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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第百二幕 帝都帰還と言葉を失う
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千夜たちがレイーゼ帝国に向かって歩いている頃、フィリス聖王国から各国にある情報が伝えられた。
それは一体の魔族の襲撃にあったというものだ。
その内容は突如王城に現れた魔族。なんとか倒す事が出来たものの、騎士総大将レイと大将となったばかりのカズヤ、フーリッシュ枢機卿を失ったと言う物だ。勿論内容は嘘である。だが、真実を話せば先日の魔族軍襲撃に関与した事が公になるため、しかたなく偽情報を伝えたのだ。
その事に各国は色々な反応を見せた。喜ぶ者、憤りを感じる者様々だった。
敵対する国としては喜ばしく、同じ目的にあった国としては戦力ダウンに憤りを覚えた。
他にもこの情報を知ったのは国の重鎮達だけではない。クラン「月夜の酒鬼」、セレナ、そして勇者たちである。勿論、エリーゼたちは信じなかった。だが、念の為にとラッヘンに命令して千夜に念話で連絡をとってもらい真実を知った。その事をエリーゼたちはセレナにも伝えた。そのためエリーゼたちは何の反応も示さなかった。だが、勇治たちは違う。縁を切ったとはいえ、それは和也からの一方的なもの。覚悟も決意も諦めもついていない時に知らされた内容に全員が寝込んでしまった。
そしてその情報は各国の民にまで知るものとなる。国によって反応は違うが一つだけ共通していた事は魔族への恨みが大きくなっただけだった。それを考えれば一番の被害者は魔族とも言えなくは無いが、今回の事は一部の魔族ともつながりがあったため仕方が無いとも言えるかもしれない。
そんなこんなで時は流れ、千夜たちは一ヶ月掛けてようやくレイーゼ帝国帝都ニューザに到着した。
千夜に助けられた女たちは徐々に亜人種が増える事に安堵した者も居れば、怯えつつも好奇心の目で見る者もいた。
「ここが帝都ニューザセンヤさんが活動している都市ですか」
「そうだ。俺はここで暮らしている」
「でも、こんなに時を空けて良かったんですか? 冒険者は一定期間以内に依頼をこなさないと冒険者としての資格を剥奪されると聞きましたけど」
「大丈夫だ」
見栄を張るわけでも自身でもなく、簡素な返答に彼女たちは疑念を覚えてならないが、それは直ぐに解消される事となる。
城門前まで来た千夜たちはようやく通行審査を行う事になる。
「あれ、センヤ様今日は外に出ておられましたか?」
「ああ、息は別の城門から出たからな」
「そうでしたか。で、後ろの女性たちは?」
「彼女たちは依頼の帰りに人攫いに捕まってたから助けてきた」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「なに、気にしなくて良い。それよりも早く彼女たちを通れるように水晶で調べてくれ。これが通行料だ」
千夜は兵士に銀貨60枚を渡す。
「解りました」
十数分して通行許可を貰うと千夜たちは帝都内へと入る。
「センヤって有名人なのね」
「ん? まあな」
自慢するわけでも遠慮がちに言うわけでもなく平然と答える。そんな時、
「あ、漆黒の鬼夜叉様だ!」
一人の子供が千夜を指差して叫ぶ。
「こら、人を指指さないの! す、すいません」
「何、気にしなくて平気だ」
親子との会話も終わり歩き出す千夜だったが、助けた女性たちが付いて来ていない事に気付き振り返る。
「どうしたんだ? 早く行くぞ」
「嘘、貴方が漆黒の鬼夜叉なの?」
「Xランク冒険者の?」
「龍殺しの?」
「吸血鬼50人斬りの?」
「そうだが、言わなかったか?」
「「「「「「聞いてないわよ!」」」」」」
異口同音で叫ぶ女性たちに千夜は気圧されそうになる。
「最初に自己紹介した筈だが、千夜って」
「それで誰がXランク冒険者漆黒の鬼夜叉って気付くのよ!」
「確かにそうだな。悪かった」
精神的疲労を感じた女性陣だったが直ぐに怒るのをやめて千夜の後に続く。
大通りを歩く事数分、一際行列を作るお店があった。
「あ、オールリキュール!」
「嘘、本当だ!」
