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ガチギレの男
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常に半ギレの男だと思っていたが、今日は半ギレではないらしい。
なぜなら、ガチギレの顔をしているから。
なぜ奴がガチギレなのかはちょっと分からない。
私がここにいたからヒロインとのデートの邪魔だったのか、ヒロインといるところを見られて腹がたったのか。もしくはその両方か。
しかしフランシス・ヴィージンガーの視線がクリストハルト様に向いているところを見るに、私が男といたのが気に食わないのかもしれない。
自分だって女連れてるくせに。まぁでも自分のことは棚に上げる、それが奴の常套手段でもある。
「なんでお前がこんなところにいるんだと聞いている」
なんで、と言われてもなぁ。元々はマリカさんの手伝いでここに来ていたわけだし、仕事で来てるってことになるのだろうか?
しかし今ここで歌っているところを目撃されたわけだし、これは仕事ではないよな。
「なぜ黙っているんだ、浮気女め」
おめぇに言われたくねぇわ。
いやお前にだけは言われたくないわ。お前だって女連れて来てんだろ。
しかもさっきの会話から察するに、お前らマリカさんのアクセサリー買いに来てるだろ。
私は元々仕事で来てるっつーのに、お前らはただイチャイチャしながら遊びに来てるだけだろ。ふざけんなよ。
……と、捲し立てたいところだが、そういうわけにもいかず。
「オーバン家のご令嬢の手伝いのためこちらに来ていました。今は休憩中です」
「令嬢の手伝い?」
「はい。マキオン家の者としての仕事です」
「なるほど、それが浮気を隠すための言い訳か」
あまりにも腹がたったので『ふざけんなよ』と日本語で口走ってしまった。
何を言われたのか分かっていないフランシス・ヴィージンガーはガチギレのまま表情を変えていないけれど、隣のクリストハルト様は顔をそらして笑いをこらえているようだった。
ヒロインも前世の記憶持ちだと思うけど彼女の前世はこの世界の聖女なので、日本語は理解出来ないらしくきょとんとしている。
そのきょとんとした表情が、私は関係ありませんよ、みたいな顔に見えてそれはそれで無性にイライラする。
「お言葉ですが、浮気はそちらでは?」
あまりにイライラしたので、そう言い放てば、フランシス・ヴィージンガーの顔が怒りで真っ赤に染まっていく。
ヒロインは驚いているのか目を丸くしていた。
「自分のことを棚に上げて何を言い出すんだお前は!」
お前に言われたくねぇ。
「いえ、私は仕事で来たのですが、お二人は揃って遊びにきたのでしょう? 流行りのアクセサリーを買いに」
「お前みたいに芋のような女でも流行りは知っていたのだな」
バカかてめぇ、それ流行らせたのは私だ。
こっちも我慢の限界だ、と、今までの不満をすべて出しきってやろうと思ったその瞬間。
「私、そんなつもりじゃありません!」
ヒロインが会話に割り込んできた。邪魔すんじゃねぇよ。
「私は、私はお二人の仲を引き裂くつもりではないのです!」
引き裂くつもりがないやつが二人でイチャイチャデートしてんじゃねぇよ。っていうか別にあんたらが勝手にくっつけばいいと思ってるんだからそんなことどうでもいいんだよ。
「すまない、泣かないでくれ……」
なんかヒロインが泣き出したらしい。迷惑な話だ。
フランシス・ヴィージンガーがこちらを睨みつけているし、私が泣かしたみたいじゃん。
「泣くほどその人が好きなら、お二人で幸せになればいいのではないでしょうか」
呆れてため息をこぼしながらそう言えば、フランシス・ヴィージンガーのガチギレが進む。
「何を言って」
「でも、二人は婚約者同士なのでしょう?」
ヒロインがガチギレ男の言葉を遮りながら首を傾げている。
「一応婚約者ではありますが、そんな常に怒っていらっしゃる人との結婚なんて幸せにはなれないでしょうし」
座っているベンチが小刻みに揺れ始めた。確認することはできないけれど、これはおそらくクリストハルト様が震源だろう。笑ってるんだよな、この人。さっきから。
「お前、俺をなんだと思ってるんだ……!」
厄介な常に半ギレマンだと思っている。
「俺だってお前なんかと婚約したかったわけではない!」
でしょうね。
「無理やり婚約させられて、こっちがどれだけ我慢したと思ってるんだ!」
「その言葉、そっくりそのままお返しいたします」
ガチギレフランシス・ヴィージンガーが、ついに噴火した。
「俺がお前を捨てれば、困るのはマキオン家だろうが! 我が家の支援がなければマキオン家などすぐに潰れてしまうのだからな!」
クソデカい声で怒鳴り始めた。めんどくせー。
「俺はお前の家のことまで考えてこんなに我慢してやってるんだ! それなのにお前ときたら!」
そりゃあもちろん我が家のことを考えて我慢してくれていたのは感謝しかない。
感謝しかないけれども、だ。
我慢していたからこその常に半ギレだったんだとしたら我慢が隠せていない。
別に私も愛想よくしてたわけではないからそこに文句を言うのもお門違いかもしれない。
ただ、これだけは文句を言わせてもらいたい。
気に食わないからといって、今腹がたったからといって、こんな人の目もあるのどかな噴水広場で、私に殴りかかってくるのはやめてくれ。
なぜなら、ガチギレの顔をしているから。
なぜ奴がガチギレなのかはちょっと分からない。
私がここにいたからヒロインとのデートの邪魔だったのか、ヒロインといるところを見られて腹がたったのか。もしくはその両方か。
しかしフランシス・ヴィージンガーの視線がクリストハルト様に向いているところを見るに、私が男といたのが気に食わないのかもしれない。
自分だって女連れてるくせに。まぁでも自分のことは棚に上げる、それが奴の常套手段でもある。
「なんでお前がこんなところにいるんだと聞いている」
なんで、と言われてもなぁ。元々はマリカさんの手伝いでここに来ていたわけだし、仕事で来てるってことになるのだろうか?
