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始まりは突然
神様と特訓
しおりを挟むふと目が覚めると前世で死んだ時と同じ空間にいた。アルテイルさまもいる。
もしかして、寝ている間に乳児突然死でもしたのかな? それとも他殺?
「ここはあなたの精神の奥底で、私が干渉してこちらに引き込んだだけなのであなたは死んでません」
「そうなんですね。……ん?」
自然と言葉が出たことに驚き自分の手や身体を見れば、前世の体に近いモノになってた。精神世界=大人の体という認識でいいの?それはそれで助かるからいいけど。
「アルテイル様、どうして私の精神の奥底に?」
「あなたがやっとスキルを使ってくれたからですよ。すぐに使うのかと思ったら、すっかり忘れてたみたいですね?」
「あぁ~、日本じゃまずないことでしたからね」
それだけじゃなく、リアル赤ちゃんプレイしていて恥ずかしさのあまり思考を停止しがちになってたからだ。あと何ヶ月かあるとなると苦痛で仕方がないが、体の成長のためだから仕方がないと諦めている。
これぞ記憶を持って転生した者の通る道ってね。
「私があなたの精神の奥底に来たのは、それを言いに来たのではないのです。あなたのこれからを考えての特訓をするためです」
「特訓?」
「はい。スキルを使うためにも、魔法を使うためにも魔力コントロールが必要ですので、その特訓をします」
ちょうどしたいなと思っていた特訓だったからありがたい。体術とかもやりたいところだけど、体がまだ出来上がってない上に立てもしない赤ちゃんだからまだ良いし。
「お願いします!」
「はい、任せてください。まずは魔力についてですが、深呼吸をしながら目を閉じて全身に意識を持っていってください」
言われたように深呼吸をして全身に意識を持っていく。すると、体があったかい感じがする。特に鳩尾あたり。
「何か温かいものを感じましたか?」
「鳩尾のあたりがあったかいです」
「それが魔力です。では、その鳩尾にある魔力を全身に巡らせるようにイメージしてください。ああ、ただ流れるのではなく巡回させるような感じですよ?」
循環……。血液循環みたいな感じでいいのかな? 中心から末端、末端から中心、という感じで合ってる?
「うまく出来ているようですね。そうしたら、今度は手のひらを向かい合わせにして、テトテの間に力を集めるようなイメージしてください。形はなんでも構いませんができれば卵型で。可能ならクリスタル型にしてください」
合ってたのね。卵型の方がやりやすそうだし、そっちでやろう。
そのまま流れを手のひらに集中して、卵の形を想像する。遊び心もつけて、クリスタルの檻も──。
「悠希、いえ、シェリル。独断の行動はおやめなさい。慣れないうちにしてしまうと良くて体や精神が弾け飛び、悪くて魂が弾け飛びますよ」
「……はい」
何それ怖い。良くて魂が精神、悪くて魂とかどっちにしろ死んじゃう。
それは困るから言われた通りにしよう。
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