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白ギャル黒ギャル戦争
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栗宮院午彪と栗宮院奈緒美の娘が同じ学校にいるらしいという話は聞いていたのだけれど、私と同じクラスになるとは思わなかった。苗字を見れば一発で誰かわかってしまうのは少しだけかわいそうだとは思ったりもしたが、彼女のすぐそばで若い女の幽霊が近づくものを呪いにも似た不思議な力で寄せ付けないようにしている事もあって誰も話しかけようとすらしなくなっていた。それを見た私はちょっとだけ栗宮院うまなさんの事がかわいそうだなと思ってしまった。
有名人の娘と仲良くなりたいというミーハーな一面が私の中にあったことに驚いてしまったのだけど、私以外にそんな事を考えている人がいないのは少し意外だった。でも、悪霊みたいな動きをして人を寄せ付けないようにしているあの守護霊がいることを考えればそれも仕方ないのかもしれない。私みたいに霊感がある人ならば栗宮院うまなさんに近寄りづらい理由がわかるけれど、霊感のない人たちは栗宮院うまなさんが近くにいるだけで得体の知れない殺気を感じて離れてしまうようだ。私の友達の千秋も無意識のうちに私と栗宮院うまなさんの間に入らないようにしていることから、ソレを本能的に気付いていて無意識のうちに身を守ろうとしているという事なのだろう。
栗宮院うまなさんと仲良くなりたいという気持ちはずっと変わらないのだけれど、私と栗宮院うまなさんの間にある障壁は私だけの努力では取り除くことが出来ないだろう。どう考えても私程度の力ではあの悪霊にも似た行動をする守護霊をどうにかすることなんて出来やしないのだ。それこそ、栗宮院午彪や栗宮院奈緒美クラスの力が無いと無理だろうね。
そこで私はある作戦を思いついた。栗宮院うまなさんと直接仲良くすることが難しいのであれば、あの守護霊と仲良くなってしまえばいいのではないだろうか。何度か栗宮院うまなさんの後を付けて観察していて分かったことなのだが、あの守護霊は普通に会話が成立する自己を確立しているタイプの守護霊なのだ。栗宮院うまなさんがアルバイトをしている先のキレイなお姉さんと話しているところを見たんだけど、その時の守護霊は私が普段見ている恐ろしさなどかけらも見せずに穏やかな菩薩のような印象を受けたのだ。あの感じで私とも会話をしてくれるようになれば栗宮院うまなさんと少し近付けるような感じはしていた。
「あのさ、あんたって栗宮院さんのストーカーなのかな。それに付き合ってる私もストーカーじゃないかって言われたら答えに困るけどさ、そんなにあの子の事が気になるんだったら直接話しかけてみたらいいんじゃない?」
「それが出来たら苦労しないよ。千秋は気付いてないかもしれないけど、栗宮院うまなさんの守護霊ってみんなが避けるように怨念を振りまいているんだからね。それをどうにかしないとみんなも危険なんだよ」
「マジかよ。ここでもそんな事言うんだ。もう、あんたのその何でもオカルトに結びつける癖止めた方が良いと思うよ。もう子供じゃないんだからさ。でも、栗宮院さんの近くに行くのが怖いってのは何となく理解は出来るんだよね。あの子って笑ってるところを見たことが無いってのもあるけど、ちょっと近寄りがたい雰囲気じゃない。ご両親が有名な霊能力者だからなのかもしれないけど、あんたの言う通りに何か怖い守護霊でも付いてたりするのかな?」
「だからそう言ってるじゃない。栗宮院うまなさんについてる守護霊って日本最強クラスの悪霊にもなる可能性があるくらい力を持ってるんだよ。私の予想だけど、アレは栗宮院午彪と栗宮院奈緒美の力で作り出されたんだと思うわ」
「なんであの二人がそんな恐ろしいものを作る必要があるのよ。直接会ったことないけど、あの人たちって困ってる人を助けるために色々なことしているんだよ。だからそんなことするはずないと思うんだけどな。もしかして、あんたの得意の妄想でそんな事考えてるだけじゃないよね?」
「そんなわけないでしょ。あの守護霊がそこまでの力を持ってるってだけで、そうなるとは限らないからね。多分、栗宮院うまなさんを守るためにそれだけの力を持たされてるんだと思うからね」
