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白ギャル黒ギャル戦争
四つ角地蔵の怪
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詩織ちゃんたちは学校で会っても目を合わせてくれなくなった。挨拶をすれば挨拶を返してくれるし、ちょっとした雑談にも付き合ってくれるんだけど、以前のように笑顔で私を見てくれることはなくなってしまった。
私はお昼休みも一人で過ごすことが増えてしまったけど以前もそうだったという事を思い出すと特別寂しいという気持ちは沸いてこなかった。むしろ、誰にも気を遣わずに好きな場所でお昼を過ごすことが出来るという事に喜びを感じていた。
「うまなちゃんは今日も一人でお昼を食べているのかい?」
「うん、最近はそういう日が多いかも。でも、案外と一人もいいもんだって思ってるんだ」
「そうなんだ。寂しくなったらいつでも私たちに声をかけてくれていいからね」
稲垣さんはいつも私を気にかけてくれている。授業でペアを作る時なんかも坂井さんよりも先に私に声をかけてくれたりしてるし、さっきみたいにお昼休みに声をかけてくれたりもしている。
勇作さんをボコボコにしていたのはちょっと怖かったけど、あの時はあそこまでしないといけない理由があったという事を後で知ったので怖いと思うよりもありがとうという気持ちの方が強かったのだ。
「そう言えば、今日の放課後に千秋と一緒にあの交差点に行ってみるんだけど、うまなちゃんも一緒に行ってみないかな。もしかしたら、前と違うものが見えるかもしれないよ」
「誘ってくれるのは嬉しいんだけど、今日はアルバイトの日なんだ。今まで休んでいたことも多かったんで出来るだけシフトに入れてもらう事にしてるんだ」
「イッパイ働いて偉いね。私は千秋と遊んでばかりで働いたことなんて無いから尊敬するよ」
「尊敬されるほどでもないと思うけどね。そんな事言うんだったら、稲垣さんはモデルの仕事してるでしょ。そっちの方が尊敬だよ」
「アレは私が凄いんじゃなくて愛華ちゃんと千秋が凄いだけだから。私は二人に言われた通りにしてるだけだったんだよ。パパもママも私よりも千秋の事を誉めてたくらいだからね」
そんな事を言いつつも稲垣さんは初めてみた時よりもずっと素敵な笑顔を私に見せてくれていた。あの写真で見た時よりもこっちの方が可愛いんじゃないかなと思ってしまうくらいに稲垣さんの笑顔は輝いて見えていた。
「そうだ、いいコト思いついちゃった。愛華ちゃんに頼んで今日のうまなちゃんの仕事をあの交差点で出来るやつに変えてもらおうかな」
「そんな仕事なんてないでしょ。あそこは別に写真を撮るにしても面白い場所じゃないと思うし。ただでさえお化け写真館って言われてるのに、そんなところで写真を撮ってたら余計な噂が広まっちゃうよ」
「噂なんて広まらないと思うけどね。じゃあ、放課後にまたね」
放課後にまたねと言われても私はアルバイトがあるんだよな。稲垣さんは私を助けてくれた恩人でいい人だと思うんだけど、ちょっとだけ相手の都合を考えないことがあるんだよね。それは不快に思う程じゃないけど、ちょっとだけモヤモヤすることもあったりするんだよね。
愛華ちゃんと稲垣さんの説明を受けた坂井さんは顔を真っ青に変化させて私の腕にしがみついていた。
「うまなちゃんごめん。でも、今だけはこうさせて。あの人たちちょっとおかしいからあの人たちには頼りたくない」
私には見えないので何ともないんだけど、坂井さんの目には歩道の両端にずらっと並んでいるお地蔵さんの姿が見えているらしい。どのお地蔵さんも坂井さんの方を向いているという事なのだけど、見えない私にはそんなことがあり得るのかと思ってしまうくらい滑稽な話だと思った。
怖がっている坂井さんをより怖がらせようと愛華ちゃんも稲垣さんも悪ふざけをしていた。どれもこれも幼稚な感じのいたずらでしかないと思えるのだけど、いたずらをされている坂井さんは今にも泣きだしそうで体も小刻みに震えていた。そんなか弱い子猫みたいな状態の坂井さんの手をギュッと握ってみたところ、坂井さんは少しだけ顔を上げて私の事を頼りにしていると言ってくれた。
「今まで何度もここを通ったことはあるんだけど、なんで今日はこんな状態になってるのよ。うまなちゃんは見えてないって本当なのかな。でも、見えてたらそんなに落ち着いていられないよね」
「逆に何が見えているのか聞きたいんだけど。お地蔵さんがずらっと並んでるって本当なんだよね?」
