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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第九十六幕 海賊との戦闘開始!
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両舷に当たる黒い波音のみが静寂な闇夜に響くなか千夜たちは海賊たちが来るのを待ち受けていた。
千夜の予想通り次の日の日中になっても海賊たちが襲ってくることはなかった。それは千夜の中にあった推測を確実の物へと変えたのだ。
「ミレーネたちは大丈夫かのぉ」
「エリーゼお姉さまたちも居ますから大丈夫でしょう。それに僅かとはいえ主に鍛えられた無能どももいます。ここで結果をだせないようであれば、私が細切れにして魚の餌にしてやります」
「相手の戦力は分からないが、エリーゼとミレーネが居れば大丈夫だろう」
別働隊として行動する千夜、クロエ、エルザは小船に揺られながら今か今かとその時を待つ。
(そろそろマップに表示されても言い頃合だが)
そんな事を思っていた矢先。
「来たようだな」
マップの端に表示された複数の赤い点。数と形からして小船に乗った偵察部隊だと千夜は推測した。
「エルザ、エリーゼたちに通達しろ」
「分かりました」
事前に千夜から手渡されていた通信結晶を使ってエリーゼに来たことを伝える。
(さあ、闇夜の死合の始まりだ)
不敵な笑みを浮かべる千夜の眼晴が揺らめく。
「主、エリーゼお姉さまからの連絡です。すべての船に乗り込んだ偵察部隊の排除が終了。海賊に対して合図を出したのこと」
「分かった」
マップから消える赤い点と増える赤い点。それが何を意味するのかは千夜でなくても直ぐに理解できるだろう。
「よし、海賊たちが行動を解した。俺たちも移動を開始するぞ。気づかれないように少し遠回りの経路で向かう」
「了解じゃ」
「エリーゼお姉さまに伝えておきます」
オールを前後させながら千夜たちは数隻の海賊船へと向かう。
新月で完全なる闇夜だが、マップとエルザの目を持ってすれば造作も無く到着することが可能だ。あとは出来るだけ早く到着することだ。
「主、海賊船から沢山の小船が出てきました」
「見張りは倒したとはいえ、流石に海賊船で乗り込むことはしないか。流石に場慣れしているな」
海賊船で近づこうとすれば音が聞こえる恐れがある。そうなれば偵察部隊が全滅にあい、逆に待ち構えられる恐れがある。そうなれば見方の被害も甚大になる。それを防ぐためにまずは小船で近づき完全に船を乗っ取る作戦のようだと千夜は推測した。
しかしここで千夜にとって少し異常事態が発生した。
「思いのほか相手の行動が早い」
「やはり海の上では海賊どもに分がありますね」
「それだけじゃない。海流だ」
「海流ですか?」
千夜の言葉にエルザとクロエは首を傾げた。
「つまり水の流れだ。海は平らで流れがないように思うかもしれないが川のように流れがある。それも迷路のようになっている」
「つまり私たちは川の上流目掛けて上っているということですか?」
「簡単に言えばそうなる」
(俺としたことが海流の事を推測に入れ忘れるなんてな)
己の推測の甘さに叱責したいところだが、今は少しでも早く海賊船目掛けて漕ぐ。
それでも元々の身体能力の高さもあってか推測より数分遅れるかたちで一隻の右舷に取り付いた。
「よし、ここからは暴れるぞ」
「派手に踊るのは好きじゃぞ」
「主の障害になる雑魚共は私が全て三枚に下ろしてみせます」
不敵な笑みを浮かべた三人は軽く頷くと動じに小船を蹴って跳び上がり数メートルはある海賊船へと乗り込んだ。
「だ、誰だお前らは!」
突然甲板に着地した三人に驚きを隠せない海賊たちは武器を構えたが、千夜たちは相手が襲ってくるのを待つほどお人好しでも愚かでもない。
それはつまり合図無しの狂宴乱舞の始まりを意味した。
絶叫と血飛沫が舞い散る舞台で不敵な笑みを浮かべる三人の役者たちは周囲の共演者たちを次々と殺していく。
斬り殺し、刺し殺し、殴り飛ばし、蹴り飛ばす。
その速さは共演者たちの目では捕らえることも出来ない。ましてや新月で明かりといえばランプだけ。それも奇襲するために極限まで数を減らしていたため、暗闇の中から死神が襲い掛かってくるのとほぼ同等の恐怖が海賊たちを恐怖に陥れていた。
その後の戦い。いや、狂宴乱舞と言う名の虐殺は僅か数分で幕を閉じた。
「これでようやく一隻が終了したか」
千夜たちはまだ一回目の公演を終了したに過ぎなかった。
まだ舞台は視認出来るだけでもあと四公演は控えていた。
「どうしますか主?」
「ま、一隻だけならあの魔法で十分だな」
その言葉が何を意味するのか二人には理解できなかった。
その間にも海賊たちはこの船でも戦闘音と阿鼻叫喚を耳にしてすでに大量の灯火でこちらの様子を確認しており、今に乗り込んでくる勢いである。
そんな中、千夜は一隻の船に近づき短縮詠唱を口にする。
「蒼水八大蛇!」
口にした言葉でエルザとクロエは直ぐに理解した。
「な、なんだ!?」
突如海が荒れ狂い船が大きく揺れることに海賊たちは困惑した。
深淵の奥深くから眠りを覚ました海獣が海賊たちの前に現れる。
「ヒュドラだああああああぁぁ!」
全長15メートルはあろう八匹の大蛇に向けて一人の海賊がそう叫んだ。
「いや、ヒュドラじゃないんだが」
