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004*

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「眼福だったな」

 勇者が意識を失った瞬間、そう言ってむくり、と起き上がったのはメルヘンな花畑に寝転がっていた男だ。
 魔王城の主、ルキフェール。
 つまり魔王である。

 腰まである銀髪をなびかせ、その長い脚を動かして、転がった読みかけの本もそのままにゆっくりと勇者へと近付く。

「我ながら悪趣味なものを創り出したと思っていたが……。しかもお前は勇者の処女しか好まぬから使い道がないと確信していたんだがな。歴代勇者の中でもまさか一番遊んでいそうな顔をしたこの男が処女とは。……ふむ。良い仕事をした。処分はやめよう」

 ルキフェールが言うと巨大植物が返事をするように嬉しそうに他の葉を震わせ、触手を蠢かした。
 その様子にルキフェールはす、と手を上げ、追い払うような合図をしてみせる。
 すると触手は気絶している勇者の身体を慎重に地面に置くと、彼の陰部に潜り込んだものたちを一斉に引かせた。
 衝撃にちいさく呻いた勇者の瞼がぴくりと震えたが、意識を取り戻す様子はない。
 葉を震わせていた巨大植物も定位置に戻ると元の動かぬそれにかわり、魔王は満足気に目を細めた。
 
 素っ裸の勇者を見下ろし、膝をついて彼の涙で濡れた頬を撫でる。
 しどけなく開いた口も足にも粘液と体液が散り、鍛えられた若い肉体に映えてなんとも淫靡な姿だ。
 ルキフェールはしばし無防備ないやらしい裸体を眺め、おもむろにその足の間に割り込み、当然のように自身の下衣を寛げた。

「中々に興奮した。顔も私好みで可愛いし、身体も鍛えられていてすぐには壊れなさそうでなんとも有難いことだ。すまないな、新たな勇者よ。……私は据え膳を前に我慢はせぬ」

 大真面目な顔をしながらとんでもないことを言ってのけた魔王は、気絶した勇者の足を軽々と抱え、濡れそぼったその穴に自身を押し当てた。
 弛緩している勇者のそこは、ぬちゅりと卑猥な音を上げて先程まで犯されていた快楽を追うように魔王の熱を歓迎するかのように収縮する。
 ルキフェールは躊躇もなくその身を進めた。
 魔王の逞しく反り返ったそれは、先程の触手の蔦たちよりも遙かに太い。だが勇者の蕾は少しの抵抗をしながらも、確実にルキフェールを食んでいく。
 その灼熱が勇者の敏感な部分を通り過ぎたとき、内部が歓喜したように震えて、ルキフェールを締め付ける。ぐにぐにと蠢くそこに眉を寄せると、衝撃で目を覚ました勇者がぼんやりとした目でこちらを見上げた。
 ぽってりとした唇が、ちいさく戦慄く。銀髪の男にのし掛かられていることに混乱したような顔つきで、勇者が声を上げた。

「……ぁっ? な、ん、あ、あ、なにっ、ァああ……ッ!」

 だがルキフェールは彼が状況を飲み込むより早く、律動を開始した。
 肉厚の壁が魔王を包み込み蠕動する動きに、我慢ならなかったのだ。目眩のするような快感だった。
 遠慮なく身体を揺らされ、勇者もまた抵抗を忘れ、感じた事のない圧迫感と強烈な快感に嬌声を上げる。
 先程の妙な植物よりも太くて熱くて、なによりも敏感な部分を的確に突いてくるのだ。
 尻の奥がせつなくて、中心が勝手に立ち上がっていく。

「あ、ア、おま……っ、さっき、のっ」
「うん? ああ、狭いな……良く締まる」
「ひっ……ア、あ、あっ、ま……ッ、おっき、くるし……!」

 ルキフェールの長い指が膝裏を掴み腰が浮くほど足を上げられ、上から叩きつけられるように奥深くを抉るその剛直に、勇者は逃げることも出来ずに頭を振った。
 ずろ、と大きなそれが出て行き、同じ速さで内部へ入る度に信じられないくらいの快感が襲う。
 尻を高く上げられているせいで出入りするものも飲み込んでいく穴も勇者からよく見えて、羞恥と妙な興奮でぶるぶると全身が震える。
 長大なそれが中心の裏を通り過ぎる感覚は感じた事のない気持ち良さだ。先程の触手が粘液を出していたおかげかそこはぬるぬると魔王を柔らかく締め付け、何とも言えない水音を絶えず出している。

「こん、な……っ、やめ、やめろ……っあああっ」
「ここまで乱れておいて何を言う。先程から垂れ流しだぞ」

 ぬる、と中心の先端に触れられ勇者は身体を強張らせた。
 その時初めて自分が射精していたのだと気付き、思わずその部分に目をやって、あまりのいやらしさに言葉を失くした。
 たらたらと力なく先端から噴き出た白濁が腹を伝い、胸元まで垂れている。

「……し、しんじゃう、しんじゃ……っ」
「まだだ。まだ。 ……ほら、このままでもイケるだろう」

 尻肉を打つ音が激しくなり、勇者は喘ぐ事すらままならず全身を強張らせた。
 ぎゅう、と魔王を包みうねりを上げる内部に、ルキフェールが唇を噛み締め動きを止める。
 びくびくと互いに全身を震わせて絶頂し、勇者は内部を濡らすその感覚にまた得体の知れぬ悦楽を感じながら体をひくつかせた。







