ハズレ職? いいえ、天職です

陸奥

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始まりは突然

スキル選びと始まりの産声

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 空間に映し出されたたくさんのスキルの文字。その中から4つ選ばなくてはならないとなると、自分に優位なスキルが欲しい。

 まずは状態異常無効。ファンタジーな世界=毒やらゾンビ状態やら状態異常系魔法とかあるはず。あまりゲームとかはやってないけど、実況とかみてるからね。ファンタジーにはありえる。

 それから鑑定。知りたいと思うものを鑑定するスキル。ファンタジーの世界なら、どんなものなのか知っておきたいし、自然になってる食べ物で食べられるものがあれば食べてみたい。それに、高価なものなら大切にしておきたいからね。

 もう一つは生合成。このスキルはアイテム生成や合成を失敗なくこなせるスキルだ。何かしら仕事をするのならあっても損はないスキルだし、きっと重宝すると思うんだ。

 最後は……どうしようかな。錬金術のスキルは欲しいけど、生合成あれば多分問題ないだろうし体力強化とかは筋トレでなんとかなりそう。魔力は教材あればなんとかなりそう。

 うんうん悩みながら見ていると、一つの文字に目が止まった。

「……これは……獣使いビーストテイマー?」

  獣使い。この文字に目が止まったのは、単に動物が好きだからという些細な理由で、だ。説明を見るには動物と言葉を交わせたりテイムした動物に指示を出したりできるスキルみたいだ。おまけに、将来的なジョブになるみたいで私に取って嬉しいスキルかもしれない。

「アルテイル様、決まりました」

「状態異常無効に鑑定、生合成、獣使いですね? では、あなたにこのスキルを与えましょう」

 文字盤? から4つの文字が消えたと同時に光の玉が4つ現れて私の体に吸い込まれて行く。ぽかぽかと温かくなる体に眠気が訪れ、意識が保てなくなって来た。

 今度は何が起きようとしてるんだろう?

「どうやら転生する時間のようですね。では、最後に神の気まぐれと私からのお詫びの印です」

 薄れゆく意識の中で聞こえた言葉にどういうことかと聞こうとしたが、言葉を出す前に私の意識が暗転した。

───────
────
──

 ふわふわとした感覚からぎゅうっと身体中を強く締め付けられた。かと思ったら目の前が急に明るくなって、驚いて声を出したら赤ちゃん特有の泣き声が私から出た。
 
状況を見ると、どうやら私は母親のお腹から生まれでたようだ。

「可愛い女の子ですよ!」

「ふふ、ようこそ可愛い子」

「よくやった、クィンリー。女でも我がレイフォート家に有利なスキルがあればそれで良い」

 会話からするとどうやら一般家庭じゃなく、それなりのプライドが高い家庭に生まれてしまったようだ。かなり面倒ではあるし何かしらの苦労はありそうだけれど、知識を得るためにはかなり恵まれそうだ。


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