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番外編「とある狩人を愛した、横暴領主の話」
39 お前に飢えている
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――怯えと諦観めいた暗さを孕んでいたシタンの瞳が、今は親愛と歓喜に彩られている。
一片の曇りも見当たらない蜂蜜色の瞳に、真っすぐ見詰められて眩暈のするような幸せを感じた。鮮やかに色づいた唇が開き、「お、俺も、ずっとお前と一緒にいたい……」と、顔を更に赤くして、ぎこちないながらも懸命にラズラウディアに想いを返そうとしてくれている様のなんと愛いことか。
「俺も、ラズのこと……」
――「愛している」なのか、「好き」なのかは、聞こえなかった。熟れた果実のように顔を赤く染めたシタンは、その一言の代わりに唇を合わせてきたからだ。
「んっ、……シタン……!」
「はあっ……あふ、んぅ―っ!」
深く抱き締めて、貪るように唇と口内を愛撫する。体中の血が煮えたぎるように熱くなり、心地良く甘い口付けをただひたすら堪能した。
「あっ、はあっ、はあ………」
ひとしきり味わって唇を離す頃には、腕の中のシタンはすっかりと蕩けていた。瞳は潤み、唇は鮮やかさを増している。欲しい……この男の全てが今すぐに。ラズラウディアは肉に食らいつこうとする獣のような凶暴さが自らの中で蠢き吠えるのを感じた。一物があさましくいきり立ち、総毛立つほどの欲情と飢えが、体中に満ちていく。
脱力した長躯を横抱きにして、応接間を足早に出た。
「お前がまさか、ハイレリウスと知り合っていたとは思わなかった」
「はあっ……、ううっ。俺だって、貴族と友達になれるなんて思わなかったよ……」
「あの男は悪ふざけが過ぎるところがあるが、信頼は置ける。幸いだったな」
これまでのことを話しながら、寝室へと向かう。陽はまだ高いが、そんなことは些末なことだ。今はただ、腕の中に戻って来た愛しい唯一に隅々まで触れて、その熱を味わいたい。
寝室まで付き従って来た老侍従が「身支度などなさいますか」と、伺いを立ててくる。
「要らぬ。……下がって良い。私が呼ぶまで、ここへ近づくことを禁じる」
「承知致しました」
これでもう、誰にも邪魔などされない。
「ま、まさか今から、す、するの?」
「ここに連れてきて何もしないと思うか。私は今、お前に飢えている」
「……う、飢えてるって……」
恥ずかし気に身を震わせるシタン。今まであれほど肌を重ねてきたというのに、いつまで経っても初心だ。それが男を煽るのだということを知らない。そして、その純朴さもまた彼の魅力だ。
「嫌か」
「そんなことないけど……」
「ならば、構わないな」
そっと寝台に下ろすと、上気していた顔を増々赤くして敷布に顔を埋めてしまう。薄い背中を優しくさすると、びくりと震えて「俺っ、なんかすごく恥ずかしいよ。は、初めてみたいだ……」などという愛らしいことまで言ってきた。
「可愛いことを言うな。抱き潰してしまいたくなる」
やんわりと肩を掴んで仰向けにして、潤んだ蜂蜜色の瞳を見詰める。
「気が進まないのなら、今は我慢するが」
「が、我慢なんて、しなくていいよぉ……。恥ずかしいだけだから……」
その言葉に、ラズラウディアの理性はあっけなく崩れ去る。
肉欲と愛情とが混ざり合った熱に突き動かされて、焦がれ続けた愛する者の上に覆い被さり、その熟れた色をした唇に自分のそれを深く重ねたのだった。
一片の曇りも見当たらない蜂蜜色の瞳に、真っすぐ見詰められて眩暈のするような幸せを感じた。鮮やかに色づいた唇が開き、「お、俺も、ずっとお前と一緒にいたい……」と、顔を更に赤くして、ぎこちないながらも懸命にラズラウディアに想いを返そうとしてくれている様のなんと愛いことか。
「俺も、ラズのこと……」
――「愛している」なのか、「好き」なのかは、聞こえなかった。熟れた果実のように顔を赤く染めたシタンは、その一言の代わりに唇を合わせてきたからだ。
「んっ、……シタン……!」
「はあっ……あふ、んぅ―っ!」
深く抱き締めて、貪るように唇と口内を愛撫する。体中の血が煮えたぎるように熱くなり、心地良く甘い口付けをただひたすら堪能した。
「あっ、はあっ、はあ………」
ひとしきり味わって唇を離す頃には、腕の中のシタンはすっかりと蕩けていた。瞳は潤み、唇は鮮やかさを増している。欲しい……この男の全てが今すぐに。ラズラウディアは肉に食らいつこうとする獣のような凶暴さが自らの中で蠢き吠えるのを感じた。一物があさましくいきり立ち、総毛立つほどの欲情と飢えが、体中に満ちていく。
脱力した長躯を横抱きにして、応接間を足早に出た。
「お前がまさか、ハイレリウスと知り合っていたとは思わなかった」
「はあっ……、ううっ。俺だって、貴族と友達になれるなんて思わなかったよ……」
「あの男は悪ふざけが過ぎるところがあるが、信頼は置ける。幸いだったな」
これまでのことを話しながら、寝室へと向かう。陽はまだ高いが、そんなことは些末なことだ。今はただ、腕の中に戻って来た愛しい唯一に隅々まで触れて、その熱を味わいたい。
寝室まで付き従って来た老侍従が「身支度などなさいますか」と、伺いを立ててくる。
「要らぬ。……下がって良い。私が呼ぶまで、ここへ近づくことを禁じる」
「承知致しました」
これでもう、誰にも邪魔などされない。
「ま、まさか今から、す、するの?」
「ここに連れてきて何もしないと思うか。私は今、お前に飢えている」
「……う、飢えてるって……」
恥ずかし気に身を震わせるシタン。今まであれほど肌を重ねてきたというのに、いつまで経っても初心だ。それが男を煽るのだということを知らない。そして、その純朴さもまた彼の魅力だ。
「嫌か」
「そんなことないけど……」
「ならば、構わないな」
そっと寝台に下ろすと、上気していた顔を増々赤くして敷布に顔を埋めてしまう。薄い背中を優しくさすると、びくりと震えて「俺っ、なんかすごく恥ずかしいよ。は、初めてみたいだ……」などという愛らしいことまで言ってきた。
「可愛いことを言うな。抱き潰してしまいたくなる」
やんわりと肩を掴んで仰向けにして、潤んだ蜂蜜色の瞳を見詰める。
「気が進まないのなら、今は我慢するが」
「が、我慢なんて、しなくていいよぉ……。恥ずかしいだけだから……」
その言葉に、ラズラウディアの理性はあっけなく崩れ去る。
肉欲と愛情とが混ざり合った熱に突き動かされて、焦がれ続けた愛する者の上に覆い被さり、その熟れた色をした唇に自分のそれを深く重ねたのだった。
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