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小話的なもの
思わず真っ裸の恰好で、土下座した俺だった
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――俺には記憶がない。
いきなりなんだと思うだろうけど、ないんだよな。目が覚めたら、ふかふかのでっかいベッドに寝ていた。
起き上がってきょろきょろ周りを見ると、なんていうか豪華で優雅な部屋だった。無駄に広いし天井も高い。ここはどこだ? って思ったあとに、俺がどうしてここにいるかも、どういう立場なのかもわからないのに気付いた。
「……えぇ……」
すごく広い部屋の真ん中に置かれたベッドで、ひとりぼっち。だっ、誰かいないのかな。ほんとにここ、どこだよなんて首を傾げながらぼーっとしてたら、扉が開く音がした。
「ああ、目が覚めたんですね。よかったです」
立派な扉を後ろ手で閉じて入って来たのは、すらっとした背の高い男だった。俺と目が合うとニコッと笑った。うっ、顔がまぶしっ! 超美形! ぱっと見でも凄い美形なその人は、速足で駆け寄ってきて、俺の顔を覗き込んできた。
「心配したんですよ」
「へっ……?」
するっとほっぺたを撫でられて背筋がざわっとなった。い、嫌じゃないけど、なっ、なんか距離が近くてびっくりした。優しい目をしてじっと見詰めてくるし、ほんのりいい匂いがするし……なんだかドキドキするぞ。
間近で見ても美形は美形!
ツヤツヤさらさらで長くて真っすぐな濃い金髪に、同じ色の綺麗な形の眉毛とばさばさの睫毛、紫の瞳は宝石細工みたいにキラキラしているし、肌はミルク色ですべすべ! 細めの卵型をした顔が綺麗過ぎていて怖い!
「えっ、あの、俺……」
「体の具合はどうですか。頭を打って気を失っていたんですよ。痛みや眩暈はありませんか」
顔が眩しくて怖いけど、なんか凄く優しそうな人だ。どうして怪我してたのかはわからないけど、この人に助けられた俺は、運がいいのかもしれないな……。
「え、ああ、大丈夫、です。あの……」
「どうしましたか」
「ここ、どこですか。俺、なんでここに……?」
ひゅうっと、大きく音を立てて息を吸い込む音が聞こえた。愕然というのがぴったりの顔をしたその人は、それでもすごく綺麗だ。美形ってすごいな……。俺のほっぺたに触れていた手が離れていく。綺麗な指先が少し、震えているのが気になった。
「なんともなくは、ないようですね……」
泣きそうな顔で「自分の名前、言えますか?」と、超美形が質問してきた。名前? 名前……えっ、あれ? 俺、名前……思い出せない!
「う、あの、い、言えません。お、俺……どうしちゃったんだろ」
「……ああ、なんという……。私の事、覚えていますか」
「え、あ、うん、なんか……何も覚えていないです……」
こんな美形、一回見たら忘れないぞ。さすがに覚えてるだろ。……あれ、でも俺、何にも覚えていないからもしかして、知り合い? なのか?
「……そ、そうですか……」
潤んだ瞳を見てると、ぎゅっと胸が痛くなった。この人に、こんな顔をさせたくないなって、思った。……きっと大事なことを忘れてるんだよな。早く思い出さないと。
「意識が戻ったことを喜んでおきます。傷の消毒をして包帯を替えましょうね」
ちょっぴり悲しそうな顔をして、でもやっぱり優しい目で俺を見ながらそう言った美形さんは、てきぱきと包帯を外して消毒をしてくれて、丁寧に新しい包帯を巻いてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。私はカムロ。貴方の名前はハスですよ。ハス君と呼んでもいいでしょうか? そう呼んでいました」
「ハス、ですか。ああ、いいですよ。じゃ、俺はカムロ君……っていうのもなんか変だな。カムロさんでいいですか」
「……ええ、いいですよ。貴方は私を、そう呼んでくれていました」
悲しそうな顔で、カムロさんが微笑んだ。もしかして、すごく仲が良かったのかな。俺とこの人は。
「カムロさん、カムロさんの事を……早く思い出せるように、俺がんばります。だから、そんなに悲しそうな顔しないでくださいよ。俺も悲しくなっちゃいますから」
考える間もないくらい一瞬で、勝手に言葉が出て来た。
カムロさんの綺麗な目が丸く見開かれたかと思ったら、くしゃっと顔を歪めて切なそうな表情になって、潤んだ瞳からぽろっと涙がこぼれる。
えっちょ、まってくれ! なんで泣くんだ!
