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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第五十五幕 護衛依頼達成と受付嬢スーナ
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盗賊との戦闘を終えた後は荷馬車に揺られながらダラへと向かった。
一日が過ぎ、盗賊や魔物に襲われる事無く港都市ダラが目視できる距離までやってきた。
高さ10メートルはあるであろう城壁に囲まれたダラの向こうには何処までも続く広大な地平線が広がっていた。
その光景に千夜たちは目を奪われながら鼻を擽る磯の香りにようやく目的地付近まで来たのだと実感する。
「それにしても立派な港都市だな」
「ルーセント唯一の港だもの。立派に決まっているわ」
「だが、あれだと港から攻め込まれたら終わりじゃないか?」
「確かにそうだけど、魔族が住むのは遥か北にある別大陸、それに大してダラは最南端よ。大陸を迂回して攻めるには流石の魔族でも時間が掛かるし、他の国に気付かれずにここまで来るのは無理よ」
「なるほどな。だが魔族ではなく他の国が攻め込んできた場合はどうするんだ。間違いなく補給所として使われるぞ」
「そ、それは次期領主様に任せるわ!」
「え、ええ!」
「どうしてウィル坊が困った表情をしてるんだ?」
「あ、いや………あはは」
「?」
突然の言葉に驚くウィルだがドルンの言葉に言葉を濁すしかなかった。
「さて、もう直ぐダラだ。門を越えたらそこで依頼完了だからそれまでしっかり護衛を頼むぜ」
「ああ、任せておけ」
ドルンの言葉に最後まで気を緩めないようにした千夜たちは門まで向かう。
旅人や行商人、冒険者が並ぶ千夜たちにようやく順番が回ってきた。
「この都市に来た理由と身分証明書の提示しろ」
門兵の指示にドルンが口を開く。
「俺は都市ルーセントで鍛冶師をしているドルンだ。グレムリン商会に頼まれた品を持ってきたところだ。で、こいつらは護衛の冒険者たちだ」
来た理由を説明しながら身分証明書を提出する。
千夜たちもギルドカードを門兵に渡す。
「確かに確認した。荷物を確認するが構わないな?」
「ああ、良いぜ。これが品の一覧表だ」
「剣か……それもこんなに沢山。そう言えばグレムリンと言っていたな」
「ああ、その通りだ」
部下の二人が荷馬車に積まれた木箱の中身を開け確かめていく。
「隊長、不審な物はありません。数も一覧表と同じです」
「解った。よし、通ってよし」
徹底した検問に関心しつつ千夜たちは門を越えた。
越えて少しした所で荷馬車が止まる。
「これで依頼完了だ。今回は助かった。もしもまた依頼があったら受けてくれると嬉しいぜ」
「ああ、考えておこう」
依頼完了の札と達成報酬を受け取った千夜たちはドルンと別れた。
「それじゃあ、ギルドに向かうとしよう」
「そうね」
「その後は宿屋を探さしましょう」
「早く風呂に入りたいのぉ~」
「ここは港都市だからあんまりお風呂付きの宿屋は無いわよ」
「それは残念じゃ」
「ま、それなら少し奮発して風呂付の宿屋に泊まれば良いさ」
「流石はセンなのじゃ!」
大喜びするクロエの声を背中で感じ取りながら千夜はギルドに向かって歩き出す。
大通りを進み続けると大きな建物が立ち並ぶ場所へとやってきた。
「ここだな」
剣と盾の模様が施された看板に冒険者ギルドと書かれた文字を見つけた千夜はギルドの中に入る。
磯の香りが漂うギルド内には大柄男たちが鋭い視線を向けてきた。
しかしそんな視線など気にする事無く千夜は受付カウンターへと足を向ける。
「すまないが依頼達成してきた」
「アンタ見ない顔だね」
「ああ、ルーセントから護衛依頼で今来たところだからな」
「それでかい。ならギルドカードと依頼完了札を出しな」
ワイルド感あふれる受付嬢だが、その見た目はスレンダーな女性で赤毛のポニーテールが印象的だった。
