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3巻
3-2
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「それで、今日はどうしたんだ?」
「マキにも話したが、こいつの冒険者登録に来た。ついでに昇格試験を受けさせようと思ってな」
「なるほど。で、その昇格試験の試験官を俺にやらせようとしていたんだな?」
「そうだ。話が早くて助かる」
「はぁ、わかったよ。さっさと冒険者登録して訓練所に来い。待ってるからよ」
そう言い残すと、バルディは訓練所に向かうのだった。
その場にいた全員が、何を考えていたか察することもできずに。
(やっぱり暇なんだ……)
◆ ◆ ◆
登録を終えたタイガーを連れて、千夜達は訓練所に来ていた。
もちろんタイガーの犯罪歴は、千夜のスキル【超隠蔽】で隠してある。
「ここに来るのも久しぶりだな」
「そうね。いつ以来かしら?」
「ダンジョンに行く前です。エリーゼ様」
「そうだったわ」
懐かしさに浸っているが、既にバルディとタイガーは戦闘を開始していた。
大剣を振るうバルディの攻撃を躱し、ボディーブローで反撃するタイガー。
そんな暑苦しい男同士の戦闘は数分間に及び、タイガーの勝利で幕を閉じた。
「殿、勝利しました!」
「良くやった。それで戦ってみてどうだった」
「はっ! 相手は見た目以上に俊敏だったため判断が遅れました。力業だけでなくカウンターなどの技術も優れていたことから、予定より時間がかかってしまいました」
「そうだな。前にも言ったが、見た目だけで相手を判断するな。いついかなるときでも、己が負けるかもしれないという可能性を忘れるな。いいな?」
「はっ、わかりました!」
師弟のような会話も終わり、こうしてタイガーはSSランクとなった。
また、タイガーもクラン『月夜の酒鬼』のメンバーとして登録された。
「そうだバルディ」
「なんだ?」
「俺達は明後日から新婚旅行で帝都を離れるから。その間に何かあれば、タイガーに指名依頼してくれ」
「わかった」
「殿、それはどういう……」
震える声を発するタイガー。
「ん? そのままの意味だ。俺達が新婚旅行に行っている間は帝都でお留守番だ」
「そ、それはあまりにも殺生なああああぁぁぁぁ!!」
千夜からもたらされた非情な言葉に、タイガーの絶叫が訓練所内に轟くのであった。
そんなタイガーと別れた千夜達は、商人パルケがいるリッチネス商会に来ていた。
「ここに旦那様と来るのも久しぶりね」
「確かにそうだな。最近は仕事やなんやかやで、別々になってしまったからな」
「センヤさん、私達もですよ!」
「そうだぞ!」
ミレーネとクロエがアピールしてくる。
「ああ、そうだな。すまない。新婚旅行が終わったらまた来ような」
「そうね!」
「はい!」
「無論だ!」
弾んだ賛成の声。どれだけ嬉しいのかがわかるが、自分達が今どこにいるのかをすっかり忘れていた。
「イチャイチャするなら、他でやってもらえないか?」
嘆息混じりの声が投げ掛けられる。
「パルケ、久しぶり…………でもないか?」
「まあ、四日前に来たばかりだからな」
パルケの言うように、千夜は四日前にもリッチネス商会に来ていた。もちろんプライベートではなく、仕事でだ。
「それで、今日はどういった用で我がリッチネス商会にお越しいただいたんだ?」
「俺達は明後日から、新婚旅行でこの帝都を離れる。その間の酒の輸送についての打ち合わせと、旅行で入り用な物の買い出しのためだ」
「そうか。では、こちらへ」
パルケの案内でいつもの個室に通された千夜達は、気兼ねすることなくソファーに座った。
「さてと、まずは仕事の話を済ませるとしよう。我がオールリキュールは今後――俺が不在の間も毎月、各種の酒を三十樽、商会に納品する。これでいいな?」