「本当だよ。歩道端に一杯並んでるんだけど、そのお地蔵さんたちはちょっとずつ角度を変えてみんな私の事を見てるんだよ。後ろを見ても他の道を見てもお地蔵さんはみんな私の事を見てるんだよ」
私には見えないお地蔵さんの話をされているので坂井さんの怖がっている姿も演技なのかなと思ったりもしていた。でも、ここまで本気で怖がっている演技が出来るんだったらその道に進んでしまった方が良いように思えた。それくらいに坂井さんの怖がり方には嘘が無いように思えた。
愛華ちゃんはそんな坂井さんを嬉しそうに写真に収めている。その様子を斜め後ろから見ている稲垣さんもすごく嬉しそうだ。何がそんなに楽しいんだろうと思いながらも、こんなに怖がっている坂井さんの姿を見るのは少し面白いと感じてしまっていたのは秘密にしよう。
「ホントに無理なんだけど。もう怖すぎるから帰りたいよ」
「そんなこと言わないでよ。お地蔵さんたちは千秋に何か悪いことが起きないか心配で見守ってるんだからね。みんな千秋の事を心配してくれているんだよ」
「それはわかったけど、物事には限度ってものがあるんだよ。さすがにこれは怖すぎだって」
「千秋は本当にわがままなんだからな。愛華ちゃんもドン引きしちゃってるじゃん」
「ドン引きしてるのはあんたのその行動にだよ」
いつもみたいに楽しそうにしている稲垣さんと坂井さんだけど、その理由がお地蔵さんだというのは微笑ましいと思って良いのか悩ましいところであった。
「うまなちゃんはさ、千秋ちゃんみたいに見えるようになりたいって思ってるかな?」
「どうだろう。前までは私もお父さんたちみたいに見えるようになりたいって思ってたけど、今はそんなに思ってないかも。逆に、見えない方が幸せだって言ってた意味が分かってきたかも」
「千秋ちゃん見てるとそう感じちゃうかもね。でも、そんな千秋ちゃんも茜ちゃんもうまなちゃんのために色々と頑張ってくれたんだよ」
「うん、それは知ってるよ。でも、何があったのか知らないんだよね。教えてもらえたりするのかな?」
「そうだね。今日はもう遅いから明日のバイトの時からゆっくりと教えてあげるよ。何があったか気になってるだろうし、うまなちゃんの知らないところで何をしていたか教えてあげるね。私と茜ちゃんたちが何をしていたか、ゆっくりと教えてあげるね」
明日から教えてもらえる私の知らない話。
ちょっと楽しみかもしれない。
私はお昼休みも一人で過ごすことが増えてしまったけど以前もそうだったという事を思い出すと特別寂しいという気持ちは沸いてこなかった。むしろ、誰にも気を遣わずに好きな場所でお昼を過ごすことが出来るという事に喜びを感じていた。
「うまなちゃんは今日も一人でお昼を食べているのかい?」
「うん、最近はそういう日が多いかも。でも、案外と一人もいいもんだって思ってるんだ」
「そうなんだ。寂しくなったらいつでも私たちに声をかけてくれていいからね」
稲垣さんはいつも私を気にかけてくれている。授業でペアを作る時なんかも坂井さんよりも先に私に声をかけてくれたりしてるし、さっきみたいにお昼休みに声をかけてくれたりもしている。
勇作さんをボコボコにしていたのはちょっと怖かったけど、あの時はあそこまでしないといけない理由があったという事を後で知ったので怖いと思うよりもありがとうという気持ちの方が強かったのだ。
「そう言えば、今日の放課後に千秋と一緒にあの交差点に行ってみるんだけど、うまなちゃんも一緒に行ってみないかな。もしかしたら、前と違うものが見えるかもしれないよ」
「誘ってくれるのは嬉しいんだけど、今日はアルバイトの日なんだ。今まで休んでいたことも多かったんで出来るだけシフトに入れてもらう事にしてるんだ」
「イッパイ働いて偉いね。私は千秋と遊んでばかりで働いたことなんて無いから尊敬するよ」
「尊敬されるほどでもないと思うけどね。そんな事言うんだったら、稲垣さんはモデルの仕事してるでしょ。そっちの方が尊敬だよ」
「アレは私が凄いんじゃなくて愛華ちゃんと千秋が凄いだけだから。私は二人に言われた通りにしてるだけだったんだよ。パパもママも私よりも千秋の事を誉めてたくらいだからね」
そんな事を言いつつも稲垣さんは初めてみた時よりもずっと素敵な笑顔を私に見せてくれていた。あの写真で見た時よりもこっちの方が可愛いんじゃないかなと思ってしまうくらいに稲垣さんの笑顔は輝いて見えていた。
