44 / 58
第44話 決戦
しおりを挟む
しかし、私はにっくきミランダ・カーチス嬢やジェーン・マクローン嬢の名前にばかり気を取られていて、ウィリアムの名前を見落としていた。
なんで、私の母はウィリアムを招待客の中に加えたのだろう。
そして、私は知らなかったが、母はミランダ・カーチス嬢やジェーン・マクローン嬢の名前に私がわざわざ書き加えた注釈を見ても、クスクス笑っただけだったらしい。
「ねえ、トマス。どうして招待しないで欲しいと思って、この二人の令嬢肩の名前の下に注釈まで書き添えたのに、この二人だけ、招待されているのかしら? ルシンダはとにかくとして?」
「私のせいではありません、奥様が……」
『シュザンナもやるようになったのねえ。これなら大丈夫だわ』
母は嬉しそうにそう言ったそうな。
トマスは額に汗をかき、目を泳がせながら、問い詰められて、私にそう答えた。
何がどう大丈夫なのかしら? 私が彼女たちに勝てるとでも?
ミランダ・カーチス嬢とジェーン・マクローン嬢のもとには、しっかりバッチリ招待状が届けられ、そのほかにルシンダとアルバート兄妹のもとにも招待状は送られた。
オズボーン家にも届いて、オズボーン侯爵夫人は、少し不安そうに夫の胸にすがりついていたと言う。
「どういうことなのかしら?」
オズボーン侯爵はケネスに似て黒い髪だったのが半白になっていた。
夫人はきゃしゃで美しい人だった。
「ケネスの婚約か……」
侯爵は、妻を見て言った。
「いいじゃないか。ケネスが自分の力で勝ち取ろうとしているんだろう?」
「でも、モンフォール夫人は……」
「シュザンナも自分の声を上げようとしているのだろう。よいことだと思うよ」
オズボーン侯爵家のまっ昼間行われた健全で華やかな園遊会と違って、モンフォール家のパーティは、夕刻からのもので食事とダンスパーティになっていた。
そして、人数はごく限られた小規模なものだった。
「すごい。まるで、この場で選びきりなさいと言わんばかりでございますね、お嬢様」
ロンダが、わずかばかりの招待客のリストを読みながら感想を述べた。
メアリ・アンはロンダの足を踏もうとしているところだった。
私は、もうぐったりして、感想を言う気力もなかった。
リストにはケネスとオスカーとウィリアムが混ざっていたのである。
どういうつもりなのかしら? この混合リスト……
そして、その特選リストには、そのほかに(ルシンダとアルバートはとにかく)例のミランダ・カーチス嬢とジェーン・マクローン嬢が混ざっていた。
「こ、この会の趣旨はいったい……?」
「お嬢様」
メアリ・アンが有無を言わせぬ目つきで詰め寄った。
「今日は学園は休みにしました」
「や、休み? どうして?」
「緊急事態です。ドレスメーカー、ナイジェルのマチルダ様をお呼びしています」
ロンダが口添えした。
「正念場でしょう。奥様は、お嬢様にチャンスをお与えになったのですよ。お嬢様が強情に頑張られるから」
「そうですわ。ケネス様は確かに美男子。でも、少々乱暴者で、強引なところがある。騎士として有望かも知れませんが、お嬢様に優しくしてくださるのか心配」
「え? そんなことは……」
シャーボーンの夜、ケネスは優しかった。とても……。
そして真剣だった。
でも、それは言えない。この二人は母のスパイかも知れない。
「バーカムステッド家のオスカー様は、ケネス様のように美男子で勇敢な方ではないのでしょうけれど、とても優雅で紳士的。その上、ご身分も高く、オズボーン家に負けず劣らず裕福です」
あ、二人とも、母に洗脳されたんだわ。なにか、そんな気がしてきたわ。
「先日、初めて拝見させていただきましたが、お嬢様を見て微笑んでらしたではございませんか?」
間違いない。母の指示を受けているんだわ。
「絶対、好意を抱いてらっしゃいますよ。私たちにはわかりましたわ」
年上のメアリ・アンが諭すように言いだした。
あなたと私は2つしか違わないのよ!
