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本編
64 あんたのものにはならない
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すうっと軽く息を吸ってから、イグルシアスから目を逸らさずに口を開いた。
「――俺だって、アンタが欲しい。そばに居たい。けど、伴侶探しはいいのか」
「えっ?」
「アンタの兄貴が結婚してからもう二年になるし、王子だって生まれたよな。闘士連中のあいだでだって、そろそろアンタも伴侶を選ぶ頃だろうって噂してんだぞ」
鋭い胸の痛みが繰り返し襲い来るが、怯まずに顎を引いてきつく睨み上げる。
「そういう話が進んでいるなら、俺は……、アンタのものにはならない!」
下町生まれの若者が、王族である男に向かってこんな言葉を吐くのは身の程知らずだろう。
だが、どう思われようと自分の意思を曲げたくはなかった。生まれて初めて好きになった相手との、一生の別れに繋がるとしても。この先ずっと苦しい胸の痛みを感じながらそばに居ることに耐えられないだろうし、もっと後悔するだろう。
「なっ、なんでそういう話になるの!」
イグルシアスが顔を青ざめさせて叫ぶ。
「確かに以前はそう考えていたけど、もう君以外を選ぶなんて考えられないよ!」
「だったら跡取りどうすんだよ。……男の俺じゃ、アンタの嫁にはなれねぇんだぞ」
「一生手放さないって言ったのだから、嫁に来るみたいなものでしょ!」
鬼気迫る表情で強く腕を引かれて抱き込まれ、深く唇を奪われた。
「ふっ……、んぅ……っ」
混ざり合う唾液が立てる水音と息遣いだけが、静かになった室内に断続的に響く。
口内を貪るように愛撫されて舌を吸われると、気持ちよさのあまり全身の力が抜けてしまう。飲み下せなくなった唾液が、顎を伝い鎖骨に垂れていくのでさえも快感に変わっていく。
「ほかの誰かなんていらない。君が……、君だけが、欲しいんだ。僕の、唯一になって」
低く甘くい声を耳に流し込まれ、胸を苛んでいた鋭い痛みが溶けて甘く切ない疼きにすり替わる。
「う、あっ……」
鎖骨に伝い落ちた唾液を舐め上げ喉笛に甘く歯を立てられて、顎を仰け反らせて震えてしまう。太腿を鷲掴んだ手が脇腹までをなぞり上げていった。子供に与えられる他愛ない触れ合いではなく、生々しい雄の匂いを漂わせた触れ方だ。
「ん……、蕩けちゃって可愛い……。どれだけ君を好きか、体に教えてあげるよ」
「ひっ、あっ!」
下腹や尻の際どい所を撫でさすられて、身を捩りながらまた喘ぐ。どこを触られても気持ちがよくて、身体が熱くなっていく。肌が微かに汗ばみ、果実水で潤したばかりの喉が、酷く乾いていた。
「はあ……っ。やっ、……ん……っ! あ……っ」
……もっと口付けして、触って欲しい。だが、こんな場所では駄目だ。
特別席でされた口付けを思い出し危機感を覚えて抗おうとするが、力が入らず腕から逃れられない。明らかに淫らな触れ方をしてくる手や唇に気を乱されて「や、あっ……」と、か細く声を上げて身を震わせるのが精一杯だ。
「心配は無用だよ。人払いはしてあるし、最後まではしないから」
「なに言って……っ、はあっ、最後までとか、意味、わかんねぇっ! やぁっ、はっ、離せ……」
弱々しくもがくリィを、イグルシアスは微笑みながら横抱きにした。
「ふぅ。細くても流石に重いねぇ」
クスクスと笑ってリィを横たわらせたのは、彼が座っていた長椅子の上だった。
「――俺だって、アンタが欲しい。そばに居たい。けど、伴侶探しはいいのか」
「えっ?」
「アンタの兄貴が結婚してからもう二年になるし、王子だって生まれたよな。闘士連中のあいだでだって、そろそろアンタも伴侶を選ぶ頃だろうって噂してんだぞ」
鋭い胸の痛みが繰り返し襲い来るが、怯まずに顎を引いてきつく睨み上げる。
「そういう話が進んでいるなら、俺は……、アンタのものにはならない!」
下町生まれの若者が、王族である男に向かってこんな言葉を吐くのは身の程知らずだろう。
だが、どう思われようと自分の意思を曲げたくはなかった。生まれて初めて好きになった相手との、一生の別れに繋がるとしても。この先ずっと苦しい胸の痛みを感じながらそばに居ることに耐えられないだろうし、もっと後悔するだろう。
「なっ、なんでそういう話になるの!」
イグルシアスが顔を青ざめさせて叫ぶ。
「確かに以前はそう考えていたけど、もう君以外を選ぶなんて考えられないよ!」
「だったら跡取りどうすんだよ。……男の俺じゃ、アンタの嫁にはなれねぇんだぞ」
「一生手放さないって言ったのだから、嫁に来るみたいなものでしょ!」
鬼気迫る表情で強く腕を引かれて抱き込まれ、深く唇を奪われた。
「ふっ……、んぅ……っ」
混ざり合う唾液が立てる水音と息遣いだけが、静かになった室内に断続的に響く。
口内を貪るように愛撫されて舌を吸われると、気持ちよさのあまり全身の力が抜けてしまう。飲み下せなくなった唾液が、顎を伝い鎖骨に垂れていくのでさえも快感に変わっていく。
「ほかの誰かなんていらない。君が……、君だけが、欲しいんだ。僕の、唯一になって」
低く甘くい声を耳に流し込まれ、胸を苛んでいた鋭い痛みが溶けて甘く切ない疼きにすり替わる。
「う、あっ……」
鎖骨に伝い落ちた唾液を舐め上げ喉笛に甘く歯を立てられて、顎を仰け反らせて震えてしまう。太腿を鷲掴んだ手が脇腹までをなぞり上げていった。子供に与えられる他愛ない触れ合いではなく、生々しい雄の匂いを漂わせた触れ方だ。
「ん……、蕩けちゃって可愛い……。どれだけ君を好きか、体に教えてあげるよ」
「ひっ、あっ!」
下腹や尻の際どい所を撫でさすられて、身を捩りながらまた喘ぐ。どこを触られても気持ちがよくて、身体が熱くなっていく。肌が微かに汗ばみ、果実水で潤したばかりの喉が、酷く乾いていた。
「はあ……っ。やっ、……ん……っ! あ……っ」
……もっと口付けして、触って欲しい。だが、こんな場所では駄目だ。
特別席でされた口付けを思い出し危機感を覚えて抗おうとするが、力が入らず腕から逃れられない。明らかに淫らな触れ方をしてくる手や唇に気を乱されて「や、あっ……」と、か細く声を上げて身を震わせるのが精一杯だ。
「心配は無用だよ。人払いはしてあるし、最後まではしないから」
「なに言って……っ、はあっ、最後までとか、意味、わかんねぇっ! やぁっ、はっ、離せ……」
弱々しくもがくリィを、イグルシアスは微笑みながら横抱きにした。
「ふぅ。細くても流石に重いねぇ」
クスクスと笑ってリィを横たわらせたのは、彼が座っていた長椅子の上だった。
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■GPT
https://openai.com/policies/terms-of-use
■Claude
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