「あんたの言ってることはよくわからないけどさ、栗宮院さんのバイト先って綺麗な人多いんだね。カメラ持ってるからカメラマンなんだろうけど、あの人もモデルみたいにスラっとして綺麗だよね」
霊感がほとんどない千秋に理解してもらおうにも私の頭ではうまく説明することが出来ない。私と同じものが見えるようにでもなれば簡単な説明で済むとは思うんだけど、それはきっと無理な話なんだよね。私だってこの力が手に入ったきっかけなんて覚えていないし、どうすれば霊感を鍛えることが出来るのかも知らないし。
とりあえず、こうして栗宮院うまなさんの事を見ていれば何かしらあの守護霊と仲良くなれるチャンスがあるかもしれない。その時をひたすら待つだけだ。私は意外と忍耐強いんだからね。
「悪いけど、私はもう少しでバスの時間だから帰るよ。あんたはいつまでそうして覗き見しているつもりなのか知らないけどさ、あんまり迷惑かけるんじゃないよ。あんたって、夢中になると周りが見えなくなっちゃうタイプなんだから、ちゃんと自覚して行動するのよ」
私が栗宮院うまなさんの守護霊と仲良くなれたのはそれから一か月後の事であった。
何の前触れもなく私の後ろに立っていた栗宮院うまなさんの守護霊がいきなり話しかけてきたのだが、私はガラにもないとても女の子っぽい悲鳴を上げてしまった。自分でもこんなリアクションをしてしまうのかという思いが多少はあったのだけれど、全くの死角から不意に話しかけられたという事がこんなに怖いのかと思い知らされる出来事だった。
「ねえ、あなたうまなちゃんのクラスメイトの人よね。ここ最近ずっとうまなちゃんの事を付け回しているみたいだけど、何か企んでるわけ?」
どう考えても普通の人にしか見えない行動をする守護霊にさらに驚いてしまったのだけれど、あまりにも当たり前のように話しかけてくる姿は彼女が守護霊であるという事を忘れさせてくれた。
「付け回しているつもりはなかったんだけど、栗宮院うまなさんと仲良くなりたいなって思ってるんです。でも、あなたがソレを許してくれなさそうだったんで様子をうかがってたんです。ごめんなさい」
幽霊に対して嘘をつくことにメリットなんて何もないのは今までの経験から学んでいる。嘘をつくことで私自身の身に危険が及ぶ可能性が高いと思うし、彼女の力であれば私の命を奪う事なんてろうそくの火を吹き消すよりも簡単なことだと思わせる力があるのだ。だからこそ、私は彼女に対して正直に答えたのだ。
「そうなんだ。うまなちゃんと仲良くなりたいって思ってくれてたんだね。うまなちゃんに近付く人ってみんな悪意に似た感情を抱いていることが多いから警戒してたんだけど、あなたとあなたの友達はそうじゃないみたいだって気付いたんだ。って、私が気付いたんじゃなくて愛華ちゃんが教えてくれたんだけどさ」
愛華ちゃんが誰なのか知らないけど、たぶん栗宮院うまなさんがアルバイトをしているところのカメラマンの人だろう。何度か栗宮院うまなさんがカメラマンの名前を呼んでいたのを聞いたことがあるのだけれど、愛華ちゃんみたいな感じで呼んでいたような気がしていた。
「あなたは私の事をちゃんと認識してくれているみたいだし、悪い人じゃないみたいだからお願いしたいんだけど、聞いてもらってもいいかな?」
この状況で私が断ることが出来ないのは彼女もわかっているだろう。それを知っているうえでお願いをしてくるというのは悪い霊なのかもしれない。そもそも、幽霊のお願いなんて聞いても良いものだろうか。だが、ここで断ってしまって命を奪われるなんてことは避けたい。
「お願いって何ですか?」
「私はさ、幽霊だからうまなちゃんを直接助けたりすることが出来ないんだ。間接的に助けることは出来るけどさ、それも限界があるんだよね。なので、あなたにはうまなちゃんが困っているときに助けてもらえると嬉しいんだ。助けるって言ってもあなたが危険な目に遭わないのが前提でね」
「それくらいだったら全然かまわないですよ」
「良かった。そう言ってくれて助かるよ。よろしくお願いね」
「でも、私に出来ることなんて何もないと思いますけど」
「そんなことないよ。私には出来ないことでもあなたには出来ることがあるんだからね。そんなわけで、私とあなたは今からお友達って事でいいかな。私はうまなちゃんの守護霊のイザーだよ。私の事は気軽にイザーちゃんって呼んでいいからね。それと、うまなちゃんの事もうまなちゃんって呼んでくれたら嬉しいな」
