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第85話 デートへの乱入者
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「顔を上げて。胸を張って。堂々と。それが似合うのだから」
グレイ様に背中を押されて、私は店に入った。
あー、来たことないけど、そして今後も来ることないだろうけど、こうなってるのね、モロゾフ。
その店は果てしなく金がかかっていた。グレイ様からのバラの花束がかすみそうなくらい。
天井も壁も白だったが、刳り型が施され、金で縁取りされていた。
家具類は重厚で、これまた金で飾られていた。
ところどころ、黒っぽい独特な模様の大理石の柱が立っていて、部屋全体の色調を引き締めていた。
そして、テーブルにも、飾り暖炉にも花が活けてあった。
ちょうど昼時だったため、ほとんど満席で、食器の触れ合う軽い音、静かに会話を楽しむ客の低い声に満ちていた。それが沈黙に変わり、ほぼ全員の視線を集めて私は着席した。
ここの青と金の制服を着た一人の男が、メニューを携えてやってきた。
グレイ様の話によると、食事内容はすでに伝えてあったが、飲み物の注文がまだらしかった。
「お飲み物は何になさいますか? 今日のお勧めは、こちらのシャンパンがご婦人向けで、ございますよ。お値段もお安くして、気楽にお楽しみいただけます」
ボーイ長は、私の顔を見てそんなことを言った。
なかなかいい人だな。
お買い得とか割安とか、重要ポイントだよね。
正直、水でたくさんなんだけど、水は水で、こう言う店は料金を取るからなぁ……
「ではそれで……」
私がそう言いかけた時、グレイ様が雷鳴のように大きな声ではっきり言った。
「公爵令嬢はお酒は嗜まないだろうけれど、そんな質のものでは舌に合うまい。モロゾフの名折れになるぞ」
制服の男は凍り付き、客までシンと静まり返った。
あああ、もしかしたら、グレイ様、高い飲み物を頼んで、おごる気満々だったのか。
「そんなものを勧めるとは、ボーイとして失格だぞ。アランソン女公爵に失礼だ。オーナーを呼べ」
出た。オーナー呼べとか、どんなめんどくさい客だ。私はどうでもいい。
「私はかまいませんことよ? お勧めなのですよね?」
ボーイ長は、真っ赤になってなんだか訳の分からないことを喋り始めた。え? 私は会員じゃないし、あんまり派手なんで、勘違いした?
「ええと、ご寵愛の女性をお連れになられたのかと」
ようするに、愛人連れと勘違いしたってこと?
これは余計グレイ様を怒らせるんじゃないかしら。私も不愉快だけど。
グレイ様の声が余計大きくなった。
「私がそんな素性の知れない女性を連れてきたことなど一度だってないだろう。この国最高位の女性に向かって、何てことを言うんだ。この店に連れて来た私の顔にも泥を塗る気か」
客はもう、このシーンに興味津々だった。全員が首を伸ばし、口の中のものを噛むことすら忘れて見入っている。
どう収拾がつくのだろう、と思っていたら、緊張した感じが伝わってくる別の男性の声が割って入った。
「グレイ様、申し訳ございません」
キチンとした格好の恰幅のいい男が現れた。
オーナーじゃなかろうか。
「お前はクビだ。失礼いたしました」
制服を着た男は、顔色をなくして突っ立っていたが、多分オーナーだと思われる人物に中に引っ込むよう追い払われた。
オーナー氏は、私に向かって低く頭を下げた。
「申し訳ございません。アランソン様。存じ上げず誠に失礼いたしました。先ほどの者が誠に失礼いたしました。あまりのお美しさに目が眩み、頭が回転しなくなってしまったのでしょう」
「全く。モロゾフの名が泣くぞ」
「アランソン様ご来場とは、この上ない名誉でございます。どうか今日は私どもの最高の食事を召し上がってくださいませ。お連れくださったグレイ様にも感謝申し上げます。どうか今日はお試しということで、お支払いは無しでお願いいたします」
え? タダ? タダなの?
