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第62話 目立たない令嬢
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目立たない令嬢を目指すことを決めたので、以前同様、地味目な格好で、毎日最下位クラスに向かう。
ただ、魔術のクラスに入れてもらえることとなったので、そこはうれしい筈だった。
ところが、魔術のクラスには高位貴族が圧倒的に多い。
しかも困ったことに、身分順で席が決まっているらしい。身分が高いほど、魔法量が多いと言う俗説が信じられているらしい。
「そんなことないでしょ?」
初めてその話を聞いた時、私はそう反応した。
「成績順でいいではありませんか! 平民だって魔力を持つ者は大勢いるでしょう?」
私はセス様のことを念頭に置いて言った。
しかし、時間の許す限り魔術のクラスに出席していくうちに、残念ながら、身分順も成績順も、私にとってはすごく不利だと言うことに気がついた。
どっちでも、多分一番前。
公爵令嬢になった最初は、全科目に参加してやると息巻いて実行したが、内情がわかってくると、ここは遠慮すべきだったと後悔した。
意外に魔力持ちと言うのは少ないらしい。その上、魔力のレベルが低い。
殿下やセス様、自分自身のことを標準にしていたので、ちょっと呆然とした。
クラスに参加したら、絶対に目立ちまくるわ……。実技とか。
私は見学生と言う立場に固執した。
「見学でいいです。見学で」
「公爵令嬢ともあろうお方が、なぜ、正式に授業を受けずに見学生のままなのかしら?」
「魔力不足ですってよ?」
彼女達(高位貴族の同級生のご令嬢方)は悪そうな顔でニヤリとした。
「きっと、偽者なのよ。魔力のないアランソン家のご令嬢だなんて、あり得ないわ」
噂が噂を呼んだ。
偽アランソン公爵。
はなはだ不本意だったが、何しろ、見学生のままの方が、まだ目立たないと思う。
それに、試験が怖いもん。
だって、例えばポーションの授業の場合、いきなり一升瓶三本分の命のポーションを持ち込んだら、先生は気絶してしまうと思う。
その上、山羊先生に言った通り、大勢の高位貴族令嬢方は私にいい感情を持っていないに違いなかった。
例えば……
魔法の授業で、私は、ばったりアデル嬢に会ったのである。
何となくだが、アデル嬢は、私に好感情を持っていないような気がする。
どうしてだっけ?
私はポンッと手を打った。忘れていた。
「アデル様」
私は呼びかけた。
私はアデル嬢から、夏の終わりのダンスパーティの時、殿下のエスコート役をアデル嬢にするよう頼まれていた。
なんだか、あれからいろいろあった。
夏の終わりの恒例のダンスパーティーも悪獣騒ぎで延期になっているらしい。
忘れていたが、私はアデル嬢に金貨十枚を返さなければならないのである。
残念ながら、アデル嬢を殿下のパートナーに据える件はどうも無理っぽいからだ。
「あの、アデル様」
この人の家名なんだったっけ。
「何ですの?」
あ、やっぱりお怒りみたい。でも、なぜ?
「アランソン様、良いところでお会いしましたわ。お昼をご一緒しませんこと?」
「え? 食堂ですか?」
いやいや、食堂は! 例のスターリン男爵令嬢姉妹がいるから!
「んまあ、何おっしゃってるのかしら。アランソン公爵閣下ともあろうお方が」
別にまだ爵位襲名披露をしたわけでもないのに、なぜみんなでアランソン公爵閣下とか呼ぶのだろう。
「ポーシャで結構ですわよ」
そう言うと、アデル嬢が悪い笑顔になった。
「では、ポーシャ様、食堂で」
だから、食堂は嫌だって! でも、アデル嬢は人の話を聞かない系。堂々と去ってしまった。
アデル嬢は聖女の素質があるそうで、回復魔法の授業をとっているのである! 人の話を聞かないのはそのせいだって! 関係あるのかな……
しかも授業が始まってしまい、私は、一番後ろから、生徒全員の頭を眺めながら、通信魔法のメモを取ることになった。
通信魔法は、絶対に身につけたい魔術だった。アデル嬢との食堂会食よりこっちの方がはるかに重要だ。
ただし、憧れはセス様のお手紙魔法である。断じて殿下の魔鳥のウ○チお手紙ではない。
なので、私は真剣にメモをとった。
生徒じゃないので、立ったままだったが、立って見ている平民の生徒は大勢いる。
彼らが私に遠慮して、最前線で、メモらせてくれるのは、目立ってるんじゃないかと心配だけど、ありがたい。
先生が自分自身で手本を見せてくれる。今回は紙だ。
「このように念じつつ、紙を折る。紙の質は何でもいいです。手触りで合いそうだと感じられる紙なら特にいいですね……」
先生は器用に紙を折り、魔術を込める。
「なかなか飛ばないことは分かってます。むずかしいですからね」
そうかー。むずかしいのかー。
やさしい先生だな。生徒に配慮してくれてる。
「そして、このように念じます。校長室へ飛んで行け! サンハイッ」
サンハイッ……て、なんだろな?
