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「え、これ...」

「受け取ってほしい。」

「・・・・・はい。」


そう言うと悠人くんは立ち上がってこっちに来たかと思うとまたギュッと抱きしめてきた。


「断られたらどうしようかと思った。ほんとよかった...」


「悠人くん、ありがとう。」


顔を見合わせる。お互い照れくさくなってまたギュッと抱きしめ合う。


悠人くんと両思いなんだ....


こんな幸せなことがあっていいんだろうか。




「お熱いねぇ~、うまくまとまってよかったよかった!
これお祝いのケーキね!」


あ、蘭さん...

蘭さんのこと忘れて2人だけの世界に入ってたことに恥ずかしくなって慌てて離れる。


「蘭さん、本当にありがとうございます。僕が聞いた時に1回知らないフリしたのも碧くんのためだったんですよね。本当に感謝しています。」


「いや、僕はそんな感謝されるようなことしてないよ。碧くんに来てもらってむしろこっちが助かってたからね。」


「これからのことなんだけど、碧くんはどうしたい?俺としては俺の家に来てほしい。少しでも長い時間一緒にいたい。」

「そうだね、碧くんの好きにしていいよ。僕としてはこの店に居てくれて全然いいし、むしろ居てくれた方が嬉しい。けど、悠人くんと一緒にいた方が碧くんにはいいのかなっても思う。」

「これから....」


このお店、蘭さんにはすっごくお世話になった。ここの空気が大好きで、本当に親切にしてもらってずっと居たいと思うくらいに。でも、悠人くんともう離れたくない気持ちもすっごく大きくって...


「・・・・悠人くんのところに行きたいです。」


「うんうん、それがいいかもね!でも何時でもここにおいでね!悠人くんから逃げ出したくなったらいつでも避難してきていいからね!ここはいつでも碧くんのお家だと思って!」

「蘭さん...ありがとうございます。」

「よかった。蘭さんも本当にありがとうございます。」


「今日はとりあえず悠人くんは碧くんの部屋に泊まったらどう?2人でギリギリ寝れるとは思うんだけど...」

「いいんですか?ぜひそうさせてください!」

悠人くんが泊まる?
今日はもう帰っちゃうのかなと思ってたから嬉しい。

「洋服は、蓮が泊まる時ようにおいてるからそれでも使って。サイズ同じくらいだよね?」

「そうですね。ありがとうございます。」


「蓮...?」

「あれ、知らなかった?蘭さんは九条蓮のお兄さんだよ。」


「え!!知らなかった....」

九条様のお兄さん??

じっと顔を見てみると確かに整ってるし面影がないわけではない。

「ほらほら、そんなに可愛い顔で僕の顔見つめてたら隣の人が機嫌悪くなっちゃうから。僕としては全然いいんだけどね!」

隣の人?機嫌悪くなる?
悠人くんのこと?

悠人くんの方を見てみると苦虫を噛み潰したような表情で、

「余計なこと言わないでください。まあでも確かにいい気分はしないですね。碧くん、早く碧くんの部屋に行こう。」

「え、あ、うん。」

よく分かんないけど早く部屋に行きたいみたいだから連れていくことにした。
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