婚約破棄?とんでもない、私はあなたを愛してる。

流れ華

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打ちのめされる(ルイスside)2

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「突然申し訳ない、レイラ嬢にお会いしたいのだけれど。」

馬から降り、門番に話しかける。
話しかけられた門番はピシッと背筋をただす。

「申し訳ございませんが、レイラお嬢様は誰ともお会いになりません。」

はて、ここの門番とは顔見知りのはずだけど・・・。

「僕が彼女の婚約者でも会えないのかい?」

「申し訳ございません。当主様がお決めになったことですので。」

溜息をつきそうになるのをグッと堪える。
どうやらめんどくさいことは、立て続けに起こるようだ。

(無理矢理にでも中に入るのは簡単だ。けど、その後の面倒くささは労力に見合わない。
あぁもう、面倒だな。)

『いやはや、今日は面白いことがたくさん起こるなぁ!
おっと危ない。』

ニヤニヤと笑う“怠惰ベルフェゴール”の顔面に裏拳を入れ損ねたが、気にしているような暇はない。どうすれば一番面倒なことを回避できるだろうかと策をねる。

「そうか、君に主人の命令を破らせるのは忍びないね。
せめてこれを、彼女に・・・レイラ嬢に渡してくれるかい?」

腰につけている剣の装飾から水晶を外し、それに魔力を流す。

(錬金術の応用で魔力を糧にして・・・)

『ちょ、魔力俺のやつ使うのか。自分のを使えよ。おい聞いてるか?』

怠惰ベルフェゴール”を無視しつつ水晶 に魔力を流していけば、手の中で形を変えていく。
変化がおさまったとき、手の中にあったのは透明な一輪の薔薇だ。
門番はとても驚いたようだが、気にする素振りは見せない。

『即興の錬金術を見ても気にする素振りがないのは、随分訓練されてるな。』

「素晴らしい腕をお持ちですね。流石はルイス様でごさいます。
確かに承りました。お嬢様のお付の侍女に渡しておきます。」

「助かるよ。」

そう言って踵を返そうとした時だった。



「その必要はございませんわ。」

凛と透き通った声が、よく聞きなれた声が、門の奥から聞こえてきた。


「お、お嬢様!?お目覚めになったのですね!!

よかった・・・本当にようございました・・・・・・!」

門番は、先程のよく訓練された兵士と同一人物なのか疑ってしまうほどに今にも泣きそうで、仕事中であるという意識よりも、驚きよりも、その人物が目の前で立っているという嬉しさの方が勝っているようだった。

「レイラ・・・。」

「はい、バフォメット家が三女、そしてルイス様の婚約者、レイラ・クローレンス・バフォメットはここに御座いますわ。」

花の如き彼女は優雅に気高く微笑んだ。

『・・・少女はあんな風だったか?
前は日の元に咲き風に揺れる可憐な白百合の如き乙女だった。だが、今は月光を纏い堂々としている耽美な黒百合のようではないか。』

(雰囲気が、変わった・・・?)

目の前のレイラは普段と変わらない。
だが、何か違う。

『つい先程まで伏せっていた人間とは思えんほど顔色がいいな。』

そうか、普通すぎるのか。

「君が倒れたと聞いて気が気ではなかったけれど、君の姿を見れてよかった。安心したよ。」

そう言って微笑むと、彼女はキョトンとした顔をする。

「そんなに心配してくださったのですか?
私、どれくらい眠っていたのでしょう。」

窓からルイス様の姿が見えて、侍女の話もろくに聞かずに飛び出してきてしまいましたの、と恥ずかしそうにするレイラ。

(やはり、彼女は幸せになるべきだ。)

彼女の笑顔を見て、改めて思う。彼女は愛されるべき女性だ。

「僕は、」


「おや、ルイス殿!これはこれは、わざわざ御足労ありがとうございます!」

遮るようにドスドスと言う効果音が似合いそうな恰幅のいい男性が現れる。

「お父様!?」

レイラの身長の倍はありそうな巨体。何度見ても迫力があり、慣れそうもない。
彼はものすごく驚いた顔をしたが、すぐに優しい顔つきになり、レイラの頭にポンと手を置く。

「私も貴殿と話したいことが山ほどありますが、ここはひとまず娘に譲ると致しましょう。
レイラ、ルイス殿を応接間にお通ししなさい。」

「はい、お父様。」

気のせいではないだろう。彼はまるで仇を見るかのようにこちらを睨み、踵を返す。

(百戦錬磨の第一騎士軍隊長に睨まれるのは穏やかじゃないな・・・)

背中を嫌な汗が伝う。

決して逃げ出す訳にはいかない。逃げ出せもしない。
腹を括るしかないだろう。

(殴られは・・・するかもしれないな。
この軍隊長は王族にすら遠慮しないから・・・。)



To Be Continued・・・・・・
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