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淫欲八姫
第40話 いつものお礼に全部やってあげるよ。
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最後にもう一度希望を託して昆の町へと続く道を確認したのだが、明らかに人為的に発生しているだろうという砂嵐の境界線がくっきりと見えていたのであきらめることにした。
これ以上待っていても俺が今すぐにイザーちゃんに会いに行くことが出来ないという事に気付くことが出来たし、このまま黙って待っていたところで何も良いことは無いという事も理解出来た。八姫を説得して名も無き神の軍勢を倒すために肉欲処女をどうにか呼び出してもらう事にしよう。
でも、イザーちゃんが連れてきたうまなちゃんがいればどうにでもなるという噂もあるし、俺がこの世界にやってきた意味というものが何なのか益々わからなくなってきた。どうしてイザーちゃんが俺をこの世界に連れてきたのだろうか?
もしかしたら、イザーちゃんではなくうまなちゃんが俺をこの世界に連れてくるように仕向けたのかもしれない。イザーちゃんと二人で楽しい時間を過ごすために、イザーちゃんの彼氏である俺が邪魔になってしまった。……なんて事は無いだろうが、うまなちゃんに会った時にどうして俺がこの世界に来ることになったのか聞いてみよう。
「そろそろ八姫に会いに行かないとね。いつまでもここで足止めをくらっても仕方ないし、“まーくん”もこんな何もないところにいるのは飽きたでしょ?」
「別に飽きてはいないかな。ここは景色もいいしご飯も美味しいし、夜にサキュバスがウロウロしているというのを除けばいいところだと思うよ。この世界に露天風呂のついているホテルがあるとは思わなかったし」
「客室露天風呂付のホテルは結構多いよ。オレが小さかった頃にホテルの大変革があったみたいで、それまではいかに多くの客を収容するかとしか考えていなかったホテルが、一人一人の顧客満足度を高めるためにラグジュアリー感を出すことに専念しだしたんだって。安くて多く売るよりも、高くても質の良いものを提供する方が結果的に利益が増えるって気付いたホテル王が付加価値の高い部屋に改装しまくったんだって。その結果、オレたちが泊まっていたよくわからない部屋が多く誕生したってわけさ」
「客室露天風呂付きでもベッドが沢山あるってのはどうなのかと思ったけど、気分で色々とベッドを変えられるのはイイかもね。こんなにたくさん寝る場所があるのに、収容人数が二人ってのはちょっと笑っちゃったよ」
「しかも、“まーくん”はオレと同じベッドで寝るから実質一つしかベッドを使ってないみたいなもんだからね」
「いやいや、アスモちゃんが俺のベッドに潜り込んでるだけでしょ」
「違うって。オレが寝ようと思ってたベッドを“まーくん”が後から選んで寝てただけだって。いつも“まーくん”はオレが選ぶ予定のベッドで勝手に寝てたんだからね。本当に、そう言うのは勘弁してもらいたいところだヨ」
これ以上何か変なことを言ってこじれても嫌なので俺はそっと引くことにした。攻める事だけが勝つことではなく、時には自分から一歩身を引くという事も大事なのだと学んだのだ。アスモちゃんの気分を害するようなことは出来るだけ避けた方が良い。多くの事象を見て、俺はそれを学んだのだ。
「じゃあ、予定通り東の町に行って珠希ちゃんに会いに行こうか。病み上がりの“まーくん”には苛酷な旅路になるかもしれないし、疲れたらいつでも言ってくれていいからね。オレがお姫様抱っこして運んであげるよ」
「さすがにそれは遠慮するよ。病み上がりって言ったって、俺は別に疲れてるとかないし、体もおかしなところは無いからね。どっちかって言うと、前より健康になったんじゃないかって思っちゃうくらいだよ」
「それならいいんだけど。あんまり無理しちゃダメだからね。じゃあ、旅にふさわしい格好に着替えて出発しようか」
着替えようと言われたところで俺が着ているこの寝巻のような服以外は何も持っていない。アスモちゃんが買ってきてくれたよくわからない動物の毛皮で出来たコートを羽織るように言われたのだが、どう見ても旅にふさわしい服装ではなかった。