「私は稲垣茜です。茜って呼んでくれてかまいません」
「うん、茜ちゃんよろしくね。やっぱりあなたって愛華ちゃんが言ってた通りいい子そうだね」
こうして私に初めて幽霊の友達が出来たのだった。
うまなちゃんの守護霊であるイザーちゃんと一緒に力を合わせてうまなちゃんを守ることになったのだ。
千秋になんて説明したらいいんだろうとは思うけど、あの子には詳しく話さなくても協力してくれると思う。きっと大丈夫だろう。
有名人の娘と仲良くなりたいというミーハーな一面が私の中にあったことに驚いてしまったのだけど、私以外にそんな事を考えている人がいないのは少し意外だった。でも、悪霊みたいな動きをして人を寄せ付けないようにしているあの守護霊がいることを考えればそれも仕方ないのかもしれない。私みたいに霊感がある人ならば栗宮院うまなさんに近寄りづらい理由がわかるけれど、霊感のない人たちは栗宮院うまなさんが近くにいるだけで得体の知れない殺気を感じて離れてしまうようだ。私の友達の千秋も無意識のうちに私と栗宮院うまなさんの間に入らないようにしていることから、ソレを本能的に気付いていて無意識のうちに身を守ろうとしているという事なのだろう。
栗宮院うまなさんと仲良くなりたいという気持ちはずっと変わらないのだけれど、私と栗宮院うまなさんの間にある障壁は私だけの努力では取り除くことが出来ないだろう。どう考えても私程度の力ではあの悪霊にも似た行動をする守護霊をどうにかすることなんて出来やしないのだ。それこそ、栗宮院午彪や栗宮院奈緒美クラスの力が無いと無理だろうね。
そこで私はある作戦を思いついた。栗宮院うまなさんと直接仲良くすることが難しいのであれば、あの守護霊と仲良くなってしまえばいいのではないだろうか。何度か栗宮院うまなさんの後を付けて観察していて分かったことなのだが、あの守護霊は普通に会話が成立する自己を確立しているタイプの守護霊なのだ。栗宮院うまなさんがアルバイトをしている先のキレイなお姉さんと話しているところを見たんだけど、その時の守護霊は私が普段見ている恐ろしさなどかけらも見せずに穏やかな菩薩のような印象を受けたのだ。あの感じで私とも会話をしてくれるようになれば栗宮院うまなさんと少し近付けるような感じはしていた。
「あのさ、あんたって栗宮院さんのストーカーなのかな。それに付き合ってる私もストーカーじゃないかって言われたら答えに困るけどさ、そんなにあの子の事が気になるんだったら直接話しかけてみたらいいんじゃない?」
「それが出来たら苦労しないよ。千秋は気付いてないかもしれないけど、栗宮院うまなさんの守護霊ってみんなが避けるように怨念を振りまいているんだからね。それをどうにかしないとみんなも危険なんだよ」
「マジかよ。ここでもそんな事言うんだ。もう、あんたのその何でもオカルトに結びつける癖止めた方が良いと思うよ。もう子供じゃないんだからさ。でも、栗宮院さんの近くに行くのが怖いってのは何となく理解は出来るんだよね。あの子って笑ってるところを見たことが無いってのもあるけど、ちょっと近寄りがたい雰囲気じゃない。ご両親が有名な霊能力者だからなのかもしれないけど、あんたの言う通りに何か怖い守護霊でも付いてたりするのかな?」
「だからそう言ってるじゃない。栗宮院うまなさんについてる守護霊って日本最強クラスの悪霊にもなる可能性があるくらい力を持ってるんだよ。私の予想だけど、アレは栗宮院午彪と栗宮院奈緒美の力で作り出されたんだと思うわ」
「なんであの二人がそんな恐ろしいものを作る必要があるのよ。直接会ったことないけど、あの人たちって困ってる人を助けるために色々なことしているんだよ。だからそんなことするはずないと思うんだけどな。もしかして、あんたの得意の妄想でそんな事考えてるだけじゃないよね?」
「そんなわけないでしょ。あの守護霊がそこまでの力を持ってるってだけで、そうなるとは限らないからね。多分、栗宮院うまなさんを守るためにそれだけの力を持たされてるんだと思うからね」
「あんたの言ってることはよくわからないけどさ、栗宮院さんのバイト先って綺麗な人多いんだね。カメラ持ってるからカメラマンなんだろうけど、あの人もモデルみたいにスラっとして綺麗だよね」
霊感がほとんどない千秋に理解してもらおうにも私の頭ではうまく説明することが出来ない。私と同じものが見えるようにでもなれば簡単な説明で済むとは思うんだけど、それはきっと無理な話なんだよね。私だってこの力が手に入ったきっかけなんて覚えていないし、どうすれば霊感を鍛えることが出来るのかも知らないし。
