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小話的なもの
これはもう合格ってことでいいんじゃないかな! 凄いぞ先輩っ!
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※もう少し続きます。
卵料理に始まって卵料理に終わった、第一回目の料理教室。
目玉焼きの次はオープンオムレツと普通のオムレツにも挑戦した。それから締めにポテトと挽肉入りのキッシュも作ったぞ。このキッシュは、俺の父さんであるプロ料理人ユリザリン・ブレッデ直伝のレシピだ。
「先輩、才能ありますよ」
「そ、そうか? 自分ではあまり実感はないが」
「だって、卵をぐちゃって握り潰しちゃってから一度も失敗してませんよ。しかも、ちゃんと全部の料理が美味しいじゃないですか。凄いですよ」
ジャガイモの皮むきはすいすいできちゃうし、オムレツは華麗にフライパンを翻して綺麗なアーモンド形に仕上げてたし、キッシュはきっちり下ごしらえをして焼き時間もばっちり測っていたお陰で、ほっくほくに焼き上がったしな!
なんて言うか、見てて安心できる手さばきってやつだった。
これはもう、初心者のスキルレベルじゃないぞ! 最初から料理スキルが高かったとしか思えないな。ちょびっと味見したけどもうね、普通に美味いっ! 合格!
「……それは、お前が手ほどきをしてくれたからだ」
「まあ確かにそうですけど、ほとんど口しか出していませんでしたからね。あっ、俺の父さんが書いたレシピ本があるんで、譲りますよ。俺はもう擦り切れるくらい読んでるんで、全部覚えてます」
「ああ、それは有難い。代金は払おう」
「いやいやいやいや。いいですって! 俺のお古ですからタダどころか引き取り料が欲しいくらいですから。遠慮いりませんよ」
「はは、そうか。それならば有難く頂いて、大切に読ませてもらおう。……それは別としても、手ほどきの礼はするからそのつもりでいてくれ」
「あっ、はい。お待ちしてます。調味料とかだと嬉しいです」
ちゃっかり欲しい物を言っちゃったぞ!
でも、こういうちゃっかり具合な方がお互い美味しいと思うんだよ。ほら、欲しくない物をもらっても嬉しくないし、あげた方も微妙な気分になるし!
ここは遠慮しないっ!
「ふふ、料理好きのお前らしいな。わかった。そのように計らおう」
「あはは、ありがとうございます」
「こちらこそ。……もう暫く、教えてもらってもいいだろうか。まだ一人では心もとない」
「はいっ! 次はガッツリした肉料理に挑戦してみますか。肉系もクラさん好きですから、そのなかでも一番喜ぶのをチョイスして教えますね」
「それはいいな。肉はこちらで準備しよう。ではまた、頼むぞ」
最初の緊張した顔が嘘みたいに、ふんわりと穏やかに先輩が微笑んでいらっしゃる!
自信は人を変える……いや、恋は人を変えるって言う方がぴったりなのか? なんだか先輩、職務中はいつも隙がなくてキリッとした感じだけど、今は……ふわふわでやわらかい感じの雰囲気だぞ!
「……何かいい匂いがしますね」
「あっ、カムロさん、丁度いいところに! 味見、してみてもらえませんか」
「セリドさんのですか」
なんだかまだむすっとしているカムロさんは、キッチンのシンクに並べられた料理を見て「……悔しいですけど、美味しそうですね。味見させてもらいます」と、おっしゃいましたよ!
「俺が監修したんで、味はいつもの料理に近いと思います。口に合うんじゃないかと」
「ハス君の料理が一番です」
「はは、ありがとうございます」
ツンツンした顔で言うカムロさん、可愛いっ! ウェイターみたいに椅子を引いて、カムロさんに着席してもらった。試食会もとい、ディナーの時間だぞ!
卵料理三昧っ! デザートも新鮮卵たっぷりのプティングだ! 後で出そう!
ちなみにプティングは俺が作っておいたやつだから先輩作じゃないぞ。温度管理が難しいんだよなぁ……。子どものときによく失敗して、熱が通り過ぎてぐすぐすになった微妙プティングを食べてたぞ。
……なんて考えてる間に配膳完了!