しかし今ここで歌っているところを目撃されたわけだし、これは仕事ではないよな。
「なぜ黙っているんだ、浮気女め」
おめぇに言われたくねぇわ。
いやお前にだけは言われたくないわ。お前だって女連れて来てんだろ。
しかもさっきの会話から察するに、お前らマリカさんのアクセサリー買いに来てるだろ。
私は元々仕事で来てるっつーのに、お前らはただイチャイチャしながら遊びに来てるだけだろ。ふざけんなよ。
……と、捲し立てたいところだが、そういうわけにもいかず。
「オーバン家のご令嬢の手伝いのためこちらに来ていました。今は休憩中です」
「令嬢の手伝い?」
「はい。マキオン家の者としての仕事です」
「なるほど、それが浮気を隠すための言い訳か」
あまりにも腹がたったので『ふざけんなよ』と日本語で口走ってしまった。
何を言われたのか分かっていないフランシス・ヴィージンガーはガチギレのまま表情を変えていないけれど、隣のクリストハルト様は顔をそらして笑いをこらえているようだった。
ヒロインも前世の記憶持ちだと思うけど彼女の前世はこの世界の聖女なので、日本語は理解出来ないらしくきょとんとしている。
そのきょとんとした表情が、私は関係ありませんよ、みたいな顔に見えてそれはそれで無性にイライラする。
「お言葉ですが、浮気はそちらでは?」
あまりにイライラしたので、そう言い放てば、フランシス・ヴィージンガーの顔が怒りで真っ赤に染まっていく。
ヒロインは驚いているのか目を丸くしていた。
「自分のことを棚に上げて何を言い出すんだお前は!」
お前に言われたくねぇ。
「いえ、私は仕事で来たのですが、お二人は揃って遊びにきたのでしょう? 流行りのアクセサリーを買いに」
「お前みたいに芋のような女でも流行りは知っていたのだな」
バカかてめぇ、それ流行らせたのは私だ。
こっちも我慢の限界だ、と、今までの不満をすべて出しきってやろうと思ったその瞬間。
「私、そんなつもりじゃありません!」
ヒロインが会話に割り込んできた。邪魔すんじゃねぇよ。
「私は、私はお二人の仲を引き裂くつもりではないのです!」
引き裂くつもりがないやつが二人でイチャイチャデートしてんじゃねぇよ。っていうか別にあんたらが勝手にくっつけばいいと思ってるんだからそんなことどうでもいいんだよ。
「すまない、泣かないでくれ……」
なんかヒロインが泣き出したらしい。迷惑な話だ。
フランシス・ヴィージンガーがこちらを睨みつけているし、私が泣かしたみたいじゃん。
「泣くほどその人が好きなら、お二人で幸せになればいいのではないでしょうか」
呆れてため息をこぼしながらそう言えば、フランシス・ヴィージンガーのガチギレが進む。
「何を言って」
「でも、二人は婚約者同士なのでしょう?」
ヒロインがガチギレ男の言葉を遮りながら首を傾げている。
「一応婚約者ではありますが、そんな常に怒っていらっしゃる人との結婚なんて幸せにはなれないでしょうし」
座っているベンチが小刻みに揺れ始めた。確認することはできないけれど、これはおそらくクリストハルト様が震源だろう。笑ってるんだよな、この人。さっきから。
「お前、俺をなんだと思ってるんだ……!」
厄介な常に半ギレマンだと思っている。
「俺だってお前なんかと婚約したかったわけではない!」
でしょうね。
「無理やり婚約させられて、こっちがどれだけ我慢したと思ってるんだ!」
「その言葉、そっくりそのままお返しいたします」
ガチギレフランシス・ヴィージンガーが、ついに噴火した。
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クソデカい声で怒鳴り始めた。めんどくせー。
「俺はお前の家のことまで考えてこんなに我慢してやってるんだ! それなのにお前ときたら!」
そりゃあもちろん我が家のことを考えて我慢してくれていたのは感謝しかない。
感謝しかないけれども、だ。
我慢していたからこその常に半ギレだったんだとしたら我慢が隠せていない。
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