セレブが集まるパーティーに参加するのであればおかしくないとは思うのだけれど、今までこのホテルの近所を歩いていた時もこんな派手な服装の人は見かけたことが無かった。
どこかの豪邸のパーティーを横目に見たこともあったけれど、こんな派手なコートを着ている人なんてどこにもいなかったと思う。
そもそも、どこからこんな服を持ってきたのか疑問なのだが。
「さすがにこれは着れないな。凄く良い服だとは思うんだけど、俺にはまだ早すぎると思う。もう少し大人になって、俺がこのコートを着るに値する男になってからでいいんじゃないかな。と言っても、他に何か着れそうな服も持ってないし、どうしたらいいんだろう?」
「“まーくん”なら遠慮してそう言うと思ったよ。本当ならオレとお揃いのメイド服でもいいんじゃないかって思ってたんだけど、さすがに“まーくん”の身長に合うサイズは用意できなかったんだよ。“まーくん”が目覚めるまでの時間を利用して作ろうかって話も出てたんだけど、イザーちゃんに止められちゃったから諦めちゃった」
メイド服を着るかどうかと質問をされたら、当然着ないと答えるだろう。
そんな質問をさせないためにも止めてくれたイザーちゃんにはいつも以上に感謝をするしかない。
アスモちゃんみたいに可愛らしい女の子な見た目だったら似合うかもしれないが、どう見ても男にしか見えない俺には似合わないだろう。
もしかしたら、そんなのが好きな人もいるのかもしれないが、俺はそんな風に見られたくは無いと思っている。
何か着るものが無いかと探してみたところ、浴衣に混じって男性用の着物があるのを発見した。
和服なんて着たことが無いのだけれど、浴衣だとまだ外は寒いだろうし思い切って着物を着るのもありなのかもしれない。
そう思いながらも、一人で着ることが出来るか不安になった俺はこのまま寝間着のような格好に一枚羽織るだけでもいいんじゃないかと考えていた。
「へえ、着物ってのは考えてなかったな。ちょっと動きにくいかもしれないけど、結構暖かいし良いかもしれないね。それに、メイドとご主人様みたいでイイ感じだと思うな。でも、“まーくん”は着物の着方がわからないみたいだし、オレが着付けしてあげるよ」
「アスモちゃんは着付け出来るの?」
「当然だよ。オレも一応はメイドだし、そう言うのは一通り出来るからね。いつものお礼に全部やってあげるよ。他にも何か希望があれば言ってね」
これ以上待っていても俺が今すぐにイザーちゃんに会いに行くことが出来ないという事に気付くことが出来たし、このまま黙って待っていたところで何も良いことは無いという事も理解出来た。八姫を説得して名も無き神の軍勢を倒すために肉欲処女をどうにか呼び出してもらう事にしよう。
でも、イザーちゃんが連れてきたうまなちゃんがいればどうにでもなるという噂もあるし、俺がこの世界にやってきた意味というものが何なのか益々わからなくなってきた。どうしてイザーちゃんが俺をこの世界に連れてきたのだろうか?
もしかしたら、イザーちゃんではなくうまなちゃんが俺をこの世界に連れてくるように仕向けたのかもしれない。イザーちゃんと二人で楽しい時間を過ごすために、イザーちゃんの彼氏である俺が邪魔になってしまった。……なんて事は無いだろうが、うまなちゃんに会った時にどうして俺がこの世界に来ることになったのか聞いてみよう。
「そろそろ八姫に会いに行かないとね。いつまでもここで足止めをくらっても仕方ないし、“まーくん”もこんな何もないところにいるのは飽きたでしょ?」
「別に飽きてはいないかな。ここは景色もいいしご飯も美味しいし、夜にサキュバスがウロウロしているというのを除けばいいところだと思うよ。この世界に露天風呂のついているホテルがあるとは思わなかったし」
「客室露天風呂付のホテルは結構多いよ。オレが小さかった頃にホテルの大変革があったみたいで、それまではいかに多くの客を収容するかとしか考えていなかったホテルが、一人一人の顧客満足度を高めるためにラグジュアリー感を出すことに専念しだしたんだって。安くて多く売るよりも、高くても質の良いものを提供する方が結果的に利益が増えるって気付いたホテル王が付加価値の高い部屋に改装しまくったんだって。その結果、オレたちが泊まっていたよくわからない部屋が多く誕生したってわけさ」