まっ、そう簡単に届く訳ないよね。
テキトー、テキトー。
手元の書き損ねのメモを手に取り、畳んで、口の中でつぶやいた。
「校長室へ飛んで行け! サンハイッ」
ピクッと紙が動いたのは、教室の中でも数名のみ。
だが、私のメモはスサササーッと割と大きめの効果音と共に浮き上がり、窓が開けられていなかったので、ガシャーンと大音響を立ててガラスを突き破って、ものすごい勢いで飛んでいった。
どこへ……
……多分、校長室へ……かな?
宛先も自分の名前も書かなかった。
届く訳ない……はずなんだけど……?
クラス全員と、後ろの席の見学組全部が、ガタタッと音を立てて立ちあがり、凶器のような手紙の行方を追った。
ヤバい。超ヤバい。
教室の中にはガラスの破片は少なかったが、外側には大量にばらまかれているはずだ。下に誰もいないことを祈るしかなかった。
そして、あの勢いでぶっ飛んでいった手紙は、またもやガラスを爆破して校長先生の元へ?
校長室ってどこなの?
みんな、呆然としてガラスの破片と元ガラス窓だった四角い空を見物していた。
しばらくして廊下側から、なにか軽い、音楽的な感じさえする足音が近づいて来たかと思うと、ドアがサッと開けられた。
美しい巻き毛の黒髪が、脳天をきれいに残して、頭をぐるりと取りまいている独特なヘアスタイルの先生が、ニッコリ笑顔で入って来た。
「お手紙をどうもありがとう」
私はこの嫌味にゾッとして震え上がった。
校長先生だわ。顔は覚えていないけど、あのヘアスタイルには見覚えがある。
「誰かな? この天才は? 開いていた窓から私のデスクにスーと着地した。素晴らしい魔力だ。あざやかで手際がいい。中身の方は、授業のメモだったが、そりゃあ当然だ。きちんと一生懸命ノートを取っているね。生徒の鏡だ」
生徒の鏡は、窓ガラスを割ったりしないと思うけど。
だが、校長先生は、割れた窓ガラスに気がついたらしい。スゥウと目線が厳しくなった。
「何をしているんだね!」
ニコニコ笑顔から瞬時にして鬼のような顔つきになった。
「ダメじゃないか。窓が閉まっている。お手紙が外へ出られない。届かないじゃないか。どういうことかね? トルーマン君!」
え? ああ、そっちか。
トルーマン先生は青くなっていた。
「いや、これまでこのクラスをずっと見てきましたが、紙を浮かせることすら、なかなか難しいらしくてぇ。風が入るとより一層難易度が上がってしまうので、窓を閉めていたんですう」
なるほど。
私が通信魔法を見学にきたのは、今回が初めてだ。
この魔法も人気があって、見物人が多い。いつも他人の頭しか見えないので、一度もまともに授業を聞いたことがなかった。
アランソン公爵を名乗るのもメリットがあるな、申し訳ないけど、今日は前の方で見物できて、ご満悦だった私。
「トルーマン先生、この手紙を作った子は優秀です。絶対に通信魔法の上級クラスに入れるべきです! どの生徒ですか?」
生徒ではない私はそろそろと後退りを始めた。
目立ちたくない。
「あ、あのっ、アランソン公爵閣下ですっ」
トルーマン先生が正体をバラした時には、私は一目散に逃げ出していた。
そして、お昼。
気が進まなかったが、ものすごく久しぶりに食堂に行った。
とにかくアデル嬢に金貨十枚を返して、第二王子殿下とのエスコート作戦がうまく行かなかったことを伝えなければならない。
「リーマン嬢」
私は必死になってアデル嬢の家名を思い出した。失礼があってはならない。
アデル嬢には取り巻きのご令嬢がおり、一方の私は誰もついていない。
アデル嬢は派手なドレスを身にまとっていた。
前はこんなじゃなかったような?