「……あ、貴方って人は……記憶がなくてもやっぱり、ハス君はハス君ですね!」
「うわぁっ!」
がばりと抱き付かれながらベッドに押し倒された。
「ハス君……」
すりすり胸板に頬ずりして甘えてくるカムロさん。なっ、なんか可愛い。きゅっと抱き締めて、背中をポンポンと優しく叩いてあげたら、ふうっと満足そうなため息をついて「貴方に甘やかされると、落ち着きますよ」なんて、甘えた声で言われた。
ああもう! 可愛い! なんで俺はこの人の事わすれちゃったんだよ!
ぐううううう!
「おう……」
腹が鳴っちゃった! なんでこんなときに鳴るんだよ! 俺の腹が空気を読まない! つらい!
「ぷっ、くく、あははは! とてもいい音がしましたね。食事にしましょうか。私も腹ペコですから」
胸板の上で、カムロさんが爆笑してる。く、くそう! 恥ずかしいっ! 顔が熱くなってるからきっと真っ赤だぞ!
「アハハ……。す、すみませんなんか。ご馳走になります」
乾いた笑いしか出ない俺の上から、カムロさんがゆっくりと退いてくれた。ちょっと重たかったけど、まだ甘えてくれていても良かったのに。なんか残念な気分になった。
「簡単なものなら作れます。今から支度しますね」
「あっ、俺も手伝います。できるかどうかわからないですけど」
「申し出は嬉しいですけれど、横になっていてください。飛び付いておいてなんですけれど……、気を失うほど強く頭を打った後です。せめて今日くらいは、安静にしていていください」
「そうなんですか、それなら大人しくしてた方がいいのかな……」
「治療はしましたから不安になるほどのことではないですが、その方が私としても安心というか……気を使わないで済みますから」
「うん、じゃあお言葉に甘えて、横にならせてもらいます」
ベッドから下りたカムロさんは、「ちゃんと大人しく横になっていてくださいね」と、念押ししてから部屋を出て行った。
もそもそと姿勢を直して、ベッドに収まる。さっきまで抱き締めていたカムロさんの温もりがなくなって、ちょっと寂しい。
静かな部屋の中でじっとしていると、仕事をさぼっているみたいで落ち着かない。やっぱり手伝いに行った方がよかったかな。でも、安静にした方がいいって言ってたしなぁ。
「俺……、あの人の何なんだろ」
友達? にしては距離が近い気がするし、こ、恋人とか?
いやいやいやいや!
あんな超美形が俺の? はははまさかそんな……! お、落ち着け俺。
落ち着かないと、カムロさんの顔をまともに見れなくなりそうだぞ。関係を思い出さないうちに勘違いして、馴れ馴れしくて変な奴! なんて思われるのもちょっとどころか、かなり嫌だ。
なんかあの人、凄く距離が近かったけど、単にパーソナルスペースが狭くてフレンドリーでスキンシップが多いだけかもしれないし。
お、俺は適切な距離を保たないと!
モヤモヤドキドキしながら横になっていたら、カムロさんが昼飯を乗っけたトレイを持って戻って来た。怪我も手当してくれたし、ベッドで食べられるように用意してくれるなんて、至れり尽くせりで申し訳ない!
「おお、すみません、なんか気を使ってもらっちゃって」
「怪我人なんですから、特別サービスですよ」
手渡されたのは、めちゃくちゃ美味そうな昼飯だった!
ホカホカ湯気の立ってる野菜たっぷりスープに、炒めたベーコンが混ぜられたマッシュポテトと、軽くトーストした丸パンにはさらっとバターが塗ってある。デザートに小さめに切ったリンゴもついてる!
スープのいい匂いがふわっと鼻先に漂って、また「ぐううっ」て腹が鳴った。
うっ! 食い意地貼り過ぎだろ俺! は、恥ずかしいっ!
「ぷっ、ふふふ、可愛いです。冷めないうちに食べてください」
「あ、はい。い、いただきます……」
か、可愛いって言われた!
増々恥ずかしいですちくしょう!
でも美味そう! 我慢できないから遠慮なくいただきます! 恥より飯だっ! 大きいスプーンで野菜スープをたっぷりすくって、はむっと口に入れた。
「んんっ! うまい……!」
薄味だけど野菜の旨味と甘味が利いてて、優しい味がたまらんですよ! むぐむぐ、マッシュポテトもいい感じにベーコンの塩気が利いててうまぁ! パンと食べるとこれまたうまい!
