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第38話 侯爵家の園遊会
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オズボーン家の門に近づくと、結構な数の馬車が来ていた。
しかし、燦然と輝く公爵家の紋章のお陰で、簡単に門に近づくことが出来、さらに門番は恐れ多くも中を覗くなど言う不遜な真似はしなかった。
「普段は、こんな仰々しい馬車、使わないから」
オスカー様は軽く言った。
私は窓から見えないように、出来るだけ背もたれと一体化する努力をしていた。そして尚且つ髪型が崩れないように。
オスカー様は、そんな私を見るとクスッと笑った。
「大丈夫ですよ。誰も馬車の中を確認するだなんて失礼な真似はしません。そのために、一番高級そうに見える馬車を使ったんだから」
なるほど。そう言うことか。
うちにも馬車は何台かあるが、母が主に乗るやつは、とびきり豪華で重厚だった。
あれに乗って行く時は、確かにいつもこんな感じだった。
門番は紋章しか見ていない。
「第一関門突破だね」
オスカー様は笑った。
「問題は次だ」
馬車は邸宅の正面玄関のクルマ回りへ入って停まった。
オスカー様は、一転して、真面目な顔になって丁重に私を馬車から降ろした。
ドキドキする。ほんとにドキドキする。
来客を案内する係の執事は、バーカムステッド家の紋付きの馬車が入ると心得たように、うやうやしくそばに寄った。
「顔を上げて。しゃんとして」
オスカー様が小さい声で注意する。
私は頑張って、いかにも当然と言った様子を取り繕った。
ドレスは派手ではないが最高級のものだ。宝石もどぎつくならない程度に、高価なものを選んだ。
街の女だとか、遊びの女に見られてはならない。
バーカムステッド様に迷惑がかかるから。
案内役の使用人は、バーカムステッド家のご子息が女性を伴っていたので、驚いたかもしれないが、ダメだとは、言わなかった。
一瞬、執事の目が泳いだ気はした。
が、オズボーン家より身分が相当低い家なら、何か言うかも知れないが、バーカムステッド家では、そうはいかないのだろう。
ケネスの選択は正しかった。
私たちは、揃ってオズボーン家邸内に、足を踏み入れた。
「さあ、シュザンナ、ここからが正念場です。オズボーン侯爵夫人に見つかる前にケネスに会わないと」
その通りだ。出来れば、三人で、メイン会場へ入りたい。
ケネスは入ってくる馬車をチェックしているだろう。
二人で会場の方を向いて立っていると、相当人目を引いたらしく大勢の視線を浴びた。
「まあ、あの方、モンフォール家のシュザンナ様では?」
ひそひそ声がする。
「すごいわ! 今度はバーカムステッド家のオスカー様とご一緒よ?」
自分の名前やケネスの名前がささやかれると、耳が話し声を拾ってしまう。覚悟はしてきたけれど、やはり言われるのね。
「気にしないで。僕の耳にはあなたの美しさを称賛する声しか聞こえない」
私は、振り返ってオスカーの顔を見直した。
馬車の中とは、全然、雰囲気が違ってますけど?
彼は至極当然と言う顔をしていた。そして、口の端だけを少し上げてわずかに微笑んだ。
私はその顔を見つめてしまった。何を考えているのだろう。
別の声が興奮しているかのように背中で囁いている。
「同じ馬車だなんて、婚約者ではあるまいし……婚約したの?! そうなの?」
「さすがは公爵家ね。ブサイク娘を押し込んだのかしら?」
オスカーが横から囁いた。
「あんなことを言ってますよ? あなたとどちらが美しいと思ってるんでしょうね」
私は、オスカーをにらんだ。
お世話になった。今はとてもやさしい。
それは間違いない。
でも、絶対、この男はめちゃくちゃ変わっている。
「オスカー!」
ケネスが走ってきた。
「連れてきてくれて、ありがとう」
彼は私を見た。そして嬉しそうに微笑んだ。
「シュザンナ!」
ケネスの灰色の目とシャープな眉を見ると、嬉しさと、彼の元に飛んでいきたい引きちぎられるような感情が飛び出してくる。
思わず口元に微笑みが浮かんだ。
「すごくきれいだ! ドレス、似合うな!」
それはいつかのグレシャム侯爵のパーティで着たことのあるドレスの、ナイジェル版だった。
