見切り教育

ラッキーセヴァン

文字の大きさ
72 / 93
終わらせない

国会

しおりを挟む

がんっ!!がんっ!!

「どけどけどけー!!死にたく無かったら道開けな!!」

原も私と同じ様に周りに必死に訴えかけながら周りを蹴落としていく。

「ねえ!!国会まだ見えないの!?」

「くっそ!!大丈夫!あと少し!!あと少しだから!!」

バアンッ!

「きゃああああああああ!!」

「・・・こっちの道は駄目だ!!横に逸れるぞ!!」

「ううっ・・・ううう。」

私と原は少しずつゴールへ近づいていく。

「てめえらだけ抜け駆けかよ!?」

「ふざけんじゃねえ!!」

突然、ヤンキーに話しかけられた。

「ち・・・違うの!!抜け駆けとかじゃなくて・・・」

「言い訳すんじゃねえよ!!・・・あっ!!俺お前の事知ってるぞ?最近変な男とこの辺一緒にウロついてる奴だよな?」

「偏差値も一瞬で70超えさせたってこの辺で有名だよ?」

ヤンキー二人は私の話を聞いてくれない。聞かないどころか『偏差値70』という地雷ワードまでしっかりと握っている。

「てめえ生意気だ!!ここで死ぬならてめえをここで痛めつけてやる!!」

「覚悟しな!!」

ヒイッ!!このままだと殺される!!

どすっ!!

「うわっ!」

「ひいっ!」

「大丈夫か山口!!」

「うん・・・大丈夫ううう・・・」

「泣くなよ!良かった良かった。・・・ゴホッゴホッゴホッ!!」

「え・・・?何、どうしたの?」

原が急に咳き込み出した。

「うわっ!!喉がイガイガする!!」

「ゴホッゴホッ!!」

周りの人達も咳き込む。

まさか。

「原!!ここは危険だよ、早く前に行こう!!」

私は原の腕を引いて急いで周りの人を掻き分けてそこから遠ざかった。すると・・・

バアンッ!!

真後ろで破裂音が鳴った。

やっぱり。

「原、これはウイルスだから吸い込んだら風邪菌と一緒で咳が出るんだよ。だから周りの人達が咳き込み出したら危険って事!!」

「・・・山口。お前やっぱり凄えよ。」

「・・・凄い?何が?」

「だってお前賢いしさ!当たり前の事だけどこうやって細かく分析出来るのって凄い事だと思うぜ!!」

・・・・・・。

「そっか。凄いか。」

「おう!凄えよ!いいなー、俺もこんな風に賢くなりたかったよ・・・あっ、ちょっとだけ前行こうぜ!」

原はそう言いながら私を少しずつ前に向かわせる。

そうか。後ろを見せない様にしてるんだ。優しいな。こいつはどこまで優しいんだろう。

「よし!じゃあ、咳がする方向を避けて国会に向かうぞ。」

「・・・うん。」

「・・・山口、さっきも言ったけど、敢えてもう一回言う!!

この国はな、時に人の事を蹴落とさなきゃいけない事があるんだ。今みたいな受験だってそうだし、仕事だってそう。でもさ、仕事も受験もたった一回失敗したくらいじゃ死なねえだろ?でも・・・今蹴落とさなきゃ失敗する未来さえ来なくなるんだ!!失敗すら出来なくなるんだぞ!!

この国は蹴落としてナンボ!競争してナンボなんだ!」

私は原の言葉にハッとした。そうだ。私にはまだやらなきゃいけない事がある。

「分かった!!やろう!!」

「・・・その意気だ。」

原は私の涙を拭った。



「どいてください!!どいてください!!」

私は再び鉄パイプを振り回しながら国会へと向かう。

「は!?何あいつ!!キモいんですけど!!」

「「ぎゃははははははは!!」」

周りの罵声や笑い声を避けて、私はただひたすら走った。

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!」

「山口!こっちは駄目だ!左行くぞ!」

バアンッ!!

「ぎゃあああああああ!!」

「もうやだよおおおおおおおお!!」

目からは涙が止まらない。それでも前に進まなきゃ。


未来の為に。


「・・・おい!見てみろ山口!」

「・・・あっ!」

目の前に建物が見える。

「国会だ!!あと一息だぞ!!」

「やったあああああ!!」

ようやくだ。ようやく着いた。国会だ。もう30分ぐらい揉まれていただろうか。

「よしよし!まだ油断するなよ!」

「どいてください!!どいてください!!」

ここまで来たらあとはもう簡単だった。放送の声の主も国会の前までは目が届いていなかった様で、あっさりと建物の入り口に繋がる階段のところまで着いてしまった。

「ゴール!!」

私は涙を流しながら階段に倒れ込んだ。しかし・・・

「いや、まだゴールじゃねえ。」

原が真顔で遠くを見た。

バアンッ!バアンッ!!

「ぎゃああああああああああ!!」

「・・・うぇっ。」

私はとうとう吐き気を覚えてしまった。

「おいおい大丈夫か!・・・畜生、放送主は一体どこにいるんだ!」

私と原は途方に暮れた。

「うえっ・・・うええ・・・」

吐き気を抑える為に階段を降りて上を向く。

うん?何あれ?

二階のベランダの様なところで一人のマイクを持った男の人がノリノリで何かを喋っている。あれっ?しかも何処かで見た事がある。もしかして・・・

「・・・運転手?」

「はっ?何が?」

原と言葉を少し交わしたその時・・・

『ん?何だお前ら!!』

気付かれた!やばい、ピンチだ!!

『お前ら、

痛い目見せてやるぜ!!』












しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...