「カムロさん、料理上手ですね。ほんと、美味いです」
「簡単な方ですよ。以前は料理なんてほぼしなかったんですが、貴方に教わったんです」
「えっ、俺?」
「ええ。貴方、とても料理が得意で、食べるのも好きですから。ほら、今だって、とても美味しそうに食べてくれているじゃないですか」
そ、そうかぁ……。
俺って料理できるんだ。き、記憶ないけど。カムロさんへのお礼に、作れるかどうかちょっと試したいな。後でキッチン使わせてもらえないか聞いてみよう。
「あれ? カムロさんは食べないんですか」
窓の外の明るさからして、今って昼時じゃないかな?
「私は作りながら摘まみましたし、貴方が食べてるところを見たいので」
カムロさんはそう言いながら、ベッドの端に腰を下ろした。
「えっ、俺の?」
「はい」
凄く幸せそうで慈愛に満ちた笑顔で、俺の方をガン見してるカムロさん。
うっ! 笑顔が眩しいっ!
なっ、なんか食べづらいけど……見るなっていうのも気が引ける。し、仕方ない。食事に集中しよう。
……もぐ、もぐもぐ……うまあああ! スプーンとフォークが止まらない!
とまあこんな感じで、何にも覚えてない俺はカムロさんの家でお世話になることになった。
料理や洗濯を以前からしていたみたいで、すんなりとやりこなせたのに驚いた。体が勝手に動くし、ぱっと料理レシピや魔道具の使い方が頭に浮かんでくる。
何も記憶がなはずなのに、ちょっと不思議な感じだ。
家政夫でもしてたのか?
いやでも、風呂入ったとき腹筋がバッキバキに割れてたからビックリした! 家政夫って身体じゃないぞこれぇ! ひょろっと細いけど凄くいい体!
……なんかこう、戦えそうな体だ。
これはなかなかイケメ……いや、カムロさんを前にすると俺なんか地味メンだな。うん。鏡で見た俺の顔は、不細工じゃないけど誰が見てもすぐ忘れそうな薄くてあっさりしたモブ顔だった。
ざ、残念だなんておもっていないからなあぁ!
そんなこんなで翌日の朝。
「俺って、仕事とか何してたんですか」
色々と疑問だったので、朝飯後に俺のことをよく知っているらしいカムロさんに聞いてみた。
「騎士です」
「おお、騎士! お、俺、試験受かったん……うぐっ!」
――ズキッ!
ぐああ! 痛い! すごく痛い! 頭に何か突き刺さったみたいに痛い!
「う、う……」
「ハス君!」
カムロさんが椅子を跳ね飛ばす勢いで立ち上がって、俺の方に近寄って来た。
「痛っ、あ……あれ? 俺、ああ、俺ってハス・ブレッデ……。騎士になりたくて王都で騎士団の試験を受けた……んだよな? あれ? 結果待ちで騎士団の寮に泊まってたはずなんだけど……」
頭がぼうっとする。
お、思い出せたぞ! でも、心配そうにこっちを見てるカムロさんの方を見ても、この人が俺にとってどういう人なのかが、まだ思い出せない。
なっ、何かまだ忘れてるのか?
「それは、13年前のことですよ」
カムロさんの綺麗な手が、俺の肩にそっと置かれた。
「へっ?」
「思ったよりも重症ですね」
「じゅ、じゅうさんねん……」
「私との最初の出逢いは、……今の貴方からすると、3年後のことになります」
「そんなにごっそり忘れてるんですか俺ぇ……」
――すごいショックだった。がっくりと体から力が抜ける。
「顔色があまりよくありませんよ。今日はもう、部屋で休んでいてください。昼食は、私が作りますからね」
慰めるみたいに肩をさすってくれながら、カムロさんは静かに言った。また泣きそうな顔になっている! そんなカムロさんを見ていると、胸の奥がチクチクした。
――その日の夜。
なかなか寝付けなくて、何度も寝返りを打っているとカムロさんが部屋に来た。
「眠れないんです。あの、一緒に寝てもいいですか」
ガウン姿のカムロさん。なんか大人の色気もあるけど、枕を抱えてるのがめっちゃくちゃに可愛いんだなこれが! くそう! 超絶イケメンの癖に可愛いとかずる過ぎるだろ!
