
そしてそれは最悪の形で千夜の予感を的中させてしまった。
カチッ。
何かのスイッチを踏んだような音が静寂な通路に響き渡る。
「誰が踏んだ?」
振り向いて問う。
「す、すまない。俺だ」
(お前か)
二班に班分けされた一人の男が頬を引き攣らせながら挙手をした。
その男の顔に千夜は思わず苛立ちを覚えた。
そう。この男こそが四人目の海賊なのだ。
「全員その場から動くな。何が起きるか分からないからな」
誰もが千夜の言葉に従い停止する。
完全なる静寂が支配して十数秒、ようやくその最悪は姿を現した。
通路の天井や壁、床からこれまで見たことがない魔物が大量に出現したのだ。
「全員反撃の準備をしろ!」
千夜の言葉に全員が武器を構えた。
(チッ!これは予想以上に多いな。まさかトラップが大量の魔物出現とは思わなかった!)
推測の範疇外だったことに苛立ちを覚えながらも千夜は冷静に状況を確認して指示を出す。
(運良く、そこまでレベルは高くはない。これなら殲滅は可能だ)
「よし、戦闘開始!」
「「「「「おおおおおおぉぉぉ!!」」」」」
千夜の言葉に全員が戦闘を開始した。
「ウィル!ベノワを守れ!」
「は、はい!」
ウィルに指示を出した千夜は魔物たちを屠るべく群れの中へと突っ込んで行った。
朝食を軽く済ませた千夜たちは武器を携えて海底遺跡入り口前へとやってきた。
既に今日探索に参加する者たちが集まっていた。
その中にはタイチたちの姿も見受けられていた。タイチたちもまた千夜たちの姿に気がついたのか鋭い視線を向けてきた。
(別に何かした覚えがないんだが、嫌われているな)
内心そんな事を思いながら参加者たちの前に立つ。
軽く挨拶を済ませると、班分けを述べる。が、
「悪いんだけど、私たちは一緒に行動させて貰って構わないわよね」
不機嫌丸出しのアイーシャの我侭がさっそく探索チームの空気を悪くする。
「あんまり我侭を言うな。この小娘!」
アイーシャの言葉に冒険者の一人が怒声を飛ばす。それに続くように他の冒険者(千夜派閥)たちが暴言や罵声が飛び交う。しかし、
「五月蝿いわよ!今日探索に参加するのは私たちなの!待機組の人たちは黙っていて頂戴!」
その言葉に野次馬的存在の冒険者たちは黙り込んでしまう。
(気の強い子だな)
内心そんな事を思いながら冒険していた千夜だったが、アイーシャの視線に気がついた。
「別に良いが、俺の仲間の一人を同行させるが構わないな」
「なにそれ。もしかして私たちを監視するつもり」
その言葉に今度はタイチたちを支持する少数の冒険者たちが千夜を睨み付ける。
(まったく、出発する前から前途多難だな)
「そうじゃない。一班に冒険者は五人だ。だが、お前たちだけだと四人になって護衛される奴隷が不安がるだろ」
「別に平気よ。それに奴隷が死んだところで別に構わないわ」
(本気で言っているのか?タイチだけでなくこの女も世間知らずが過ぎるだろ)
思わず嘆息してしまう。
それに気がついたアイーシャは千夜を思いっきり睨み付ける。
「何か文句でもあるの?」
「いや、お前たちが奴隷をどう思うが勝手だが、持ち主の前ではあんまり言わないほうが良いぞ」
その意味を理解したのかアイーシャはしまったと言う表情をするとゆっくりとベノワに視線を向けていた。
「センさん、話を続けてください」
「分かった。さて、そんなに俺たちの仲間と行動するのが嫌なのなら他の奴に頼んで入ってもらえ。ただし必ず五人であること。これは守ってもらう」
「わ、分かったわよ!」
赤面しながら答えたアイーシャ。どうやら自分が犯した過ちが恥ずかしくてしょうがないのだろう。
「さて、それじゃ行くとしよう」
その言葉に千夜たちは海底遺跡へと向かった。
因みにタイチたち四班に入る筈だったクロエはミレーネの班に、三班の一人がタイチたちの班に交換する形で入った。
慣れた歩みで螺旋階段を下りた千夜たちは徐々に気持ちを切り替えて二階層へと向かった。
二階層前まではいつも通り何事も起きる事は無かった。
「全員警戒を強化しろ」
千夜の言葉に頷いた冒険者たちは警戒を強化して二階層へと入っていった。
探索済みの部屋を通り過ぎ、十字路までやってきた。
「ベノワどうする?」
「そうですね。昨日は真ん中の道を行かれたのですよね?」
「ああ。途中から膝の高さまで水がある通路だ」
「では、右の道に行きましょう」
「分かった」
(あんまり綺麗な道は進みたくないんだが、仕方がない)
内心そんな事を思いながらも千夜を先頭にして右折した。
他の通路とは違い光を放つ魔法石の量が多いためが照明の魔法が無くても進むことが出来た。
「無駄に魔力を消耗せずに進めてラッキーだな」
一人の冒険者がそんな事を口にするが、千夜はそれが気に入らなかった。
そしてそれは最悪の形で千夜の予感を的中させてしまった。
カチッ。
何かのスイッチを踏んだような音が静寂な通路に響き渡る。
「誰が踏んだ?」
振り向いて問う。
「す、すまない。俺だ」
(お前か)
二班に班分けされた一人の男が頬を引き攣らせながら挙手をした。
その男の顔に千夜は思わず苛立ちを覚えた。
そう。この男こそが四人目の海賊なのだ。
「全員その場から動くな。何が起きるか分からないからな」
誰もが千夜の言葉に従い停止する。
完全なる静寂が支配して十数秒、ようやくその最悪は姿を現した。
通路の天井や壁、床からこれまで見たことがない魔物が大量に出現したのだ。
「全員反撃の準備をしろ!」
千夜の言葉に全員が武器を構えた。
(チッ!これは予想以上に多いな。まさかトラップが大量の魔物出現とは思わなかった!)
推測の範疇外だったことに苛立ちを覚えながらも千夜は冷静に状況を確認して指示を出す。
(運良く、そこまでレベルは高くはない。これなら殲滅は可能だ)
「よし、戦闘開始!」
「「「「「おおおおおおぉぉぉ!!」」」」」
千夜の言葉に全員が戦闘を開始した。
「ウィル!ベノワを守れ!」
「は、はい!」
ウィルに指示を出した千夜は魔物たちを屠るべく群れの中へと突っ込んで行った。
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