「ああ、問題ない。運搬はどうするんだ? センヤがいたときは問題なかったが、普通に運ぶとなると大変だぞ。帝都内とはいえ、奪われるかもしれんしな」
「それに関しては大丈夫だ、安心しろ」
自信満々の笑みを浮かべる千夜。
「パルケ、お前にこれを渡しておく。これと同じ物を持った者が酒を搬送してくる」
「わかった」
盃と蛇の模様が描かれた板を受け取ったパルケは、どうして、と思ってしまう。
(なんだこの不気味な絵は。いつも思うが、こんな絵のついた酒がよく売れるものだな)
オールリキュールの商品には、全てこのラベルが貼られているのだ。
(ま、それだけ味に自信があるということなんだろうけどな)
そのあとは、書類をいくつか認めるだけで、仕事の話は終わった。
「それじゃ、今度は客として相手をしてもらおうか」
「かしこまりました。っていつもはそんなことしてないだろ」
「そうだったな」
パルケは思わず嘆息してしまう。
「それで今回はどんな物が必要なんだ?」
「まずは食料だな。いつもならその場で狩りをして手に入れるが、今回はのんびりしたいからな」
「なるほど。それで他には?」
「そうだな……あとは丈夫で大きい馬車と、引く馬を必要なだけ」
「他には?」
「ベッドだな」
「は?」
千夜の言葉にパルケや思わず聞き返してしまう。
「俺が大きくて丈夫な馬車をリクエストしたのは、ベッドを載せるためだ。今回は仕事じゃないからな。寛ぎながら行きたいんだ」
「な、なるほどな。だが、皆で寝られるベッドとなると……」
「無いのか?」
千夜の問いに続き、それに反応する女性陣からの膨大な圧力に襲われるパルケ。
「い、いや! ベッドはあるぞ! 前に商会で注文してくれた際に複数作ったからな。だが、あのサイズとなると馬車がな……」
「そんな大きさの馬車はそうそう見つからないか……」
「いや、あることはある。しかし、材木や鉄鉱石などを運ぶための荷馬車でな……」
「なるほど。なら、それをもらおうか」
「荷馬車で良いのか?」
「ああ、どうせ改良するつもりだった。ベッドも在庫があるなら、一緒に買わせてもらう」
「わかった。馬車とベッドはすぐに用意する。馬は流石にすぐとはいかんが、明日の夕方までには準備できると思う。食料はどうする? 鮮度を気にするのなら出発当日にでも来るか?」
「そうさせてもらおう」
「わかった。できるだけ色々な食材を用意しておこう」
「頼む」
こうして千夜は今日だけでも金貨三百枚以上の買い物をして屋敷へと帰るのだった。
商会からの帰り道。
「いや~、楽しみだな」
「そうですね」
クロエとミレーネが話す横で、エリーゼが千夜に問う。
「旦那様、帰ったらさっそく馬車の改良を始めるの?」
「まあな。といっても内装と外装と足回りを改良するだけだから、大して時間はかからないはずだ」
「全面改修っぽいけど、それでも時間はかからないのね……」
エリーゼは改めて、千夜が規格外であることを思い知ったのである。
そんな会話をしているときだった。エルザが口を開く。
「主」
「なんだ?」
「王宮に行かなくてよろしいのですか?」
「あ」
浮かれ気分ですっかり忘れていた千夜達であった。
「ま、別に良いだろ」
だが、切り替えの早い千夜は王宮に行く予定を省くことにした。
屋敷に帰宅した千夜は妻達と別れ、アイテムボックスから大きな馬車を取り出し、さっそく改良し始める。
「さてと、まずは…………どこから手をつけたものか」
(外装からいじると、足回りを改良中に傷つけるかもしれないし、内装はできるだけ時間をかけたいから……)
「よし、足回りから始めるとしよう」
まず、馬車から車輪や車軸を取り外し、強化魔法を付与する。
次に、車軸にはスプリングマウスという魔物の尻尾をサスペンション代わりに組み込む。
スプリングマウスは面白い魔物で、ほとんど人を襲うことなく、魔力を多く含んだ木の実などを食べて暮らしている。また、移動方法が特殊で、四肢は使わずバネのようになった尻尾で飛び跳ねながら移動するのだ。
「あとは、車輪を取り付けてっと。これで足回りは完成だな」
念のため馬車に乗り込み、ジャンプをすることでサスペンションの効果を確かめる。
「ま、こんなものだ」
己の負荷に耐えたことに安心すると、次の作業に取り掛かった。
「次は…………外装だな」
次の作業に移る。
屋敷を建てた際に余った材木をアイテムボックスから取り出し、さまざまに加工していく。
そして、内装用と外装用のパーツが完成すると、すぐに次の工程に取り掛かった。
外装用の化粧板を釘で外側に打ち付けていく。また、出入り口と御者台へ続く扉は新たなものに交換し、スムーズに開閉できるか確かめる。
「ま、こんなものか」
確認が終わると、次は内装に取り掛かった。
こちらもまた、床や壁、天井などに板を打ち付け補強すると、部屋の隅に立って車内全体を見渡す。
「荷物などは俺のアイテムボックスに入れるとして、やはりベッドは一番奥だな」
家具などの置き場所をある程度決め、再び内装に取り掛かる。今度は主に装飾だ。
ベッドを置くであろう場所の床に小さな穴を四つ開け、そこにアイテムボックスから取り出した特大ベッドを置く。するとベッドの足が丁度穴にはまり固定された。
「あとは……壊れないように強化魔法を付与しとくか」
ついで感覚で強化魔法を付与した千夜は、同じやり方で小さなタンスやソファー、テーブルなどを設置し、最後に窓にカーテンを取り付けて完成した。
「内装はこんなものだな」
簡素というよりはみすぼらしかった馬車の中は、見事に清潔感溢れる部屋となった。
「最後は外装の装飾だな」
補強しただけの外装を眺めながら、千夜はどんな風に装飾するべきか悩む。
「やはり、黒を主体にした方がいいのか? いや、これは新婚旅行のための馬車だからな。あえてピンクに…………無いな。気分が悪くなりそうだ」
真ピンクの馬車を想像してしまった千夜の顔は、少しだけ青ざめていた。
「仕方ないな。黒主体で適当に模様を入れるとしよう」
最後は面倒になってきたのか、細かく決めないまま作業に取り掛かる。
ペンキなど存在しないこの世界では、植物から染料を作り出している。
千夜は以前に面白半分で買った染料をアイテムボックスから取り出し、馬車に塗っていく。
そして完成したのが――。
「まるで、魔王の馬車だな」
千夜――もとい前世である和也のセンスが作り出したそれは、気品はあるが、それ以上に威圧感を醸し出す馬車となってしまった。
しかしこの配色は、妻達に見せた結果、没となる。
そして、塗り直しの結果、黒をベースに月や花が描かれた馬車が完成したのだった。
ちなみに、没となる前の外装は、黒い車体になぜか蛇や骸骨が描かれていた。
ようやく完成した馬車をアイテムボックスに収納した千夜は、妻達とともに夕食を楽しむのであった。
翌日。新婚旅行前日となり、妻達は、遠足を楽しみにする子供のようにはしゃいでいた。
訓練をサボることはない。それでもどこか浮かれ気分なのか、戦闘に身が入っていない様子だった。
妻達が訓練をしている間に、千夜はパルケに頼んでおいた馬を取りに行った。
一方、一番忙しかったのはセバスである。
千夜達がいない間の注意事項を書き出しながらも、通常業務を全うしていた。
セバスの仕事は主に金の管理である。
オールリキュールでの売上、経費、屋敷に関わる出費などを詳細に記録しているのだ。
コンコン。
「どなたですか?」
「私です。マリンです」
雑務をこなしていたセバスは羽ペンを置き、部屋に入るよう促す。
「どうされましたか?」
「いえ、大したことではないのですが。エリーゼ様達が少し浮かれすぎではないかと思いまして」
大人でありながら子供のようにはしゃぐエリーゼ達を見て、礼儀作法の指導をしているマリンは苦言を呈したくなったのだろう。
「別に良いのではありませんか」
「ですが……」
「一年前まで伯爵としての仕事に没頭していたエリーゼ様は、誰にも頼ることなく頑張っていました。それがセンヤ様に会われ結婚してからは、とても明るくなられたのです。少し大目に見ても構わないでしょう」
