見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月3日

椚田図書館

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火が消し止められた後、私達は真っ直ぐと椚田図書館へ向かう事になった。

原は私の横でタブレットを眺めながらスタスタと歩く。今回の大規模火災がもうネットのニュースのトップに載っているのだ。

「負傷者1000人の死者400人。火災の原因は中高生の一人が植木に向かってライターで放火した事だってさ。

・・・あ!!柳田図書館も壊滅だってよ!!」

「嘘でしょ!?」

「スタッフや中にいた奴らの安否はまだ不明らしい。・・・心配だな。」

それは今回の大規模火災を身を持って経験した私の想像を遥かに上回る惨劇だった。この小さな町でそんなに沢山の命が失われたなんて。

更に暫く歩いて行くと、豪勢な庭が着いた巨大な施設が見えてきた。

「うし、着いたな。」

「・・・着いたね。」

私達は何とか椚田図書館に到着した。ここ、椚田図書館は東京の中で最も大きな図書館だと言われており、1日での利用者は1500人を優に上回るという。

あの場所から500メートルほど苦労して歩いて来たが、私は素直に喜べなかった。何故なら門の前に信じられないほどの人だかりができていたからだ。

私と原は人混みを押し退けて綺麗な白い門をくぐった。すると図書館とは思えないほど大きな庭には大きなブルーシートが敷かれ、そこには顔を白い紙で覆われた沢山の人達が寝かされていた。この火災の犠牲者だ。

「酷い。」

「ああ、亡くなったのは中高生だけじゃなくて関係の無い年寄りや小さい子供も含まれてるんだって。」

ニュースを読んでいた原が顔をしかめながら言い、そして手を合わせた。

本当に関係の無い人達ばかりじゃない。何でこの人達が犠牲にならなきゃいけなかったの?ほら、私のすぐ近くにいる小さな女の子だって・・・

あれ?この子どっかで見た事あるな。

「優花!!」

後ろから名前を呼ぶ声が聞こえてきた。そしてその女性は私が見ていた女の子に泣きついた。この子の母親か。

「ねえ優花!!どうして死んじゃったの!?いやあああああ!!」

可哀想に・・・。

すると、母親の横にいたレスキュー隊の人がこう言った。

「この子の上に覆い被さっていた瓦礫をどけたら、手には消化器が握られていました。正義感が強い娘さんだったのでしょう。大変無念です。」



消化器?

え?

じゃあまさかこの子って・・・。

「最後にお顔を見てあげて下さい。」

レスキュー隊の人が顔に被せてある紙を取った。すると・・・




全てを悟った私はただ黙ってその場に立ち尽くしていた。星型のペンダントを握り締めながら。







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