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vs秘密結社クロノス
77話 vs.半使徒.1
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学園の中心で二つの巨大な力が衝突した。しかし、それはシルとシルビアでは無かった。
片方はシルで間違い無いのだが、もう一つは純白に輝く細長い巨大な生物であった。ワニのような顔に鹿のようなツノを生やし、トカゲのような体をしている。
それはシルに力で圧勝し一方的に突き飛ばした。
何だアレは…
その生物は一言で表すなら歪であった。キメラと言う名が相応しい。ただ、それだけでは無い元の生物を利点を享受できていない。
ワニの口は短く咬合力が小さくなっている。鹿のツノは後ろに伸びてもはや装飾以外の意味がない。体はトカゲというよりヘビに足を生やしたもので、足の短さからしてまともに地面を歩くことはできないだろう。
「気持ち悪い…」
作られたものとしての親近感はあるものの、機能性を完全無視したその姿には不快感を覚える。
シルは瓦礫の山から飛び起き、顔に付いた土埃を拭き捨てる。シルビアとその周囲を守るように浮かぶ奴を観測する。
奴は内包しているマナの量だけならシルを遥かに超える。数ヶ月前に学園を襲撃した紫鼠よりも多い。しかし、異様な事にその大量のマナを巨体を浮かべ操ることだけにしか使っていない。
僕は何を血迷ってこんな物を…
通常、身体のほぼ全てがマナで構成されている外界生物は普段呼吸にすら魔法を使っている。人間が微弱な電気信号で体を動かすように、彼らにとって魔法とは無意識で行う簡単な行為であるからだ。
それなのに体を浮かす事以外に魔法を使用していない。つまり、人工的に作られた生命体である。
モンスターは壊していいや。だけど、シルビアはどうしよう。中途半端に強いんだよね
シルはシルビアの心配をした。このままでは彼女は殺されてしまうからだ。
次の瞬間、グレーが堕ちた。外界のマナを取り込むために生やした管は切り落とされ、背中に一太刀を入れられ意識が断たれる。
そして、落ちる管の上にはトウカの分体が群をなしてひしめき合っていた。
トウカの分体は衣類を一切身に付けず流水のナイフを手に持っている。羞恥心よりも戦いを優先し魔法で武器を形成した。
そして、その大群の先頭にはミーニャがいた。服がボロボロだが毒液で二股の尻尾を生やし、ビルを両断できそうなほど長い刀を形成し構えていた。間合いはちょうど切先がシルビアに届く程度に調節されている。
あのアイツらは平気で無茶をす…
「ん?えっーと…」
次々に襲いくる事件の情報量の多さに処理が追いつかず思考がフリーズする。
北から生徒、1-4の教員、獣耳の襲撃者の三つ巴が建築物を破壊しながらコロシアム内に乱入する。
ドロールと襲撃者の目は充血しており、血走っている。マナも荒ぶり暴走している。とても、健康な状態には見えないが、それ故に強大な力を手にしている。
教員は首元の大動脈が切られ、血が吹き出している。しかし、本人は気にすることもなくその血液を魔法で操作し戦っている。
上空でシルビアに狙いを定めるトウカ達を窓の奥から突如現れた赤い液体が意図的に彼女らを蹂躙した。ナイフしか持たない分体は抵抗もできず次々と貫かれていく。
地下から巨大な人形のロボットが飛び出した。重機の操縦席に手が生えたような見た目で背中にジェットバックと両手に剣とミニガンを装備している。
それは、ドルトンの手駒を圧倒し天高く打ち上げている。シルが処分したものとは別個体だがそれと同等の能力を持っていた。
コックピットにシルの製作者(ウィン)と五人の生徒が搭乗している。だが、六人で乗るにはかなり窮屈そうである。
そして、シルビアの背後にリオンが突如出現する。トレンチナイフを構えており1秒にも満たないわずかな時間で彼女の首を掻き切れるだろう。
「…は?」
シルは光の槍を形成し振りかぶる。シルビアの命を守るためリオンを妨害と赤い液体の採取の一石二鳥を狙った。
しかし、その時に事が起こった。
シルビアと白い怪物がが消えた。
そして、上空に集結したそれらはウィンと生徒の乗っているロボットを除き全滅した。全ては力なく地に落ちる。
トウカの分体、リオン、ミーニャ、ドロール、1-4の教員、シモン、ドルトンの手駒その2が胴体を真っ二つに切られ、赤い液体は思考性のないただの液体になっている。
何が起きた!?
