【完結】婚約者の真実の愛探しのお手伝い。私たち、愛のキューピッドなんです?

buchi

文字の大きさ
42 / 58

第42話 お茶会の予定

しおりを挟む
「ねえ、ケネス、バーカムステッド家のオスカー様って、婚約者はいらっしゃらないの?」



「なんだって?」



学園の食堂で私はケネスに話しかけ、ケネスは妙な顔をして聞き返した。



隣には、うんざりした様子のルシンダとアーノルドが座っている。



この兄妹は、男女が二人きりで話したりしてはいけないと言う決まりをどうにかごまかすために駆り出されたのだ。



従って、この前の園遊会でのオスカー様と同じように、デレた会話を始めたら、すぐ散会するからと、厳重に言い渡されている。



「のろけなんか聞いていられませんからね」



アーノルドには念を押された。





「オスカーには婚約者は決まっていたよ。だけど、話がなくなったんだ。なんでそんなことを聞くの?」



「ええと……」



私は両親の新発案の話をした。



うんざりしていたはずのルシンダとアーノルドが、がぜん聞き耳を立て、まじまじと私たちの様子を見物し始めた。



「つまり、モンフォール家は、バーカムステッド家へ婚約の打診に入ったと?」



(ケネスではなく)ルシンダが、話を要約した。



「そうなの。どうしましょう。早く両親の誤解を解かなくてはいけないわ」



「誤解って何?」



(ケネスではなく)アーノルドが、素早く聞いた。



ケネスは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。



「オスカー様が私を気に入ったと言う誤解をしてますのよ」



アーノルドとルシンダが、なるほどと言った様子でフンフンとうなずいている。



「親しげに見えるようにしてほしいと頼んだんだよ。でないと中に入れないからね。公爵家の馬車に同乗すればノーチェックで中に入れる」



ケネスが渋い顔で説明した。



「そうなの。両親に事情を言ったのですが、二人ともバーカムステッド家のことを忘れていたとか言いだして。でも、次のパーティにケネスを招いていいと母が言いましたので、今度はケネスに正式な招待状をお送りできそうです」



「まあ、よかったじゃない!」



ルシンダが思わず声を上げた。



「そのパーティは少人数の方がいいね。僕はそう思うな。もう二人きりのお茶会に変更すればどうかな?」



アーノルドの発言にケネスは目をきらりとさせた。



わ、ケネス、かっこいい。眉と目がキリッとしているところが本当に好みなのよね。

鼻が細いところも実は好き。怒ると鼻孔が少し膨らむけど。

口元もいい。下唇がわずかに少し厚めなところをセクシーだと思っているのは、絶対に内緒だけど、顔に出てたらどうしようかしら。



「ちょっと、ねえ、シュザンナ、招待客の予定はどうなってるの?」



「あ、母がオスカー様をお招きしたいと……」



アーノルドとルシンダの目から光線が放たれた……ような気がした。



「じゃあ、私たちも招いて」



「ぜひ、呼んで欲しい」



食い気味のルシンダとアーノルドの反応にびっくりしたが、私は承諾した。



「わ、わかったわ?」



「シュザンナ、大勢呼んで。その方がいい」



ケネスが言いだした。なんなの?この反応は?



「いっそ、ウィリアムも呼ぶ?」



ルシンダがケネスの方を向いて尋ねた。



ケネスが一挙に渋い顔をする。



「毒を以て毒を制すか……」



アーノルドが腕を組んで、訳の分からないことを言いだした。



「ウィリアムは毒じゃないわ。オスカー様だって……」



いや。



オスカー様は毒かも知れない。



「ねえ、オスカー様は毒じゃないの? それとも、毒なの?」



私が一瞬黙ったものだから、ルシンダが熱心に続きを聞き出しにかかった。



「えー……と。副作用のある薬的な何か? 後遺症の残る解毒剤とか」



ルシンダとアーノルドは私の意外なオスカー評価に、あっけに取られて私の顔を見つめていたが、半目になって腕を組んで考えているケネスに視線を移した。



どういう意味なの?と聞いている。



「合ってるんだ……シュザンナの例えが」



ケネスは難しい顔をしていた。



「ま、まあ、オスカーは……その、一筋縄ではいかないと言うか……複雑な人間だな。だけど、馬車を出してくれた。感謝はしてるんだ。出来るだけのことをしてくれた。だけど、なんだか、行き過ぎみたいな気がしてきて……」





それから、ケネスは、ケネスにしては珍しくどんよりした目つきで私を眺めた。



「ねえ、シュザンナ。オスカーをどう思った?」



アーノルドとルシンダはそろって私を見た。



どうしてだろう? 二人、いやケネスもだ、妙に熱っぽく私を見ている。





「とっても変わった人だと思ったわ。なんだか、よくわからない」



私は正直な感想を述べた。



「でも、親友のケネスにこんなこと言ってしまったら悪いけれど……とても意地悪な人でしたわ。なんだかわからないけど……」





ふううーっっとケネスがため息をついた。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

4人の女

猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。 うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。 このご婦人方には共通点がある。 かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。 『氷の貴公子』の異名を持つ男。 ジルベール・タレーラン公爵令息。 絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。 しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。 この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。 こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。

別れたいようなので、別れることにします

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。 魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。 命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。 王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。

良いものは全部ヒトのもの

猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。 ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。 翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。 一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。 『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』 憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。 自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。

あの、初夜の延期はできますか?

木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」 私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。 結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。 けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。 「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」  なぜこの人私に求婚したのだろう。  困惑と悲しみを隠し尋ねる。  婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。  関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。 ボツネタ供養の短編です。 十話程度で終わります。

【完結】3度婚約を破棄された皇女は護衛の騎士とともに隣国へ嫁ぐ

七瀬菜々
恋愛
 先日、3度目の婚約が破談となったモニカは父である皇帝から呼び出しをくらう。  また皇帝から理不尽なお叱りを受けると嫌々謁見に向かうと、今度はまさかの1回目の元婚約者と再婚約しろと言われて----!?  これは、宮中でも難しい立場にある嫌われ者の第四皇女モニカと、彼女に仕える素行不良の一途な騎士、そして新たにもう一度婚約者となった隣国の王弟公爵との三角関係?のお話。

【完結】瑠璃色の薬草師

シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。 絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。 持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。 しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。 これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。

処理中です...