鬼に連れられ異世界へ〜基本俺はついでです〜

流れ華

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プロローグ

月の鬼

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「・・・綺麗ですね。」


「・・・はい?」

蓮也の第一声に、紅月は間抜けな声を出す。

「いやいや、鬼だよ?もうちょっと怖がってもいいんじゃない?」

紅月の言葉に、蓮也はムッとして言い返す。

「思ったことを言っただけなんです。さっきの鬼はなんか禍々しいというか、そんなオーラがありましたけど、紅月さんの角は月光を纏っているみたいで、迫力はありますけど怖いっていう印象は受けないです。ただ、綺麗だなって。」

紅月は思わず片手で顔を覆い、俯いてしまう。

「鬼にとって、角は自分の力と個性の象徴だから、褒められるのは嬉しいんだけど・・・そんなに曇りない目で下心なく、まっすぐ褒められたのは初めてだよ・・・」

紅月の耳がほんのりと赤い。

「紅月さんってクールな印象だったので、照れているのを見るのは意外です。」

「だって、だいたい褒めてくるのは、命乞いか私の体が目当てかのどちらかだったから、純粋に褒められたことなかったんだ・・・褒められるって、ちょっと恥ずかしいんだね。」

そう言った紅月の赤くなった顔は、月に照らされる。

「やっぱり綺麗ですね。」

さらに紅月の耳が赤くなる。


もう一度、まじまじと紅月を見てみる。

腰ほどまである艶やかな銀髪は月光を纏い、深紅の瞳を縁取る睫毛は長く、その額にある角は、初めからそこにある事が当然である様に馴染んでいる。目尻にひかれた魔よけの朱は、紅月の肌の白さと、神聖さを際立たせる。
前にあった時とは違い小袖袴(戦国の頃の武士の私服を思い浮かべてもらえばいい)を着ており、着崩した袂からはサラシがのぞいている。着物は綺麗に保たれており、気崩しているのにもかかわらずだらしない印象は受けない。ただ、この格好で神様と会っていたのかと思うと、少し戸惑う。
袖や裾から除く手足は長く、引き締まったからだには、余計な筋肉や脂肪は存在しない。


全てが、美しい。いや、美しいという言葉では足りない。言葉では、言い尽くせない。じっくりと見れば見るほど、なんと言い表せばいいのかわからなくなる。
(・・・この人は本当に、この世に存在するのか?)

・・・あぁそうか、人ではなかった。
鬼であるから存在できているのか。

(いくら美しくても・・・いや、美しいからこそ鬼なのか。

・・・きっと、人の肉を糧とするのだろう。)


・・・一日。あと一日だけでいいのだ。
両親や七実に、全力で作った料理を食べさせたい。



(あと、片付けたいものも色々・・・)

蓮也は14歳・中学二年生、そういうお年頃である。






「紅月さん。」

真剣な顔つきで話しかければ、紅月の表情も真剣になる。

「俺が払う代償ってなんですか?」

心臓が破裂しそうなほど、早鐘を打つ。
空気が一転し、ピリ・・・と冷たくなる。
(父さん、母さん、七実・・・これで帰れなくなったらごめん・・・!!)


『お前が欲しい』


ずしりと言葉がのしかかる。

(俺は・・・この鬼に“喰われる”)

深呼吸をして、

覚悟を決め、

紅月の紅い瞳をしっかりと見つめ、

「分かりました。」


返事をした。




To Be Continued・・・・・・
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