(まさに港の女だな)
内心そんな事を思いながら千夜はギルドカードと依頼完了札を受付嬢に渡す。
「………アンタAランクなのかい!」
「ああ、そうだが。それがどうした?」
「いや、アンタ身体か細いからもっと低いのかと思っただけだよ。悪かったね」
「いや、気にしないでくれ。この都市の冒険者たちがガタイが良すぎるだけだ」
「あはは、そうかもね。この街の男たちは森で魔物を倒すより海の魔物を倒すのが専門みたいなものだからね」
「そうか」
「確かに依頼完了だね。ほら、ギルドカード更新したよ」
「助かる」
「アタイはスーナってんだい。アンタは?」
「俺はセンだ。で、こっちがエリー、ミーナ、クーエ、ルーザだ。で、こっちが息子のウィルだ」
「女ばっかじゃないか」
「全員俺の嫁だからな」
何の飾り気のない言葉にギルド内が殺気立つ。
「自慢話は他所でやってくんないか?」
「別に自慢した覚えはないんだが?」
「はぁ……解ったからさっさと出て行ってくれ。唯でさえ、ここの男たちは馬鹿なくせにプライドが高いからね」
嘆息しながら呟くスーナに千夜は笑みを零す。
「解ったそうしよう。面倒ごとは俺も好きじゃ無いからな」
「ああ、そうしてくれ」
「その前に妻たちのギルドカードも更新して貰えるか?」
「解ったよ」
面倒そうに答えるスーナの姿にそれで受付嬢が務まるのか? と内心疑問に感じる千夜だが、これがこの都市のやり方なのだろうと考えるのを止めた。
「ってこの子達もAランクなのかい!」
「ええ、そうよ。だから旦那様に喧嘩を売る人は私たちが許さないわよ」
忠告と言わんばかりに振り向いて答えるエリーゼの笑顔に冒険者たちは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「まったく恐ろしいパーティーが着たもんだね」
「そう、長くいるつもりはない。この都市を観光したら出て行くさ」
「なるべくそうしてくれると助かるよ。それだけ良い女を侍らせて歩きまわれたら男たちが殺気立つからね」
「ああ、そうしよう」
そんな他愛も無い話をした千夜たちはギルドカードを受け取るとギルドを後にした。
一日が過ぎ、盗賊や魔物に襲われる事無く港都市ダラが目視できる距離までやってきた。
高さ10メートルはあるであろう城壁に囲まれたダラの向こうには何処までも続く広大な地平線が広がっていた。
その光景に千夜たちは目を奪われながら鼻を擽る磯の香りにようやく目的地付近まで来たのだと実感する。
「それにしても立派な港都市だな」
「ルーセント唯一の港だもの。立派に決まっているわ」
「だが、あれだと港から攻め込まれたら終わりじゃないか?」
「確かにそうだけど、魔族が住むのは遥か北にある別大陸、それに大してダラは最南端よ。大陸を迂回して攻めるには流石の魔族でも時間が掛かるし、他の国に気付かれずにここまで来るのは無理よ」
「なるほどな。だが魔族ではなく他の国が攻め込んできた場合はどうするんだ。間違いなく補給所として使われるぞ」
「そ、それは次期領主様に任せるわ!」
「え、ええ!」
「どうしてウィル坊が困った表情をしてるんだ?」
「あ、いや………あはは」
「?」
突然の言葉に驚くウィルだがドルンの言葉に言葉を濁すしかなかった。
「さて、もう直ぐダラだ。門を越えたらそこで依頼完了だからそれまでしっかり護衛を頼むぜ」
「ああ、任せておけ」
ドルンの言葉に最後まで気を緩めないようにした千夜たちは門まで向かう。
旅人や行商人、冒険者が並ぶ千夜たちにようやく順番が回ってきた。
「この都市に来た理由と身分証明書の提示しろ」
門兵の指示にドルンが口を開く。
「俺は都市ルーセントで鍛冶師をしているドルンだ。グレムリン商会に頼まれた品を持ってきたところだ。で、こいつらは護衛の冒険者たちだ」
来た理由を説明しながら身分証明書を提出する。
千夜たちもギルドカードを門兵に渡す。
「確かに確認した。荷物を確認するが構わないな?」