「未だにあれだけの行列が出来るなんて凄い!」
「私も飲んでみたいな~」
各々楽しそうに話して居る時オールリキュールから獣人の店員が外に出てきた。行列の数を数えているようだ。
数分して数え終わり店に戻ろうとしたとき、獣人は千夜の姿に気付き近づいてきた。
「センヤさんお久しぶりです!」
「久しぶりだな、アスカ。店のほうは大丈夫か?」
「はい。今ではもう仕事に慣れました。ルールを破らない客は月に3人居るか居ないかですしね。あ、それからお客様からの要望で新しいお酒や新しい種類の果実酒は無いのかってのが最近多いですね」
「解った。今日はこの後王宮に行くから、明日にでも宿舎に行く時間はまだ決めてないから伝えられないが、その時にでも新しいお酒の案を出し合うとしよう」
「解りました。あ、それと奥様たちが最近異常にお酒を飲むようになったので在庫の数が少し減ってしまいまして」
「美味いからって飲みすぎるなってあれほど言ったのに。解った俺から注意しておこう。迷惑かけてすまないな」
「いえ、これも仕事ですので」
「こんなに優秀なら給金をアップした方が良いかもな。セバスと相談してみる事にしよう」
「いえいえ! これいじょう上げられても買う物とかあんまり無いですし! 逆に困ります。貯金するのが好きなレアムなんて3つ目に突入しているぐらいですから!」
「そうか。まあ、考えておこう」
「お願いしますね」
話も終わり別れようとした時だった。
「「「「「「ちょっと待って!」」」」」」
「何だ?」
「話の内容を聞く限りセンヤさんが関わって居るように聞こえるんですけど」
「センヤさん彼女たちは?」
「新しい職員として雇うかと」
「今でも十分人は居ますけど」
「まだ確定じゃないが第二店舗も考えてるからな」
「そうなんですか! おめでとうございます!」
「ありがとう」
「「「「「「話を聞けえええぇぇ!!」」」」」」
「なんだ?」
「だからちゃんと説明してください!」
「センヤさん教えてないんですか?」
「そう言えば教えてないな」
「なら、この反応も分かりますよ。仕方が無い、ここは私が説明します。初めまして私はアスカ。オールリキュールで働く職員です。で、こちらに居られるセンヤさんは私たちの雇い主であり、オールリキュールの社長兼オーナーです。以上」
「解ったか?」
「「「「「「……………」」」」」」
まさか会ってみたい、行ってみたい場所全てに千夜が関わっている事に言葉を失うのであった。
それは一体の魔族の襲撃にあったというものだ。
その内容は突如王城に現れた魔族。なんとか倒す事が出来たものの、騎士総大将レイと大将となったばかりのカズヤ、フーリッシュ枢機卿を失ったと言う物だ。勿論内容は嘘である。だが、真実を話せば先日の魔族軍襲撃に関与した事が公になるため、しかたなく偽情報を伝えたのだ。
その事に各国は色々な反応を見せた。喜ぶ者、憤りを感じる者様々だった。
敵対する国としては喜ばしく、同じ目的にあった国としては戦力ダウンに憤りを覚えた。
他にもこの情報を知ったのは国の重鎮達だけではない。クラン「月夜の酒鬼」、セレナ、そして勇者たちである。勿論、エリーゼたちは信じなかった。だが、念の為にとラッヘンに命令して千夜に念話で連絡をとってもらい真実を知った。その事をエリーゼたちはセレナにも伝えた。そのためエリーゼたちは何の反応も示さなかった。だが、勇治たちは違う。縁を切ったとはいえ、それは和也からの一方的なもの。覚悟も決意も諦めもついていない時に知らされた内容に全員が寝込んでしまった。
そしてその情報は各国の民にまで知るものとなる。国によって反応は違うが一つだけ共通していた事は魔族への恨みが大きくなっただけだった。それを考えれば一番の被害者は魔族とも言えなくは無いが、今回の事は一部の魔族ともつながりがあったため仕方が無いとも言えるかもしれない。
そんなこんなで時は流れ、千夜たちは一ヶ月掛けてようやくレイーゼ帝国帝都ニューザに到着した。
千夜に助けられた女たちは徐々に亜人種が増える事に安堵した者も居れば、怯えつつも好奇心の目で見る者もいた。
「ここが帝都ニューザセンヤさんが活動している都市ですか」
「そうだ。俺はここで暮らしている」
「でも、こんなに時を空けて良かったんですか? 冒険者は一定期間以内に依頼をこなさないと冒険者としての資格を剥奪されると聞きましたけど」