「それもそうですね」
夫を亡くしてからというもの、脱け殻のようになって領地の仕事に没頭していたエリーゼ。
それをよく知る二人は、明るくなったエリーゼを見て嬉しくて仕方がなかったのだ。
「ですが、夕食時まではしゃいでいるようなら注意してください」
「わかりました。それでは失礼いたします」
マリンは一礼すると部屋から出ていった。
「さて、仕事の続きをしなければ。明日からは、屋敷を空けるセンヤ様に代わって、この屋敷と店を守らねばいけませんからね」
己の責務を果たすため、セバスは書類に目を通すのだった。
四頭の馬を連れて帰って来た千夜は、鍛練に励む妻達の元に向かい、模擬戦を行った。
屋敷を出る前から妻達が浮かれていたことを知っている千夜は、黒い笑みを浮かべながら鍛練に参加する。そして、当然のように妻達はお仕置きをされたのだった。
「だ、旦那様、酷いわよ」
そんなエリーゼに千夜が答える。
「浮かれるのはわかるが、今は鍛練の時間だ」
「センヤさん、いつにもまして意地悪です」
「そうだぞ。センヤはもう少し妻である私達に優しくすべきだ」
「主、私も今日ぐらいは優しくしても良いと考えます」
ミレーネ、クロエ、エルザの意見を耳にした千夜。
「なるほどな。つまりはお仕置きが足らないと言いたいんだな」
「え?」
千夜は手に持っていた鍛練用の刀をアイテムボックスにしまうと――。
「【劣化】スキル、一パーセント解除」
「っ!」
一瞬にしてドーム型に広がる強烈な魔力の波動を感じた妻達は、顔を真っ青にして逃げ出そうとする。
「逃がすわけないだろ」
魔法も使わず身体能力だけで全員を捕まえると、一人ずつお尻叩き二十回の刑に処すのだった。もちろん、【劣化】の一部を解除したままで。
数分してお仕置きが終わると、千夜は立ち上がりながら呟いた。
「これに懲りたら、鍛練はしっかりすること」
「……はい」
真っ赤に腫らしたお尻を撫でながら、返事をする妻達であった。
その後、一足先に屋敷へ戻った千夜はマリンと会った。
「少しやりすぎでは……」
「たまにはちゃんと叱っておかなければ、鍛練だけでなく他のことにも手を抜きかねないからな。それに、マリンばかりに叱らせるのも気の毒だろう」
「ありがとうございます」
マリンは軽く一礼をすると仕事に戻っていった。
その日の夜は千夜の寝室に誰も来ることなく、一日が終わった。
◆ ◆ ◆
新婚旅行当日。妻達は屋敷の中を慌ただしく走り回っていた。
理由は簡単、完全なる寝坊だ。それも、遠足を楽しみにしている子供のように、興奮して眠れなかったからであった。
出発時間は余裕で過ぎていたが、急いで準備をする妻達を、千夜は温かい目で見守っている。
「まったく、エリーゼ様達は何を考えているのでしょうか」
完全に呆れ、嘆息するマリンの言葉に、千夜は思わず笑みを零す。
「それだけ楽しみだったんだ。仕方あるまい」
「だとしても……リッチネス商会に食材も取りに行かないといけないのですよね?」
「それに関しては問題ない。朝食を食べたあとに取りに行って来たからな」
「まるで、こうなることがわかっていたみたいですね」
「まあな。あれだけ楽しみにしていれば眠れなくなるさ。早く寝かせるために、昨日は鍛練をいつも以上にさせたが……効果は無かったな」
「そうですね」
未だ目の前を走り回るエリーゼ達を見て、マリンは同意するしかない。
そんな千夜達の会話を気にする余裕の無いエリーゼ達は、着て行く服選びや髪のセットで大忙しだった。
「エルザ、これで良いかしら!」
「はい! とてもお似合いです!」
「ほんとに? それよりエルザ。新婚旅行なのになんでメイド服着てるの! 旦那様にも私服を着て行くように言われたんじゃなかったっけ」
「あ! そうでした! すぐに着替えてきます!」
「ミレーネ、それは私の歯ブラシだ」
「あ、すみません! でもクロエ、その下着は私のです!」
