【完結】騎士団をクビになった俺、美形魔術師に雇われました。運が良いのか? 悪いのか?

ゆらり

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本編

5  かなりホワイトすぎる職場環境だった

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 ――超のつく魔術師カムロさんに、よく分からないうちに気に入られた俺。

 大絶賛された朝飯の片付けをした後に、住み込み用の部屋に案内してもらった。なんかすごく豪華で優雅な部屋だった。えーと、どっちかというと落ち着いた貴婦人が使いそうな部屋だけど、居心地がよさそうだ。

「風呂と脱衣所付きで、寝室と居間と衣裳部屋と、娯楽室……? ええっと4部屋もあるのか」

 ……庶民には広過ぎると思います。

 持て余し確定だよ! 「広過ぎますよね」ってカムロさんが苦笑してたから、そこら辺の庶民的な感覚は俺とそう変わらないんだろうけど。

 そしてなんとその部屋、カムロさんの使ってる部屋の隣だった。しかも寝室が扉で繋がってる。……そう、寝室が繋がってるんだよ! なんでだろ。うーん、深く考えてはいけない気がする。でも気になる。雇った人間をそういう位置にある部屋に入れるっていうのはどうなんだ。

「なんで俺の部屋が、カムロさんの隣なんですか」
「だって、この広い屋敷に私ひとりで暮らしているんですから、隣にハスさんが居た方が寂しくないでしょう」

 ………………納得していいのか? この理由。

「そういうもんでしょうか」
「ちなみに貴族家の夫婦のための間取りです。こちらが妻側の部屋になります。私の方は夫の部屋です。そして、寝室が繋がってるのは、夜をともにする場合に夫が妻の元へ通うためなんだそうですよ」
「ぶはぁっ!」

 ――思わず吹いた。笑いじゃなくて、動揺で。

 なななな、何をすらすらと説明してくれちゃってんですかあああ! はああ、びっくりした。なんでそんな部屋を俺なんかに使わせるんですか。寂しいとかいう理由でも、ちょっとそこんとこどうなんですか?

「ふふ。ハスさん、夜這いしてもいいんですよ。鍵は開けておきますから」

 なんということをおっしゃるのでしょう。

 ご冗談がお好きでございますね! なんて、変な敬語が飛び出しそうになったが耐えた。雇い主に夜這いを掛けるっていう仕事があるんですか。いや、そんなもんあるワケないだろ! 

「しませんので、鍵は掛けておいてください」

 三流以下のへっぽこ役者でもしないような棒読みで返したら、物凄い素敵な笑顔を無言で返された。やめてくれほんとに! 会って2日目の他人だぞ? むしろ隣に居たら、落ち着かないんじゃないのか? 解せぬ!

 そんなアホっぽいというか斜め上な感じの会話がありつつ、それからは真面目に話し合ってしっかり雇用契約を結んだ。

 食費はカムロさんから1ヵ月分を預かって、余れば翌月に回すことになった。足りなくなる前には補填してもらう。俺が食べる分もここから使っていいそうだ。太っ腹だぁ……。

 給料は「こ、こんなに貰っていいんですか」と、思わず言ってしまうくらいの額を先払いしてくれた。あんまりにも高給だったから、「自分の食費は払いますよ」って言ったら、「それとこれは別です。これは食事手当ということで構いませんよ」と、優しい目をして断られた。

 例によって圧が凄かったよ! 引き攣り笑いしながら、「あ、ありがとうございますぅ……」ってお礼を言うしかなかった。ははは。

 掃除に関しては、魔術でごにょごにょしてあるから気にしなくていいらしい。洗濯もちょいちょいっとやれるみたいだけど、天日干しの方が気持ちいいから魔術式の洗濯機で洗って干してるって。

 天下の最強魔術師様も洗濯物を干すんだぁ……。しかも、あの美形っぷりだから想像すると凄い違和感しかない。ああ、偏見か。ごめんカムロさん。

 ……さておきだ。それも俺の仕事で良さそうだな。

 ああだこうだと交渉をした結果、家事全般をやらせて貰うことにした。お屋敷勤めの相場は知らないけど、普通に考えても下っ端騎士の給料よりかなり高い。出世もしてないのに高給取りになってしまったんだよ! 給料分は働かせてください!

 ……なんて、気合を入れてみたけど、今までと生活の負担はあんまり変わらない。家を出てからは大体のことは自分でしていたからなぁ……。

 肩透かしを食らうくらいに、かなり健全ホワイトすぎる職場環境だった。
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