なんなの、その上から目線!
絶対、言いくるめられている上に、状況証拠とか余計なことを母にしゃべっているわ。
オスカーは紳士的なだけな人ではないのよ。
「それからマンダヴィル辺境伯から、是非にとお申込みがあったそうです。次男ながら、優秀で、伯父様の伯爵領を継ぐご予定があるそうです。爵位があるならと、奥様も了承されました」
「え?」
私は、この新情報には、ビックリした。ウィリアムが伯爵になる?
いつの間にそんなことに? そう言えば、最近、ウィリアムにどうしてなのか、あまり会わなくなっていた。情報不足になっていたんだわ。
「奥様は、お嬢様のお為を思って一生懸命なのでございます」
いや、そのエネルギー、向ける方向が違う気がする。毎度そうなのだけど、母は自分で決めて私に押し付けてくる。
今回は、オスカー様を強力に推進してくるのではないかしら?
「オスカー様は公爵家のご令息、服装のセンスが抜群なんだそうでございます。お嬢様はあまりその点……」
「毎度、お母さまのご趣味でドレスを作っていたからよ!」
さすがに私は思わず口に出した。
メガネだって強要してきたくせに。
なぜか、その時すうう……とドアが開いて、どういう訳か、母が入ってきた。
「シュザンナ……」
私は顔色青ざめた。なぜ、いま、ここに来たのかしら? 聞いていた?
「私の趣味が何ですって?」
「……あ、いえ、あの、今回の、いえ、前回のナイジェルのドレスは、すごく評判がよかったので……」
「オズボーン家の園遊会に着ていった派手なドレスのこと?」
母がいかにも賛成しかねると言った様子で陰気臭く言いだした。
母は、派手なものが嫌いなのだ。その割には自分は派手な宝石類を身に付けたがる傾向があるが。
「あのデザインはどうかと思うわ」
「あ、あの、でも、そうだわ、オスカー様が大変気に入ってくださって……」
「おや?」
母の目がぎろりと動いた。
「あなたはバーカムステッド家のオスカー殿は、あなたに全然興味がなさそうだって、この間、言ってたじゃない」
「この間と言うのは、朝食の時の話ですか」
だって、お母さまとお父さまは、最近私の顔を見れば、事情聴取に努められるのですもの。
オスカー様のあれこれを事細かに聞かれて大変なのです。
これ以上、話が進展してはまずいと思って、オスカー様は私に全然関心がないって、ちょっと話を盛っただけなのに。
「ドレスを誉めてくださるだなんて、ずいぶん……」
「社交麗辞ですわ」
そう言ってから気が付いた。褒めてもらったことにしないと、マチルダが私のドレス担当から外されてしまう。
「オスカー様はおしゃれな方だと思いましたわ。ですから、ドレスには見識がおありみたいですので、どのご令嬢のドレスにも一言おっしゃるのです。しかも結構辛口ですの。せっかく褒められましたので同じデザイナーに頼みたいと」
母はため息をついた。
「まあ、いいわ。もう、メアリ・アンが呼んでいるようですしね」
しかし、母は私をにらみつけた。
「バーカムステッド家のオスカー様の気に入られるようにね。ナイジェルに、私からも念押ししておきます!」
そんな……。
いくらマチルダが腕のいいデザイナーだとしても、見ず知らずのオスカー様の趣味なんか知らないと思うんだけどな。
なんで、私の母はウィリアムを招待客の中に加えたのだろう。
そして、私は知らなかったが、母はミランダ・カーチス嬢やジェーン・マクローン嬢の名前に私がわざわざ書き加えた注釈を見ても、クスクス笑っただけだったらしい。
「ねえ、トマス。どうして招待しないで欲しいと思って、この二人の令嬢肩の名前の下に注釈まで書き添えたのに、この二人だけ、招待されているのかしら? ルシンダはとにかくとして?」
「私のせいではありません、奥様が……」
『シュザンナもやるようになったのねえ。これなら大丈夫だわ』
母は嬉しそうにそう言ったそうな。
トマスは額に汗をかき、目を泳がせながら、問い詰められて、私にそう答えた。
何がどう大丈夫なのかしら? 私が彼女たちに勝てるとでも?