「……もしかして魔王さんですか?」
「如何にも」

 素っ裸で寝っ転がったまま、身支度を整えている銀髪の男に声をかけるとそいつは何でもない風に答えて立ち上がった。
 赤い瞳が俺を見下ろして、恐ろしいくらいに端正な顔立ちが視界に入る。
 髪の毛に小さな花をつけたままなのはあそこに寝転がっていたからか。なんとなく格好がつかない男だ、と思いながら俺はふと重大な事実に気付く。

「も、もしかしてあの触手にやられてたの見てたのか……?」
「バッチリと。貴様は中々にエロい。大変私好みである。どうだ、私の物に」
「死ねええええ!」

 飛び起きた俺は即座に魔法を打ち込み、地面に転がっていた大剣に駆け寄った。
 素っ裸だがこの際どうでもいい。
 こいつを生かしては帰れない!

「……まったく、話は最後まで聞くものだ」
「!」

 魔法攻撃で粉塵が上がったその部分が晴れていくと、先程と変わらず髪の毛に花をつけたままの魔王が呆れた口調で言ってのけたので驚愕する。
 というか無表情なのはデフォなのか。気持ち悪い。

「だ、誰がお前の話など聞くかよ! ていうか俺はお前を倒しに来たんだ、今ここでっ」
「なに、そう急ぐな。貴様は私好みなのだ。可愛がることにしている」
「はぁ?!」

 ヒュ、とあっという間に傍に来た魔王が俺の腰を抱き歩き出そうとするもんだから、その素早さにも驚いた俺はただただ目を見開いた。
 強い。
 冗談抜きで、強い。

「あれと戯れていた貴様は素晴らしかった。仲間たちも鼻血を出して見ていたぞ。私も充分に愉しませてもらった。勿論貴様のその愛らしい蕾の中も文句なしに素晴らしかったし……」
「仲間が見てた……?」

 饒舌に喋る魔王にドン引きしながら、聞き捨てならない言葉を聞いた気がして立ち止まる。
 魔王はそんな俺を不思議そうに見下ろして、ああ、と頷いて顎をしゃくる。
 その視線の方向へ俺はゆっくりと振り向いて、わなわなと唇を震わせた。

「ミカ……! 私が初めての相手のはずだったのに……!」
「ミカ! 無事か! 触手姦なんてかわいそうだったけどぶっちゃけ童貞には刺激が強すぎた! ありがとう!」
「だから言ったでしょうミカ! 私達が先に鍛えていれば……!」
「すんごく綺麗でしたよミカ! 僕見ながら何回もシちゃいました!」

 捨ててきたはずの仲間たちが鼻血の痕もそのままに、少し離れた森の中から俺に叫んできて、一気に顔に熱が溜まる。

「う、うわああああ! お前ら全員死ねええええええ!」

 絶叫して転がっていた自分の衣服を掴み、走り出した。

「待ってミカ! 僕たち魔王の結界でこの先には行けないんだ!」
「そっちは魔王の城ですよ!」
「ミカ、結界を解く協力を……!」
「ミカ……!」

「ふむ。貴様、ミカという名なのか。よかろう。私の城は素晴らしいぞ。伴侶となれば贅沢もできるし、過去の勇者たちも何人か仕えている。寂しくはないだろう」

 走っている俺の横をスーっとついてくる銀色の男に恐怖しながら、贅沢、という言葉に思わず足を止めた俺に罪はないはずだ。

「……贅沢できんのか?」
「如何にも。私の伴侶になれば働かなくとも良い。このあたりは美味な物も溢れていて、城にいる者たちがつくる酒もまた、旨いぞ」

 スラム育ちでろくでなしだった俺。
 もう二度と金のために身を削りたくないし、誰かに頼られたくもない。
 ので、思わず縋るように魔王を見上げて、その真面目くさった無表情にいや、待て、と思いとどまる。

「だが伴侶となったあかつきには毎晩私の相手をせねばならんがな。しかしミカは大変えっちな体をしているので問題なかろう」
「きめえな、死ねよ」

 吐き捨てて俺は先程からさりげなく展開していた魔法でその場を去った。

 いやこの大魔法、時間かかるし魔力も八割持っていかれるので普段は全然やらないんだが、やっぱり使う時って来るんだなって思った。








終わり



【登場人物】

勇者   ミカ  24歳 元犯罪者
聖騎士  ラグル 26歳 残念男前
黒魔導士 ゼラ  22歳 色白美人童貞
白魔導士 レミエ 16歳 純白の性欲魔神
召喚士 ヨフィール23歳 バター犬使い

魔王 ルキフェール ??? 無表情鬼畜ド変態
触手 ???    ??? 魔王の創作ペット
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みんなの感想(3件)

コーヤダーイ
ネタバレ含む
星井
2019.12.22 星井

その通りです!(笑
コーヤさんいつもありがとうございます^^

解除
爺誤
2019.12.20 爺誤

仲間たちのド変態っぷり好きです。頑張れ勇者君。せっかく逃げても触手に捕まって最高です!

星井
2019.12.20 星井

ありがとうございます!
もうしばらく勇者君の不遇をお楽しみください!w

解除
辺路 那伊
2019.12.18 辺路 那伊
ネタバレ含む
星井
2019.12.19 星井

こちらこそお読みいただきありがとうございます!
気合い入れていかがわしいシーンの改稿をすすめたいとおもいます!(笑

解除
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