深いローズピンクで、黒に見えるほど濃い赤の縁取りと、胴体の部分に薄いピンクのレースで変化をつけたマチルダの渾身の逸品だった。
モンフォール家に伝わる特大のルビーの首飾りを付けても負けないドレスだ。
誰よりも美しく見えないといけないのよ。
私はデザイナーのマチルダに真剣に頼んだ。
ドレスには力があると思うの。
「お嬢様、その通りですわ」
マチルダは深くうなずいて答えた。
そう。侯爵夫人の目に、誰よりも美しい娘に見えないと説得力がない。侯爵の目にも。
「どうして、娘が美しいと説得力が出てくるのかしら?」
醜い娘を娶ろうと思うと苦労するのに。
中身は同じなのに。
でも、今、私はその手を逆に使っている。
私は、二人の男と一緒に侯爵夫妻にあいさつをした。
オスカーは微笑んで一歩下がっていた。
夫妻はあっけに取られていた。
「僕がオスカーに頼んで、連れてきてもらいました」
ケネスが説明している。
「シュザンナと結婚したいと思っています。父上と母上のお許しを得たい」
私はつつましく頭を下げた。
「パーティの席にふさわしい話題ではないわ」
オズボーン侯爵夫人が甲高い震え声で言いだした。
「次はモンフォール家のお茶会にお越しくださいませ」
二人の目が私に注がれたことを感じる。緊張してきた。
追い出されてもしかたないのだ。招待されていないのだから。
「ケネス・オズボーン様のお越しをお待ち申し上げております。ご両親がお許しくだされば……」
私は、勇気を出して顔を上げた。緊張が過ぎて、泣きそうな顔になっていることはわかっている。
黙って居る大人二人に視線を合わせ、それから黙ってもう一度頭を下げた。
次の客が待っていた。私たちは次の客に場所を譲って、園遊会の中へ混ざっていった。
「なかなか度胸のある令嬢だ!」
オスカーが冷静な態度をくずさないながら、ちょっと興奮したように言った。
「ちゃんと言えたな! 本当はここに来ることすらできなかったはずなのに」
ケネスはオスカーに礼を言った。
「オスカーのおかげでここまで来れたんだ。感謝している」
私はオスカーを見た。
「ありがとうございます。オスカー様」
私はまだ興奮していて、感情的になっていた。
侯爵夫妻のことは怖かった。
大人に抵抗することは、やっぱり怖かった。うっかりすると泣き出しそうだ。
ケネスとオスカー様がそばにいてくれることが単純に嬉しかった。一人じゃない。
私はこっそり差し出されたケネスの手の先を握った。暖かい。
ケネスはオスカー様と私を伴って、庭園の方へいざなった。
建物の中は、人が大勢いて、そして全員が見て見ぬふりをしながら私たちを見ていたのだ。
人が少ない庭の方に出てようやく私は少し落ち着いた。
「でも、次は母を説得して招待状を作らせなくちゃいけないのよ。全くどうしたらいいかわからないわ」
「でも、おかしいよね。もう五年も前の話になるが、どうして両家が出した招待状が相手に渡っていないんだろう?」
「へえ? そんなことがあったのか」
オスカー様がケネスの言葉に興味を示してきた。
「そうなんだ。おそらく最初は両家とも相手を尊重してきちんと招待状を出し合っていた」
「でも、お互いに無視されていたから……私は、ケネスが私のことを嫌いなのだと思っていたわ」
「そんなことはない」
ケネスはブスッとして言った。
「でも、学園でも、話しかけてこなかった」
「だって、オズボーン侯爵家からの招待状には丁重な断り文が返ってきていた。君が僕を嫌ってると思ったんだ。それに君は出来るだけ僕を避けていたし」
「私のことを嫌いなんだと思っていたの。だから、あなたを見ると、イライラしたわ」
オスカー様が薄ら笑いを浮かべて言った。
「なんだ。子どものケンカみたいじゃないか」
私たちはオスカー様を一緒になってにらみつけた。
「ああ、そんなに怒らないで。でも、モンフォール家に招待状は出したんだよね?」
「出した。でも、モンフォール家には届いていないと言うんだ」
「それはつまり、モンフォール家の誰かか、オズボーン家の誰かが、途中で手紙をすり替えたか、偽の返事を書いたか」
「そんなことないわ。お父様やお母様は納得して出しているわ。そんなおかしなことはしない」
「うちの両親だって、ちゃんと婚約を理解している。招待を断るなんて、貴族の間では考えられない」
「君たちは、お互いに相手からの招待状を心待ちにしていたんだろ?」
