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#7 綺麗な魔王様は好きですか?
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町から森へと移動して散策する。薬草の描かれたイラストを見ながら、辺りをくまなく探す。1つにつき中銅貨1枚、日本円で100円で買い取ってくれる。
最低5本からでそれ以上ならいくらでも買い取ってくれる依頼だ。
宿が一泊あたり大銅貨5枚、日本円で約2500円なので出来るだけ多く採取しなくてはならない。
依頼以外でもギルドは魔物の素材を買い取ってくれるので、採取しつつ下位魔物でも狩れれば儲けものだ。
ふんふんと鼻歌を歌いながら薬草を摘み取っていく。ルナの格好は侍女の服装だ。持っている服がワンピースと侍女の服だけなので、お金がたまるまでは侍女の服で依頼をこなし、街中はワンピースで過ごす事にした。
薬草を摘んではアイテムボックスへと入れていく。
結構な量が取れた。でもご飯とか冒険用の服が必要なのでもっと採取していきたい。
「あっちに沢山生えてるわね」
薬草が点々と生えているのを摘みながら導かれるように進んでいく。すると少し開けた所に沢山の薬草が生えていた。
「うわ~沢山生えてる!これなら新しい服もすぐに買えそう!!」
一心不乱に薬草を摘んでいく。粗方積むと辺りは日が落ちかけ茜色へと移り変わっていた。
「いけない!もう日が落ちる」
慌てて立ちあがり周囲を見渡すルナ。
「どっちの方向から来たんだっけ…」
バカか私は!初めて来る場所で目印もつけずにあっちフラフラ~こっちフラフラ~って子供かっ!!
ルナは半泣きになりながら体育座りをして木にもたれかかる。周囲はすっかり宵の闇に包まれている。時折鳥の鳴き声(しかもギェーとかいう可愛くもない恐ろしい鳴き声)が響いているし、ガサガサという音にビクリと身体を震わせる。
「お腹…すいた」
さっきからお腹の音が大合唱のように鳴っている。見た目が美少女の為、本当に残念な事になっている。
色々見通しが甘かったなぁ。取り敢えず城から逃げ出す事を最優先にしたから。レイト様がギルドに手を回していなかったらその時点で詰んでる。
今だって道に迷ってこんな状況だし、食べ物も確保出来ていない。
甘ちゃんだなぁ…私。
かなり優遇された能力を持っているにも関わらず、それを生かせていない。むしろあの時にレイト様に助けられて居なかったら…今私は生きていない。
人生最大級の自己嫌悪に陥りながら夜空を見つめる。
その時背後から草を掻き分ける音がした。
「誰!?」
隠密スキルは発動している。自分に気付いているなら相手は格上。ルナは息を潜め、音のした方へ意識を集中させる。
スッと姿を現したのはルナと同じ、漆黒の髪に黒曜石のような瞳の男だった。
綺麗、そんな言葉がピッタリな男は何も言わずにルナの前に立っている。腰位までありそうな髪は銀の紐で緩く1つにまとめられている。
そして何故か手にリンゴを持っていた。
シャクシャク…ゴクン。
地面に座りリンゴを齧りながら隣の男に目を向ける。男は何も言わずに夜の空を見上げていた。
…た、食べにくい
咀嚼音が静寂の中に響き渡る。なるべく音が出ないように食べているが何せリンゴ!!リンゴなのである。
これがお煎餅だったら…バリッボリッと音を立てて食べたのだろうか?
こんなイケメンの前でバリボリと音を立ててお煎餅を食べる図太い神経はありそうにない。そんな事を考えながら兎に角早く食べ終わろうと口をモグモグさせた。
何故こんな状況になっているのか。
ルナにも良く分からない。いきなり近付いてきたかと思えばリンゴを差し出してきたのである。
リンゴと男を交互に見れば、ずい、と目の前にリンゴを突き出された。
更に困惑していると…ほっぺにグイグイとリンゴを押し付けてきたのだ。
「いたっ…いだだだっ!!も、もらいます!もらいますから!!」
という、訳の分からないやり取りをして現在隣同士で座っているのである。無論男はリンゴを食べていない。
普通全く知らない人からもらった物は食べないよなぁ。でも毒は無かったし…それにしても何で喋らないんだろう。
そんな事を考えて男の方を見ればバッチリと目が合ってしまった。
「あ、あのリンゴありがとうございました」
「印…」
「え?」
「印をつけられているから触れられない…」
悲しそうにルナを見つめる男。
「印。…これは勇者の印。そうか、彼の方が早かったのか」
男がルナの首筋のキスマークに触れようとした瞬間、男の手がバチっと弾かれる。
「は?…え?」
「今日はここで引き下がるよ」
そう言うと男はスゥっと消えたのだった。
何…今の…
呆気に取られるルナ。すると、ザッ!と目の前に男が降りてきた。どうやら木の上から飛び降りてきたらしい。
「きゃぁぁ!!?」
「失礼、ルナ様。私はレイト様の配下のクロードと申します。お見知りおきを」
今日1日千客万来なの!?もう疲れてるんですけど。ルナはグッタリと肩を落とした。
目の前の男、クロードはそんなルナの事は気にも止めずに話し始める。
「レイト様の命令によりルナ様の護衛として見守っていました」
聞き捨てならないワードが出てきた。護衛?見守り?それじゃあ鼻歌歌いながらルンルン気分で歩いてて道に迷った事も、体育座りでしょんぼりしてたのも見られていた!?
