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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第百三幕 友好と報告
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アスカと別れた千夜は王宮に向かおうとしたが、彼女たちと一緒に行くわけにも行かないので、行ったん自宅に帰る事にした。
ラッヘンに念話で帰った事を伝える。
(途中でエリーゼ達が迎えに来るだろう)
大通りから小道に入り進んでいく。千夜たちが通る事もあり、最初の時と比べて大分綺麗になったが、それでも薄暗さと不気味な雰囲気が漂っていた。その証拠に後ろから付いてくる彼女たちの表情は不安げだった。
歩く事数分。千夜の推測通りエリーゼたちが駆け寄って来るのが見えた。
「旦那様!」
「エリーゼ久しぶり」
走って来た勢いを殺す事無く千夜に抱きつく。
「エリーゼお姉さまだけズルいです!」
「そうなのじゃ!」
「ズルいです!」
「良いじゃない、早い者勝ちよ」
「喧嘩はするな。ちゃんと皆抱きしめてやるから」
頬を膨らませて不満を口にするミレーネたちだが、千夜は慣れたように不満を分散させる。
一人ずつ抱きしめた千夜は改めて挨拶する。
「みんな只今」
「「「「お帰りなさい」」」」
嬉しそうに目を細めて出迎えてくれた。
「さて、ラッヘンから聞いていると思うが、彼女たちが救出した者たちだ。悪いが彼女たちに暖かいご飯と――」
「お風呂に入れて、新しい服を上げれば良いんでしょ?」
「その通りだ」
己の考えが伝わる事に嬉しく感じながら千夜は肯定する。
「さて、俺はベルグの所に依頼報告をしてくる」
「早く帰ってきてね」
「ああ、解っている。それとこれを彼女たちに渡しておいてくれ」
屋敷に入るときに必要なペンダントをエリーゼに手渡す。
エリーゼたちに任せた千夜は王宮に向かう。
王宮前には兵が見張りをしているが、千夜が「報告がある」と伝えれば快く通してくれた。信頼されるのは有難いと感じる千夜だが、変化の魔法でもされたらどおするつもりなんだ。と心配になる。
王宮内を歩く事十数分千夜は謁見の間へと通された。
そこには皇帝ベイベルグだけでなく、貴族たちも居た。どうやら大きな会議があったようだ。
「帰って直ぐ来たが急だったか?」
「何、気にする事はない。丁度謁見が終わった所だ」
「誰か来ていたのか?」
「フィリス聖王国からの知らせを聞いて隣国のファブリーゼ皇国が我が国との友好を求めてきたのだ」
「なるほど」
ファブリーゼ皇国国王は人間至上主義に反対する者だ。だが、その事に不満を持つ反対派貴族と隣国フィリス聖王国の事もあり、中々帝国と友好関係が結べなかった。だが、フィリス聖王国の知らせを気にと使者を送り込んで来たのだ。
「第一皇女も人間至上主義じゃないし、友好関係を結ぶのは良い事だと思うが、フィリス聖王国とスレッド法国、それから反対派貴族が黙ってないだろうな」
「そうなのだ。今すぐ戦争とはならないだろうが、内乱はあるかもしれないと皆で考えて居た所だ」
「だろうな。最悪暗殺も考えられるが、そうなれば完全に人間至上主義とそうでない者に二分されるだろう。そうなば戦争ではフィリス聖王国、スレッド法国、ファブリーゼ皇国にまず勝ち目はないからな。だが、その隙にと魔族が攻め込んで来る可能性だってある。それを狙っているとしてもその後の事まで考えるのなら魔族には頼らないだろう。相手が相当馬鹿で無ければの話だがな」
「だろうのう」
「俺の眷属をこっそり護衛に付けさせて置く事も出来るが?」
「良いのか?」
「ああ、少し用事でファブリーゼ皇国に行く事もあるからな」
「済まぬが頼もう。国王には手紙で知らせておく」
「解った」
「さて、それでは報告を頼めるか」