結果は見ての通りだ。しかし、過程が無い。シルの目を持ってしても観測ができなかった。
「…ッ!」
焦りが行動を乱す。ドロールとシモンの二人を治療すべきだろうか。父親の保護に動くべきだろうか。それとも元凶を捜索すべきだろうか。
だが、それらはすぐ解決した。
ドサッ…
シルビアが落ちた。場所は人形ロボットの下辺りでコロシアムのほぼ中央である。彼女には多数の弾痕があり、ロボットのミニガンに撃たれたのが見て取れる。
「ハハ…」
乾いた笑いが出た。唐突に何が起こったのかを理解した。確認のためタイマーを確認する。すると、体内時計と十分の誤差が発生していた。
どうしろと…
シルは手立てを失った。今の彼にはどうすることも出来ない。
地面に倒れたシルビアの姿は様変わりしていた。ぱっと見は純白の怪物を体に纏っているように見える。だが、体内は荒れに荒れていた。三つのマナと思考、二つの肉体が混ざり合う。
「僕はお父様とお母様との幸せを…あれ?でもパパは目の前にいる。あれ?でも“魔法を発動させないと”…何で魔法を?」
意識ははっきりとしているが、それ故に自己の矛盾をはっきりと認識する。そして、3つの意識の綱引きの結果、単純で大きなものに軍配が上がった。
「魔法の発動を…」
シルビアが浮かぶ。弾痕から弾丸が押し出され、傷は切り傷に至るまで白い物質で埋まった。
彼女は正気である。三つの意識は一つとなった。彼女は歪な一匹の生物として完成した。
シルビアはもう手遅れだ
「さよなら」
シルはすぐに動いた。倒れ拒否反応に苦しむシルビアの首を掻き切っ…
ガキン!
シルの形成した棒が大きな音を立てて折れた。既視感があった。全く歯が立たない。
シルは初めて恐怖という感情を理解する。今まではどんなトラブルも一人でどうにか出来ていた。対応策が思いつかないことなど無かった。
グレーの!早くリュウかコアをッ…!
機械の手足で逃走を試みるが身体が動かない。そこでやっと気づいた、体と核が繋がっていないことに。
片方はシルで間違い無いのだが、もう一つは純白に輝く細長い巨大な生物であった。ワニのような顔に鹿のようなツノを生やし、トカゲのような体をしている。
それはシルに力で圧勝し一方的に突き飛ばした。
何だアレは…
その生物は一言で表すなら歪であった。キメラと言う名が相応しい。ただ、それだけでは無い元の生物を利点を享受できていない。
ワニの口は短く咬合力が小さくなっている。鹿のツノは後ろに伸びてもはや装飾以外の意味がない。体はトカゲというよりヘビに足を生やしたもので、足の短さからしてまともに地面を歩くことはできないだろう。
「気持ち悪い…」
作られたものとしての親近感はあるものの、機能性を完全無視したその姿には不快感を覚える。
シルは瓦礫の山から飛び起き、顔に付いた土埃を拭き捨てる。シルビアとその周囲を守るように浮かぶ奴を観測する。
奴は内包しているマナの量だけならシルを遥かに超える。数ヶ月前に学園を襲撃した紫鼠よりも多い。しかし、異様な事にその大量のマナを巨体を浮かべ操ることだけにしか使っていない。
僕は何を血迷ってこんな物を…
通常、身体のほぼ全てがマナで構成されている外界生物は普段呼吸にすら魔法を使っている。人間が微弱な電気信号で体を動かすように、彼らにとって魔法とは無意識で行う簡単な行為であるからだ。
それなのに体を浮かす事以外に魔法を使用していない。つまり、人工的に作られた生命体である。
モンスターは壊していいや。だけど、シルビアはどうしよう。中途半端に強いんだよね
シルはシルビアの心配をした。このままでは彼女は殺されてしまうからだ。
次の瞬間、グレーが堕ちた。外界のマナを取り込むために生やした管は切り落とされ、背中に一太刀を入れられ意識が断たれる。
そして、落ちる管の上にはトウカの分体が群をなしてひしめき合っていた。
トウカの分体は衣類を一切身に付けず流水のナイフを手に持っている。羞恥心よりも戦いを優先し魔法で武器を形成した。