「す、すまない!」
「マキにも話したが、こいつの冒険者登録に来た。ついでに昇格試験を受けさせようと思ってな」
「なるほど。で、その昇格試験の試験官を俺にやらせようとしていたんだな?」
「そうだ。話が早くて助かる」
「はぁ、わかったよ。さっさと冒険者登録して訓練所に来い。待ってるからよ」
そう言い残すと、バルディは訓練所に向かうのだった。
その場にいた全員が、何を考えていたか察することもできずに。
(やっぱり暇なんだ……)
◆ ◆ ◆
登録を終えたタイガーを連れて、千夜達は訓練所に来ていた。
もちろんタイガーの犯罪歴は、千夜のスキル【超隠蔽】で隠してある。
「ここに来るのも久しぶりだな」
「そうね。いつ以来かしら?」
「ダンジョンに行く前です。エリーゼ様」
「そうだったわ」
懐かしさに浸っているが、既にバルディとタイガーは戦闘を開始していた。
大剣を振るうバルディの攻撃を躱し、ボディーブローで反撃するタイガー。
そんな暑苦しい男同士の戦闘は数分間に及び、タイガーの勝利で幕を閉じた。
「殿、勝利しました!」
「良くやった。それで戦ってみてどうだった」
「はっ! 相手は見た目以上に俊敏だったため判断が遅れました。力業だけでなくカウンターなどの技術も優れていたことから、予定より時間がかかってしまいました」
「そうだな。前にも言ったが、見た目だけで相手を判断するな。いついかなるときでも、己が負けるかもしれないという可能性を忘れるな。いいな?」
「はっ、わかりました!」
師弟のような会話も終わり、こうしてタイガーはSSランクとなった。
また、タイガーもクラン『月夜の酒鬼』のメンバーとして登録された。
「そうだバルディ」
「なんだ?」
「俺達は明後日から新婚旅行で帝都を離れるから。その間に何かあれば、タイガーに指名依頼してくれ」
「わかった」
「殿、それはどういう……」
震える声を発するタイガー。
「ん? そのままの意味だ。俺達が新婚旅行に行っている間は帝都でお留守番だ」
「そ、それはあまりにも殺生なああああぁぁぁぁ!!」
千夜からもたらされた非情な言葉に、タイガーの絶叫が訓練所内に轟くのであった。
そんなタイガーと別れた千夜達は、商人パルケがいるリッチネス商会に来ていた。
「ここに旦那様と来るのも久しぶりね」
「確かにそうだな。最近は仕事やなんやかやで、別々になってしまったからな」
「センヤさん、私達もですよ!」
「そうだぞ!」
ミレーネとクロエがアピールしてくる。
「ああ、そうだな。すまない。新婚旅行が終わったらまた来ような」
「そうね!」
「はい!」
「無論だ!」
弾んだ賛成の声。どれだけ嬉しいのかがわかるが、自分達が今どこにいるのかをすっかり忘れていた。
「イチャイチャするなら、他でやってもらえないか?」
嘆息混じりの声が投げ掛けられる。
「パルケ、久しぶり…………でもないか?」
「まあ、四日前に来たばかりだからな」
パルケの言うように、千夜は四日前にもリッチネス商会に来ていた。もちろんプライベートではなく、仕事でだ。
「それで、今日はどういった用で我がリッチネス商会にお越しいただいたんだ?」
「俺達は明後日から、新婚旅行でこの帝都を離れる。その間の酒の輸送についての打ち合わせと、旅行で入り用な物の買い出しのためだ」
「そうか。では、こちらへ」
パルケの案内でいつもの個室に通された千夜達は、気兼ねすることなくソファーに座った。
「さてと、まずは仕事の話を済ませるとしよう。我がオールリキュールは今後――俺が不在の間も毎月、各種の酒を三十樽、商会に納品する。これでいいな?」
「ああ、問題ない。運搬はどうするんだ? センヤがいたときは問題なかったが、普通に運ぶとなると大変だぞ。帝都内とはいえ、奪われるかもしれんしな」
「それに関しては大丈夫だ、安心しろ」
自信満々の笑みを浮かべる千夜。
「パルケ、お前にこれを渡しておく。これと同じ物を持った者が酒を搬送してくる」