私はアデル嬢よりずっと地味で飾りの少ないドレスを着ていた。
というより、アデル嬢の取り巻きの誰よりも、断然地味で飾りの少ないドレスだった。
どうやら、アデル嬢は、侯爵令嬢ということもあって、順当に、元アランソン公爵令嬢姉妹の代わりに令嬢第一位の座に輝いているようだった。
いわば校内の社交界を牛耳っている状態らしい。
ありがたや。
校内の花形令嬢代表を進んで務めてくれるなんて、なんていい人なんだろう。
それは、本来、私がやんなきゃいけないパートだった。なにしろ公爵令嬢と言うか、公爵そのものだから。
一番えらいのである。
ドレスだって一番豪華でなくてはならないだろうし、一番堂々として、何より一番偉そうにしてなくてはいけない。
無理。
「あーら、親友のアランソン女公爵が来たわ、皆さま」
食堂へ入ると、アデル嬢が大声で言った。
ただ、魔術のクラスに入れてもらえることとなったので、そこはうれしい筈だった。
ところが、魔術のクラスには高位貴族が圧倒的に多い。
しかも困ったことに、身分順で席が決まっているらしい。身分が高いほど、魔法量が多いと言う俗説が信じられているらしい。
「そんなことないでしょ?」
初めてその話を聞いた時、私はそう反応した。
「成績順でいいではありませんか! 平民だって魔力を持つ者は大勢いるでしょう?」
私はセス様のことを念頭に置いて言った。
しかし、時間の許す限り魔術のクラスに出席していくうちに、残念ながら、身分順も成績順も、私にとってはすごく不利だと言うことに気がついた。
どっちでも、多分一番前。
公爵令嬢になった最初は、全科目に参加してやると息巻いて実行したが、内情がわかってくると、ここは遠慮すべきだったと後悔した。
意外に魔力持ちと言うのは少ないらしい。その上、魔力のレベルが低い。
殿下やセス様、自分自身のことを標準にしていたので、ちょっと呆然とした。
クラスに参加したら、絶対に目立ちまくるわ……。実技とか。
私は見学生と言う立場に固執した。
「見学でいいです。見学で」
「公爵令嬢ともあろうお方が、なぜ、正式に授業を受けずに見学生のままなのかしら?」
「魔力不足ですってよ?」
彼女達(高位貴族の同級生のご令嬢方)は悪そうな顔でニヤリとした。
「きっと、偽者なのよ。魔力のないアランソン家のご令嬢だなんて、あり得ないわ」
噂が噂を呼んだ。
偽アランソン公爵。
はなはだ不本意だったが、何しろ、見学生のままの方が、まだ目立たないと思う。
それに、試験が怖いもん。
だって、例えばポーションの授業の場合、いきなり一升瓶三本分の命のポーションを持ち込んだら、先生は気絶してしまうと思う。
その上、山羊先生に言った通り、大勢の高位貴族令嬢方は私にいい感情を持っていないに違いなかった。
例えば……
魔法の授業で、私は、ばったりアデル嬢に会ったのである。
何となくだが、アデル嬢は、私に好感情を持っていないような気がする。
どうしてだっけ?
私はポンッと手を打った。忘れていた。
「アデル様」
私は呼びかけた。
私はアデル嬢から、夏の終わりのダンスパーティの時、殿下のエスコート役をアデル嬢にするよう頼まれていた。
なんだか、あれからいろいろあった。
夏の終わりの恒例のダンスパーティーも悪獣騒ぎで延期になっているらしい。
忘れていたが、私はアデル嬢に金貨十枚を返さなければならないのである。
残念ながら、アデル嬢を殿下のパートナーに据える件はどうも無理っぽいからだ。
「あの、アデル様」
この人の家名なんだったっけ。
「何ですの?」
あ、やっぱりお怒りみたい。でも、なぜ?
「アランソン様、良いところでお会いしましたわ。お昼をご一緒しませんこと?」
「え? 食堂ですか?」
いやいや、食堂は! 例のスターリン男爵令嬢姉妹がいるから!
「んまあ、何おっしゃってるのかしら。アランソン公爵閣下ともあろうお方が」
別にまだ爵位襲名披露をしたわけでもないのに、なぜみんなでアランソン公爵閣下とか呼ぶのだろう。
「ポーシャで結構ですわよ」
そう言うと、アデル嬢が悪い笑顔になった。
「では、ポーシャ様、食堂で」
だから、食堂は嫌だって! でも、アデル嬢は人の話を聞かない系。堂々と去ってしまった。
アデル嬢は聖女の素質があるそうで、回復魔法の授業をとっているのである! 人の話を聞かないのはそのせいだって! 関係あるのかな……
しかも授業が始まってしまい、私は、一番後ろから、生徒全員の頭を眺めながら、通信魔法のメモを取ることになった。
通信魔法は、絶対に身につけたい魔術だった。アデル嬢との食堂会食よりこっちの方がはるかに重要だ。
ただし、憧れはセス様のお手紙魔法である。断じて殿下の魔鳥のウ○チお手紙ではない。
なので、私は真剣にメモをとった。
生徒じゃないので、立ったままだったが、立って見ている平民の生徒は大勢いる。
彼らが私に遠慮して、最前線で、メモらせてくれるのは、目立ってるんじゃないかと心配だけど、ありがたい。
先生が自分自身で手本を見せてくれる。今回は紙だ。
「このように念じつつ、紙を折る。紙の質は何でもいいです。手触りで合いそうだと感じられる紙なら特にいいですね……」
先生は器用に紙を折り、魔術を込める。
「なかなか飛ばないことは分かってます。むずかしいですからね」
そうかー。むずかしいのかー。
やさしい先生だな。生徒に配慮してくれてる。
「そして、このように念じます。校長室へ飛んで行け! サンハイッ」
サンハイッ……て、なんだろな?