そして、その大群の先頭にはミーニャがいた。服がボロボロだが毒液で二股の尻尾を生やし、ビルを両断できそうなほど長い刀を形成し構えていた。間合いはちょうど切先がシルビアに届く程度に調節されている。
あのアイツらは平気で無茶をす…
「ん?えっーと…」
次々に襲いくる事件の情報量の多さに処理が追いつかず思考がフリーズする。
北から生徒、1-4の教員、獣耳の襲撃者の三つ巴が建築物を破壊しながらコロシアム内に乱入する。
ドロールと襲撃者の目は充血しており、血走っている。マナも荒ぶり暴走している。とても、健康な状態には見えないが、それ故に強大な力を手にしている。
教員は首元の大動脈が切られ、血が吹き出している。しかし、本人は気にすることもなくその血液を魔法で操作し戦っている。
上空でシルビアに狙いを定めるトウカ達を窓の奥から突如現れた赤い液体が意図的に彼女らを蹂躙した。ナイフしか持たない分体は抵抗もできず次々と貫かれていく。
地下から巨大な人形のロボットが飛び出した。重機の操縦席に手が生えたような見た目で背中にジェットバックと両手に剣とミニガンを装備している。
それは、ドルトンの手駒を圧倒し天高く打ち上げている。シルが処分したものとは別個体だがそれと同等の能力を持っていた。
コックピットにシルの製作者(ウィン)と五人の生徒が搭乗している。だが、六人で乗るにはかなり窮屈そうである。
そして、シルビアの背後にリオンが突如出現する。トレンチナイフを構えており1秒にも満たないわずかな時間で彼女の首を掻き切れるだろう。
「…は?」
シルは光の槍を形成し振りかぶる。シルビアの命を守るためリオンを妨害と赤い液体の採取の一石二鳥を狙った。
しかし、その時に事が起こった。
シルビアと白い怪物がが消えた。
そして、上空に集結したそれらはウィンと生徒の乗っているロボットを除き全滅した。全ては力なく地に落ちる。
トウカの分体、リオン、ミーニャ、ドロール、1-4の教員、シモン、ドルトンの手駒その2が胴体を真っ二つに切られ、赤い液体は思考性のないただの液体になっている。
何が起きた!?
結果は見ての通りだ。しかし、過程が無い。シルの目を持ってしても観測ができなかった。
「…ッ!」
焦りが行動を乱す。ドロールとシモンの二人を治療すべきだろうか。父親の保護に動くべきだろうか。それとも元凶を捜索すべきだろうか。
だが、それらはすぐ解決した。
ドサッ…
シルビアが落ちた。場所は人形ロボットの下辺りでコロシアムのほぼ中央である。彼女には多数の弾痕があり、ロボットのミニガンに撃たれたのが見て取れる。
「ハハ…」
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どうしろと…
シルは手立てを失った。今の彼にはどうすることも出来ない。
地面に倒れたシルビアの姿は様変わりしていた。ぱっと見は純白の怪物を体に纏っているように見える。だが、体内は荒れに荒れていた。三つのマナと思考、二つの肉体が混ざり合う。
「僕はお父様とお母様との幸せを…あれ?でもパパは目の前にいる。あれ?でも“魔法を発動させないと”…何で魔法を?」
意識ははっきりとしているが、それ故に自己の矛盾をはっきりと認識する。そして、3つの意識の綱引きの結果、単純で大きなものに軍配が上がった。
「魔法の発動を…」
シルビアが浮かぶ。弾痕から弾丸が押し出され、傷は切り傷に至るまで白い物質で埋まった。
彼女は正気である。三つの意識は一つとなった。彼女は歪な一匹の生物として完成した。
シルビアはもう手遅れだ
「さよなら」
シルはすぐに動いた。倒れ拒否反応に苦しむシルビアの首を掻き切っ…
ガキン!
シルの形成した棒が大きな音を立てて折れた。既視感があった。全く歯が立たない。
シルは初めて恐怖という感情を理解する。今まではどんなトラブルも一人でどうにか出来ていた。対応策が思いつかないことなど無かった。
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