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プロローグ
願いは叶えられた
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学校の帰り道、一緒に帰る友達はいないため一人で下校する。
「あ、お見舞い行かないと。」
小走りで家へ向かい、玄関を開ける。
「ただいま。」
「あら、おかえりなさい。七実から電話があってね、ちょうど出かけるところだったのよ。カバン置いてきなさい。」
七実とは蓮也の妹で、蓮也が助けたいと願う人だ。
ちょうど蓮也も行くつもりだったため、是非もない。だが、七実から連絡があるなんて珍しい。まさか、何かあったのか!?
「ふふっ、そんなに怖い顔しなくても大丈夫。七実の声は元気だったし明るかったわ。もしかしたらいいことでもあったのかもしれないわね?」
「それなら良かった・・・。」
わかりやすく肩から力が抜け、気の抜けた顔になっている蓮也を両親は暖かい目で見ている。
「さ、ひと安心したところで七実の好きなシュークリームでも買ってお見舞いに行こうか。」
父親の一言で車に乗り込む。
「母さん、七実はなんて言ってたんだ?」
「それが、《伝えたいことがあるから来て!蓮也を連れてくるのも忘れないでよ!》って言ったと思ったら一方的に切られちゃったのよね。
でも、あんなに生き生きとした七実の声、久しぶりに聞いたわ~。」
「「それ、俺も聞きたかった・・・。」」
父親と蓮也の声がハモった。
蓮也は車に揺られながら、ふと紅月のことを思い出す。
(もしかして・・・?いや、まさかそんなすぐになんて・・・)
大きな総合病院につくまでもんもんと考え続けていた。
期待半分諦め半分病室のドアをノックして、逸る気持ちを抑えながらドアを開ける。
「あっ、蓮也!・・・と父さん母さん。やっと来たね!」
両親はついでかい。
パァっと顔を輝かせて笑顔で迎えてくれる妹、七実。
(俺のことを慕ってくれるのは嬉しいんだけど、父さんのことも気にかけてあげて・・・ショック受けてるから・・・!)
昨日まで塞ぎ込んで死んだ目をしていたとは思えないほど良い笑顔だ。
もしかしてほんとに?と期待で埋め尽くされそうになる。しかし、要らぬ期待はしたくない。
「元気そうでなによりだけど、それで伝えたいことって何?」
(・・・いやいや俺!ちょっと素っ気なすぎるだろ!)
七実は気にした様子もなく、話始める。
「あのね私、また自分の足で走れるかもしれない!」
思わず胸が熱くなる。紅月は約束を守ってくれたのだ!
・・・両親は呆気にとられてしまっている。多分、言葉が飲み込めてない。嬉しいし、驚いているけど頭に理解させるのが難しいみたいだった。
七実は両親を気にせずに話を続ける。
「今日検査があって、そしたらね先生が、腫瘍が見つからないって言ってたの。それで、明日精密検査するんだって!」
蓮也は嬉しくて叫びそうなのを飲み込んで
「良かったな。」
七実の頭を撫でた。
ぽかんとしている父親の手からシュークリームをひったくり、七実に渡す。
ひったくられたことで正気に戻ったのか、両親が七実に駆け寄って良かったねと声をかけている。
次の日の精密検査で七実の身体に巣食っていた癌は(転移していたものも含めて)完全に消失したことが分かった。主治医も驚いていて、「奇跡だ」と言っていた。(まぁ当たり前だが、)何故かは分からないらしい。念の為しばらくは様子を見るそうだが、後遺症のようなものも見つからず、外泊の許可もでた。
両親も七実もとても喜んでいたが、蓮也は代償が気にかかり、少し上の空になっていた。
「蓮也、わかった?」
声をかけられハッとする。
「ごめん、ぼーっとしてて聞いてなかった。」
「明日の結婚記念日の料理、お願いね?蓮也の料理、下手な料理店のものより美味しいもの。」
「うん、わかった。腕によりをかけるよ。」
「俺たちは仕事があるし、七実も外に出られるのは夕方からだから、留守番頼むな。」
「任せてよ。」
笑う両親と嬉しそうな七実を見て、巻き込んでしまうかもしれないことを恐れる。
(七実が治ると思ったら、頭が回らなかったんだよな・・・紅月さんは嘘ついてなかったし。でもちょっと短絡的だったよな・・・)
考え込む蓮也を、両親はメニューを考えていると思っていたが、七実だけはじっと見つめていた。
To Be Continued・・・・・・
「あ、お見舞い行かないと。」
小走りで家へ向かい、玄関を開ける。
「ただいま。」
「あら、おかえりなさい。七実から電話があってね、ちょうど出かけるところだったのよ。カバン置いてきなさい。」
七実とは蓮也の妹で、蓮也が助けたいと願う人だ。
ちょうど蓮也も行くつもりだったため、是非もない。だが、七実から連絡があるなんて珍しい。まさか、何かあったのか!?