「そ、添い寝ですかぁ……」
……俺みたいな地味でひょろいけど割とごつい男と添い寝しなくてもよくないですか? もっとこう、ふわっとした可愛い彼女とかいないんですか? ……なんて聞こうとしたらチクチク胸が痛くなった。う、ううん? なんだこれ。なんか嫌だな。カムロさんが誰かと添い寝するなんて、ちょっと、考えたくないぞ。
「何もしませんから、お願いします。抱き締めさせてください。貴方がいいんです」
そろそろとベッドに上がって来たカムロさんが、潤んだ瞳でお願いしてくる。ぐっ! こ、こんな目で見られたら断りづらいっ!
「お、おう……。左様ですか。い、いいですよ……。俺も何もしませんから、安心して存分に抱き枕にしてください」
「あ、ありがとうハス君!」
「うわあぁっ!」
がばっと抱き付かれて、ぎゅうぎゅう抱き締められる。
風呂上がりだからかな。前に胸板にすりすりされた時よりもずっと肌があったかくていい匂い……ちくしょう! ドキドキするな俺の心臓! ……俺って女の子が好きだったはずだけど、お、男もいけちゃうのか?
い、いや、カムロさんがこんな可愛くて人懐っこいから絆されかけちゃってるのかもだ。だ、駄目だ。なんか変な気分になる前に切り替えないと……!
でっかくて立派なベッドは、男2人でも狭くない。だけど、カムロさんは抱き締めたまま俺を離してくれない。う、うう、こんなドキドキしてて寝れるのかな俺……。
「ふふ、2人だと温かいですね」
「ですね。なんか、ちっさい頃思い出すなぁ……。俺、10歳くらいまで弟と一緒に寝てたんですよ。布団の中で喋っててなかなか寝なくて、母さんに怒られたりしてました」
「その話、初めて聞きました。きっと可愛いかったでしょうね。今も貴方は可愛いですけれど」
おっと、蕩けるような笑顔で可愛いって言われたぞ。なっ、なんかムズムズする……。
「か、可愛い? ど、どうかなぁ……ははは」
「可愛いですよ」
抱き締める力が優しいものになって、頭を撫でられる。
そうしたらドキドキしていた胸が静かになって、不思議とふっと体の緊張が解けていく。
「ずっとここにいてくださいね。記憶を思い出さなくても、思い出しても」
「……んん……、カムロさん、凄く優しいから……ずっといたいです……」
「ふふ、可愛い……。愛してますよ……ハス君」
カムロさん、いい匂いがする……。
ふぁ……眠くなってきた。
……うーん、よく寝た。
朝日が眩しい。でもって、愛しのカムロさん寝顔も眩しい。
んん? ここ、お屋敷の方のベッドだな。いつの間にこっちに来たんだ? あー、そろそろ起きて朝飯つくらなくちゃー。ぬぁ、カムロさんががっちり抱き付いてて放してくれないっ!
「カ、カムロさん、ちょっと起きてくださいよ。俺、朝飯作って来るんで」
ぽんぽんとカムロさんの背中を軽く叩くと「んんっ……なんですか?」と薄っすら瞼が開いて紫色の綺麗な目が俺を見た。はぁ……寝起きなのに美形すぎるな俺の旦那様。思わず見とれながら背中をさすると、カムロさんがふわっと微笑んだ。
「ん、おはようございます……」
「おはようございます。いつの間にお屋敷に来たんですかね? 俺、こっちに来た記憶ないんですけど」
ちゅっとおでこにキスしながら聞いてみると、カムロさんが目をまん丸に見開いた。えっ? なんで?
「ハス君、思い出したんですか! わ、私とフウフだってこと、思い出してくれましたか!」
「えっ? 思い出すとかなんですか。アハハ、嫌だなぁそんな大切なこと忘れるなんてこと、ないですよ」
「わ、忘れていたんですよ! うっ、ううっ! ハス君、よかった……」
「うわああっ! なんで泣くんですか! ちょ、な、泣かないでくださいよ!」
「うっ、ううっ、ハス君っ……!」
朝からギャン泣きし始めたカムロさん。
いいい、一体なにが……!