まっ、そう簡単に届く訳ないよね。
テキトー、テキトー。
手元の書き損ねのメモを手に取り、畳んで、口の中でつぶやいた。
「校長室へ飛んで行け! サンハイッ」
ピクッと紙が動いたのは、教室の中でも数名のみ。
だが、私のメモはスサササーッと割と大きめの効果音と共に浮き上がり、窓が開けられていなかったので、ガシャーンと大音響を立ててガラスを突き破って、ものすごい勢いで飛んでいった。
どこへ……
……多分、校長室へ……かな?
宛先も自分の名前も書かなかった。
届く訳ない……はずなんだけど……?
クラス全員と、後ろの席の見学組全部が、ガタタッと音を立てて立ちあがり、凶器のような手紙の行方を追った。
ヤバい。超ヤバい。
教室の中にはガラスの破片は少なかったが、外側には大量にばらまかれているはずだ。下に誰もいないことを祈るしかなかった。
そして、あの勢いでぶっ飛んでいった手紙は、またもやガラスを爆破して校長先生の元へ?
校長室ってどこなの?
みんな、呆然としてガラスの破片と元ガラス窓だった四角い空を見物していた。
しばらくして廊下側から、なにか軽い、音楽的な感じさえする足音が近づいて来たかと思うと、ドアがサッと開けられた。
美しい巻き毛の黒髪が、脳天をきれいに残して、頭をぐるりと取りまいている独特なヘアスタイルの先生が、ニッコリ笑顔で入って来た。
「お手紙をどうもありがとう」
私はこの嫌味にゾッとして震え上がった。
校長先生だわ。顔は覚えていないけど、あのヘアスタイルには見覚えがある。
「誰かな? この天才は? 開いていた窓から私のデスクにスーと着地した。素晴らしい魔力だ。あざやかで手際がいい。中身の方は、授業のメモだったが、そりゃあ当然だ。きちんと一生懸命ノートを取っているね。生徒の鏡だ」
生徒の鏡は、窓ガラスを割ったりしないと思うけど。
だが、校長先生は、割れた窓ガラスに気がついたらしい。スゥウと目線が厳しくなった。
「何をしているんだね!」
ニコニコ笑顔から瞬時にして鬼のような顔つきになった。
「ダメじゃないか。窓が閉まっている。お手紙が外へ出られない。届かないじゃないか。どういうことかね? トルーマン君!」
え? ああ、そっちか。
トルーマン先生は青くなっていた。
「いや、これまでこのクラスをずっと見てきましたが、紙を浮かせることすら、なかなか難しいらしくてぇ。風が入るとより一層難易度が上がってしまうので、窓を閉めていたんですう」
なるほど。
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「トルーマン先生、この手紙を作った子は優秀です。絶対に通信魔法の上級クラスに入れるべきです! どの生徒ですか?」
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目立ちたくない。
「あ、あのっ、アランソン公爵閣下ですっ」
トルーマン先生が正体をバラした時には、私は一目散に逃げ出していた。
そして、お昼。
気が進まなかったが、ものすごく久しぶりに食堂に行った。
とにかくアデル嬢に金貨十枚を返して、第二王子殿下とのエスコート作戦がうまく行かなかったことを伝えなければならない。
「リーマン嬢」
私は必死になってアデル嬢の家名を思い出した。失礼があってはならない。
アデル嬢には取り巻きのご令嬢がおり、一方の私は誰もついていない。
アデル嬢は派手なドレスを身にまとっていた。
前はこんなじゃなかったような?
私はアデル嬢よりずっと地味で飾りの少ないドレスを着ていた。
というより、アデル嬢の取り巻きの誰よりも、断然地味で飾りの少ないドレスだった。
どうやら、アデル嬢は、侯爵令嬢ということもあって、順当に、元アランソン公爵令嬢姉妹の代わりに令嬢第一位の座に輝いているようだった。
いわば校内の社交界を牛耳っている状態らしい。
ありがたや。
校内の花形令嬢代表を進んで務めてくれるなんて、なんていい人なんだろう。
それは、本来、私がやんなきゃいけないパートだった。なにしろ公爵令嬢と言うか、公爵そのものだから。
一番えらいのである。
ドレスだって一番豪華でなくてはならないだろうし、一番堂々として、何より一番偉そうにしてなくてはいけない。
無理。
「あーら、親友のアランソン女公爵が来たわ、皆さま」
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