【完結】貧乏伯爵令嬢は男性恐怖症。このままでは完全に行き遅れ。どうする

buchi

文字の大きさ
44 / 57

第44話 伯爵邸における戦い(アレクサンドラ編)

しおりを挟む
「焼き討ちなんて無理ですよ。それに犯罪者になってしまいます」

マルゴットが指摘した。

フィオナは真っ青になって何か考えている様子だった。

「じゃあ、どうしたらいいの?! このまま、ほっとくわけにはいかないわ!」

クリスチンは叫び出したが、マリアに止められた。

「あのー、クリスチン様、お手伝いはとにかく、これは、グレンフェル侯爵様とフィオナ様の問題でございます。クリスチン様があれこれやり出すと面倒なことに……」

マリアが細々と声を出したが、熱血クリスチンは、燃えるような目をしている。

「じゃあ、フィオナはどうするつもりなの? なにか、いい方法があるって言うの?伯爵邸を焼き討ち……」

「というわけで、戦略を発表します」

マルゴットが宣言した。

クリスチンさえもが、(目をキラキラさせながら)マルゴットに注目した。




「いいですか? フィオナ様。これからが正念場です」

「はい」

フィオナは、居住まいを正した。

マルゴットの言うことは本当だ。いつだって本当だった。

「まず、第一関門は、伯爵邸にお戻りになられた時です」

それはわかった。

みんな、フィオナのことを軽くみている。
強く言えば、逆らわない人物だと。
それは、争いを避けたがるフィオナ自身の性格に原因があった。

「ですけれど、今回はそうは参りません。たとえ、諍いを避けたくても、家族同士意見が違うのですから。もう、正面突破です」

「いいわね!」

クリスチンが口をはさんだ。多分、クリスチンの得意技なんだろう。フィオナにできるかどうかに問題があるのだが。

「わかりました……やってみます」


*********************


伯爵邸に戻った時、まずフィオナが驚いたのは、いつもと違って彼女を執事が仰々しく待ち構えていたことだった。
普段なら誰も出迎えなどしないのに。

「アンドルー様がお待ちです」

機先を制したのは兄のアンドルーか……フィオナはそう思ったけれど、廊下の途中でアレサンドラが突然あらわれ、声をかけてきた。

「ちょっといいかしら? フィオナ」

執事がびっくりして、そしてとても迷惑そうな顔した。
だが、アレクサンドラは強引だった。いきなりフィオナの手を握ると、隣の部屋に彼女を引きずり込んだ。
執事もアレクサンドラを止めることができなかった。

「お待ち下さいませ!」

彼は叫んだが、アレクサンドラは部屋に入ると厳重にドアを閉め鍵までかけた。
従って、執事は廊下に取り残されてしまった。

部屋に入ると、アレクサンドラは、フィオナに向かいの椅子に座らせて、話を始めた。

こわい。目が座っている。

「いいこと? フィオナ。あなたを取り巻く環境がすごく変わってしまった事は知ってるでしょう? まあ、もともとあなたは知っていたのかもしれないわね。私たちに黙っていただけで」

アレクサンドルは恨みがましく言った。本当はもっと言いたいことがたくさんあったのかも知れない。
けれども、今はフィオナこそが財産の持ち主だ。父親でもないアレクサンドラに強制力はない。
だから、フィオナの機嫌を損ねるわけにはいかないと思ったのだろう。いつものキンキンした喋り方ではなかった。

「もともと修道院に入りたいと言っていたわよね。入会金の目処がついたそうじゃないの。よかったじゃない。良いところを探しておいてあげたのよ。あなたにピッタリの修道院。セントピーター記念修道院っていうの。知ってるでしょう? いいところの貴族の婦人しか入らないところよ。環境も抜群だし、街からはだいぶ離れてしまうけど、別にそれは構わないと思うわ」

アレクサンドラは、一気にそこまでまくし立てた。

フィオナは、マルゴットから聞いていたが、あまりにアレクサンドラの話が、マルゴットの予想通りだったのでびっくりした。
アレクサンドラは、マルゴットに相談したわけではないだろう。ちょっとしたアレクサンドラの動きや、話を小耳にはさんで判断したのだろうが、さすが、マルゴットだ。

「それでね、フィオナ。ここに修道院の入会書があるのよ。取り寄せておいたの。修道院に入りさえすれば、後は心配することは何もないわ。旦那様を探してパーティーをウロついたり、物欲しそうに相手に媚を売る必要もなくなるのよ」

以前なら、この台詞を聞いても腹も立たなかったろう。事実、その通りだったからだ。
だが、今日はなんだか腹が立つ。

「ここにサインさえしたらいいのよ。行きたかった修道院に入れるわ」

あとそれからねと、アレクサンドラは少し間をおいて、ちょっと言いにくそうに続けた。

「入会金なんだけれども三万ルイほど必要なの。随分、立派な額よね。あなたには、もったいないくらいだわ。でも、あなたの資産は莫大で、十分残ると思うの。修道院には、一時金で入ることになるから、あとは使うあてもないでしょう? だから……」

フィオナは、口を差し挟めなかった。アレクサンドラが立板に水なのである。

「今までみたいに自分のことばっかり考えてないで、この残された伯爵家のことも、少しは考えて欲しいと思うの。なにしろ、実の甥や姪ですからね。学校にもこれから行かなくてはいけないし、娘は社交界デビューもしなくてはいけないでしょ?」

「お義姉さま、どうして私は社交界デビューしなくてよかったんでしょうか?」

フィオナは義姉をまっすぐに見据えて尋ねた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!

satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。  私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。  私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。  お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。  眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!

異母妹にすべてを奪われ追い出されるように嫁いだ相手は変人の王太子殿下でした。

あとさん♪
恋愛
リラジェンマは第一王女。王位継承権一位の王太女であったが、停戦の証として隣国へ連行された。名目は『花嫁として』。 だが実際は、実父に疎まれたうえに異母妹がリラジェンマの許婚(いいなずけ)と恋仲になったからだ。 要するに、リラジェンマは厄介払いに隣国へ行くはめになったのだ。 ところで隣国の王太子って、何者だろう? 初対面のはずなのに『良かった。間に合ったね』とは? 彼は母国の事情を、承知していたのだろうか。明るい笑顔に惹かれ始めるリラジェンマであったが、彼はなにか裏がありそうで信じきれない。 しかも『弟みたいな女の子を生んで欲しい』とはどういうこと⁈¿? 言葉の違い、習慣の違いに戸惑いつつも距離を縮めていくふたり。 一方、王太女を失った母国ではじわじわと異変が起こり始め、ついに異母妹がリラジェンマと立場を交換してくれと押しかける。 ※設定はゆるんゆるん ※R15は保険 ※現実世界に似たような状況がありますが、拙作の中では忠実な再現はしていません。なんちゃって異世界だとご了承ください。 ※拙作『王子殿下がその婚約破棄を裁定しますが、ご自分の恋模様には四苦八苦しているようです』と同じ世界観です。 ※このお話は小説家になろうにも投稿してます。 ※このお話のスピンオフ『結婚さえすれば問題解決!…って思った過去がわたしにもあって』もよろしくお願いします。  ベリンダ王女がグランデヌエベ滞在中にしでかしたアレコレに振り回された侍女(ルチア)のお話です。 <(_ _)>

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...