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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第百十四幕 真夜中のケアドと増えだす憲兵隊
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雲一つと無い夜空には綺麗な薄黄色の月が家々から光と静寂が消えた大都市を照らしていた。
このケアドはルーセント領にある三大都市の1つと言われてはいるが、領主の屋敷がある都市ルーセントや交易や海底遺跡などで利益を出している港都市ダラに比べればこれと言った特徴がある都市ではない。強いて言うのであれば周囲の山から取れる薬草などで交易を行ってはいるが都市と言うより大きめな町と言った方が正確なのかもしれない。
そのため真夜中になればそよ風で揺れる木々の音が都市中心部に居ても聞こえてくるほどだ。
だからこそ他の都市に住む者たちはこのケアドを田舎都市と呼ぶ事がある。
プライドが無駄に高い者には馬鹿にされたように感じる事もあるだろうが、老後などを考えている冒険者や商人たちにとっては意外にも人気のある都市だったりする。
そのため月に照らされいつも以上に明るく憲兵隊の者にも見つかりやすいが、一般人に目撃されるような事はまず無いと言っても良いだろう。
ましてや慎重深い千夜の指示で大通りを歩くことなく路地裏の小道を利用し、ラッヘンからの報告であった目的地の1つへと向かっていた。
千夜はラッヘンの報告であった二人組が3つの建物は別の日に出入りする理由は周囲の者に悟らせないためだろう。と推測していた。
真夜中とは言え都市に住む住民や行商人たちが全員家の中で寝ているとは限らない。そのため目撃されても怪しまれないようにするため3つの建物をランダム、もしくはローテーションで出入りしていると考えていた。
(それに真夜中だけではなく日中にも出入りしている可能性もあるからな)
千夜は勿論、冒険者としても人外の領域へと入っているミレーネ、クロエ、エルザ。道案内のラッヘンの5人は気配を完璧に消しているため、路地に捨てたられたゴミを漁るネズミすら通り過ぎる千夜達の事に気付かず食事タイムを続けていた。
現在、目的地の建物に向かっているのは千夜、ミレーネ、クロエ、エルザ、ラッヘンの5人のみ。
この場に居ないウィルとエリーゼだが、今回だけは千夜がウィル残るように指示したからだ。
予想以上の魔物の数に流石の千夜も大切な息子を完璧に守れる自信が無いからだ。勿論千夜が全ての力を開放すれば容易どころか数分もあれば魔物軍団を殲滅することは容易い。だがそうすれば千夜の力を感じ取った森に住む魔物たちが恐怖し移動する可能性がある。そうなれば他の村や町に被害が出る可能性は大きいし、そうなれば敵に正体が千夜である事がバレる可能性だってあるからだ。
そのためウィルはチェックインした民宿で留守番をする事になったわけだが、これまでの千夜達の行動で敵である暗霧の十月の連中も警戒している。
そのためウィルを人質に取られる可能性も考慮しエリーゼを護衛役として残したわけだが、勿論千夜がそれだけの理由でエリーゼを護衛役として残したわけじゃない。
第一に母親であるエリーゼが傍に居ればウィルが不安がる事が無くなると言う理由。
そしてこれまでにないルーセント領の危機にエリーゼが冷静に行動できるかと言う不安からだ。
ましてや領主と言う大事な責務より愛する男を選んだと言う事がエリーゼにとってはストレスとなっていると千夜は気づいているからだ。
それならば一緒に連れて行った方がストレスの軽減になる筈だが、敢えて千夜はそうしなかった。
(エリーゼを苦しめる暗霧の十月のボスの最後はエリーゼに任せるとしよう)
と千夜は目的地に向かいながら考えていた。
小道を走り抜けていた千夜は視線を右に向けると僅かな幅の路地の向こうの大通りが見え、丁度2人の憲兵隊が見回りしていたのが千夜の目の飛び込んできた。
(なるほどな)
走り始めて数秒だが、千夜はある事に気が付いた。
目的地である3つの内の1つは幾つもの商会が並ぶ区域だ。
ルーセントやダラに比べ建てられている建物は大きくはないが、それでも一般の民家に比べれば大きい。
ましてや区域で分けられているとはいえ、塀があるわけではない。それでも分かりやすくするために領主たちは分野ごとに一か所に集める傾向がある。
そんな商会区域に入ってから目的地の商会に近づくにつれ、大通りを歩き見回りを行う憲兵隊の数が増えている事に気が付く。
商会は他の区域に比べ金品類が多いため警戒度が自然と高くなる。
だが商会区域内で1つの商会に近づくにつれ、見回りをする憲兵隊の数が増えるのはどう考えても不自然だ。
勿論一般人が商会区域内を歩いても気になるほどではない。そのため一般人が気付く可能性はゼロに近いと言っても良いだろう。
(これもギルガメッシュが指示した可能性が高いな。となると憲兵隊の連中は暗霧の十月の手下と考えるべきだろうな。もしくは代官に頼んだか。だが、そうなるとここで行っている事を代官に知られる可能性だってある。内容は分からずとも勘づきはするだろう。となるとやはり暗霧の十月の手下と考えるべきだろうな)
そう推測しながら千夜は気配を完璧に消したまま目的地へと向かった。
このケアドはルーセント領にある三大都市の1つと言われてはいるが、領主の屋敷がある都市ルーセントや交易や海底遺跡などで利益を出している港都市ダラに比べればこれと言った特徴がある都市ではない。強いて言うのであれば周囲の山から取れる薬草などで交易を行ってはいるが都市と言うより大きめな町と言った方が正確なのかもしれない。
そのため真夜中になればそよ風で揺れる木々の音が都市中心部に居ても聞こえてくるほどだ。
だからこそ他の都市に住む者たちはこのケアドを田舎都市と呼ぶ事がある。
プライドが無駄に高い者には馬鹿にされたように感じる事もあるだろうが、老後などを考えている冒険者や商人たちにとっては意外にも人気のある都市だったりする。
そのため月に照らされいつも以上に明るく憲兵隊の者にも見つかりやすいが、一般人に目撃されるような事はまず無いと言っても良いだろう。
ましてや慎重深い千夜の指示で大通りを歩くことなく路地裏の小道を利用し、ラッヘンからの報告であった目的地の1つへと向かっていた。
千夜はラッヘンの報告であった二人組が3つの建物は別の日に出入りする理由は周囲の者に悟らせないためだろう。と推測していた。
真夜中とは言え都市に住む住民や行商人たちが全員家の中で寝ているとは限らない。そのため目撃されても怪しまれないようにするため3つの建物をランダム、もしくはローテーションで出入りしていると考えていた。
(それに真夜中だけではなく日中にも出入りしている可能性もあるからな)
千夜は勿論、冒険者としても人外の領域へと入っているミレーネ、クロエ、エルザ。道案内のラッヘンの5人は気配を完璧に消しているため、路地に捨てたられたゴミを漁るネズミすら通り過ぎる千夜達の事に気付かず食事タイムを続けていた。
現在、目的地の建物に向かっているのは千夜、ミレーネ、クロエ、エルザ、ラッヘンの5人のみ。
この場に居ないウィルとエリーゼだが、今回だけは千夜がウィル残るように指示したからだ。
予想以上の魔物の数に流石の千夜も大切な息子を完璧に守れる自信が無いからだ。勿論千夜が全ての力を開放すれば容易どころか数分もあれば魔物軍団を殲滅することは容易い。だがそうすれば千夜の力を感じ取った森に住む魔物たちが恐怖し移動する可能性がある。そうなれば他の村や町に被害が出る可能性は大きいし、そうなれば敵に正体が千夜である事がバレる可能性だってあるからだ。
そのためウィルはチェックインした民宿で留守番をする事になったわけだが、これまでの千夜達の行動で敵である暗霧の十月の連中も警戒している。
そのためウィルを人質に取られる可能性も考慮しエリーゼを護衛役として残したわけだが、勿論千夜がそれだけの理由でエリーゼを護衛役として残したわけじゃない。
第一に母親であるエリーゼが傍に居ればウィルが不安がる事が無くなると言う理由。
そしてこれまでにないルーセント領の危機にエリーゼが冷静に行動できるかと言う不安からだ。
ましてや領主と言う大事な責務より愛する男を選んだと言う事がエリーゼにとってはストレスとなっていると千夜は気づいているからだ。
それならば一緒に連れて行った方がストレスの軽減になる筈だが、敢えて千夜はそうしなかった。
(エリーゼを苦しめる暗霧の十月のボスの最後はエリーゼに任せるとしよう)
と千夜は目的地に向かいながら考えていた。
小道を走り抜けていた千夜は視線を右に向けると僅かな幅の路地の向こうの大通りが見え、丁度2人の憲兵隊が見回りしていたのが千夜の目の飛び込んできた。
(なるほどな)
走り始めて数秒だが、千夜はある事に気が付いた。
目的地である3つの内の1つは幾つもの商会が並ぶ区域だ。
ルーセントやダラに比べ建てられている建物は大きくはないが、それでも一般の民家に比べれば大きい。
ましてや区域で分けられているとはいえ、塀があるわけではない。それでも分かりやすくするために領主たちは分野ごとに一か所に集める傾向がある。
そんな商会区域に入ってから目的地の商会に近づくにつれ、大通りを歩き見回りを行う憲兵隊の数が増えている事に気が付く。
商会は他の区域に比べ金品類が多いため警戒度が自然と高くなる。
だが商会区域内で1つの商会に近づくにつれ、見回りをする憲兵隊の数が増えるのはどう考えても不自然だ。
勿論一般人が商会区域内を歩いても気になるほどではない。そのため一般人が気付く可能性はゼロに近いと言っても良いだろう。
(これもギルガメッシュが指示した可能性が高いな。となると憲兵隊の連中は暗霧の十月の手下と考えるべきだろうな。もしくは代官に頼んだか。だが、そうなるとここで行っている事を代官に知られる可能性だってある。内容は分からずとも勘づきはするだろう。となるとやはり暗霧の十月の手下と考えるべきだろうな)
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