とか思いながら、俺はカムロさんをぎゅってしてなでなでしてあげた。
――実は俺が記憶喪失になっていたという衝撃の事実を聞いたのは、泣き顔の可愛いカムロさんに乗っかられて、散々致してイチャイチャしまくった後だった。
「わ、忘れてごめん。カムロさん!」
思わず真っ裸の恰好で、土下座した俺だった。
※あるある記憶喪失ネタでした。時系列的には結婚しておよそ十年後くらいの設定です。訓練か何かで頭打ったとかそんな流れで(適当)。
いきなりなんだと思うだろうけど、ないんだよな。目が覚めたら、ふかふかのでっかいベッドに寝ていた。
起き上がってきょろきょろ周りを見ると、なんていうか豪華で優雅な部屋だった。無駄に広いし天井も高い。ここはどこだ? って思ったあとに、俺がどうしてここにいるかも、どういう立場なのかもわからないのに気付いた。
「……えぇ……」
すごく広い部屋の真ん中に置かれたベッドで、ひとりぼっち。だっ、誰かいないのかな。ほんとにここ、どこだよなんて首を傾げながらぼーっとしてたら、扉が開く音がした。
「ああ、目が覚めたんですね。よかったです」
立派な扉を後ろ手で閉じて入って来たのは、すらっとした背の高い男だった。俺と目が合うとニコッと笑った。うっ、顔がまぶしっ! 超美形! ぱっと見でも凄い美形なその人は、速足で駆け寄ってきて、俺の顔を覗き込んできた。
「心配したんですよ」
「へっ……?」
するっとほっぺたを撫でられて背筋がざわっとなった。い、嫌じゃないけど、なっ、なんか距離が近くてびっくりした。優しい目をしてじっと見詰めてくるし、ほんのりいい匂いがするし……なんだかドキドキするぞ。
間近で見ても美形は美形!
ツヤツヤさらさらで長くて真っすぐな濃い金髪に、同じ色の綺麗な形の眉毛とばさばさの睫毛、紫の瞳は宝石細工みたいにキラキラしているし、肌はミルク色ですべすべ! 細めの卵型をした顔が綺麗過ぎていて怖い!
「えっ、あの、俺……」
「体の具合はどうですか。頭を打って気を失っていたんですよ。痛みや眩暈はありませんか」
顔が眩しくて怖いけど、なんか凄く優しそうな人だ。どうして怪我してたのかはわからないけど、この人に助けられた俺は、運がいいのかもしれないな……。
「え、ああ、大丈夫、です。あの……」
「どうしましたか」
「ここ、どこですか。俺、なんでここに……?」
ひゅうっと、大きく音を立てて息を吸い込む音が聞こえた。愕然というのがぴったりの顔をしたその人は、それでもすごく綺麗だ。美形ってすごいな……。俺のほっぺたに触れていた手が離れていく。綺麗な指先が少し、震えているのが気になった。
「なんともなくは、ないようですね……」
泣きそうな顔で「自分の名前、言えますか?」と、超美形が質問してきた。名前? 名前……えっ、あれ? 俺、名前……思い出せない!
「う、あの、い、言えません。お、俺……どうしちゃったんだろ」
「……ああ、なんという……。私の事、覚えていますか」
「え、あ、うん、なんか……何も覚えていないです……」
こんな美形、一回見たら忘れないぞ。さすがに覚えてるだろ。……あれ、でも俺、何にも覚えていないからもしかして、知り合い? なのか?
「……そ、そうですか……」
潤んだ瞳を見てると、ぎゅっと胸が痛くなった。この人に、こんな顔をさせたくないなって、思った。……きっと大事なことを忘れてるんだよな。早く思い出さないと。
「意識が戻ったことを喜んでおきます。傷の消毒をして包帯を替えましょうね」
ちょっぴり悲しそうな顔をして、でもやっぱり優しい目で俺を見ながらそう言った美形さんは、てきぱきと包帯を外して消毒をしてくれて、丁寧に新しい包帯を巻いてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「どういたしまして。私はカムロ。貴方の名前はハスですよ。ハス君と呼んでもいいでしょうか? そう呼んでいました」
「ハス、ですか。ああ、いいですよ。じゃ、俺はカムロ君……っていうのもなんか変だな。カムロさんでいいですか」
「……ええ、いいですよ。貴方は私を、そう呼んでくれていました」
悲しそうな顔で、カムロさんが微笑んだ。もしかして、すごく仲が良かったのかな。俺とこの人は。
「カムロさん、カムロさんの事を……早く思い出せるように、俺がんばります。だから、そんなに悲しそうな顔しないでくださいよ。俺も悲しくなっちゃいますから」
考える間もないくらい一瞬で、勝手に言葉が出て来た。
カムロさんの綺麗な目が丸く見開かれたかと思ったら、くしゃっと顔を歪めて切なそうな表情になって、潤んだ瞳からぽろっと涙がこぼれる。
えっちょ、まってくれ! なんで泣くんだ!
「……あ、貴方って人は……記憶がなくてもやっぱり、ハス君はハス君ですね!」
「うわぁっ!」
がばりと抱き付かれながらベッドに押し倒された。
「ハス君……」
すりすり胸板に頬ずりして甘えてくるカムロさん。なっ、なんか可愛い。きゅっと抱き締めて、背中をポンポンと優しく叩いてあげたら、ふうっと満足そうなため息をついて「貴方に甘やかされると、落ち着きますよ」なんて、甘えた声で言われた。
ああもう! 可愛い! なんで俺はこの人の事わすれちゃったんだよ!
ぐううううう!
「おう……」
腹が鳴っちゃった! なんでこんなときに鳴るんだよ! 俺の腹が空気を読まない! つらい!
「ぷっ、くく、あははは! とてもいい音がしましたね。食事にしましょうか。私も腹ペコですから」
胸板の上で、カムロさんが爆笑してる。く、くそう! 恥ずかしいっ! 顔が熱くなってるからきっと真っ赤だぞ!
「アハハ……。す、すみませんなんか。ご馳走になります」
乾いた笑いしか出ない俺の上から、カムロさんがゆっくりと退いてくれた。ちょっと重たかったけど、まだ甘えてくれていても良かったのに。なんか残念な気分になった。
「簡単なものなら作れます。今から支度しますね」
「あっ、俺も手伝います。できるかどうかわからないですけど」
「申し出は嬉しいですけれど、横になっていてください。飛び付いておいてなんですけれど……、気を失うほど強く頭を打った後です。せめて今日くらいは、安静にしていていください」
「そうなんですか、それなら大人しくしてた方がいいのかな……」
「治療はしましたから不安になるほどのことではないですが、その方が私としても安心というか……気を使わないで済みますから」
「うん、じゃあお言葉に甘えて、横にならせてもらいます」
ベッドから下りたカムロさんは、「ちゃんと大人しく横になっていてくださいね」と、念押ししてから部屋を出て行った。
もそもそと姿勢を直して、ベッドに収まる。さっきまで抱き締めていたカムロさんの温もりがなくなって、ちょっと寂しい。
静かな部屋の中でじっとしていると、仕事をさぼっているみたいで落ち着かない。やっぱり手伝いに行った方がよかったかな。でも、安静にした方がいいって言ってたしなぁ。
「俺……、あの人の何なんだろ」
友達? にしては距離が近い気がするし、こ、恋人とか?
いやいやいやいや!
あんな超美形が俺の? はははまさかそんな……! お、落ち着け俺。
落ち着かないと、カムロさんの顔をまともに見れなくなりそうだぞ。関係を思い出さないうちに勘違いして、馴れ馴れしくて変な奴! なんて思われるのもちょっとどころか、かなり嫌だ。
なんかあの人、凄く距離が近かったけど、単にパーソナルスペースが狭くてフレンドリーでスキンシップが多いだけかもしれないし。
お、俺は適切な距離を保たないと!
モヤモヤドキドキしながら横になっていたら、カムロさんが昼飯を乗っけたトレイを持って戻って来た。怪我も手当してくれたし、ベッドで食べられるように用意してくれるなんて、至れり尽くせりで申し訳ない!
「おお、すみません、なんか気を使ってもらっちゃって」
「怪我人なんですから、特別サービスですよ」
手渡されたのは、めちゃくちゃ美味そうな昼飯だった!
ホカホカ湯気の立ってる野菜たっぷりスープに、炒めたベーコンが混ぜられたマッシュポテトと、軽くトーストした丸パンにはさらっとバターが塗ってある。デザートに小さめに切ったリンゴもついてる!
スープのいい匂いがふわっと鼻先に漂って、また「ぐううっ」て腹が鳴った。
うっ! 食い意地貼り過ぎだろ俺! は、恥ずかしいっ!
「ぷっ、ふふふ、可愛いです。冷めないうちに食べてください」
「あ、はい。い、いただきます……」
か、可愛いって言われた!
増々恥ずかしいですちくしょう!
でも美味そう! 我慢できないから遠慮なくいただきます! 恥より飯だっ! 大きいスプーンで野菜スープをたっぷりすくって、はむっと口に入れた。
「んんっ! うまい……!」
薄味だけど野菜の旨味と甘味が利いてて、優しい味がたまらんですよ! むぐむぐ、マッシュポテトもいい感じにベーコンの塩気が利いててうまぁ! パンと食べるとこれまたうまい!