世の中、ただほど怖いものはない。
私はこんなことでモロゾフみたいな店とご縁が出来たり、サロンの会員にさせられたり、モロゾフ主催のダンスパーティに呼ばれたりしたくない。
「それではオーナー、こうしましょう」
私は言った。
「あなたのところの自慢の食事が私の口に合わなかったら、おごっていただきますわ。そして、私の予想より美味しければ……」
私はニッコリ笑って見せた。
「色を付けて払いましょう。それでいかが?」
「とっ、とんでもない! ぜひここはお試しで楽しんでいっていただきたいものです!」
「あらあ。そんなに自信がないのかしら?」
「いえ、あの、そんなことは……」
「アランソン公爵を見損ねた店と言われるか、アランソン公爵を唸らせた店と言われるか、どちらがよろしいですか?」
オーナーは混乱して立っていた。
「さあ、調理場はどちらなの? 今日は何が楽しめるのか、教えて欲しいわ」
グレイ様が短く命じた。
「もう、行け」
オーナーは言葉を無くしてまだ、もたもたしていたが、グレイ様に命令されて下がっていった。
私たちを見つめていた客たちは、私が一瞥すると、急に食事中だったことを思い出して、皿に向かいなおした。
グレイ様が私の顔をゆっくり見て、困ったような表情で言った。
「ポーシャ様、私の出番を取らないでくださいよ」
「出番?」
「あなたにかっこいいところを見せたかったのに。あのボーイのヤツ、台無しにしやがって」
私は笑った。
「私の着こなしが悪かったのじゃないかしら。グレイ様がおっしゃるように、もっと堂々としていれば、あんな嫌な勘違いは起こさなかったんじゃないかしら」
グレイ様は熱のこもった目で私を見つめた。
彼は私よりだいぶ年上で、いろんなことを知っている。侯爵家とは言え三男の生まれで引き継ぐ財産もないのに、自分で財産を築き上げた。その人が私に向かって言った。
「あなたは、私の知らない種類の貴族ですね」
彼は言い出した。
「怒られるかも知れないけれど、まるで平民のように自由で、貴族のように自信家だ。すごいな。惚れましたよ」
残念ながら、私はグレイ様の告白を聞いちゃいなかった。
なぜなら、さっきよりさらに顔色が悪くなったオーナーが、まるで操り人形か何かのようにぎくしゃくしながら一人の男性と一緒に現れたからだ。
出たな。殿下。
まあ、セス様のことだ。ドレスメーカーのあたりから雲行きが怪しくなって来たので、殿下の指示を仰いだのだろう。だって、殿下は腐っても、王子殿下。それに殿下の戦闘魔術は優秀で、国防を一手に引き受けているくらいだ。国王陛下を動かすことだって簡単だろう。セス様としても、殿下の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「やあ、グレイ殿」
殿下はあいさつした。
しかし、そのあいさつと来たら、北極の氷並みの冷やかさだった。
「ポーシャ、そのドレス、とてもすてきだけれど、自分で見立てたの?」
どこかに爆弾が隠されているような気がして返事をするのが怖かったが、嘘は言えないので、
「いいえ。グレイ様が見立ててくださいましたの」
と、返事した。
殿下はキッと顔を歪めたが、後ろに控えていたオーナーに向かって尋ねた。
「食事の人数を増やすことは可能かな?」
「あ、ええ。もちろん、もちろんでございます。殿下」
「だ、そうだ。店側に異論がないなら、グレイ殿、僕もぜひ同席させていただきたいが、いかがかな?」
グレイ様は目力で反対を唱えようとしたが、殿下はお構いなく着席してしまった。
「グレイ殿はご存じないかもしれないが、このほど、僕とポーシャ嬢は婚約してね」
さすがに、この爆弾発言にグレイ殿は顔色を変えて驚いた。
事実なら、とんでもない非礼である。
「全く、存じ上げませんでした。知っていれば、このような失礼なことはしませんでした……」
「まあ、無理もない。まだ、公開していないからね。後はポーシャの了解を取りつければいいだけのところまで来ている」
グレイ様の眉と眉の間にしわが寄った。本人の了解が得られていない婚約ってどうなの?
