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第10章 マムシの怨霊退治
2.井戸端会議にて候【前編】
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美濃の国、稲葉一鉄(良通)の居城本郷城では、その日一人の武将が内密に訪れていた。
その武将の名は、氏家卜全(直元)。
道三を支える有能な3人の家来、美濃3人衆の一人と称される彼は、当時美濃の国の中で、その三分の一の領土を持つ最大の勢力を有していた男である。
『氏家殿、本日は我が城へ、御足を運んでいただき、有難うございまする・・』
『大した振る舞いは出来ませぬが、先ずはワシが淹れた茶を、先ずは一服して下され』
一鉄は、狭いながらも、己の趣を取り入れた自慢の茶室に彼を招き入れ、点てたばかりの茶を卜全の前に置いて、そう語りかけた。
『いやいや。事前に連絡もせず、突然お邪魔した無礼、許されよ・・ワシとしてはこうして稲葉殿が、会って下さっただけで感謝しておる』
恐縮しながらも、場を和ませようと、卜全は友好的な笑顔を一鉄に見せた。
『しかし、突然のお運び、何か問題でもありましたかな?』
『・・・・』
卜全は、一鉄の問いかけに答えず、間を置いた。
『イヤ、何、今年は春が来たのに、桜がやけに早く散ってしまったじゃろ・・』
『何か、不気味で不吉な事の前触れの様な気がして・・・』
『我が城に居ると、不安ばかりが募ってのう・・気分を変えるにはと、考えていたら、自然とお主の顔が見とうなってのう』
卜全は、淹れてもらった茶碗を両手で持ち、それをユックリ回しながら、考えをまとめてながら、遠慮している様な、口振りで、そう切り出した。
そして、言いたくても言えなかった事を、勇気を出して口に出したのである。
『・・・お主、前に、殿に諫言してくれたじゃろ』
『その後、お主が、殿からまったくお呼びがかからなくなったのを・・・』
『ワシは、その状況が心苦しくてのう・・』
『ずっとお主とふたりだけで、話し合いたいと思っておったのじゃ』
太い眉毛が特徴の卜全は、その眉毛をハの字にさせ、一鉄の顔を見た。
見ると、一鉄が自分を睨みつけており、卜全は慌てた。
『氏家殿、話し長いですぞ!』
『せっかく点てた茶が、冷めてしまいまする!』
と、一鉄が、怒る様に続けるので、卜全は一鉄の迫力に負けてしまった。
『オオッ、スマヌ・・』
慌てて、卜全は、促される様に、茶を一飲みするが、茶が未だ熱く思わず声がでた。
『アッ、|熱い、未だ熱いですぞ、稲葉殿ォ・・』
『それは、失礼致しました』と、言い、一鉄はニヤリと笑った。
『しかし、これでアイコですぞ・・氏家殿』
『ワシはお主に、ただ、茶が冷めると言っただけ・・』
『茶を飲んだのは貴殿じゃ・・』
『ワシが、殿に、家督の事に関して、諫言したのもまた然り(そうである)。』
『早く、義龍様に家督をと、貴殿が思っておるのはワシも知っていた』
『しかし、ワシが殿に諫言したのは、貴殿に協力したわけではござらん』
『ワシ自身が、意志を思って、した事じゃ』
『人生とは、何事も、言い訳出来ぬ。人のせいには出来ぬのじゃ』
『行った事の結果が、良き時は、己の力と誇り、悪い時だけ、人にそそのかされた等とワシは言いたくないし、人からも言われとうない』
『貴殿もそうでは、ござらぬか?』
一鉄は、ニコリと笑い卜全に問いかける。
『・・・お主の言う通りじゃな』
卜全も合点がいったと笑顔で頷いた。
『それでは、氏家殿の御所望とあらば、今日はとことん、話し合いますかな!』
『誰か居る?酒とツマミを持って参れ!』
『稲葉殿、冷酒で頼む!お主のせいで、舌がやけてしもうたからなぁ』
『ガツハハハ、だから、飲んだのは、貴殿じゃと言うておるではないか・・』
『殿!、お呼びですか・・』
一鉄の家来が、駆けつけ、主の言いつけを確認すると、一鉄は大きい声で申し付けた。