「レイト様には逐一報告をしています」
クロードはルナの心を読んだかのように答える。
「…そ、それよりも何故今姿を現したんですか?」
ゴリゴリと精神的HPを削られる前に話題を変える。
「魔王がルナ様に接触を図ろうとしたからです」
「は?魔王?」
「先程の男が魔王です」
魔王。配下になれば世界の半分をやろうと言って、はいと答えるとゲームオーバーになったり…あれ?それは竜王だっけか?
まぁ兎に角あれか。世界を混乱に陥れるってやつですよね。
「いや、色々突っ込み所が満載なのですが…」
「そんな訳で取り敢えず道に迷っていらっしゃるようなので城下町までご案内します。魔王が現れなければそのまま放置していたんですけどね。流石にレイト様に叱られますので仕方無くご案内します」
「うん、取り敢えず貴方が私の話を聞かないで尚且つレイト様を大好きなのは伝わったわ…」
「レイト様からは無理に城に連れて来なくてもいいと承っております。ただ、ルナ様の安全を確保しろと命令されていますので、私の事は気になさらずに」
クロードはそう言うと城下町へと歩き出す。ルナは慌てて後を追うのだった。
ギルドへ到着するとルナは、いそいそとカウンターへと向かう。沢山摘んだ薬草を納品する為だ。今回は魔物が出なかった為、薬草だけだがかなりの数になる。
「はい、では確認が取れましたので代金をお支払いします。大銅貨15枚です。枚数をご確認下さい」
そう言うと受付嬢は袋をカウンターへと置く。ルナは袋を取ると中身を数えだした。
「はい、ちゃんとあります」
「ではお納め下さい。お疲れ様でした。今夜はもう遅いです。もし宿を決めていないのならギルドから紹介しましょうか?」
「いいんですか?是非お願いします。まだこの町には詳しくなくて…」
「ギルドのオススメなのでボッタクリに合うこともないから安心して下さい」
宿までの地図を貰うとルナはギルドを出る。するとクロードが控えていた。
「歩きながらでいいんで、どうしても聞きたい事があるのですが」
ルナはクロードに問いかける。
「何でしょうか?」
「よくよく考えたら私の身の安全を確保する任務なのに何故魔王が出てきてもこっちに来なかったんですか?」
「めんど…レイト様の加護がルナ様についているので、死ぬ事はないと確信しておりました」
「今面倒っていいかけましたね!?」
「何の事でしょうか?」
シレッと答えるクロードにルナは思わず頭を抱えるのであった。
最低5本からでそれ以上ならいくらでも買い取ってくれる依頼だ。
宿が一泊あたり大銅貨5枚、日本円で約2500円なので出来るだけ多く採取しなくてはならない。
依頼以外でもギルドは魔物の素材を買い取ってくれるので、採取しつつ下位魔物でも狩れれば儲けものだ。
ふんふんと鼻歌を歌いながら薬草を摘み取っていく。ルナの格好は侍女の服装だ。持っている服がワンピースと侍女の服だけなので、お金がたまるまでは侍女の服で依頼をこなし、街中はワンピースで過ごす事にした。
薬草を摘んではアイテムボックスへと入れていく。
結構な量が取れた。でもご飯とか冒険用の服が必要なのでもっと採取していきたい。
「あっちに沢山生えてるわね」
薬草が点々と生えているのを摘みながら導かれるように進んでいく。すると少し開けた所に沢山の薬草が生えていた。
「うわ~沢山生えてる!これなら新しい服もすぐに買えそう!!」
一心不乱に薬草を摘んでいく。粗方積むと辺りは日が落ちかけ茜色へと移り変わっていた。
「いけない!もう日が落ちる」
慌てて立ちあがり周囲を見渡すルナ。
「どっちの方向から来たんだっけ…」
バカか私は!初めて来る場所で目印もつけずにあっちフラフラ~こっちフラフラ~って子供かっ!!
