53 / 93
9月3日
しんじる
しおりを挟む模試が終わってしばらくした後、私達5人は図書館内の二階のロビーで緊張した面持ちでバーコードを握り締めていた。いよいよ私にとって二度目の偏差値が明らかになるのだ。
「はあーやばい!偏差値下がってたらどうしよう!」
「あっはははは!大丈夫だろあんなに勉強してたんだから!」
「えー!そうかなー・・・?」
原に励まされてもやっぱり不安・・・。
「ふふん、山口さんたら肝が据わっていませんわね!私はきっと大丈夫ですわ!」
「とか言ってるがな伊集院よ、お前も物凄く震えてるぞ!」
「バイブみたぁーい!それかロー・・」
「じゃかあしいわ!!お前らだってそうだろ!?」
「ヒイッ!!キレた!まあそうだけども!」
「伊集院ちんこわぁーい!」
この様に、みんなでわいわいしながら待っていると、年配の女性の試験監督がロビーに入ってきた。
「はいはいみなさーん、静かにして下さい。偏差値開示を始めますよー!」
来たああああああ!!
「では、今からこの機械にバーコードをスキャンしてもらいます。やり方は分かるかしらー?」
「「「はい!」」」
「はいオッケー!あっ、そうだ!怪我人の手当てとかで大分時間が時間が押しちゃってるから、早めに見ちゃってね!」
試験監督が合図を出した。すると一気に楽しい雰囲気だったロビーが緊張に包まれる。
「・・・じゃあ、時間かけたら試験監督のおばちゃんに悪いからさ、チームから一人ずつ代表が競うってのはどう?そもそも偏差値って競うものじゃ無いからさ。河野と澤田だってゆっくり自分の結果を見たいだろ?」
原がそう言うと、その二人は顔を赤くして軽く頷いた。
「おーし、そっちは、誰出るー?」
そして優艶高校の三人組に目を向けた。すると・・・
「では、私が行きましょう!」
伊集院が大きく手を挙げて名乗り出た。
「伊集院、頼んだぞ。」
「ファイトぉー!おー!」
「ふふっ、ありがとうございます。」
残りや二人もしっかりと認めていた。
「向こうは決定だな。
山口、頼んだぜ!」
原は指でピストルの様な形を作って私のおでこに向けてしっかりと指を差した。
「・・・おっけ。任せて!」
私はそれに応えるかの様に原の肩に手を置いた。
「じゃあ二人共、機械の前へ。」
原が緊張した面持ちで言った。私と伊集院は同時に機械に歩み寄った。
「私はもう何も怖くありません!だって私はこんなに頑張っているんだから!」
「・・・私もだよ!大事なきっかけをくれてありがとう。」
「・・・おーし!準備は良いか?せーのでいくぜ?
せーの!!」
私と伊集院は原の合図に合わせてバーコードをスキャンした。画面には『分析中』の文字が浮かんでいる。
大丈夫。努力は必ず実っているはず。
さあ、点数開示だ!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる