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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第八十八幕 武と文
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「で、了承はしたけど、作戦内容を詳しく教えて欲しいんだけど。調べる内容しだいでは使い魔の使う種類とか量とか、後は調べる場所が変わってくるもの」
「そうか。………なら、相手が隠したがっている事を徹底的にってのは当たり前か。隠し部屋、隠し金庫などを調べて見つけ次第中の調査と後は相手がどんな事を家でしているのかも調べて貰えるとありがたい。出来ればで良いが記録水晶の設置も頼む」
「解った、やれるだけ遣ってみるわ」
「そうしてくれると助かる。それでハクアは念話は使えるのか?」
「私は使えるけど、ギンは無理よ。だいたいあれって生まれつき持ってる人じゃないと使えないでしょ。取得方法が分らないし」
「そ、そうだな」
勿論和也は取得方法を知っている。だが今それを話すのは本題から脱線しそうな気がしたからだ。
「なら、こっちで情報を手に入れたら念話で知らせる」
「解ったわ。こっちも同じようにするわ」
こうして毎回会って話が出来るとは限らない。予想外の出来事や発見し場合は念話で知らせて方が効率が良いと二人は知っているからだ。
「で、何時決行するの?」
「出来れば今日したいと思ったが流石に急すぎるからな。それで怪しまれたくはない。今から出来るだけ下準備だけして明日決行でどうだ?」
「確かにそうね。それで良いわ」
「よし、なら俺は今からフーリッシュに接触してくる」
「え、でもそれは流石に……」
「いきなり会いに行ったら怪しまれるって言いたいんだろう。それぐら解ってるさ。今日は偶然出くわすようにして接触するんだよ」
「まったく不安にさせないでよね」
「悪かったよ。なら行って来る」
「ええ、頑張ってきなさい」
席から立ち上がった和也は部屋を後にした。
そんな部屋から出る姿を物陰から観察する者が居た。が、直ぐに煙のように姿を消すのだった。
「さて、どうしたものか」
偶然を装い接触すると言ったものの相手の居場所が分らない以上度する事もできない。一応マップで位置を確かめようとしているが人の数が多すぎて判断が出来ない。
思考を巡らせながら適当に歩いていると、
「あ、カズヤ」
「エクス」
偶然エクスに出くわした。
「カズヤこんな処で何してるんだい?」
「いや、部下の書類に目を通していたんだが量が多くて、休憩がてらに散歩でもって思っただけだ。椅子に座り続けていると身体が鈍りそうだしな」
「ああ、確かにあれは大変だよね……」
前に体験した事があると、苦笑いを浮かべるエクス。
「俺の遥か上を行く量に最初は目を逸らしたくなる思いだった」
「仕方ないよ。騎士や兵士からしてみれば八聖天の直属の部下になる事は大いなる名誉だからね」
「そうかもしれないが、直属の上司になる人間を困らして欲しくはないぞ」
「まあ、そう言わないで上げてくれ。彼らも頑張ってるんだからさ」
「解ってるよ。だから書類を見てるんだ。嫌に成るけどな」
「あはは……」
否定したいが気持ちが分る故に否定できない。
「で、エクスは何してるんだ。確かエクスは王都の警備担当だろう?」
「うん、いま見回りが終わったから。これからフーリッシュ枢機卿の処に行くところなんだ」
「フーリッシュ枢機卿の処に?」
「うん、僕はあの人の信念に賛同しているからね」
「なるほどな」
「なんなら、カズヤも一緒に来るかい。きっと素晴らしい話が聞ける筈だよ」
「人の考えを聞くのは成長の一歩にもなるだろうし俺は嬉しいが、勝手に行ってフーリッシュ枢機卿が迷惑にならないか?」
「そんな事は無いよ! あの人は誰よりもこの国と民の事を考えている人だからね。だから僕はそんなフーリッシュ枢機卿を尊敬してるんだよ」
「そうか。まるで聖人みたいな人だな」
「まさにその通りだよ! なんせ僕はあの人のお陰で力を手に入れる事が出来たんだから!」
「そうなのか?」
「あっ!、いや………今のは忘れてくれ」
「分った。それよりもフーリッシュ枢機卿の処に行くんだろう。だったら早く行った方が良いんじゃないか?」
「そうだね。なら行こうか」
「ああ」
思い掛けない人物と出合った事で企みが進んだだけでなく、情報も手に入った事に和也は内心笑みを零していた。
(まさに一石二鳥だな)
エクスの案内でフーリッシュに会う事になった和也は始めてくる場所に視線を色々と向けていた。
「こっち側に来るのは初めてだな」
「確かに用事がなければあんまり西側には来ないだろうね」
王宮内は大きく分けて二つに分かれている、八聖天が活動する東側と文官や非戦闘員が活動する西側だ。対立しているわけでは無いが、それぞれのトップ同士はあんまり仲が良くない。
(ま、でも仕方が無いよな。文武両道って言葉はあるがそうそう上手く行くものじゃないだろうし。それにしても東の武と西の文か。上手くすれば内部分裂も出来るかもしれないが、俺の依頼は七聖剣、今は八聖天だが、それの急激な力の上昇についてだ。余計な事をして依頼主を困らせる訳にはいかないからな)
「着いたよ。最初に僕が入って君の事を説明するから少し待ってて」
「解った」
ドアをノックして中に入ったエクス。
数分後、エクスがドアを開けて姿を現す。