とりあえず、こうして栗宮院うまなさんの事を見ていれば何かしらあの守護霊と仲良くなれるチャンスがあるかもしれない。その時をひたすら待つだけだ。私は意外と忍耐強いんだからね。
「悪いけど、私はもう少しでバスの時間だから帰るよ。あんたはいつまでそうして覗き見しているつもりなのか知らないけどさ、あんまり迷惑かけるんじゃないよ。あんたって、夢中になると周りが見えなくなっちゃうタイプなんだから、ちゃんと自覚して行動するのよ」
私が栗宮院うまなさんの守護霊と仲良くなれたのはそれから一か月後の事であった。
何の前触れもなく私の後ろに立っていた栗宮院うまなさんの守護霊がいきなり話しかけてきたのだが、私はガラにもないとても女の子っぽい悲鳴を上げてしまった。自分でもこんなリアクションをしてしまうのかという思いが多少はあったのだけれど、全くの死角から不意に話しかけられたという事がこんなに怖いのかと思い知らされる出来事だった。
「ねえ、あなたうまなちゃんのクラスメイトの人よね。ここ最近ずっとうまなちゃんの事を付け回しているみたいだけど、何か企んでるわけ?」
どう考えても普通の人にしか見えない行動をする守護霊にさらに驚いてしまったのだけれど、あまりにも当たり前のように話しかけてくる姿は彼女が守護霊であるという事を忘れさせてくれた。
「付け回しているつもりはなかったんだけど、栗宮院うまなさんと仲良くなりたいなって思ってるんです。でも、あなたがソレを許してくれなさそうだったんで様子をうかがってたんです。ごめんなさい」
幽霊に対して嘘をつくことにメリットなんて何もないのは今までの経験から学んでいる。嘘をつくことで私自身の身に危険が及ぶ可能性が高いと思うし、彼女の力であれば私の命を奪う事なんてろうそくの火を吹き消すよりも簡単なことだと思わせる力があるのだ。だからこそ、私は彼女に対して正直に答えたのだ。
「そうなんだ。うまなちゃんと仲良くなりたいって思ってくれてたんだね。うまなちゃんに近付く人ってみんな悪意に似た感情を抱いていることが多いから警戒してたんだけど、あなたとあなたの友達はそうじゃないみたいだって気付いたんだ。って、私が気付いたんじゃなくて愛華ちゃんが教えてくれたんだけどさ」
愛華ちゃんが誰なのか知らないけど、たぶん栗宮院うまなさんがアルバイトをしているところのカメラマンの人だろう。何度か栗宮院うまなさんがカメラマンの名前を呼んでいたのを聞いたことがあるのだけれど、愛華ちゃんみたいな感じで呼んでいたような気がしていた。
「あなたは私の事をちゃんと認識してくれているみたいだし、悪い人じゃないみたいだからお願いしたいんだけど、聞いてもらってもいいかな?」
この状況で私が断ることが出来ないのは彼女もわかっているだろう。それを知っているうえでお願いをしてくるというのは悪い霊なのかもしれない。そもそも、幽霊のお願いなんて聞いても良いものだろうか。だが、ここで断ってしまって命を奪われるなんてことは避けたい。
「お願いって何ですか?」
「私はさ、幽霊だからうまなちゃんを直接助けたりすることが出来ないんだ。間接的に助けることは出来るけどさ、それも限界があるんだよね。なので、あなたにはうまなちゃんが困っているときに助けてもらえると嬉しいんだ。助けるって言ってもあなたが危険な目に遭わないのが前提でね」
「それくらいだったら全然かまわないですよ」
「良かった。そう言ってくれて助かるよ。よろしくお願いね」
「でも、私に出来ることなんて何もないと思いますけど」
「そんなことないよ。私には出来ないことでもあなたには出来ることがあるんだからね。そんなわけで、私とあなたは今からお友達って事でいいかな。私はうまなちゃんの守護霊のイザーだよ。私の事は気軽にイザーちゃんって呼んでいいからね。それと、うまなちゃんの事もうまなちゃんって呼んでくれたら嬉しいな」
「私は稲垣茜です。茜って呼んでくれてかまいません」
「うん、茜ちゃんよろしくね。やっぱりあなたって愛華ちゃんが言ってた通りいい子そうだね」
こうして私に初めて幽霊の友達が出来たのだった。
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