いただきまーす!
「……これは……美味しいですね。ハス君が教えただけあって」
おっ、カムロさんから良判定いただきましたっ!
これでセリド先輩はますます自信がついたんじゃないかな。この調子で頑張れば、近いうちにきっとクラさんの胃袋を鷲掴みにできるぞ!
「本当ならこの時間は私とハス君の二人で料理をしている時間なんですよ。できるだけ早くスキルアップしてくださいね。私はそう、気の長い方ではありませんよ」
ツンツンしながら、カムロさんがキッシュをモグモグしていらっしゃる。
なんかちょっと不機嫌そうなんだけど、美味しそうに食べてくれてるから何も問題はないっ!
「夫夫の時間を邪魔している自覚はある。しかし、私は今……なりふりを構ってはいられないのだ。ご容赦頂けると有難い」
……お、おう。
先輩が重々しく詫びを入れてくださいましたよ! そんなにシリアスにならなくてもいいのに!
「承知はしています。ただ少し、不満を言いたいだけです」
「甘んじて受けよう」
……な、なんかごめんなさい先輩!
でもツンツンしてるカムロさんがとっても可愛いから、俺はもうどうフォローしたらいいか分かりません! ツーンとしながら、続いてオムレツをぺろりと平らげた。
おおっと? カムロさん、ここで食べるのを止めるかと思いきや、手が止まらない! オープンオムレツをひと切れ取り皿に移したぞ!
過去、「貴方の料理しか食べられる気がしない」って言ってくれた愛しの旦那様が、俺監修でセリド先輩の作った料理を文句ひとつ言わず……突撃料理教室には文句があるみたいだけど……食べてくれている。
つまり、俺の料理と同じくらい美味しくできたってことだ!
これはもう合格ってことでいいんじゃないかな! 凄いぞ先輩っ!
※カムロ氏としては、結婚後も甥っ子のハスが可愛くてダイナミック高い高いしたり、料理を強請りがてら遊びに来るクラさんが邪魔(……)なので、防波堤になってくれそうなセリド先輩に頑張ってもらいたいようです。
卵料理に始まって卵料理に終わった、第一回目の料理教室。
目玉焼きの次はオープンオムレツと普通のオムレツにも挑戦した。それから締めにポテトと挽肉入りのキッシュも作ったぞ。このキッシュは、俺の父さんであるプロ料理人ユリザリン・ブレッデ直伝のレシピだ。
「先輩、才能ありますよ」
「そ、そうか? 自分ではあまり実感はないが」
「だって、卵をぐちゃって握り潰しちゃってから一度も失敗してませんよ。しかも、ちゃんと全部の料理が美味しいじゃないですか。凄いですよ」
ジャガイモの皮むきはすいすいできちゃうし、オムレツは華麗にフライパンを翻して綺麗なアーモンド形に仕上げてたし、キッシュはきっちり下ごしらえをして焼き時間もばっちり測っていたお陰で、ほっくほくに焼き上がったしな!
なんて言うか、見てて安心できる手さばきってやつだった。
これはもう、初心者のスキルレベルじゃないぞ! 最初から料理スキルが高かったとしか思えないな。ちょびっと味見したけどもうね、普通に美味いっ! 合格!
「……それは、お前が手ほどきをしてくれたからだ」
「まあ確かにそうですけど、ほとんど口しか出していませんでしたからね。あっ、俺の父さんが書いたレシピ本があるんで、譲りますよ。俺はもう擦り切れるくらい読んでるんで、全部覚えてます」
「ああ、それは有難い。代金は払おう」
「いやいやいやいや。いいですって! 俺のお古ですからタダどころか引き取り料が欲しいくらいですから。遠慮いりませんよ」
「はは、そうか。それならば有難く頂いて、大切に読ませてもらおう。……それは別としても、手ほどきの礼はするからそのつもりでいてくれ」
「あっ、はい。お待ちしてます。調味料とかだと嬉しいです」
ちゃっかり欲しい物を言っちゃったぞ!