「ふふっ、そんなに怖い顔しなくても大丈夫。七実の声は元気だったし明るかったわ。もしかしたらいいことでもあったのかもしれないわね?」
「それなら良かった・・・。」
わかりやすく肩から力が抜け、気の抜けた顔になっている蓮也を両親は暖かい目で見ている。
「さ、ひと安心したところで七実の好きなシュークリームでも買ってお見舞いに行こうか。」
父親の一言で車に乗り込む。
「母さん、七実はなんて言ってたんだ?」
「それが、《伝えたいことがあるから来て!蓮也を連れてくるのも忘れないでよ!》って言ったと思ったら一方的に切られちゃったのよね。
でも、あんなに生き生きとした七実の声、久しぶりに聞いたわ~。」
「「それ、俺も聞きたかった・・・。」」
父親と蓮也の声がハモった。
蓮也は車に揺られながら、ふと紅月のことを思い出す。
(もしかして・・・?いや、まさかそんなすぐになんて・・・)
大きな総合病院につくまでもんもんと考え続けていた。
期待半分諦め半分病室のドアをノックして、逸る気持ちを抑えながらドアを開ける。
「あっ、蓮也!・・・と父さん母さん。やっと来たね!」
両親はついでかい。
パァっと顔を輝かせて笑顔で迎えてくれる妹、七実。
(俺のことを慕ってくれるのは嬉しいんだけど、父さんのことも気にかけてあげて・・・ショック受けてるから・・・!)
昨日まで塞ぎ込んで死んだ目をしていたとは思えないほど良い笑顔だ。
もしかしてほんとに?と期待で埋め尽くされそうになる。しかし、要らぬ期待はしたくない。
「元気そうでなによりだけど、それで伝えたいことって何?」
(・・・いやいや俺!ちょっと素っ気なすぎるだろ!)
七実は気にした様子もなく、話始める。
「あのね私、また自分の足で走れるかもしれない!」
思わず胸が熱くなる。紅月は約束を守ってくれたのだ!
・・・両親は呆気にとられてしまっている。多分、言葉が飲み込めてない。嬉しいし、驚いているけど頭に理解させるのが難しいみたいだった。
七実は両親を気にせずに話を続ける。
「今日検査があって、そしたらね先生が、腫瘍が見つからないって言ってたの。それで、明日精密検査するんだって!」
蓮也は嬉しくて叫びそうなのを飲み込んで
「良かったな。」
七実の頭を撫でた。
ぽかんとしている父親の手からシュークリームをひったくり、七実に渡す。
ひったくられたことで正気に戻ったのか、両親が七実に駆け寄って良かったねと声をかけている。
次の日の精密検査で七実の身体に巣食っていた癌は(転移していたものも含めて)完全に消失したことが分かった。主治医も驚いていて、「奇跡だ」と言っていた。(まぁ当たり前だが、)何故かは分からないらしい。念の為しばらくは様子を見るそうだが、後遺症のようなものも見つからず、外泊の許可もでた。
両親も七実もとても喜んでいたが、蓮也は代償が気にかかり、少し上の空になっていた。
「蓮也、わかった?」
声をかけられハッとする。
「ごめん、ぼーっとしてて聞いてなかった。」
「明日の結婚記念日の料理、お願いね?蓮也の料理、下手な料理店のものより美味しいもの。」
「うん、わかった。腕によりをかけるよ。」
「俺たちは仕事があるし、七実も外に出られるのは夕方からだから、留守番頼むな。」
「任せてよ。」
笑う両親と嬉しそうな七実を見て、巻き込んでしまうかもしれないことを恐れる。
(七実が治ると思ったら、頭が回らなかったんだよな・・・紅月さんは嘘ついてなかったし。でもちょっと短絡的だったよな・・・)
考え込む蓮也を、両親はメニューを考えていると思っていたが、七実だけはじっと見つめていた。
To Be Continued・・・・・・
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