「誰の了解が得られているのですか?」
「僕の両親と兄上だ。それと僕自身かな」
グレイ様に背中を押されて、私は店に入った。
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その店は果てしなく金がかかっていた。グレイ様からのバラの花束がかすみそうなくらい。
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家具類は重厚で、これまた金で飾られていた。
ところどころ、黒っぽい独特な模様の大理石の柱が立っていて、部屋全体の色調を引き締めていた。
そして、テーブルにも、飾り暖炉にも花が活けてあった。
ちょうど昼時だったため、ほとんど満席で、食器の触れ合う軽い音、静かに会話を楽しむ客の低い声に満ちていた。それが沈黙に変わり、ほぼ全員の視線を集めて私は着席した。
ここの青と金の制服を着た一人の男が、メニューを携えてやってきた。
グレイ様の話によると、食事内容はすでに伝えてあったが、飲み物の注文がまだらしかった。
「お飲み物は何になさいますか? 今日のお勧めは、こちらのシャンパンがご婦人向けで、ございますよ。お値段もお安くして、気楽にお楽しみいただけます」
ボーイ長は、私の顔を見てそんなことを言った。
なかなかいい人だな。
お買い得とか割安とか、重要ポイントだよね。
正直、水でたくさんなんだけど、水は水で、こう言う店は料金を取るからなぁ……
「ではそれで……」
私がそう言いかけた時、グレイ様が雷鳴のように大きな声ではっきり言った。
「公爵令嬢はお酒は嗜まないだろうけれど、そんな質のものでは舌に合うまい。モロゾフの名折れになるぞ」
制服の男は凍り付き、客までシンと静まり返った。
あああ、もしかしたら、グレイ様、高い飲み物を頼んで、おごる気満々だったのか。
「そんなものを勧めるとは、ボーイとして失格だぞ。アランソン女公爵に失礼だ。オーナーを呼べ」
出た。オーナー呼べとか、どんなめんどくさい客だ。私はどうでもいい。
「私はかまいませんことよ? お勧めなのですよね?」
ボーイ長は、真っ赤になってなんだか訳の分からないことを喋り始めた。え? 私は会員じゃないし、あんまり派手なんで、勘違いした?
「ええと、ご寵愛の女性をお連れになられたのかと」
ようするに、愛人連れと勘違いしたってこと?
これは余計グレイ様を怒らせるんじゃないかしら。私も不愉快だけど。
グレイ様の声が余計大きくなった。
「私がそんな素性の知れない女性を連れてきたことなど一度だってないだろう。この国最高位の女性に向かって、何てことを言うんだ。この店に連れて来た私の顔にも泥を塗る気か」
客はもう、このシーンに興味津々だった。全員が首を伸ばし、口の中のものを噛むことすら忘れて見入っている。
どう収拾がつくのだろう、と思っていたら、緊張した感じが伝わってくる別の男性の声が割って入った。
「グレイ様、申し訳ございません」
キチンとした格好の恰幅のいい男が現れた。
オーナーじゃなかろうか。
「お前はクビだ。失礼いたしました」
制服を着た男は、顔色をなくして突っ立っていたが、多分オーナーだと思われる人物に中に引っ込むよう追い払われた。
オーナー氏は、私に向かって低く頭を下げた。
「申し訳ございません。アランソン様。存じ上げず誠に失礼いたしました。先ほどの者が誠に失礼いたしました。あまりのお美しさに目が眩み、頭が回転しなくなってしまったのでしょう」
「全く。モロゾフの名が泣くぞ」
「アランソン様ご来場とは、この上ない名誉でございます。どうか今日は私どもの最高の食事を召し上がってくださいませ。お連れくださったグレイ様にも感謝申し上げます。どうか今日はお試しということで、お支払いは無しでお願いいたします」
え? タダ? タダなの?
