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第二章 リ,スタート
14 長月 始めてのヒート②
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「大丈夫か、慣れてないんだろ」
お互いに挿れたり挿れられたりと、セックスのことしか考えられないようなこの状況でこの男は何を気にしているのだと紫苑の本能は苛立ちを隠せなかった。
「さっさと挿れればいいだろう。挿れたくて仕方がない癖に。オメガのフェロモンに充てられただけだ。なんでそんなに……そんなにも……」
「冷静なのか、か」
「あなたは被害者じゃないか」
――被害者。紫苑の苦笑いが神無月の心に刺さった。自虐ともとれる悪態に神無月は心臓が縮んでいくような感覚に襲われて、気が付いたら噛んだ唇から血が出ていた。
「オェー」フーフーと息を吐きだすのがあまりにも辛そうで神無月は欲望よりも愛情の方が勝っていく。
「大丈夫か、紫苑君」
突然の吐き気に襲われ胃の中のものが逆流する感覚にうずくまるしかなかった。
「挿れろよ」
いつまでも突っ込んでこない神無月を挑発するように、たけり狂ったペニスを口に咥え、喉の奥まで挿入を繰り返した。
「お願いだから、やめろ、紫苑君」
「オェ、ン――」
何度となく襲う吐き気を飲み込み、到底口には入りきらない巨大なペニスを必死になって奉仕した。眼のふちには涙がたまり今にも零れんばかりだった。
「そんな事してくれなくていいんだ。、紫苑君。無理しなくていい」
なんでこんな状況でこの人は自分のことを気にかけてくれるのだろうと、紫苑は答えを求めるかのように上目遣いで神無月を見た。
「俺がこんな事を言うのが不思議か?」
――こんな事?
「君が可愛くてしかたがないからだ」
「可愛い?僕がですか」
「あぁそうだ。おかしいか?君を好きだと思う俺のフェロモンに充てられたんだ。あの狭い空間で堪らなくいい匂いだと思ったんだろ」
小さく頷いた。
神無月は紫苑の口を指でこじ開け、自身の舌先で歯列の裏側や口内をゆっくりとなぞった。
――愛しいんだと伝えたい。ただその一点だった。
紫苑のゾクゾクとする快感は体の中心から湧いてくるようで、頭の中身までフェロモンに支配されている。とろんとした紫苑の目はそのまま下に移動し、神無月のペニスをじーっと見つめながら必死になって自分のペニスを扱いていた。
「それ無意識なのか、やべーよ、頼む……煽るなって」
「神無月さんのが欲しいよ――、僕の中ぐちゃぐちゃにして欲しい。あなたのがダメならバナナでも何でもいいから、痒いんだよ。欲しいんだよ」
言い聞かせるようにゆっくりと目を見つめ話しかけた。
「俺が君に充てられたんじゃなく、君が俺に充てられたんだ」
――可愛くてたまらない。神無月の言葉が純粋に嬉しい。それなのに神無月に嘘をついた罪の重みで、口を開くも何も言葉は出てこなかった。そんな紫苑を見て神無月はサラサラな黒髪に手を差し込み、愛情を与えるようにゆっくりとキスをした。
「やめてください」
「なぜ」
「貴方に優しくしてもらう資格なんかない」
もともとオメガとしては特異体質だ。神無月のフェロモンに充てられたとは言え時間をかければ少しずつだが会話くらいは出来るようになった。
「まだ中が疼くか」
「神無月さんは?」
神無月は紫苑がオメガだとわかった段階でなけなしの理性でもって抑制剤を飲んだ。今回は自身の体質と過失が生んだ結果だと神無月は判っていたし、それが原因で紫苑を苦しめていることに罪悪感もあった。
「欲しいさ、勿論」
お互いに挿れたり挿れられたりと、セックスのことしか考えられないようなこの状況でこの男は何を気にしているのだと紫苑の本能は苛立ちを隠せなかった。
「さっさと挿れればいいだろう。挿れたくて仕方がない癖に。オメガのフェロモンに充てられただけだ。なんでそんなに……そんなにも……」
「冷静なのか、か」
「あなたは被害者じゃないか」
――被害者。紫苑の苦笑いが神無月の心に刺さった。自虐ともとれる悪態に神無月は心臓が縮んでいくような感覚に襲われて、気が付いたら噛んだ唇から血が出ていた。
「オェー」フーフーと息を吐きだすのがあまりにも辛そうで神無月は欲望よりも愛情の方が勝っていく。
「大丈夫か、紫苑君」
突然の吐き気に襲われ胃の中のものが逆流する感覚にうずくまるしかなかった。
「挿れろよ」
いつまでも突っ込んでこない神無月を挑発するように、たけり狂ったペニスを口に咥え、喉の奥まで挿入を繰り返した。
「お願いだから、やめろ、紫苑君」
「オェ、ン――」
何度となく襲う吐き気を飲み込み、到底口には入りきらない巨大なペニスを必死になって奉仕した。眼のふちには涙がたまり今にも零れんばかりだった。
「そんな事してくれなくていいんだ。、紫苑君。無理しなくていい」
なんでこんな状況でこの人は自分のことを気にかけてくれるのだろうと、紫苑は答えを求めるかのように上目遣いで神無月を見た。
「俺がこんな事を言うのが不思議か?」
――こんな事?
「君が可愛くてしかたがないからだ」
「可愛い?僕がですか」
「あぁそうだ。おかしいか?君を好きだと思う俺のフェロモンに充てられたんだ。あの狭い空間で堪らなくいい匂いだと思ったんだろ」
小さく頷いた。
神無月は紫苑の口を指でこじ開け、自身の舌先で歯列の裏側や口内をゆっくりとなぞった。
――愛しいんだと伝えたい。ただその一点だった。
紫苑のゾクゾクとする快感は体の中心から湧いてくるようで、頭の中身までフェロモンに支配されている。とろんとした紫苑の目はそのまま下に移動し、神無月のペニスをじーっと見つめながら必死になって自分のペニスを扱いていた。
「それ無意識なのか、やべーよ、頼む……煽るなって」
「神無月さんのが欲しいよ――、僕の中ぐちゃぐちゃにして欲しい。あなたのがダメならバナナでも何でもいいから、痒いんだよ。欲しいんだよ」
言い聞かせるようにゆっくりと目を見つめ話しかけた。
「俺が君に充てられたんじゃなく、君が俺に充てられたんだ」
――可愛くてたまらない。神無月の言葉が純粋に嬉しい。それなのに神無月に嘘をついた罪の重みで、口を開くも何も言葉は出てこなかった。そんな紫苑を見て神無月はサラサラな黒髪に手を差し込み、愛情を与えるようにゆっくりとキスをした。
「やめてください」
「なぜ」
「貴方に優しくしてもらう資格なんかない」
もともとオメガとしては特異体質だ。神無月のフェロモンに充てられたとは言え時間をかければ少しずつだが会話くらいは出来るようになった。
「まだ中が疼くか」
「神無月さんは?」
神無月は紫苑がオメガだとわかった段階でなけなしの理性でもって抑制剤を飲んだ。今回は自身の体質と過失が生んだ結果だと神無月は判っていたし、それが原因で紫苑を苦しめていることに罪悪感もあった。
「欲しいさ、勿論」
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