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番外編「とある狩人を愛した、横暴領主の話」
7 ずっと一緒にいたい
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「--十六になったら家をで出るんだよ。飯作るの苦手なんだよなぁ。やってけるかな」
いつものように二人で釣りをしているとき、シタンはそんなことを言った。
「練習すればなんとかなる。少し母さんの手伝いをしてみるといい」
「えぇ……。お嫁さんに作って貰いたい」
「お前、鈍くさいのに嫁なんか見つけられるのか」
「鈍くさいって言うなよぉ……」
シタンはもうすぐ十二歳になる。異性に興味を抱き始め、将来について夢を描く年頃だ。
「お嫁さんは、優しくて料理の上手な子が良いなぁ」などという話をシタンの口から聞くたびに、胸の奥からなんとも言いようのない不快さが込み上げてくるのを感じる。
「食事くらい、自分で作れるようにならないと。家を出たからってすぐ嫁が来るのか? 一人前になってやっと嫁に来て貰えるんだろ。そんなのまだずっと先だろう」
「う、うん。そうだね。……ラズ、なんか顔が怖いよ。怒ってる?」
今はこうして二人で過ごせるとしても、嫁を貰って家族を持つようになったら、シタンはラズラウディアに構っている暇などなくなるのではないだろうか。
「怒ってなんかいない。ただ、まだ嫁の話なんて早いって思っただけだ」
どこか鈍臭くてのんびりとした性格のせいで、子供達の間でからかわれがちなシタンだが、弓矢を構えたときの鋭い目つきと引き締まった表情は、見惚れるほどに精悍で雄々しいのを知っている。腕前の方も大人の狩人に勝るとも劣らないほどなのだ。
あの精悍な顔と弓の腕前を知って、嫁になりたいと言い出す娘がいたとしてもおかしくはない。そう考えてしまうと、ますます不快な気分になってしまう。
――自分が女であれば、その辺の娘になんかシタンを渡しはしないのに。
料理くらい、いくらでも作ってやれる。シタンの母に教えて貰えばいい。嫁としてではなくても、ずっとシタンと一緒にいたい。
母親に姉の身代わりにされて、望まれず生まれてきたのだと思い知らされながら育ち、心を荒ませてきたラズラウディアではあったが、男であること自体に不満を覚えたことはなった。
しかし、このときだけは自分が女に生まれなかったことを初めて悔やんだ。
いつものように二人で釣りをしているとき、シタンはそんなことを言った。
「練習すればなんとかなる。少し母さんの手伝いをしてみるといい」
「えぇ……。お嫁さんに作って貰いたい」
「お前、鈍くさいのに嫁なんか見つけられるのか」
「鈍くさいって言うなよぉ……」
シタンはもうすぐ十二歳になる。異性に興味を抱き始め、将来について夢を描く年頃だ。
「お嫁さんは、優しくて料理の上手な子が良いなぁ」などという話をシタンの口から聞くたびに、胸の奥からなんとも言いようのない不快さが込み上げてくるのを感じる。
「食事くらい、自分で作れるようにならないと。家を出たからってすぐ嫁が来るのか? 一人前になってやっと嫁に来て貰えるんだろ。そんなのまだずっと先だろう」
「う、うん。そうだね。……ラズ、なんか顔が怖いよ。怒ってる?」
今はこうして二人で過ごせるとしても、嫁を貰って家族を持つようになったら、シタンはラズラウディアに構っている暇などなくなるのではないだろうか。
「怒ってなんかいない。ただ、まだ嫁の話なんて早いって思っただけだ」
どこか鈍臭くてのんびりとした性格のせいで、子供達の間でからかわれがちなシタンだが、弓矢を構えたときの鋭い目つきと引き締まった表情は、見惚れるほどに精悍で雄々しいのを知っている。腕前の方も大人の狩人に勝るとも劣らないほどなのだ。
あの精悍な顔と弓の腕前を知って、嫁になりたいと言い出す娘がいたとしてもおかしくはない。そう考えてしまうと、ますます不快な気分になってしまう。
――自分が女であれば、その辺の娘になんかシタンを渡しはしないのに。
料理くらい、いくらでも作ってやれる。シタンの母に教えて貰えばいい。嫁としてではなくても、ずっとシタンと一緒にいたい。
母親に姉の身代わりにされて、望まれず生まれてきたのだと思い知らされながら育ち、心を荒ませてきたラズラウディアではあったが、男であること自体に不満を覚えたことはなった。
しかし、このときだけは自分が女に生まれなかったことを初めて悔やんだ。
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