「そうだったな。すっかり話が変わっていたから忘れていた」
頭を切り替え、防音、盗聴防止結界魔法を発動してから口を開く。
「ベルグは途中経過報告書を読んで知っていると思うが、フィリス聖王国のカズヤ、それは俺の事だ。依頼達成したが、最後に正体がバレるとは思わなかったな」
「お主にしては迂闊だったのう」
「相手の第一席レイが予想以上の切れ者だったってだけだ」
「だが、どうしてフィリス聖王国はセンヤの身柄を求めて来ないのだ」
「まあ、そこは詳しくは言えないが、前宰相のベルルクみたいな奴が居たと思っておいてくれ」
「なるほど。何処にでも居るのだな」
「話は戻すが、フィリス聖王国には七聖剣と呼ばれる7人の騎士が居て全員が存在進化を果していた」
「7人もか」
「一番強かったレイは俺が殺したからな6人になってしまったがな。で、どうやって存在進化を果したかについてだが、それは『不屈の湧き水』と呼ばれるアイテムによる物だと解った」
「不屈の湧き水? なんだそれは」
「簡単に説明するなら、飲むだけで経験値が手に入りレベルを上げる事が出来るアイテムだ」
「そんな物があるとは……」
「で、俺は不屈湧き水を発見し、後日全て破壊した。以上だ」
「解った。依頼達成ご苦労だったな」
「ま、こんなに長くなるとは思わなかったな」
「だが、何故持ち帰らなかった?」
「あれは危険過ぎる。飲めば飲むほど強くなる。勿論レベルが上げれば上げる数も減りはするが短時間で強くするからな。それを一国が所有する事は俺は望まない。戦うのは好きだが戦争は嫌いだ。どの国が所有する事も俺は認めないこの帝国であろうとな」
「もしも、持ち帰るよう依頼したらどうする?」
「依頼を受けない。他の者に頼んで持ち帰らせたと解ったらこの国を出て行っただろうな」
「そうか」
ベルグだけでなく貴族たちまでもが選択を間違えないで良かったと安堵する。どの国よりもこの国の者が千夜の強さを知っているからだ。
「さて、もう良いか?」
「ああ、ご苦労であった。宰相依頼達成の報酬を」
「解りました。センヤ殿こちらを」
「ありがとう」
金貨が入った袋を受け取り千夜は謁見の間を後にする。
ラッヘンに念話で帰った事を伝える。
(途中でエリーゼ達が迎えに来るだろう)
大通りから小道に入り進んでいく。千夜たちが通る事もあり、最初の時と比べて大分綺麗になったが、それでも薄暗さと不気味な雰囲気が漂っていた。その証拠に後ろから付いてくる彼女たちの表情は不安げだった。
歩く事数分。千夜の推測通りエリーゼたちが駆け寄って来るのが見えた。
「旦那様!」
「エリーゼ久しぶり」
走って来た勢いを殺す事無く千夜に抱きつく。
「エリーゼお姉さまだけズルいです!」
「そうなのじゃ!」
「ズルいです!」
「良いじゃない、早い者勝ちよ」
「喧嘩はするな。ちゃんと皆抱きしめてやるから」
頬を膨らませて不満を口にするミレーネたちだが、千夜は慣れたように不満を分散させる。
一人ずつ抱きしめた千夜は改めて挨拶する。
「みんな只今」
「「「「お帰りなさい」」」」
嬉しそうに目を細めて出迎えてくれた。
「さて、ラッヘンから聞いていると思うが、彼女たちが救出した者たちだ。悪いが彼女たちに暖かいご飯と――」
「お風呂に入れて、新しい服を上げれば良いんでしょ?」
「その通りだ」
己の考えが伝わる事に嬉しく感じながら千夜は肯定する。
「さて、俺はベルグの所に依頼報告をしてくる」
「早く帰ってきてね」
「ああ、解っている。それとこれを彼女たちに渡しておいてくれ」
屋敷に入るときに必要なペンダントをエリーゼに手渡す。
エリーゼたちに任せた千夜は王宮に向かう。
王宮前には兵が見張りをしているが、千夜が「報告がある」と伝えれば快く通してくれた。信頼されるのは有難いと感じる千夜だが、変化の魔法でもされたらどおするつもりなんだ。と心配になる。