「でもそう思っても仕方が無いとワシは思うがのぉ」
「視界も悪いですし、俗物の目では仕方が無いかと」
フォローしてくれているのか、それとも表現力が乏しいと言っているのか正直困る千夜であった。
千夜の予想通り次の日の日中になっても海賊たちが襲ってくることはなかった。それは千夜の中にあった推測を確実の物へと変えたのだ。
「ミレーネたちは大丈夫かのぉ」
「エリーゼお姉さまたちも居ますから大丈夫でしょう。それに僅かとはいえ主に鍛えられた無能どももいます。ここで結果をだせないようであれば、私が細切れにして魚の餌にしてやります」
「相手の戦力は分からないが、エリーゼとミレーネが居れば大丈夫だろう」
別働隊として行動する千夜、クロエ、エルザは小船に揺られながら今か今かとその時を待つ。
(そろそろマップに表示されても言い頃合だが)
そんな事を思っていた矢先。
「来たようだな」
マップの端に表示された複数の赤い点。数と形からして小船に乗った偵察部隊だと千夜は推測した。
「エルザ、エリーゼたちに通達しろ」
「分かりました」
事前に千夜から手渡されていた通信結晶を使ってエリーゼに来たことを伝える。
(さあ、闇夜の死合の始まりだ)
不敵な笑みを浮かべる千夜の眼晴が揺らめく。
「主、エリーゼお姉さまからの連絡です。すべての船に乗り込んだ偵察部隊の排除が終了。海賊に対して合図を出したのこと」
「分かった」
マップから消える赤い点と増える赤い点。それが何を意味するのかは千夜でなくても直ぐに理解できるだろう。
「よし、海賊たちが行動を解した。俺たちも移動を開始するぞ。気づかれないように少し遠回りの経路で向かう」
「了解じゃ」
「エリーゼお姉さまに伝えておきます」
オールを前後させながら千夜たちは数隻の海賊船へと向かう。
新月で完全なる闇夜だが、マップとエルザの目を持ってすれば造作も無く到着することが可能だ。あとは出来るだけ早く到着することだ。
「主、海賊船から沢山の小船が出てきました」
「見張りは倒したとはいえ、流石に海賊船で乗り込むことはしないか。流石に場慣れしているな」
海賊船で近づこうとすれば音が聞こえる恐れがある。そうなれば偵察部隊が全滅にあい、逆に待ち構えられる恐れがある。そうなれば見方の被害も甚大になる。それを防ぐためにまずは小船で近づき完全に船を乗っ取る作戦のようだと千夜は推測した。
しかしここで千夜にとって少し異常事態が発生した。
「思いのほか相手の行動が早い」
「やはり海の上では海賊どもに分がありますね」
「それだけじゃない。海流だ」
「海流ですか?」
千夜の言葉にエルザとクロエは首を傾げた。
「つまり水の流れだ。海は平らで流れがないように思うかもしれないが川のように流れがある。それも迷路のようになっている」
「つまり私たちは川の上流目掛けて上っているということですか?」
「簡単に言えばそうなる」
(俺としたことが海流の事を推測に入れ忘れるなんてな)
己の推測の甘さに叱責したいところだが、今は少しでも早く海賊船目掛けて漕ぐ。
それでも元々の身体能力の高さもあってか推測より数分遅れるかたちで一隻の右舷に取り付いた。
「よし、ここからは暴れるぞ」
「派手に踊るのは好きじゃぞ」
「主の障害になる雑魚共は私が全て三枚に下ろしてみせます」
不敵な笑みを浮かべた三人は軽く頷くと動じに小船を蹴って跳び上がり数メートルはある海賊船へと乗り込んだ。
「だ、誰だお前らは!」
突然甲板に着地した三人に驚きを隠せない海賊たちは武器を構えたが、千夜たちは相手が襲ってくるのを待つほどお人好しでも愚かでもない。
それはつまり合図無しの狂宴乱舞の始まりを意味した。
絶叫と血飛沫が舞い散る舞台で不敵な笑みを浮かべる三人の役者たちは周囲の共演者たちを次々と殺していく。
斬り殺し、刺し殺し、殴り飛ばし、蹴り飛ばす。
その速さは共演者たちの目では捕らえることも出来ない。ましてや新月で明かりといえばランプだけ。それも奇襲するために極限まで数を減らしていたため、暗闇の中から死神が襲い掛かってくるのとほぼ同等の恐怖が海賊たちを恐怖に陥れていた。
その後の戦い。いや、狂宴乱舞と言う名の虐殺は僅か数分で幕を閉じた。
「これでようやく一隻が終了したか」
千夜たちはまだ一回目の公演を終了したに過ぎなかった。
まだ舞台は視認出来るだけでもあと四公演は控えていた。
「どうしますか主?」
「ま、一隻だけならあの魔法で十分だな」
その言葉が何を意味するのか二人には理解できなかった。
その間にも海賊たちはこの船でも戦闘音と阿鼻叫喚を耳にしてすでに大量の灯火でこちらの様子を確認しており、今に乗り込んでくる勢いである。
そんな中、千夜は一隻の船に近づき短縮詠唱を口にする。
「蒼水八大蛇!」
口にした言葉でエルザとクロエは直ぐに理解した。
「な、なんだ!?」
突如海が荒れ狂い船が大きく揺れることに海賊たちは困惑した。
深淵の奥深くから眠りを覚ました海獣が海賊たちの前に現れる。
「ヒュドラだああああああぁぁ!」
全長15メートルはあろう八匹の大蛇に向けて一人の海賊がそう叫んだ。
「いや、ヒュドラじゃないんだが」
「でもそう思っても仕方が無いとワシは思うがのぉ」
「視界も悪いですし、俗物の目では仕方が無いかと」
フォローしてくれているのか、それとも表現力が乏しいと言っているのか正直困る千夜であった。
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