「お許しが出たよ。さあ、入って。分ってると思うけど粗相の無いようにね」
「ああ、せっかくエクスが会わせてくれたんだ。迷惑は掛けないよ」
(それに不審に思われたく無いからな)
内心別の事を思いながら中に入るのだった。
「そうか。………なら、相手が隠したがっている事を徹底的にってのは当たり前か。隠し部屋、隠し金庫などを調べて見つけ次第中の調査と後は相手がどんな事を家でしているのかも調べて貰えるとありがたい。出来ればで良いが記録水晶の設置も頼む」
「解った、やれるだけ遣ってみるわ」
「そうしてくれると助かる。それでハクアは念話は使えるのか?」
「私は使えるけど、ギンは無理よ。だいたいあれって生まれつき持ってる人じゃないと使えないでしょ。取得方法が分らないし」
「そ、そうだな」
勿論和也は取得方法を知っている。だが今それを話すのは本題から脱線しそうな気がしたからだ。
「なら、こっちで情報を手に入れたら念話で知らせる」
「解ったわ。こっちも同じようにするわ」
こうして毎回会って話が出来るとは限らない。予想外の出来事や発見し場合は念話で知らせて方が効率が良いと二人は知っているからだ。
「で、何時決行するの?」
「出来れば今日したいと思ったが流石に急すぎるからな。それで怪しまれたくはない。今から出来るだけ下準備だけして明日決行でどうだ?」
「確かにそうね。それで良いわ」
「よし、なら俺は今からフーリッシュに接触してくる」
「え、でもそれは流石に……」
「いきなり会いに行ったら怪しまれるって言いたいんだろう。それぐら解ってるさ。今日は偶然出くわすようにして接触するんだよ」
「まったく不安にさせないでよね」
「悪かったよ。なら行って来る」
「ええ、頑張ってきなさい」
席から立ち上がった和也は部屋を後にした。
そんな部屋から出る姿を物陰から観察する者が居た。が、直ぐに煙のように姿を消すのだった。
「さて、どうしたものか」
偶然を装い接触すると言ったものの相手の居場所が分らない以上度する事もできない。一応マップで位置を確かめようとしているが人の数が多すぎて判断が出来ない。
思考を巡らせながら適当に歩いていると、
「あ、カズヤ」
「エクス」
偶然エクスに出くわした。
「カズヤこんな処で何してるんだい?」
「いや、部下の書類に目を通していたんだが量が多くて、休憩がてらに散歩でもって思っただけだ。椅子に座り続けていると身体が鈍りそうだしな」
「ああ、確かにあれは大変だよね……」
前に体験した事があると、苦笑いを浮かべるエクス。
「俺の遥か上を行く量に最初は目を逸らしたくなる思いだった」
「仕方ないよ。騎士や兵士からしてみれば八聖天の直属の部下になる事は大いなる名誉だからね」
「そうかもしれないが、直属の上司になる人間を困らして欲しくはないぞ」
「まあ、そう言わないで上げてくれ。彼らも頑張ってるんだからさ」
「解ってるよ。だから書類を見てるんだ。嫌に成るけどな」
「あはは……」
否定したいが気持ちが分る故に否定できない。
「で、エクスは何してるんだ。確かエクスは王都の警備担当だろう?」
「うん、いま見回りが終わったから。これからフーリッシュ枢機卿の処に行くところなんだ」
「フーリッシュ枢機卿の処に?」
「うん、僕はあの人の信念に賛同しているからね」
「なるほどな」
「なんなら、カズヤも一緒に来るかい。きっと素晴らしい話が聞ける筈だよ」
「人の考えを聞くのは成長の一歩にもなるだろうし俺は嬉しいが、勝手に行ってフーリッシュ枢機卿が迷惑にならないか?」
「そんな事は無いよ! あの人は誰よりもこの国と民の事を考えている人だからね。だから僕はそんなフーリッシュ枢機卿を尊敬してるんだよ」
「そうか。まるで聖人みたいな人だな」
「まさにその通りだよ! なんせ僕はあの人のお陰で力を手に入れる事が出来たんだから!」
「そうなのか?」
「あっ!、いや………今のは忘れてくれ」
「分った。それよりもフーリッシュ枢機卿の処に行くんだろう。だったら早く行った方が良いんじゃないか?」
「そうだね。なら行こうか」
「ああ」
思い掛けない人物と出合った事で企みが進んだだけでなく、情報も手に入った事に和也は内心笑みを零していた。
(まさに一石二鳥だな)
エクスの案内でフーリッシュに会う事になった和也は始めてくる場所に視線を色々と向けていた。
「こっち側に来るのは初めてだな」
「確かに用事がなければあんまり西側には来ないだろうね」
王宮内は大きく分けて二つに分かれている、八聖天が活動する東側と文官や非戦闘員が活動する西側だ。対立しているわけでは無いが、それぞれのトップ同士はあんまり仲が良くない。
(ま、でも仕方が無いよな。文武両道って言葉はあるがそうそう上手く行くものじゃないだろうし。それにしても東の武と西の文か。上手くすれば内部分裂も出来るかもしれないが、俺の依頼は七聖剣、今は八聖天だが、それの急激な力の上昇についてだ。余計な事をして依頼主を困らせる訳にはいかないからな)
「着いたよ。最初に僕が入って君の事を説明するから少し待ってて」
「解った」
ドアをノックして中に入ったエクス。
数分後、エクスがドアを開けて姿を現す。
「お許しが出たよ。さあ、入って。分ってると思うけど粗相の無いようにね」
「ああ、せっかくエクスが会わせてくれたんだ。迷惑は掛けないよ」
(それに不審に思われたく無いからな)
内心別の事を思いながら中に入るのだった。
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