王宮内を歩く事十数分千夜は謁見の間へと通された。
そこには皇帝ベイベルグだけでなく、貴族たちも居た。どうやら大きな会議があったようだ。
「帰って直ぐ来たが急だったか?」
「何、気にする事はない。丁度謁見が終わった所だ」
「誰か来ていたのか?」
「フィリス聖王国からの知らせを聞いて隣国のファブリーゼ皇国が我が国との友好を求めてきたのだ」
「なるほど」
ファブリーゼ皇国国王は人間至上主義に反対する者だ。だが、その事に不満を持つ反対派貴族と隣国フィリス聖王国の事もあり、中々帝国と友好関係が結べなかった。だが、フィリス聖王国の知らせを気にと使者を送り込んで来たのだ。
「第一皇女も人間至上主義じゃないし、友好関係を結ぶのは良い事だと思うが、フィリス聖王国とスレッド法国、それから反対派貴族が黙ってないだろうな」
「そうなのだ。今すぐ戦争とはならないだろうが、内乱はあるかもしれないと皆で考えて居た所だ」
「だろうな。最悪暗殺も考えられるが、そうなれば完全に人間至上主義とそうでない者に二分されるだろう。そうなば戦争ではフィリス聖王国、スレッド法国、ファブリーゼ皇国にまず勝ち目はないからな。だが、その隙にと魔族が攻め込んで来る可能性だってある。それを狙っているとしてもその後の事まで考えるのなら魔族には頼らないだろう。相手が相当馬鹿で無ければの話だがな」
「だろうのう」
「俺の眷属をこっそり護衛に付けさせて置く事も出来るが?」
「良いのか?」
「ああ、少し用事でファブリーゼ皇国に行く事もあるからな」
「済まぬが頼もう。国王には手紙で知らせておく」
「解った」
「さて、それでは報告を頼めるか」
「そうだったな。すっかり話が変わっていたから忘れていた」
頭を切り替え、防音、盗聴防止結界魔法を発動してから口を開く。
「ベルグは途中経過報告書を読んで知っていると思うが、フィリス聖王国のカズヤ、それは俺の事だ。依頼達成したが、最後に正体がバレるとは思わなかったな」
「お主にしては迂闊だったのう」
「相手の第一席レイが予想以上の切れ者だったってだけだ」
「だが、どうしてフィリス聖王国はセンヤの身柄を求めて来ないのだ」
「まあ、そこは詳しくは言えないが、前宰相のベルルクみたいな奴が居たと思っておいてくれ」
「なるほど。何処にでも居るのだな」
「話は戻すが、フィリス聖王国には七聖剣と呼ばれる7人の騎士が居て全員が存在進化を果していた」
「7人もか」
「一番強かったレイは俺が殺したからな6人になってしまったがな。で、どうやって存在進化を果したかについてだが、それは『不屈の湧き水』と呼ばれるアイテムによる物だと解った」
「不屈の湧き水? なんだそれは」
「簡単に説明するなら、飲むだけで経験値が手に入りレベルを上げる事が出来るアイテムだ」
「そんな物があるとは……」
「で、俺は不屈湧き水を発見し、後日全て破壊した。以上だ」
「解った。依頼達成ご苦労だったな」
「ま、こんなに長くなるとは思わなかったな」
「だが、何故持ち帰らなかった?」
「あれは危険過ぎる。飲めば飲むほど強くなる。勿論レベルが上げれば上げる数も減りはするが短時間で強くするからな。それを一国が所有する事は俺は望まない。戦うのは好きだが戦争は嫌いだ。どの国が所有する事も俺は認めないこの帝国であろうとな」
「もしも、持ち帰るよう依頼したらどうする?」
「依頼を受けない。他の者に頼んで持ち帰らせたと解ったらこの国を出て行っただろうな」
「そうか」
ベルグだけでなく貴族たちまでもが選択を間違えないで良かったと安堵する。どの国よりもこの国の者が千夜の強さを知っているからだ。
「さて、もう良いか?」
「ああ、ご苦労であった。宰相依頼達成の報酬を」
「解りました。センヤ殿こちらを」
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