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淫欲八姫
第27話 アタシの嘘は、君にとって都合がいいかもしれないよ?
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このままではまずいと思ってアスモちゃんを起こそうとしたのだけれど、どんなに揺さぶって話しかけてもアスモちゃんはピクリとも動かなかった。
気持ちよさそうに寝息を立ててはいるので寝ていることは確かなのだが、どう頑張ってもアスモちゃんが起きる気配はなかった。俺の言葉に反応はしてくれるものの、気持ちよさそうによだれを垂らして寝ているのであった。
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。アタシは別に君たちの事を今すぐにどうこうしようなんて思ってないし、そんな事をしても今は意味が無いってわかってるからね。まだまだ君たちは成長途中なんだし、もっと美味しく実ってもらわないといけないのよ。だからと言って、熟しすぎた果実には興味が無くなっちゃうから、ちゃんと時期は見極めさせてもらうけどね」
サキュバスは俺の事をじっと見つめたままベッドに片肘をついて見つめてくる。その妖艶な瞳に見つめられるだけで気が狂いそうになるのだが、何とか自分の理性を保つことが出来た。イザーちゃんのことを思えばこんな痴女なんかに誘惑されたりなんてしないのだ。
それにしても、どんなに起こそうとしてもアスモちゃんは全く起きる気配がなかった。気持ちよさそうに寝ているのは良いことだと思うのだけれど、戦う力を持たない俺が一人でサキュバスを相手にするなんて無理な話なのだ。
自分勝手な思いではあるけれど、こんな時にこそアスモちゃんに頼る方が良いように感じていた。
「さっきから君はその子を起こそうとしているみたいだけどさ、そんな無駄なことはしない方が良いと思うよ。その子は一度寝たらどんな目に遭ったって予定の時間までは絶対に起きないからね。例え、その子の近くに隕石が落ちてきて周囲が壊滅したとしても、その子は予定の時間まで絶対に目を覚まさなかったんだから。今日はわりと戦いに近いこともしてたみたいだし、朝まではグッスリ寝てるんじゃないかな」
まるで何もかもお見通しとでも言わんかの如く語るサキュバスではあるのだが、嘘を言っているようには思えなかった。
これほど起こそうと努力しているのにもかかわらず、全く起きる気配も見せないのは本当に時間まで起きないという事なのではないか。サキュバスの言葉が真実であるように思えるのは、俺が今まさに行っている事が証明しているのである。
「アタシがいきなり来たから警戒しているのは仕方ないとしても、今日はここに来たのも君と少しお話をしておきたかったからなんだよ。それ以上でもそれ以下でもなく、本当にアタシは君とお話がしたいだけなのさ。その証拠として、アタシはこのベッドの上に体を乗せたりなんてしないから。黙って立っているのも疲れちゃうから、腕はベッドの上にのせさせてもらうけれど、それ以上は乗らないようにするよ。……もしも、君がアタシとイイコトをしたいって言うんだったら、今すぐにでもそのベッドから出てきてくれていいんだよ。君が自分の意志でアタシとシタイって言うんだったら、アタシは拒んだりしないからね」
俺は人の嘘を見抜けるとまではいかないものの、何となく嘘をついているかどうかは感じ取ることが出来る。その感覚が正しいのかは後になってからじゃないとわからないのだが、比較的俺の感覚は間違えたりすることは少ないのだ。
今回もこのサキュバスが言っていることは信用してもいいような気もしているのだけれど、どこか信じ切ることが出来ないというもどかしい印象を受けてしまった。
お話がしたいだけ。そのためだけにこの場所に侵入してきたのはリスクも多いような気がするのだが、アスモちゃんが一度寝ると起きないというのを知っているという事はほぼノーリスクと言っても過言ではないのかもしれない。自分の事を卑下するのは良くないのかもしれないが、俺はいまだにこの世界にやってきた理由もわかっていないし戦力としても役に立てそうにないと思っている。
「それで、俺と話をしたいって、いったい何の話なのかな?」
「少しは警戒を解いてくれたんだね。それは嬉しいよ。それで、君に教えておきたいことがあるんだけど、アタシの言っていることを全部本当だと思わなくてもいいからね。アタシが知らないことだってたくさんあるわけだし、逆にその子が知らないことだってたくさんあるんだからね。アタシの言っていることも、その子たちが言っていることも、どちらも真実だけど、どちらも嘘って可能性もあるんだから。そんな風にちゃんと警戒して、自分の頭で考えてくれれば嘘を見抜けるんじゃないかな。ただし、君が嘘だと見抜いたことだったとしても、それは違う視点で見ると嘘じゃないのかもしれないって事だけは覚えておいてね」
随分と難しいことを言ってくるサキュバスだとは思ったが、彼女の言っていることはあながち間違っていないのかもしれない。
視点を変えると考えが正反対になることなんていくらでもあるし、この世界に限らず俺がいた世界にだってそんな事はいくらでもあったはずだ。
「アタシの嘘は、君にとって都合がいいかもしれないよ?」