「そうだ、いいコト思いついちゃった。愛華ちゃんに頼んで今日のうまなちゃんの仕事をあの交差点で出来るやつに変えてもらおうかな」
「そんな仕事なんてないでしょ。あそこは別に写真を撮るにしても面白い場所じゃないと思うし。ただでさえお化け写真館って言われてるのに、そんなところで写真を撮ってたら余計な噂が広まっちゃうよ」
「噂なんて広まらないと思うけどね。じゃあ、放課後にまたね」
放課後にまたねと言われても私はアルバイトがあるんだよな。稲垣さんは私を助けてくれた恩人でいい人だと思うんだけど、ちょっとだけ相手の都合を考えないことがあるんだよね。それは不快に思う程じゃないけど、ちょっとだけモヤモヤすることもあったりするんだよね。
愛華ちゃんと稲垣さんの説明を受けた坂井さんは顔を真っ青に変化させて私の腕にしがみついていた。
「うまなちゃんごめん。でも、今だけはこうさせて。あの人たちちょっとおかしいからあの人たちには頼りたくない」
私には見えないので何ともないんだけど、坂井さんの目には歩道の両端にずらっと並んでいるお地蔵さんの姿が見えているらしい。どのお地蔵さんも坂井さんの方を向いているという事なのだけど、見えない私にはそんなことがあり得るのかと思ってしまうくらい滑稽な話だと思った。
怖がっている坂井さんをより怖がらせようと愛華ちゃんも稲垣さんも悪ふざけをしていた。どれもこれも幼稚な感じのいたずらでしかないと思えるのだけど、いたずらをされている坂井さんは今にも泣きだしそうで体も小刻みに震えていた。そんなか弱い子猫みたいな状態の坂井さんの手をギュッと握ってみたところ、坂井さんは少しだけ顔を上げて私の事を頼りにしていると言ってくれた。
「今まで何度もここを通ったことはあるんだけど、なんで今日はこんな状態になってるのよ。うまなちゃんは見えてないって本当なのかな。でも、見えてたらそんなに落ち着いていられないよね」
「逆に何が見えているのか聞きたいんだけど。お地蔵さんがずらっと並んでるって本当なんだよね?」
「本当だよ。歩道端に一杯並んでるんだけど、そのお地蔵さんたちはちょっとずつ角度を変えてみんな私の事を見てるんだよ。後ろを見ても他の道を見てもお地蔵さんはみんな私の事を見てるんだよ」
私には見えないお地蔵さんの話をされているので坂井さんの怖がっている姿も演技なのかなと思ったりもしていた。でも、ここまで本気で怖がっている演技が出来るんだったらその道に進んでしまった方が良いように思えた。それくらいに坂井さんの怖がり方には嘘が無いように思えた。
愛華ちゃんはそんな坂井さんを嬉しそうに写真に収めている。その様子を斜め後ろから見ている稲垣さんもすごく嬉しそうだ。何がそんなに楽しいんだろうと思いながらも、こんなに怖がっている坂井さんの姿を見るのは少し面白いと感じてしまっていたのは秘密にしよう。
「ホントに無理なんだけど。もう怖すぎるから帰りたいよ」
「そんなこと言わないでよ。お地蔵さんたちは千秋に何か悪いことが起きないか心配で見守ってるんだからね。みんな千秋の事を心配してくれているんだよ」
「それはわかったけど、物事には限度ってものがあるんだよ。さすがにこれは怖すぎだって」
「千秋は本当にわがままなんだからな。愛華ちゃんもドン引きしちゃってるじゃん」
「ドン引きしてるのはあんたのその行動にだよ」
いつもみたいに楽しそうにしている稲垣さんと坂井さんだけど、その理由がお地蔵さんだというのは微笑ましいと思って良いのか悩ましいところであった。
「うまなちゃんはさ、千秋ちゃんみたいに見えるようになりたいって思ってるかな?」
「どうだろう。前までは私もお父さんたちみたいに見えるようになりたいって思ってたけど、今はそんなに思ってないかも。逆に、見えない方が幸せだって言ってた意味が分かってきたかも」
「千秋ちゃん見てるとそう感じちゃうかもね。でも、そんな千秋ちゃんも茜ちゃんもうまなちゃんのために色々と頑張ってくれたんだよ」
「うん、それは知ってるよ。でも、何があったのか知らないんだよね。教えてもらえたりするのかな?」
「そうだね。今日はもう遅いから明日のバイトの時からゆっくりと教えてあげるよ。何があったか気になってるだろうし、うまなちゃんの知らないところで何をしていたか教えてあげるね。私と茜ちゃんたちが何をしていたか、ゆっくりと教えてあげるね」
明日から教えてもらえる私の知らない話。
ちょっと楽しみかもしれない。
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