「まあ、そうかな」
「ええ。そうね」
「じゃあ、使用人だろう」
オスカー様はあっさり決めつけた。
しかし、燦然と輝く公爵家の紋章のお陰で、簡単に門に近づくことが出来、さらに門番は恐れ多くも中を覗くなど言う不遜な真似はしなかった。
「普段は、こんな仰々しい馬車、使わないから」
オスカー様は軽く言った。
私は窓から見えないように、出来るだけ背もたれと一体化する努力をしていた。そして尚且つ髪型が崩れないように。
オスカー様は、そんな私を見るとクスッと笑った。
「大丈夫ですよ。誰も馬車の中を確認するだなんて失礼な真似はしません。そのために、一番高級そうに見える馬車を使ったんだから」
なるほど。そう言うことか。
うちにも馬車は何台かあるが、母が主に乗るやつは、とびきり豪華で重厚だった。
あれに乗って行く時は、確かにいつもこんな感じだった。
門番は紋章しか見ていない。
「第一関門突破だね」
オスカー様は笑った。
「問題は次だ」
馬車は邸宅の正面玄関のクルマ回りへ入って停まった。
オスカー様は、一転して、真面目な顔になって丁重に私を馬車から降ろした。
ドキドキする。ほんとにドキドキする。
来客を案内する係の執事は、バーカムステッド家の紋付きの馬車が入ると心得たように、うやうやしくそばに寄った。
「顔を上げて。しゃんとして」
オスカー様が小さい声で注意する。
私は頑張って、いかにも当然と言った様子を取り繕った。
ドレスは派手ではないが最高級のものだ。宝石もどぎつくならない程度に、高価なものを選んだ。
街の女だとか、遊びの女に見られてはならない。
バーカムステッド様に迷惑がかかるから。
案内役の使用人は、バーカムステッド家のご子息が女性を伴っていたので、驚いたかもしれないが、ダメだとは、言わなかった。
一瞬、執事の目が泳いだ気はした。
が、オズボーン家より身分が相当低い家なら、何か言うかも知れないが、バーカムステッド家では、そうはいかないのだろう。
ケネスの選択は正しかった。
私たちは、揃ってオズボーン家邸内に、足を踏み入れた。
「さあ、シュザンナ、ここからが正念場です。オズボーン侯爵夫人に見つかる前にケネスに会わないと」
その通りだ。出来れば、三人で、メイン会場へ入りたい。
ケネスは入ってくる馬車をチェックしているだろう。
二人で会場の方を向いて立っていると、相当人目を引いたらしく大勢の視線を浴びた。
「まあ、あの方、モンフォール家のシュザンナ様では?」
ひそひそ声がする。
「すごいわ! 今度はバーカムステッド家のオスカー様とご一緒よ?」
自分の名前やケネスの名前がささやかれると、耳が話し声を拾ってしまう。覚悟はしてきたけれど、やはり言われるのね。
「気にしないで。僕の耳にはあなたの美しさを称賛する声しか聞こえない」
私は、振り返ってオスカーの顔を見直した。
馬車の中とは、全然、雰囲気が違ってますけど?
彼は至極当然と言う顔をしていた。そして、口の端だけを少し上げてわずかに微笑んだ。
私はその顔を見つめてしまった。何を考えているのだろう。
別の声が興奮しているかのように背中で囁いている。
「同じ馬車だなんて、婚約者ではあるまいし……婚約したの?! そうなの?」
「さすがは公爵家ね。ブサイク娘を押し込んだのかしら?」
オスカーが横から囁いた。
「あんなことを言ってますよ? あなたとどちらが美しいと思ってるんでしょうね」
私は、オスカーをにらんだ。
お世話になった。今はとてもやさしい。
それは間違いない。
でも、絶対、この男はめちゃくちゃ変わっている。
「オスカー!」
ケネスが走ってきた。
「連れてきてくれて、ありがとう」
彼は私を見た。そして嬉しそうに微笑んだ。
「シュザンナ!」
ケネスの灰色の目とシャープな眉を見ると、嬉しさと、彼の元に飛んでいきたい引きちぎられるような感情が飛び出してくる。
思わず口元に微笑みが浮かんだ。
「すごくきれいだ! ドレス、似合うな!」
それはいつかのグレシャム侯爵のパーティで着たことのあるドレスの、ナイジェル版だった。
深いローズピンクで、黒に見えるほど濃い赤の縁取りと、胴体の部分に薄いピンクのレースで変化をつけたマチルダの渾身の逸品だった。
モンフォール家に伝わる特大のルビーの首飾りを付けても負けないドレスだ。
誰よりも美しく見えないといけないのよ。