「嘘でも本当でも俺には見極められるだけの知識もないけど、その言葉は信じてもいいような気がしている。嘘つきには思えないよ」
「信じてもらえるのって嬉しいけど、サキュバスは平気で人を騙すことが出来るのよ」
気持ちよさそうに寝息を立ててはいるので寝ていることは確かなのだが、どう頑張ってもアスモちゃんが起きる気配はなかった。俺の言葉に反応はしてくれるものの、気持ちよさそうによだれを垂らして寝ているのであった。
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。アタシは別に君たちの事を今すぐにどうこうしようなんて思ってないし、そんな事をしても今は意味が無いってわかってるからね。まだまだ君たちは成長途中なんだし、もっと美味しく実ってもらわないといけないのよ。だからと言って、熟しすぎた果実には興味が無くなっちゃうから、ちゃんと時期は見極めさせてもらうけどね」
サキュバスは俺の事をじっと見つめたままベッドに片肘をついて見つめてくる。その妖艶な瞳に見つめられるだけで気が狂いそうになるのだが、何とか自分の理性を保つことが出来た。イザーちゃんのことを思えばこんな痴女なんかに誘惑されたりなんてしないのだ。
それにしても、どんなに起こそうとしてもアスモちゃんは全く起きる気配がなかった。気持ちよさそうに寝ているのは良いことだと思うのだけれど、戦う力を持たない俺が一人でサキュバスを相手にするなんて無理な話なのだ。
自分勝手な思いではあるけれど、こんな時にこそアスモちゃんに頼る方が良いように感じていた。
「さっきから君はその子を起こそうとしているみたいだけどさ、そんな無駄なことはしない方が良いと思うよ。その子は一度寝たらどんな目に遭ったって予定の時間までは絶対に起きないからね。例え、その子の近くに隕石が落ちてきて周囲が壊滅したとしても、その子は予定の時間まで絶対に目を覚まさなかったんだから。今日はわりと戦いに近いこともしてたみたいだし、朝まではグッスリ寝てるんじゃないかな」
まるで何もかもお見通しとでも言わんかの如く語るサキュバスではあるのだが、嘘を言っているようには思えなかった。
これほど起こそうと努力しているのにもかかわらず、全く起きる気配も見せないのは本当に時間まで起きないという事なのではないか。サキュバスの言葉が真実であるように思えるのは、俺が今まさに行っている事が証明しているのである。
「アタシがいきなり来たから警戒しているのは仕方ないとしても、今日はここに来たのも君と少しお話をしておきたかったからなんだよ。それ以上でもそれ以下でもなく、本当にアタシは君とお話がしたいだけなのさ。その証拠として、アタシはこのベッドの上に体を乗せたりなんてしないから。黙って立っているのも疲れちゃうから、腕はベッドの上にのせさせてもらうけれど、それ以上は乗らないようにするよ。……もしも、君がアタシとイイコトをしたいって言うんだったら、今すぐにでもそのベッドから出てきてくれていいんだよ。君が自分の意志でアタシとシタイって言うんだったら、アタシは拒んだりしないからね」
俺は人の嘘を見抜けるとまではいかないものの、何となく嘘をついているかどうかは感じ取ることが出来る。その感覚が正しいのかは後になってからじゃないとわからないのだが、比較的俺の感覚は間違えたりすることは少ないのだ。
今回もこのサキュバスが言っていることは信用してもいいような気もしているのだけれど、どこか信じ切ることが出来ないというもどかしい印象を受けてしまった。
お話がしたいだけ。そのためだけにこの場所に侵入してきたのはリスクも多いような気がするのだが、アスモちゃんが一度寝ると起きないというのを知っているという事はほぼノーリスクと言っても過言ではないのかもしれない。自分の事を卑下するのは良くないのかもしれないが、俺はいまだにこの世界にやってきた理由もわかっていないし戦力としても役に立てそうにないと思っている。
「それで、俺と話をしたいって、いったい何の話なのかな?」
「少しは警戒を解いてくれたんだね。それは嬉しいよ。それで、君に教えておきたいことがあるんだけど、アタシの言っていることを全部本当だと思わなくてもいいからね。アタシが知らないことだってたくさんあるわけだし、逆にその子が知らないことだってたくさんあるんだからね。アタシの言っていることも、その子たちが言っていることも、どちらも真実だけど、どちらも嘘って可能性もあるんだから。そんな風にちゃんと警戒して、自分の頭で考えてくれれば嘘を見抜けるんじゃないかな。ただし、君が嘘だと見抜いたことだったとしても、それは違う視点で見ると嘘じゃないのかもしれないって事だけは覚えておいてね」
随分と難しいことを言ってくるサキュバスだとは思ったが、彼女の言っていることはあながち間違っていないのかもしれない。
視点を変えると考えが正反対になることなんていくらでもあるし、この世界に限らず俺がいた世界にだってそんな事はいくらでもあったはずだ。
「アタシの嘘は、君にとって都合がいいかもしれないよ?」
「嘘でも本当でも俺には見極められるだけの知識もないけど、その言葉は信じてもいいような気がしている。嘘つきには思えないよ」
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