見切り教育

ラッキーセヴァン

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9月4日

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9月4日 午後6時30分

テーブルの上には沢山の料理が並べられている。感心していると支配人が言った。

「明日はいよいよ原さんの任務が終了します。成功する事を願って・・・

かんぱーい!!」

「「「かんぱーい!!」」」

私達はジョッキグラスをぶつけ合った。

明日はいよいよ任務終了。長い様で短かったなあ。

グラスのなかのコーラを飲みながら、原と歩んだ今日までの事を頭の中で思い返す。

「山口、いよいよ明日、だな。」

ドキッ!!

心臓が大きく高鳴った。その後も引き続きドッドッドッドッと連続して大きく脈を打つ。

どうしよう。さっきの一件以来、まともに原と目が合わせられない!

さらに極め付けは、大好きな原・・・いや、悠たまのあんなシーンを見てしまった若いメイド達が嫉妬をしてこちらを鋭く睨み付けて来るのだ。

「な?山口?・・・おいどうしたんだよ!!」

うわっ!顔が近い!

「うえああああああああ!!」

「山口さん!?どうなされました?」

支配人が私の安否を確認して来た。

「い・・・いいえ、何でも。」

「ああ、良かった。取り皿でも落としたのかと思いましたよ。」

「「「クスクスクス・・・」」」

「陰キャ。」

「止めなって!聞こえるよ?」

最悪だ。傷まみれになりながらわざわざここまで来たのにこんな仕打ち無いだろ・・・。現に服の下は包帯でグルグル巻き。ほっぺには湿布が貼ってある。

「あの、山口、やっぱ怒ってるよな。こっちの都合でこんな危険に晒して。」

「い、いや、そんな事は気にして無いよ。」

私が気にしてるのそこじゃ無いから。さっきのアレ。

「でもさ、山口。俺、今日までお前と一緒に過ごせて楽しかったぜ。人質だけど。」

・・・楽しかった?

私はその言葉に戸惑った。こんな事を言われたのは初めてだから。今までの経験もあって幾らお人好しの原の言葉でも、やっぱり心からは信用は出来ない。でも私はもし、それが本当だったらという事を仮定して、彼に本心を伝えた。

「私も楽しかったよ。外に連れ出してくれてありがとう。人質だけど。」

「・・・一言多いわ!」

「あんたが先に言ったんでしょ!?」

「・・・あと1日、よろしくな、相棒。」

「・・・よろしく。」

私と原はジョッキグラスをカチンとぶつけた。

「ゆ・・・悠たま!私ともやって!」

「私も私も!」

「私が先いいい!」

ムードぶち壊し・・・。

「分かった分かった!やる!やるから一列に並べ!」

「うわっ!コーラが跳ねた・・・。」

みんなでドタバタと騒いでいると、ピロン、と聞き憶えのある音が鳴った。原のSNSだ。それと同時にみんなが静まり返る。

「あっ、すいませーん!俺のだわ。えーと・・・

えっ!?」

「な・・・何!?」

「闇野の奴・・・

政府のウイルスを消す事が出来る薬を開発したんだって!!」

「「「え・・・えええええええええええええええええっ!?」」」

何それ!?









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