「カムロさん、料理上手ですね。ほんと、美味いです」
「簡単な方ですよ。以前は料理なんてほぼしなかったんですが、貴方に教わったんです」
「えっ、俺?」
「ええ。貴方、とても料理が得意で、食べるのも好きですから。ほら、今だって、とても美味しそうに食べてくれているじゃないですか」
そ、そうかぁ……。
俺って料理できるんだ。き、記憶ないけど。カムロさんへのお礼に、作れるかどうかちょっと試したいな。後でキッチン使わせてもらえないか聞いてみよう。
「あれ? カムロさんは食べないんですか」
窓の外の明るさからして、今って昼時じゃないかな?
「私は作りながら摘まみましたし、貴方が食べてるところを見たいので」
カムロさんはそう言いながら、ベッドの端に腰を下ろした。
「えっ、俺の?」
「はい」
凄く幸せそうで慈愛に満ちた笑顔で、俺の方をガン見してるカムロさん。
うっ! 笑顔が眩しいっ!
なっ、なんか食べづらいけど……見るなっていうのも気が引ける。し、仕方ない。食事に集中しよう。
……もぐ、もぐもぐ……うまあああ! スプーンとフォークが止まらない!
とまあこんな感じで、何にも覚えてない俺はカムロさんの家でお世話になることになった。
料理や洗濯を以前からしていたみたいで、すんなりとやりこなせたのに驚いた。体が勝手に動くし、ぱっと料理レシピや魔道具の使い方が頭に浮かんでくる。
何も記憶がなはずなのに、ちょっと不思議な感じだ。
家政夫でもしてたのか?
いやでも、風呂入ったとき腹筋がバッキバキに割れてたからビックリした! 家政夫って身体じゃないぞこれぇ! ひょろっと細いけど凄くいい体!
……なんかこう、戦えそうな体だ。
これはなかなかイケメ……いや、カムロさんを前にすると俺なんか地味メンだな。うん。鏡で見た俺の顔は、不細工じゃないけど誰が見てもすぐ忘れそうな薄くてあっさりしたモブ顔だった。
ざ、残念だなんておもっていないからなあぁ!
そんなこんなで翌日の朝。
「俺って、仕事とか何してたんですか」
色々と疑問だったので、朝飯後に俺のことをよく知っているらしいカムロさんに聞いてみた。
「騎士です」
「おお、騎士! お、俺、試験受かったん……うぐっ!」
――ズキッ!
ぐああ! 痛い! すごく痛い! 頭に何か突き刺さったみたいに痛い!
「う、う……」
「ハス君!」
カムロさんが椅子を跳ね飛ばす勢いで立ち上がって、俺の方に近寄って来た。
「痛っ、あ……あれ? 俺、ああ、俺ってハス・ブレッデ……。騎士になりたくて王都で騎士団の試験を受けた……んだよな? あれ? 結果待ちで騎士団の寮に泊まってたはずなんだけど……」
頭がぼうっとする。
お、思い出せたぞ! でも、心配そうにこっちを見てるカムロさんの方を見ても、この人が俺にとってどういう人なのかが、まだ思い出せない。
なっ、何かまだ忘れてるのか?
「それは、13年前のことですよ」
カムロさんの綺麗な手が、俺の肩にそっと置かれた。
「へっ?」
「思ったよりも重症ですね」
「じゅ、じゅうさんねん……」
「私との最初の出逢いは、……今の貴方からすると、3年後のことになります」
「そんなにごっそり忘れてるんですか俺ぇ……」
――すごいショックだった。がっくりと体から力が抜ける。
「顔色があまりよくありませんよ。今日はもう、部屋で休んでいてください。昼食は、私が作りますからね」
慰めるみたいに肩をさすってくれながら、カムロさんは静かに言った。また泣きそうな顔になっている! そんなカムロさんを見ていると、胸の奥がチクチクした。
――その日の夜。
なかなか寝付けなくて、何度も寝返りを打っているとカムロさんが部屋に来た。
「眠れないんです。あの、一緒に寝てもいいですか」
ガウン姿のカムロさん。なんか大人の色気もあるけど、枕を抱えてるのがめっちゃくちゃに可愛いんだなこれが! くそう! 超絶イケメンの癖に可愛いとかずる過ぎるだろ!
「そ、添い寝ですかぁ……」
……俺みたいな地味でひょろいけど割とごつい男と添い寝しなくてもよくないですか? もっとこう、ふわっとした可愛い彼女とかいないんですか? ……なんて聞こうとしたらチクチク胸が痛くなった。う、ううん? なんだこれ。なんか嫌だな。カムロさんが誰かと添い寝するなんて、ちょっと、考えたくないぞ。
「何もしませんから、お願いします。抱き締めさせてください。貴方がいいんです」
そろそろとベッドに上がって来たカムロさんが、潤んだ瞳でお願いしてくる。ぐっ! こ、こんな目で見られたら断りづらいっ!
「お、おう……。左様ですか。い、いいですよ……。俺も何もしませんから、安心して存分に抱き枕にしてください」
「あ、ありがとうハス君!」
「うわあぁっ!」
がばっと抱き付かれて、ぎゅうぎゅう抱き締められる。
風呂上がりだからかな。前に胸板にすりすりされた時よりもずっと肌があったかくていい匂い……ちくしょう! ドキドキするな俺の心臓! ……俺って女の子が好きだったはずだけど、お、男もいけちゃうのか?
い、いや、カムロさんがこんな可愛くて人懐っこいから絆されかけちゃってるのかもだ。だ、駄目だ。なんか変な気分になる前に切り替えないと……!
でっかくて立派なベッドは、男2人でも狭くない。だけど、カムロさんは抱き締めたまま俺を離してくれない。う、うう、こんなドキドキしてて寝れるのかな俺……。
「ふふ、2人だと温かいですね」
「ですね。なんか、ちっさい頃思い出すなぁ……。俺、10歳くらいまで弟と一緒に寝てたんですよ。布団の中で喋っててなかなか寝なくて、母さんに怒られたりしてました」
「その話、初めて聞きました。きっと可愛いかったでしょうね。今も貴方は可愛いですけれど」
おっと、蕩けるような笑顔で可愛いって言われたぞ。なっ、なんかムズムズする……。
「か、可愛い? ど、どうかなぁ……ははは」
「可愛いですよ」
抱き締める力が優しいものになって、頭を撫でられる。
そうしたらドキドキしていた胸が静かになって、不思議とふっと体の緊張が解けていく。
「ずっとここにいてくださいね。記憶を思い出さなくても、思い出しても」
「……んん……、カムロさん、凄く優しいから……ずっといたいです……」
「ふふ、可愛い……。愛してますよ……ハス君」
カムロさん、いい匂いがする……。
ふぁ……眠くなってきた。
……うーん、よく寝た。
朝日が眩しい。でもって、愛しのカムロさん寝顔も眩しい。
んん? ここ、お屋敷の方のベッドだな。いつの間にこっちに来たんだ? あー、そろそろ起きて朝飯つくらなくちゃー。ぬぁ、カムロさんががっちり抱き付いてて放してくれないっ!
「カ、カムロさん、ちょっと起きてくださいよ。俺、朝飯作って来るんで」
ぽんぽんとカムロさんの背中を軽く叩くと「んんっ……なんですか?」と薄っすら瞼が開いて紫色の綺麗な目が俺を見た。はぁ……寝起きなのに美形すぎるな俺の旦那様。思わず見とれながら背中をさすると、カムロさんがふわっと微笑んだ。
「ん、おはようございます……」
「おはようございます。いつの間にお屋敷に来たんですかね? 俺、こっちに来た記憶ないんですけど」
ちゅっとおでこにキスしながら聞いてみると、カムロさんが目をまん丸に見開いた。えっ? なんで?
「ハス君、思い出したんですか! わ、私とフウフだってこと、思い出してくれましたか!」
「えっ? 思い出すとかなんですか。アハハ、嫌だなぁそんな大切なこと忘れるなんてこと、ないですよ」
「わ、忘れていたんですよ! うっ、ううっ! ハス君、よかった……」
「うわああっ! なんで泣くんですか! ちょ、な、泣かないでくださいよ!」
「うっ、ううっ、ハス君っ……!」
朝からギャン泣きし始めたカムロさん。
いいい、一体なにが……!
とか思いながら、俺はカムロさんをぎゅってしてなでなでしてあげた。
――実は俺が記憶喪失になっていたという衝撃の事実を聞いたのは、泣き顔の可愛いカムロさんに乗っかられて、散々致してイチャイチャしまくった後だった。
「わ、忘れてごめん。カムロさん!」
思わず真っ裸の恰好で、土下座した俺だった。
※あるある記憶喪失ネタでした。時系列的には結婚しておよそ十年後くらいの設定です。訓練か何かで頭打ったとかそんな流れで(適当)。
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