「わかった」
盃と蛇の模様が描かれた板を受け取ったパルケは、どうして、と思ってしまう。
(なんだこの不気味な絵は。いつも思うが、こんな絵のついた酒がよく売れるものだな)
オールリキュールの商品には、全てこのラベルが貼られているのだ。
(ま、それだけ味に自信があるということなんだろうけどな)
そのあとは、書類をいくつか認めるだけで、仕事の話は終わった。
「それじゃ、今度は客として相手をしてもらおうか」
「かしこまりました。っていつもはそんなことしてないだろ」
「そうだったな」
パルケは思わず嘆息してしまう。
「それで今回はどんな物が必要なんだ?」
「まずは食料だな。いつもならその場で狩りをして手に入れるが、今回はのんびりしたいからな」
「なるほど。それで他には?」
「そうだな……あとは丈夫で大きい馬車と、引く馬を必要なだけ」
「他には?」
「ベッドだな」
「は?」
千夜の言葉にパルケや思わず聞き返してしまう。
「俺が大きくて丈夫な馬車をリクエストしたのは、ベッドを載せるためだ。今回は仕事じゃないからな。寛ぎながら行きたいんだ」
「な、なるほどな。だが、皆で寝られるベッドとなると……」
「無いのか?」
千夜の問いに続き、それに反応する女性陣からの膨大な圧力に襲われるパルケ。
「い、いや! ベッドはあるぞ! 前に商会で注文してくれた際に複数作ったからな。だが、あのサイズとなると馬車がな……」
「そんな大きさの馬車はそうそう見つからないか……」
「いや、あることはある。しかし、材木や鉄鉱石などを運ぶための荷馬車でな……」
「なるほど。なら、それをもらおうか」
「荷馬車で良いのか?」
「ああ、どうせ改良するつもりだった。ベッドも在庫があるなら、一緒に買わせてもらう」
「わかった。馬車とベッドはすぐに用意する。馬は流石にすぐとはいかんが、明日の夕方までには準備できると思う。食料はどうする? 鮮度を気にするのなら出発当日にでも来るか?」
「そうさせてもらおう」
「わかった。できるだけ色々な食材を用意しておこう」
「頼む」
こうして千夜は今日だけでも金貨三百枚以上の買い物をして屋敷へと帰るのだった。
商会からの帰り道。
「いや~、楽しみだな」
「そうですね」
クロエとミレーネが話す横で、エリーゼが千夜に問う。
「旦那様、帰ったらさっそく馬車の改良を始めるの?」
「まあな。といっても内装と外装と足回りを改良するだけだから、大して時間はかからないはずだ」
「全面改修っぽいけど、それでも時間はかからないのね……」
エリーゼは改めて、千夜が規格外であることを思い知ったのである。
そんな会話をしているときだった。エルザが口を開く。
「主」
「なんだ?」
「王宮に行かなくてよろしいのですか?」
「あ」
浮かれ気分ですっかり忘れていた千夜達であった。
「ま、別に良いだろ」
だが、切り替えの早い千夜は王宮に行く予定を省くことにした。
屋敷に帰宅した千夜は妻達と別れ、アイテムボックスから大きな馬車を取り出し、さっそく改良し始める。
「さてと、まずは…………どこから手をつけたものか」
(外装からいじると、足回りを改良中に傷つけるかもしれないし、内装はできるだけ時間をかけたいから……)
「よし、足回りから始めるとしよう」
まず、馬車から車輪や車軸を取り外し、強化魔法を付与する。
次に、車軸にはスプリングマウスという魔物の尻尾をサスペンション代わりに組み込む。
スプリングマウスは面白い魔物で、ほとんど人を襲うことなく、魔力を多く含んだ木の実などを食べて暮らしている。また、移動方法が特殊で、四肢は使わずバネのようになった尻尾で飛び跳ねながら移動するのだ。
「あとは、車輪を取り付けてっと。これで足回りは完成だな」
念のため馬車に乗り込み、ジャンプをすることでサスペンションの効果を確かめる。
「ま、こんなものだ」
己の負荷に耐えたことに安心すると、次の作業に取り掛かった。
「次は…………外装だな」
次の作業に移る。