「客室露天風呂付きでもベッドが沢山あるってのはどうなのかと思ったけど、気分で色々とベッドを変えられるのはイイかもね。こんなにたくさん寝る場所があるのに、収容人数が二人ってのはちょっと笑っちゃったよ」
「しかも、“まーくん”はオレと同じベッドで寝るから実質一つしかベッドを使ってないみたいなもんだからね」
「いやいや、アスモちゃんが俺のベッドに潜り込んでるだけでしょ」
「違うって。オレが寝ようと思ってたベッドを“まーくん”が後から選んで寝てただけだって。いつも“まーくん”はオレが選ぶ予定のベッドで勝手に寝てたんだからね。本当に、そう言うのは勘弁してもらいたいところだヨ」
これ以上何か変なことを言ってこじれても嫌なので俺はそっと引くことにした。攻める事だけが勝つことではなく、時には自分から一歩身を引くという事も大事なのだと学んだのだ。アスモちゃんの気分を害するようなことは出来るだけ避けた方が良い。多くの事象を見て、俺はそれを学んだのだ。
「じゃあ、予定通り東の町に行って珠希ちゃんに会いに行こうか。病み上がりの“まーくん”には苛酷な旅路になるかもしれないし、疲れたらいつでも言ってくれていいからね。オレがお姫様抱っこして運んであげるよ」
「さすがにそれは遠慮するよ。病み上がりって言ったって、俺は別に疲れてるとかないし、体もおかしなところは無いからね。どっちかって言うと、前より健康になったんじゃないかって思っちゃうくらいだよ」
「それならいいんだけど。あんまり無理しちゃダメだからね。じゃあ、旅にふさわしい格好に着替えて出発しようか」
着替えようと言われたところで俺が着ているこの寝巻のような服以外は何も持っていない。アスモちゃんが買ってきてくれたよくわからない動物の毛皮で出来たコートを羽織るように言われたのだが、どう見ても旅にふさわしい服装ではなかった。
セレブが集まるパーティーに参加するのであればおかしくないとは思うのだけれど、今までこのホテルの近所を歩いていた時もこんな派手な服装の人は見かけたことが無かった。
どこかの豪邸のパーティーを横目に見たこともあったけれど、こんな派手なコートを着ている人なんてどこにもいなかったと思う。
そもそも、どこからこんな服を持ってきたのか疑問なのだが。
「さすがにこれは着れないな。凄く良い服だとは思うんだけど、俺にはまだ早すぎると思う。もう少し大人になって、俺がこのコートを着るに値する男になってからでいいんじゃないかな。と言っても、他に何か着れそうな服も持ってないし、どうしたらいいんだろう?」
「“まーくん”なら遠慮してそう言うと思ったよ。本当ならオレとお揃いのメイド服でもいいんじゃないかって思ってたんだけど、さすがに“まーくん”の身長に合うサイズは用意できなかったんだよ。“まーくん”が目覚めるまでの時間を利用して作ろうかって話も出てたんだけど、イザーちゃんに止められちゃったから諦めちゃった」
メイド服を着るかどうかと質問をされたら、当然着ないと答えるだろう。
そんな質問をさせないためにも止めてくれたイザーちゃんにはいつも以上に感謝をするしかない。
アスモちゃんみたいに可愛らしい女の子な見た目だったら似合うかもしれないが、どう見ても男にしか見えない俺には似合わないだろう。
もしかしたら、そんなのが好きな人もいるのかもしれないが、俺はそんな風に見られたくは無いと思っている。
何か着るものが無いかと探してみたところ、浴衣に混じって男性用の着物があるのを発見した。
和服なんて着たことが無いのだけれど、浴衣だとまだ外は寒いだろうし思い切って着物を着るのもありなのかもしれない。
そう思いながらも、一人で着ることが出来るか不安になった俺はこのまま寝間着のような格好に一枚羽織るだけでもいいんじゃないかと考えていた。
「へえ、着物ってのは考えてなかったな。ちょっと動きにくいかもしれないけど、結構暖かいし良いかもしれないね。それに、メイドとご主人様みたいでイイ感じだと思うな。でも、“まーくん”は着物の着方がわからないみたいだし、オレが着付けしてあげるよ」
「アスモちゃんは着付け出来るの?」
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