でも、こういうちゃっかり具合な方がお互い美味しいと思うんだよ。ほら、欲しくない物をもらっても嬉しくないし、あげた方も微妙な気分になるし!
ここは遠慮しないっ!
「ふふ、料理好きのお前らしいな。わかった。そのように計らおう」
「あはは、ありがとうございます」
「こちらこそ。……もう暫く、教えてもらってもいいだろうか。まだ一人では心もとない」
「はいっ! 次はガッツリした肉料理に挑戦してみますか。肉系もクラさん好きですから、そのなかでも一番喜ぶのをチョイスして教えますね」
「それはいいな。肉はこちらで準備しよう。ではまた、頼むぞ」
最初の緊張した顔が嘘みたいに、ふんわりと穏やかに先輩が微笑んでいらっしゃる!
自信は人を変える……いや、恋は人を変えるって言う方がぴったりなのか? なんだか先輩、職務中はいつも隙がなくてキリッとした感じだけど、今は……ふわふわでやわらかい感じの雰囲気だぞ!
「……何かいい匂いがしますね」
「あっ、カムロさん、丁度いいところに! 味見、してみてもらえませんか」
「セリドさんのですか」
なんだかまだむすっとしているカムロさんは、キッチンのシンクに並べられた料理を見て「……悔しいですけど、美味しそうですね。味見させてもらいます」と、おっしゃいましたよ!
「俺が監修したんで、味はいつもの料理に近いと思います。口に合うんじゃないかと」
「ハス君の料理が一番です」
「はは、ありがとうございます」
ツンツンした顔で言うカムロさん、可愛いっ! ウェイターみたいに椅子を引いて、カムロさんに着席してもらった。試食会もとい、ディナーの時間だぞ!
卵料理三昧っ! デザートも新鮮卵たっぷりのプティングだ! 後で出そう!
ちなみにプティングは俺が作っておいたやつだから先輩作じゃないぞ。温度管理が難しいんだよなぁ……。子どものときによく失敗して、熱が通り過ぎてぐすぐすになった微妙プティングを食べてたぞ。
……なんて考えてる間に配膳完了!
いただきまーす!
「……これは……美味しいですね。ハス君が教えただけあって」
おっ、カムロさんから良判定いただきましたっ!
これでセリド先輩はますます自信がついたんじゃないかな。この調子で頑張れば、近いうちにきっとクラさんの胃袋を鷲掴みにできるぞ!
「本当ならこの時間は私とハス君の二人で料理をしている時間なんですよ。できるだけ早くスキルアップしてくださいね。私はそう、気の長い方ではありませんよ」
ツンツンしながら、カムロさんがキッシュをモグモグしていらっしゃる。
なんかちょっと不機嫌そうなんだけど、美味しそうに食べてくれてるから何も問題はないっ!
「夫夫の時間を邪魔している自覚はある。しかし、私は今……なりふりを構ってはいられないのだ。ご容赦頂けると有難い」
……お、おう。
先輩が重々しく詫びを入れてくださいましたよ! そんなにシリアスにならなくてもいいのに!
「承知はしています。ただ少し、不満を言いたいだけです」
「甘んじて受けよう」
……な、なんかごめんなさい先輩!
でもツンツンしてるカムロさんがとっても可愛いから、俺はもうどうフォローしたらいいか分かりません! ツーンとしながら、続いてオムレツをぺろりと平らげた。
おおっと? カムロさん、ここで食べるのを止めるかと思いきや、手が止まらない! オープンオムレツをひと切れ取り皿に移したぞ!
過去、「貴方の料理しか食べられる気がしない」って言ってくれた愛しの旦那様が、俺監修でセリド先輩の作った料理を文句ひとつ言わず……突撃料理教室には文句があるみたいだけど……食べてくれている。
つまり、俺の料理と同じくらい美味しくできたってことだ!
これはもう合格ってことでいいんじゃないかな! 凄いぞ先輩っ!
※カムロ氏としては、結婚後も甥っ子のハスが可愛くてダイナミック高い高いしたり、料理を強請りがてら遊びに来るクラさんが邪魔(……)なので、防波堤になってくれそうなセリド先輩に頑張ってもらいたいようです。
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