見切り教育

ラッキーセヴァン

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終わらせない

国会

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がんっ!!がんっ!!

「どけどけどけー!!死にたく無かったら道開けな!!」

原も私と同じ様に周りに必死に訴えかけながら周りを蹴落としていく。

「ねえ!!国会まだ見えないの!?」

「くっそ!!大丈夫!あと少し!!あと少しだから!!」

バアンッ!

「きゃああああああああ!!」

「・・・こっちの道は駄目だ!!横に逸れるぞ!!」

「ううっ・・・ううう。」

私と原は少しずつゴールへ近づいていく。

「てめえらだけ抜け駆けかよ!?」

「ふざけんじゃねえ!!」

突然、ヤンキーに話しかけられた。

「ち・・・違うの!!抜け駆けとかじゃなくて・・・」

「言い訳すんじゃねえよ!!・・・あっ!!俺お前の事知ってるぞ?最近変な男とこの辺一緒にウロついてる奴だよな?」

「偏差値も一瞬で70超えさせたってこの辺で有名だよ?」

ヤンキー二人は私の話を聞いてくれない。聞かないどころか『偏差値70』という地雷ワードまでしっかりと握っている。

「てめえ生意気だ!!ここで死ぬならてめえをここで痛めつけてやる!!」

「覚悟しな!!」

ヒイッ!!このままだと殺される!!

どすっ!!

「うわっ!」

「ひいっ!」

「大丈夫か山口!!」

「うん・・・大丈夫ううう・・・」

「泣くなよ!良かった良かった。・・・ゴホッゴホッゴホッ!!」

「え・・・?何、どうしたの?」

原が急に咳き込み出した。

「うわっ!!喉がイガイガする!!」

「ゴホッゴホッ!!」

周りの人達も咳き込む。

まさか。

「原!!ここは危険だよ、早く前に行こう!!」

私は原の腕を引いて急いで周りの人を掻き分けてそこから遠ざかった。すると・・・

バアンッ!!

真後ろで破裂音が鳴った。

やっぱり。

「原、これはウイルスだから吸い込んだら風邪菌と一緒で咳が出るんだよ。だから周りの人達が咳き込み出したら危険って事!!」

「・・・山口。お前やっぱり凄えよ。」

「・・・凄い?何が?」

「だってお前賢いしさ!当たり前の事だけどこうやって細かく分析出来るのって凄い事だと思うぜ!!」

・・・・・・。

「そっか。凄いか。」

「おう!凄えよ!いいなー、俺もこんな風に賢くなりたかったよ・・・あっ、ちょっとだけ前行こうぜ!」

原はそう言いながら私を少しずつ前に向かわせる。

そうか。後ろを見せない様にしてるんだ。優しいな。こいつはどこまで優しいんだろう。

「よし!じゃあ、咳がする方向を避けて国会に向かうぞ。」

「・・・うん。」

「・・・山口、さっきも言ったけど、敢えてもう一回言う!!

この国はな、時に人の事を蹴落とさなきゃいけない事があるんだ。今みたいな受験だってそうだし、仕事だってそう。でもさ、仕事も受験もたった一回失敗したくらいじゃ死なねえだろ?でも・・・今蹴落とさなきゃ失敗する未来さえ来なくなるんだ!!失敗すら出来なくなるんだぞ!!

この国は蹴落としてナンボ!競争してナンボなんだ!」

私は原の言葉にハッとした。そうだ。私にはまだやらなきゃいけない事がある。

「分かった!!やろう!!」

「・・・その意気だ。」

原は私の涙を拭った。



「どいてください!!どいてください!!」

私は再び鉄パイプを振り回しながら国会へと向かう。

「は!?何あいつ!!キモいんですけど!!」

「「ぎゃははははははは!!」」

周りの罵声や笑い声を避けて、私はただひたすら走った。

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!」

「山口!こっちは駄目だ!左行くぞ!」

バアンッ!!

「ぎゃあああああああ!!」

「もうやだよおおおおおおおお!!」

目からは涙が止まらない。それでも前に進まなきゃ。


未来の為に。


「・・・おい!見てみろ山口!」

「・・・あっ!」

目の前に建物が見える。

「国会だ!!あと一息だぞ!!」

「やったあああああ!!」

ようやくだ。ようやく着いた。国会だ。もう30分ぐらい揉まれていただろうか。

「よしよし!まだ油断するなよ!」

「どいてください!!どいてください!!」

ここまで来たらあとはもう簡単だった。放送の声の主も国会の前までは目が届いていなかった様で、あっさりと建物の入り口に繋がる階段のところまで着いてしまった。

「ゴール!!」

私は涙を流しながら階段に倒れ込んだ。しかし・・・

「いや、まだゴールじゃねえ。」

原が真顔で遠くを見た。

バアンッ!バアンッ!!

「ぎゃああああああああああ!!」

「・・・うぇっ。」

私はとうとう吐き気を覚えてしまった。

「おいおい大丈夫か!・・・畜生、放送主は一体どこにいるんだ!」

私と原は途方に暮れた。

「うえっ・・・うええ・・・」

吐き気を抑える為に階段を降りて上を向く。

うん?何あれ?

二階のベランダの様なところで一人のマイクを持った男の人がノリノリで何かを喋っている。あれっ?しかも何処かで見た事がある。もしかして・・・

「・・・運転手?」

「はっ?何が?」

原と言葉を少し交わしたその時・・・

『ん?何だお前ら!!』

気付かれた!やばい、ピンチだ!!

『お前ら、

痛い目見せてやるぜ!!』












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