「ああ、良いぜ。これが品の一覧表だ」
「剣か……それもこんなに沢山。そう言えばグレムリンと言っていたな」
「ああ、その通りだ」
部下の二人が荷馬車に積まれた木箱の中身を開け確かめていく。
「隊長、不審な物はありません。数も一覧表と同じです」
「解った。よし、通ってよし」
徹底した検問に関心しつつ千夜たちは門を越えた。
越えて少しした所で荷馬車が止まる。
「これで依頼完了だ。今回は助かった。もしもまた依頼があったら受けてくれると嬉しいぜ」
「ああ、考えておこう」
依頼完了の札と達成報酬を受け取った千夜たちはドルンと別れた。
「それじゃあ、ギルドに向かうとしよう」
「そうね」
「その後は宿屋を探さしましょう」
「早く風呂に入りたいのぉ~」
「ここは港都市だからあんまりお風呂付きの宿屋は無いわよ」
「それは残念じゃ」
「ま、それなら少し奮発して風呂付の宿屋に泊まれば良いさ」
「流石はセンなのじゃ!」
大喜びするクロエの声を背中で感じ取りながら千夜はギルドに向かって歩き出す。
大通りを進み続けると大きな建物が立ち並ぶ場所へとやってきた。
「ここだな」
剣と盾の模様が施された看板に冒険者ギルドと書かれた文字を見つけた千夜はギルドの中に入る。
磯の香りが漂うギルド内には大柄男たちが鋭い視線を向けてきた。
しかしそんな視線など気にする事無く千夜は受付カウンターへと足を向ける。
「すまないが依頼達成してきた」
「アンタ見ない顔だね」
「ああ、ルーセントから護衛依頼で今来たところだからな」
「それでかい。ならギルドカードと依頼完了札を出しな」
ワイルド感あふれる受付嬢だが、その見た目はスレンダーな女性で赤毛のポニーテールが印象的だった。
(まさに港の女だな)
内心そんな事を思いながら千夜はギルドカードと依頼完了札を受付嬢に渡す。
「………アンタAランクなのかい!」
「ああ、そうだが。それがどうした?」
「いや、アンタ身体か細いからもっと低いのかと思っただけだよ。悪かったね」
「いや、気にしないでくれ。この都市の冒険者たちがガタイが良すぎるだけだ」
「あはは、そうかもね。この街の男たちは森で魔物を倒すより海の魔物を倒すのが専門みたいなものだからね」
「そうか」
「確かに依頼完了だね。ほら、ギルドカード更新したよ」
「助かる」
「アタイはスーナってんだい。アンタは?」
「俺はセンだ。で、こっちがエリー、ミーナ、クーエ、ルーザだ。で、こっちが息子のウィルだ」
「女ばっかじゃないか」
「全員俺の嫁だからな」
何の飾り気のない言葉にギルド内が殺気立つ。
「自慢話は他所でやってくんないか?」
「別に自慢した覚えはないんだが?」
「はぁ……解ったからさっさと出て行ってくれ。唯でさえ、ここの男たちは馬鹿なくせにプライドが高いからね」
嘆息しながら呟くスーナに千夜は笑みを零す。
「解ったそうしよう。面倒ごとは俺も好きじゃ無いからな」
「ああ、そうしてくれ」
「その前に妻たちのギルドカードも更新して貰えるか?」
「解ったよ」
面倒そうに答えるスーナの姿にそれで受付嬢が務まるのか? と内心疑問に感じる千夜だが、これがこの都市のやり方なのだろうと考えるのを止めた。
「ってこの子達もAランクなのかい!」
「ええ、そうよ。だから旦那様に喧嘩を売る人は私たちが許さないわよ」
忠告と言わんばかりに振り向いて答えるエリーゼの笑顔に冒険者たちは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「まったく恐ろしいパーティーが着たもんだね」
「そう、長くいるつもりはない。この都市を観光したら出て行くさ」
「なるべくそうしてくれると助かるよ。それだけ良い女を侍らせて歩きまわれたら男たちが殺気立つからね」
「ああ、そうしよう」
そんな他愛も無い話をした千夜たちはギルドカードを受け取るとギルドを後にした。
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