世の中、ただほど怖いものはない。
私はこんなことでモロゾフみたいな店とご縁が出来たり、サロンの会員にさせられたり、モロゾフ主催のダンスパーティに呼ばれたりしたくない。
「それではオーナー、こうしましょう」
私は言った。
「あなたのところの自慢の食事が私の口に合わなかったら、おごっていただきますわ。そして、私の予想より美味しければ……」
私はニッコリ笑って見せた。
「色を付けて払いましょう。それでいかが?」
「とっ、とんでもない! ぜひここはお試しで楽しんでいっていただきたいものです!」
「あらあ。そんなに自信がないのかしら?」
「いえ、あの、そんなことは……」
「アランソン公爵を見損ねた店と言われるか、アランソン公爵を唸らせた店と言われるか、どちらがよろしいですか?」
オーナーは混乱して立っていた。
「さあ、調理場はどちらなの? 今日は何が楽しめるのか、教えて欲しいわ」
グレイ様が短く命じた。
「もう、行け」
オーナーは言葉を無くしてまだ、もたもたしていたが、グレイ様に命令されて下がっていった。
私たちを見つめていた客たちは、私が一瞥すると、急に食事中だったことを思い出して、皿に向かいなおした。
グレイ様が私の顔をゆっくり見て、困ったような表情で言った。
「ポーシャ様、私の出番を取らないでくださいよ」
「出番?」
「あなたにかっこいいところを見せたかったのに。あのボーイのヤツ、台無しにしやがって」
私は笑った。
「私の着こなしが悪かったのじゃないかしら。グレイ様がおっしゃるように、もっと堂々としていれば、あんな嫌な勘違いは起こさなかったんじゃないかしら」
グレイ様は熱のこもった目で私を見つめた。
彼は私よりだいぶ年上で、いろんなことを知っている。侯爵家とは言え三男の生まれで引き継ぐ財産もないのに、自分で財産を築き上げた。その人が私に向かって言った。
「あなたは、私の知らない種類の貴族ですね」
彼は言い出した。
「怒られるかも知れないけれど、まるで平民のように自由で、貴族のように自信家だ。すごいな。惚れましたよ」
残念ながら、私はグレイ様の告白を聞いちゃいなかった。
なぜなら、さっきよりさらに顔色が悪くなったオーナーが、まるで操り人形か何かのようにぎくしゃくしながら一人の男性と一緒に現れたからだ。
出たな。殿下。
まあ、セス様のことだ。ドレスメーカーのあたりから雲行きが怪しくなって来たので、殿下の指示を仰いだのだろう。だって、殿下は腐っても、王子殿下。それに殿下の戦闘魔術は優秀で、国防を一手に引き受けているくらいだ。国王陛下を動かすことだって簡単だろう。セス様としても、殿下の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「やあ、グレイ殿」
殿下はあいさつした。
しかし、そのあいさつと来たら、北極の氷並みの冷やかさだった。
「ポーシャ、そのドレス、とてもすてきだけれど、自分で見立てたの?」
どこかに爆弾が隠されているような気がして返事をするのが怖かったが、嘘は言えないので、
「いいえ。グレイ様が見立ててくださいましたの」
と、返事した。
殿下はキッと顔を歪めたが、後ろに控えていたオーナーに向かって尋ねた。
「食事の人数を増やすことは可能かな?」
「あ、ええ。もちろん、もちろんでございます。殿下」
「だ、そうだ。店側に異論がないなら、グレイ殿、僕もぜひ同席させていただきたいが、いかがかな?」
グレイ様は目力で反対を唱えようとしたが、殿下はお構いなく着席してしまった。
「グレイ殿はご存じないかもしれないが、このほど、僕とポーシャ嬢は婚約してね」
さすがに、この爆弾発言にグレイ殿は顔色を変えて驚いた。
事実なら、とんでもない非礼である。
「全く、存じ上げませんでした。知っていれば、このような失礼なことはしませんでした……」
「まあ、無理もない。まだ、公開していないからね。後はポーシャの了解を取りつければいいだけのところまで来ている」
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