ルナは半泣きになりながら体育座りをして木にもたれかかる。周囲はすっかり宵の闇に包まれている。時折鳥の鳴き声(しかもギェーとかいう可愛くもない恐ろしい鳴き声)が響いているし、ガサガサという音にビクリと身体を震わせる。
「お腹…すいた」
さっきからお腹の音が大合唱のように鳴っている。見た目が美少女の為、本当に残念な事になっている。
色々見通しが甘かったなぁ。取り敢えず城から逃げ出す事を最優先にしたから。レイト様がギルドに手を回していなかったらその時点で詰んでる。
今だって道に迷ってこんな状況だし、食べ物も確保出来ていない。
甘ちゃんだなぁ…私。
かなり優遇された能力を持っているにも関わらず、それを生かせていない。むしろあの時にレイト様に助けられて居なかったら…今私は生きていない。
人生最大級の自己嫌悪に陥りながら夜空を見つめる。
その時背後から草を掻き分ける音がした。
「誰!?」
隠密スキルは発動している。自分に気付いているなら相手は格上。ルナは息を潜め、音のした方へ意識を集中させる。
スッと姿を現したのはルナと同じ、漆黒の髪に黒曜石のような瞳の男だった。
綺麗、そんな言葉がピッタリな男は何も言わずにルナの前に立っている。腰位までありそうな髪は銀の紐で緩く1つにまとめられている。
そして何故か手にリンゴを持っていた。
シャクシャク…ゴクン。
地面に座りリンゴを齧りながら隣の男に目を向ける。男は何も言わずに夜の空を見上げていた。
…た、食べにくい
咀嚼音が静寂の中に響き渡る。なるべく音が出ないように食べているが何せリンゴ!!リンゴなのである。
これがお煎餅だったら…バリッボリッと音を立てて食べたのだろうか?
こんなイケメンの前でバリボリと音を立ててお煎餅を食べる図太い神経はありそうにない。そんな事を考えながら兎に角早く食べ終わろうと口をモグモグさせた。
何故こんな状況になっているのか。
ルナにも良く分からない。いきなり近付いてきたかと思えばリンゴを差し出してきたのである。
リンゴと男を交互に見れば、ずい、と目の前にリンゴを突き出された。
更に困惑していると…ほっぺにグイグイとリンゴを押し付けてきたのだ。
「いたっ…いだだだっ!!も、もらいます!もらいますから!!」
という、訳の分からないやり取りをして現在隣同士で座っているのである。無論男はリンゴを食べていない。
普通全く知らない人からもらった物は食べないよなぁ。でも毒は無かったし…それにしても何で喋らないんだろう。
そんな事を考えて男の方を見ればバッチリと目が合ってしまった。
「あ、あのリンゴありがとうございました」
「印…」
「え?」
「印をつけられているから触れられない…」
悲しそうにルナを見つめる男。
「印。…これは勇者の印。そうか、彼の方が早かったのか」
男がルナの首筋のキスマークに触れようとした瞬間、男の手がバチっと弾かれる。
「は?…え?」
「今日はここで引き下がるよ」
そう言うと男はスゥっと消えたのだった。
何…今の…
呆気に取られるルナ。すると、ザッ!と目の前に男が降りてきた。どうやら木の上から飛び降りてきたらしい。
「きゃぁぁ!!?」
「失礼、ルナ様。私はレイト様の配下のクロードと申します。お見知りおきを」
今日1日千客万来なの!?もう疲れてるんですけど。ルナはグッタリと肩を落とした。
目の前の男、クロードはそんなルナの事は気にも止めずに話し始める。
「レイト様の命令によりルナ様の護衛として見守っていました」
聞き捨てならないワードが出てきた。護衛?見守り?それじゃあ鼻歌歌いながらルンルン気分で歩いてて道に迷った事も、体育座りでしょんぼりしてたのも見られていた!?
「レイト様には逐一報告をしています」
クロードはルナの心を読んだかのように答える。
「…そ、それよりも何故今姿を現したんですか?」
ゴリゴリと精神的HPを削られる前に話題を変える。
「魔王がルナ様に接触を図ろうとしたからです」
「は?魔王?」
「先程の男が魔王です」
魔王。配下になれば世界の半分をやろうと言って、はいと答えるとゲームオーバーになったり…あれ?それは竜王だっけか?
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クロードはそう言うと城下町へと歩き出す。ルナは慌てて後を追うのだった。
ギルドへ到着するとルナは、いそいそとカウンターへと向かう。沢山摘んだ薬草を納品する為だ。今回は魔物が出なかった為、薬草だけだがかなりの数になる。
「はい、では確認が取れましたので代金をお支払いします。大銅貨15枚です。枚数をご確認下さい」
そう言うと受付嬢は袋をカウンターへと置く。ルナは袋を取ると中身を数えだした。
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「歩きながらでいいんで、どうしても聞きたい事があるのですが」
ルナはクロードに問いかける。
「何でしょうか?」
「よくよく考えたら私の身の安全を確保する任務なのに何故魔王が出てきてもこっちに来なかったんですか?」
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