ミランダ・カーチス嬢とジェーン・マクローン嬢のもとには、しっかりバッチリ招待状が届けられ、そのほかにルシンダとアルバート兄妹のもとにも招待状は送られた。
オズボーン家にも届いて、オズボーン侯爵夫人は、少し不安そうに夫の胸にすがりついていたと言う。
「どういうことなのかしら?」
オズボーン侯爵はケネスに似て黒い髪だったのが半白になっていた。
夫人はきゃしゃで美しい人だった。
「ケネスの婚約か……」
侯爵は、妻を見て言った。
「いいじゃないか。ケネスが自分の力で勝ち取ろうとしているんだろう?」
「でも、モンフォール夫人は……」
「シュザンナも自分の声を上げようとしているのだろう。よいことだと思うよ」
オズボーン侯爵家のまっ昼間行われた健全で華やかな園遊会と違って、モンフォール家のパーティは、夕刻からのもので食事とダンスパーティになっていた。
そして、人数はごく限られた小規模なものだった。
「すごい。まるで、この場で選びきりなさいと言わんばかりでございますね、お嬢様」
ロンダが、わずかばかりの招待客のリストを読みながら感想を述べた。
メアリ・アンはロンダの足を踏もうとしているところだった。
私は、もうぐったりして、感想を言う気力もなかった。
リストにはケネスとオスカーとウィリアムが混ざっていたのである。
どういうつもりなのかしら? この混合リスト……
そして、その特選リストには、そのほかに(ルシンダとアルバートはとにかく)例のミランダ・カーチス嬢とジェーン・マクローン嬢が混ざっていた。
「こ、この会の趣旨はいったい……?」
「お嬢様」
メアリ・アンが有無を言わせぬ目つきで詰め寄った。
「今日は学園は休みにしました」
「や、休み? どうして?」
「緊急事態です。ドレスメーカー、ナイジェルのマチルダ様をお呼びしています」
ロンダが口添えした。
「正念場でしょう。奥様は、お嬢様にチャンスをお与えになったのですよ。お嬢様が強情に頑張られるから」
「そうですわ。ケネス様は確かに美男子。でも、少々乱暴者で、強引なところがある。騎士として有望かも知れませんが、お嬢様に優しくしてくださるのか心配」
「え? そんなことは……」
シャーボーンの夜、ケネスは優しかった。とても……。
そして真剣だった。
でも、それは言えない。この二人は母のスパイかも知れない。
「バーカムステッド家のオスカー様は、ケネス様のように美男子で勇敢な方ではないのでしょうけれど、とても優雅で紳士的。その上、ご身分も高く、オズボーン家に負けず劣らず裕福です」
あ、二人とも、母に洗脳されたんだわ。なにか、そんな気がしてきたわ。
「先日、初めて拝見させていただきましたが、お嬢様を見て微笑んでらしたではございませんか?」
間違いない。母の指示を受けているんだわ。
「絶対、好意を抱いてらっしゃいますよ。私たちにはわかりましたわ」
年上のメアリ・アンが諭すように言いだした。
あなたと私は2つしか違わないのよ!
なんなの、その上から目線!
絶対、言いくるめられている上に、状況証拠とか余計なことを母にしゃべっているわ。
オスカーは紳士的なだけな人ではないのよ。
「それからマンダヴィル辺境伯から、是非にとお申込みがあったそうです。次男ながら、優秀で、伯父様の伯爵領を継ぐご予定があるそうです。爵位があるならと、奥様も了承されました」
「え?」
私は、この新情報には、ビックリした。ウィリアムが伯爵になる?