『氏家殿が、冷酒をご所望じゃ・・・冷酒とツマミを、美味いモノを頼む』
二人の密談は、こうして始まった。このように雰囲気は、お互いに気まずさを持っていた状況から、井戸端会議の様な感じに変わったのである。
その武将の名は、氏家卜全(直元)。
道三を支える有能な3人の家来、美濃3人衆の一人と称される彼は、当時美濃の国の中で、その三分の一の領土を持つ最大の勢力を有していた男である。
『氏家殿、本日は我が城へ、御足を運んでいただき、有難うございまする・・』
『大した振る舞いは出来ませぬが、先ずはワシが淹れた茶を、先ずは一服して下され』
一鉄は、狭いながらも、己の趣を取り入れた自慢の茶室に彼を招き入れ、点てたばかりの茶を卜全の前に置いて、そう語りかけた。
『いやいや。事前に連絡もせず、突然お邪魔した無礼、許されよ・・ワシとしてはこうして稲葉殿が、会って下さっただけで感謝しておる』
恐縮しながらも、場を和ませようと、卜全は友好的な笑顔を一鉄に見せた。
『しかし、突然のお運び、何か問題でもありましたかな?』
『・・・・』
卜全は、一鉄の問いかけに答えず、間を置いた。
『イヤ、何、今年は春が来たのに、桜がやけに早く散ってしまったじゃろ・・』
『何か、不気味で不吉な事の前触れの様な気がして・・・』
『我が城に居ると、不安ばかりが募ってのう・・気分を変えるにはと、考えていたら、自然とお主の顔が見とうなってのう』
卜全は、淹れてもらった茶碗を両手で持ち、それをユックリ回しながら、考えをまとめてながら、遠慮している様な、口振りで、そう切り出した。
そして、言いたくても言えなかった事を、勇気を出して口に出したのである。
『・・・お主、前に、殿に諫言してくれたじゃろ』
『その後、お主が、殿からまったくお呼びがかからなくなったのを・・・』
『ワシは、その状況が心苦しくてのう・・』
『ずっとお主とふたりだけで、話し合いたいと思っておったのじゃ』
太い眉毛が特徴の卜全は、その眉毛をハの字にさせ、一鉄の顔を見た。
見ると、一鉄が自分を睨みつけており、卜全は慌てた。
『氏家殿、話し長いですぞ!』
『せっかく点てた茶が、冷めてしまいまする!』
と、一鉄が、怒る様に続けるので、卜全は一鉄の迫力に負けてしまった。
『オオッ、スマヌ・・』
慌てて、卜全は、促される様に、茶を一飲みするが、茶が未だ熱く思わず声がでた。
『アッ、|熱い、未だ熱いですぞ、稲葉殿ォ・・』
『それは、失礼致しました』と、言い、一鉄はニヤリと笑った。
『しかし、これでアイコですぞ・・氏家殿』
『ワシはお主に、ただ、茶が冷めると言っただけ・・』
『茶を飲んだのは貴殿じゃ・・』
『ワシが、殿に、家督の事に関して、諫言したのもまた然り(そうである)。』
『早く、義龍様に家督をと、貴殿が思っておるのはワシも知っていた』
『しかし、ワシが殿に諫言したのは、貴殿に協力したわけではござらん』
『ワシ自身が、意志を思って、した事じゃ』
『人生とは、何事も、言い訳出来ぬ。人のせいには出来ぬのじゃ』
『行った事の結果が、良き時は、己の力と誇り、悪い時だけ、人にそそのかされた等とワシは言いたくないし、人からも言われとうない』
『貴殿もそうでは、ござらぬか?』
一鉄は、ニコリと笑い卜全に問いかける。
『・・・お主の言う通りじゃな』
卜全も合点がいったと笑顔で頷いた。
『それでは、氏家殿の御所望とあらば、今日はとことん、話し合いますかな!』
『誰か居る?酒とツマミを持って参れ!』
『稲葉殿、冷酒で頼む!お主のせいで、舌がやけてしもうたからなぁ』
『ガツハハハ、だから、飲んだのは、貴殿じゃと言うておるではないか・・』
『殿!、お呼びですか・・』
一鉄の家来が、駆けつけ、主の言いつけを確認すると、一鉄は大きい声で申し付けた。
『氏家殿が、冷酒をご所望じゃ・・・冷酒とツマミを、美味いモノを頼む』
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