屋敷を建てた際に余った材木をアイテムボックスから取り出し、さまざまに加工していく。
そして、内装用と外装用のパーツが完成すると、すぐに次の工程に取り掛かった。
外装用の化粧板を釘で外側に打ち付けていく。また、出入り口と御者台へ続く扉は新たなものに交換し、スムーズに開閉できるか確かめる。
「ま、こんなものか」
確認が終わると、次は内装に取り掛かった。
こちらもまた、床や壁、天井などに板を打ち付け補強すると、部屋の隅に立って車内全体を見渡す。
「荷物などは俺のアイテムボックスに入れるとして、やはりベッドは一番奥だな」
家具などの置き場所をある程度決め、再び内装に取り掛かる。今度は主に装飾だ。
ベッドを置くであろう場所の床に小さな穴を四つ開け、そこにアイテムボックスから取り出した特大ベッドを置く。するとベッドの足が丁度穴にはまり固定された。
「あとは……壊れないように強化魔法を付与しとくか」
ついで感覚で強化魔法を付与した千夜は、同じやり方で小さなタンスやソファー、テーブルなどを設置し、最後に窓にカーテンを取り付けて完成した。
「内装はこんなものだな」
簡素というよりはみすぼらしかった馬車の中は、見事に清潔感溢れる部屋となった。
「最後は外装の装飾だな」
補強しただけの外装を眺めながら、千夜はどんな風に装飾するべきか悩む。
「やはり、黒を主体にした方がいいのか? いや、これは新婚旅行のための馬車だからな。あえてピンクに…………無いな。気分が悪くなりそうだ」
真ピンクの馬車を想像してしまった千夜の顔は、少しだけ青ざめていた。
「仕方ないな。黒主体で適当に模様を入れるとしよう」
最後は面倒になってきたのか、細かく決めないまま作業に取り掛かる。
ペンキなど存在しないこの世界では、植物から染料を作り出している。
千夜は以前に面白半分で買った染料をアイテムボックスから取り出し、馬車に塗っていく。
そして完成したのが――。
「まるで、魔王の馬車だな」
千夜――もとい前世である和也のセンスが作り出したそれは、気品はあるが、それ以上に威圧感を醸し出す馬車となってしまった。
しかしこの配色は、妻達に見せた結果、没となる。
そして、塗り直しの結果、黒をベースに月や花が描かれた馬車が完成したのだった。
ちなみに、没となる前の外装は、黒い車体になぜか蛇や骸骨が描かれていた。
ようやく完成した馬車をアイテムボックスに収納した千夜は、妻達とともに夕食を楽しむのであった。
翌日。新婚旅行前日となり、妻達は、遠足を楽しみにする子供のようにはしゃいでいた。
訓練をサボることはない。それでもどこか浮かれ気分なのか、戦闘に身が入っていない様子だった。
妻達が訓練をしている間に、千夜はパルケに頼んでおいた馬を取りに行った。
一方、一番忙しかったのはセバスである。
千夜達がいない間の注意事項を書き出しながらも、通常業務を全うしていた。
セバスの仕事は主に金の管理である。
オールリキュールでの売上、経費、屋敷に関わる出費などを詳細に記録しているのだ。
コンコン。
「どなたですか?」
「私です。マリンです」
雑務をこなしていたセバスは羽ペンを置き、部屋に入るよう促す。
「どうされましたか?」
「いえ、大したことではないのですが。エリーゼ様達が少し浮かれすぎではないかと思いまして」
大人でありながら子供のようにはしゃぐエリーゼ達を見て、礼儀作法の指導をしているマリンは苦言を呈したくなったのだろう。
「別に良いのではありませんか」
「ですが……」
「一年前まで伯爵としての仕事に没頭していたエリーゼ様は、誰にも頼ることなく頑張っていました。それがセンヤ様に会われ結婚してからは、とても明るくなられたのです。少し大目に見ても構わないでしょう」
「それもそうですね」
夫を亡くしてからというもの、脱け殻のようになって領地の仕事に没頭していたエリーゼ。
それをよく知る二人は、明るくなったエリーゼを見て嬉しくて仕方がなかったのだ。