「大丈夫だ」
見栄を張るわけでも自身でもなく、簡素な返答に彼女たちは疑念を覚えてならないが、それは直ぐに解消される事となる。
城門前まで来た千夜たちはようやく通行審査を行う事になる。
「あれ、センヤ様今日は外に出ておられましたか?」
「ああ、息は別の城門から出たからな」
「そうでしたか。で、後ろの女性たちは?」
「彼女たちは依頼の帰りに人攫いに捕まってたから助けてきた」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「なに、気にしなくて良い。それよりも早く彼女たちを通れるように水晶で調べてくれ。これが通行料だ」
千夜は兵士に銀貨60枚を渡す。
「解りました」
十数分して通行許可を貰うと千夜たちは帝都内へと入る。
「センヤって有名人なのね」
「ん? まあな」
自慢するわけでも遠慮がちに言うわけでもなく平然と答える。そんな時、
「あ、漆黒の鬼夜叉様だ!」
一人の子供が千夜を指差して叫ぶ。
「こら、人を指指さないの! す、すいません」
「何、気にしなくて平気だ」
親子との会話も終わり歩き出す千夜だったが、助けた女性たちが付いて来ていない事に気付き振り返る。
「どうしたんだ? 早く行くぞ」
「嘘、貴方が漆黒の鬼夜叉なの?」
「Xランク冒険者の?」
「龍殺しの?」
「吸血鬼50人斬りの?」
「そうだが、言わなかったか?」
「「「「「「聞いてないわよ!」」」」」」
異口同音で叫ぶ女性たちに千夜は気圧されそうになる。
「最初に自己紹介した筈だが、千夜って」
「それで誰がXランク冒険者漆黒の鬼夜叉って気付くのよ!」
「確かにそうだな。悪かった」
精神的疲労を感じた女性陣だったが直ぐに怒るのをやめて千夜の後に続く。
大通りを歩く事数分、一際行列を作るお店があった。
「あ、オールリキュール!」
「嘘、本当だ!」
「未だにあれだけの行列が出来るなんて凄い!」
「私も飲んでみたいな~」
各々楽しそうに話して居る時オールリキュールから獣人の店員が外に出てきた。行列の数を数えているようだ。
数分して数え終わり店に戻ろうとしたとき、獣人は千夜の姿に気付き近づいてきた。
「センヤさんお久しぶりです!」
「久しぶりだな、アスカ。店のほうは大丈夫か?」
「はい。今ではもう仕事に慣れました。ルールを破らない客は月に3人居るか居ないかですしね。あ、それからお客様からの要望で新しいお酒や新しい種類の果実酒は無いのかってのが最近多いですね」
「解った。今日はこの後王宮に行くから、明日にでも宿舎に行く時間はまだ決めてないから伝えられないが、その時にでも新しいお酒の案を出し合うとしよう」
「解りました。あ、それと奥様たちが最近異常にお酒を飲むようになったので在庫の数が少し減ってしまいまして」
「美味いからって飲みすぎるなってあれほど言ったのに。解った俺から注意しておこう。迷惑かけてすまないな」
「いえ、これも仕事ですので」
「こんなに優秀なら給金をアップした方が良いかもな。セバスと相談してみる事にしよう」
「いえいえ! これいじょう上げられても買う物とかあんまり無いですし! 逆に困ります。貯金するのが好きなレアムなんて3つ目に突入しているぐらいですから!」
「そうか。まあ、考えておこう」
「お願いしますね」
話も終わり別れようとした時だった。
「「「「「「ちょっと待って!」」」」」」
「何だ?」
「話の内容を聞く限りセンヤさんが関わって居るように聞こえるんですけど」
「センヤさん彼女たちは?」
「新しい職員として雇うかと」
「今でも十分人は居ますけど」
「まだ確定じゃないが第二店舗も考えてるからな」
「そうなんですか! おめでとうございます!」
「ありがとう」
「「「「「「話を聞けえええぇぇ!!」」」」」」
「なんだ?」
「だからちゃんと説明してください!」
「センヤさん教えてないんですか?」
「そう言えば教えてないな」
「なら、この反応も分かりますよ。仕方が無い、ここは私が説明します。初めまして私はアスカ。オールリキュールで働く職員です。で、こちらに居られるセンヤさんは私たちの雇い主であり、オールリキュールの社長兼オーナーです。以上」
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