私はデザイナーのマチルダに真剣に頼んだ。
ドレスには力があると思うの。
「お嬢様、その通りですわ」
マチルダは深くうなずいて答えた。
そう。侯爵夫人の目に、誰よりも美しい娘に見えないと説得力がない。侯爵の目にも。
「どうして、娘が美しいと説得力が出てくるのかしら?」
醜い娘を娶ろうと思うと苦労するのに。
中身は同じなのに。
でも、今、私はその手を逆に使っている。
私は、二人の男と一緒に侯爵夫妻にあいさつをした。
オスカーは微笑んで一歩下がっていた。
夫妻はあっけに取られていた。
「僕がオスカーに頼んで、連れてきてもらいました」
ケネスが説明している。
「シュザンナと結婚したいと思っています。父上と母上のお許しを得たい」
私はつつましく頭を下げた。
「パーティの席にふさわしい話題ではないわ」
オズボーン侯爵夫人が甲高い震え声で言いだした。
「次はモンフォール家のお茶会にお越しくださいませ」
二人の目が私に注がれたことを感じる。緊張してきた。
追い出されてもしかたないのだ。招待されていないのだから。
「ケネス・オズボーン様のお越しをお待ち申し上げております。ご両親がお許しくだされば……」
私は、勇気を出して顔を上げた。緊張が過ぎて、泣きそうな顔になっていることはわかっている。
黙って居る大人二人に視線を合わせ、それから黙ってもう一度頭を下げた。
次の客が待っていた。私たちは次の客に場所を譲って、園遊会の中へ混ざっていった。
「なかなか度胸のある令嬢だ!」
オスカーが冷静な態度をくずさないながら、ちょっと興奮したように言った。
「ちゃんと言えたな! 本当はここに来ることすらできなかったはずなのに」
ケネスはオスカーに礼を言った。
「オスカーのおかげでここまで来れたんだ。感謝している」
私はオスカーを見た。
「ありがとうございます。オスカー様」
私はまだ興奮していて、感情的になっていた。
侯爵夫妻のことは怖かった。
大人に抵抗することは、やっぱり怖かった。うっかりすると泣き出しそうだ。
ケネスとオスカー様がそばにいてくれることが単純に嬉しかった。一人じゃない。
私はこっそり差し出されたケネスの手の先を握った。暖かい。
ケネスはオスカー様と私を伴って、庭園の方へいざなった。
建物の中は、人が大勢いて、そして全員が見て見ぬふりをしながら私たちを見ていたのだ。
人が少ない庭の方に出てようやく私は少し落ち着いた。
「でも、次は母を説得して招待状を作らせなくちゃいけないのよ。全くどうしたらいいかわからないわ」
「でも、おかしいよね。もう五年も前の話になるが、どうして両家が出した招待状が相手に渡っていないんだろう?」
「へえ? そんなことがあったのか」
オスカー様がケネスの言葉に興味を示してきた。
「そうなんだ。おそらく最初は両家とも相手を尊重してきちんと招待状を出し合っていた」
「でも、お互いに無視されていたから……私は、ケネスが私のことを嫌いなのだと思っていたわ」
「そんなことはない」
ケネスはブスッとして言った。
「でも、学園でも、話しかけてこなかった」
「だって、オズボーン侯爵家からの招待状には丁重な断り文が返ってきていた。君が僕を嫌ってると思ったんだ。それに君は出来るだけ僕を避けていたし」
「私のことを嫌いなんだと思っていたの。だから、あなたを見ると、イライラしたわ」
オスカー様が薄ら笑いを浮かべて言った。
「なんだ。子どものケンカみたいじゃないか」
私たちはオスカー様を一緒になってにらみつけた。
「ああ、そんなに怒らないで。でも、モンフォール家に招待状は出したんだよね?」
「出した。でも、モンフォール家には届いていないと言うんだ」
「それはつまり、モンフォール家の誰かか、オズボーン家の誰かが、途中で手紙をすり替えたか、偽の返事を書いたか」
「そんなことないわ。お父様やお母様は納得して出しているわ。そんなおかしなことはしない」
「うちの両親だって、ちゃんと婚約を理解している。招待を断るなんて、貴族の間では考えられない」
「君たちは、お互いに相手からの招待状を心待ちにしていたんだろ?」
「まあ、そうかな」
「ええ。そうね」
「じゃあ、使用人だろう」
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