「ですが、夕食時まではしゃいでいるようなら注意してください」
「わかりました。それでは失礼いたします」
マリンは一礼すると部屋から出ていった。
「さて、仕事の続きをしなければ。明日からは、屋敷を空けるセンヤ様に代わって、この屋敷と店を守らねばいけませんからね」
己の責務を果たすため、セバスは書類に目を通すのだった。
四頭の馬を連れて帰って来た千夜は、鍛練に励む妻達の元に向かい、模擬戦を行った。
屋敷を出る前から妻達が浮かれていたことを知っている千夜は、黒い笑みを浮かべながら鍛練に参加する。そして、当然のように妻達はお仕置きをされたのだった。
「だ、旦那様、酷いわよ」
そんなエリーゼに千夜が答える。
「浮かれるのはわかるが、今は鍛練の時間だ」
「センヤさん、いつにもまして意地悪です」
「そうだぞ。センヤはもう少し妻である私達に優しくすべきだ」
「主、私も今日ぐらいは優しくしても良いと考えます」
ミレーネ、クロエ、エルザの意見を耳にした千夜。
「なるほどな。つまりはお仕置きが足らないと言いたいんだな」
「え?」
千夜は手に持っていた鍛練用の刀をアイテムボックスにしまうと――。
「【劣化】スキル、一パーセント解除」
「っ!」
一瞬にしてドーム型に広がる強烈な魔力の波動を感じた妻達は、顔を真っ青にして逃げ出そうとする。
「逃がすわけないだろ」
魔法も使わず身体能力だけで全員を捕まえると、一人ずつお尻叩き二十回の刑に処すのだった。もちろん、【劣化】の一部を解除したままで。
数分してお仕置きが終わると、千夜は立ち上がりながら呟いた。
「これに懲りたら、鍛練はしっかりすること」
「……はい」
真っ赤に腫らしたお尻を撫でながら、返事をする妻達であった。
その後、一足先に屋敷へ戻った千夜はマリンと会った。
「少しやりすぎでは……」
「たまにはちゃんと叱っておかなければ、鍛練だけでなく他のことにも手を抜きかねないからな。それに、マリンばかりに叱らせるのも気の毒だろう」
「ありがとうございます」
マリンは軽く一礼をすると仕事に戻っていった。
その日の夜は千夜の寝室に誰も来ることなく、一日が終わった。
◆ ◆ ◆
新婚旅行当日。妻達は屋敷の中を慌ただしく走り回っていた。
理由は簡単、完全なる寝坊だ。それも、遠足を楽しみにしている子供のように、興奮して眠れなかったからであった。
出発時間は余裕で過ぎていたが、急いで準備をする妻達を、千夜は温かい目で見守っている。
「まったく、エリーゼ様達は何を考えているのでしょうか」
完全に呆れ、嘆息するマリンの言葉に、千夜は思わず笑みを零す。
「それだけ楽しみだったんだ。仕方あるまい」
「だとしても……リッチネス商会に食材も取りに行かないといけないのですよね?」
「それに関しては問題ない。朝食を食べたあとに取りに行って来たからな」
「まるで、こうなることがわかっていたみたいですね」
「まあな。あれだけ楽しみにしていれば眠れなくなるさ。早く寝かせるために、昨日は鍛練をいつも以上にさせたが……効果は無かったな」
「そうですね」
未だ目の前を走り回るエリーゼ達を見て、マリンは同意するしかない。
そんな千夜達の会話を気にする余裕の無いエリーゼ達は、着て行く服選びや髪のセットで大忙しだった。
「エルザ、これで良いかしら!」
「はい! とてもお似合いです!」
「ほんとに? それよりエルザ。新婚旅行なのになんでメイド服着てるの! 旦那様にも私服を着て行くように言われたんじゃなかったっけ」
「あ! そうでした! すぐに着替えてきます!」
「ミレーネ、それは私の歯ブラシだ」
「あ、すみません! でもクロエ、その下着は私のです!」
「す、すまない!」
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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