いつの間にそんなことに? そう言えば、最近、ウィリアムにどうしてなのか、あまり会わなくなっていた。情報不足になっていたんだわ。
「奥様は、お嬢様のお為を思って一生懸命なのでございます」
いや、そのエネルギー、向ける方向が違う気がする。毎度そうなのだけど、母は自分で決めて私に押し付けてくる。
今回は、オスカー様を強力に推進してくるのではないかしら?
「オスカー様は公爵家のご令息、服装のセンスが抜群なんだそうでございます。お嬢様はあまりその点……」
「毎度、お母さまのご趣味でドレスを作っていたからよ!」
さすがに私は思わず口に出した。
メガネだって強要してきたくせに。
なぜか、その時すうう……とドアが開いて、どういう訳か、母が入ってきた。
「シュザンナ……」
私は顔色青ざめた。なぜ、いま、ここに来たのかしら? 聞いていた?
「私の趣味が何ですって?」
「……あ、いえ、あの、今回の、いえ、前回のナイジェルのドレスは、すごく評判がよかったので……」
「オズボーン家の園遊会に着ていった派手なドレスのこと?」
母がいかにも賛成しかねると言った様子で陰気臭く言いだした。
母は、派手なものが嫌いなのだ。その割には自分は派手な宝石類を身に付けたがる傾向があるが。
「あのデザインはどうかと思うわ」
「あ、あの、でも、そうだわ、オスカー様が大変気に入ってくださって……」
「おや?」
母の目がぎろりと動いた。
「あなたはバーカムステッド家のオスカー殿は、あなたに全然興味がなさそうだって、この間、言ってたじゃない」
「この間と言うのは、朝食の時の話ですか」
だって、お母さまとお父さまは、最近私の顔を見れば、事情聴取に努められるのですもの。
オスカー様のあれこれを事細かに聞かれて大変なのです。
これ以上、話が進展してはまずいと思って、オスカー様は私に全然関心がないって、ちょっと話を盛っただけなのに。
「ドレスを誉めてくださるだなんて、ずいぶん……」
「社交麗辞ですわ」
そう言ってから気が付いた。褒めてもらったことにしないと、マチルダが私のドレス担当から外されてしまう。
「オスカー様はおしゃれな方だと思いましたわ。ですから、ドレスには見識がおありみたいですので、どのご令嬢のドレスにも一言おっしゃるのです。しかも結構辛口ですの。せっかく褒められましたので同じデザイナーに頼みたいと」
母はため息をついた。
「まあ、いいわ。もう、メアリ・アンが呼んでいるようですしね」
しかし、母は私をにらみつけた。
「バーカムステッド家のオスカー様の気に入られるようにね。ナイジェルに、私からも念押ししておきます!」
そんな……。
いくらマチルダが腕のいいデザイナーだとしても、見ず知らずのオスカー様の趣味なんか知らないと思うんだけどな。
2
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
4人の女
猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。
うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。
このご婦人方には共通点がある。
かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。
『氷の貴公子』の異名を持つ男。
ジルベール・タレーラン公爵令息。
絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。
しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。
この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。
こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。
別れたいようなので、別れることにします
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。
魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。
命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。
王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。
良いものは全部ヒトのもの
猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。
ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。
翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。
一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。
『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』
憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。
自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
【完結】3度婚約を破棄された皇女は護衛の騎士とともに隣国へ嫁ぐ
七瀬菜々
恋愛
先日、3度目の婚約が破談となったモニカは父である皇帝から呼び出しをくらう。
また皇帝から理不尽なお叱りを受けると嫌々謁見に向かうと、今度はまさかの1回目の元婚約者と再婚約しろと言われて----!?
これは、宮中でも難しい立場にある嫌われ者の第四皇女モニカと、彼女に仕える素行不良の一途な騎士、そして新たにもう一度婚約者となった隣国の王弟公爵との三角関係?のお話。
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる