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淫欲八姫
第39話 今の状態で北の町に行くのは危険だと思うんだよね。
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北東にある艮に最後に行くのだとしたら、最初に行くのは北の町から反時計回りか東の町から時計回りに巡るのが一番効率的なのだと思う。北からまわるか東からまわるか、どちらも距離は変わらないし行程的にもほとんど違いはないようだ。
俺としてはどちらから巡っても何も変わらないと思うのでアスモちゃんが決めてくれるという事が一番なのだけれど、今回は何故か北の町に行く事を避けようとしているのだ。
これから冬本番になるという事が理由なのかと思ったのだが、話を聞いてみると北の町も南の町も気候的には違いが無いとのことなので理由は不明なのだ。他に何か理由があるのだろうかと思って聞いてみても、アスモちゃんは頑なにそれを答えてはくれなかった。
「とにかく、今の状態で北の町に行くのは危険だと思うんだよね。ほら、“まーくん”も危ないって思ってるだろうし準備は整えてからにした方が良いと思う。何かあってからでは遅いし、イザーちゃんだって今の“まーくん”が北の町に行く事を快く思わないんじゃないかな」
「ソレって、何が理由なのかな?」
「別に深い理由はないんだけど、サキュバスに近い存在がいるってことだね。“まーくん”がそれなりに戦えるようになってからにしても遅くは無いと思うよ」
「そう言うもんなんだね。でも、東からまわったとしても、そんなに時間はかからないみたいだし、俺がそこまで成長できるかも疑問だよね。いや、俺も努力はしようと思っているけど、そんなに急に変わったりなんて出来ないと思うんだ。アスモちゃんが一生懸命教えてくれることを吸収して強くなりたいとは思うけど、俺にそこまで才能があるのかもわからないし。自爆攻撃をすることが唯一の攻撃手段じゃなくなったってのは嬉しいんだけど、それ以上に戦う事に対して恐怖心というものはあるんだよ。自分が負けることもそうだけど、相手を痛めつけるのがどうしても気になっちゃうんだ」
「“まーくん”は優しいね。でも、優しさは自分だけじゃなく味方も傷つけることがあるってのは覚えておいて欲しいな。“まーくん”が優しさで見逃した相手が“まーくん”の仲間を傷付ける可能性は高いんだよ。自分の敵は“まーくん”の仲間の敵でもあるって事なんだし、それをしっかりと覚えていて欲しいなって思う。オレだって今まで何度か敵を見逃したことはあるんだけど、そういうやつってオレがいないところで暴れるだけで何も変わらないんだよ。心を入れ替えて仲間になるやつもいるかもしれないんだけど、そんなのはごく一部の変わったやつだけさ」
「ごく一部だけだとしても、俺はそれを信じたいと思う」
「信じるのは“まーくん”の勝手なんだけど、オレはそれを許さないかもよ。もちろん、“まーくん”に何かをするってわけじゃないけどね」
いつもとは違う恐ろしさを滲ませているアスモちゃんは北ではなく東の門へと向かっていた。
どうしてそこまで北に行く事を拒むのかハッキリと答えてほしいのだが、何度聞いてもアスモちゃんは俺の質問に答えてはくれなかった。
それどころか、東の町へと向かっている最中に聞き出そうとした俺の言葉を遮ってまで別の話題でごまかそうとしていたのだ。
「この時期は東の町にあるお餅が美味しいんだよ。一見すると何の変哲もないただのお餅なんだけど、一口食べてみたらその美味しさがわかるんじゃないかな。“まーくん”はお餅ってよく食べたりするのかな?」
「あんまり食べないかも。お正月には食べるけど、それ以外でお餅を進んで食べる事は無いかも。お団子とか白玉なら時々食べたりもするんだけど、それも何か月かに一回ってくらいの話だし」
「そうなのか。まあ、普通はそれくらいの頻度だよね。オレも東の町に行った時くらいしかお餅は食べないんだけど、あの町で食べるお餅は特に美味しいんだよ。名物ってわけじゃないんだけど、とにかく食べてみたら美味しさがわかるはずだよ」
「それは楽しみだね。お餅なんて久しく食べてないからちょっと楽しみかも。それと話は変わるんだけど、どうしたアスモちゃんは北の町に行く事を拒んでいるのかな?」
「お餅だけじゃなく東の町はラーメンも美味しんだよ。“まーくん”の知っているラーメンとは少し違うかもしれないけど、あっさりとした中にも深みのあるスープが特に絶品でね。さすがにお餅とは合わないんだろうって思ってた時期もあったんだけどさ、いざ合わせてみると意外と美味しかったんだよ。あっさりとしたラーメンのスープに合わせるように麺が細くて一瞬っで食べ終わっちゃうのが欠点だったんだけど、そこに美味しいお餅を咥えることで満足感が急上昇しちゃうって話。小さな子供でもペロリと食べてしまうくらい美味しいし、あっさりしているから体に負担も少ないんだよ」
「それで、北の町に行きたくない理由って何?」
「もちろん、ラーメンだけじゃなくそばやうどんにも東の町のお餅は相性バッチリなのさ。ここまでくると、あわない料理を探す方が大変だったりするかもしれないね」
何度もチャレンジはしたのだが、アスモちゃんは俺の質問に一度も答えてはくれなかった。
北の町にはいったい何があるのだろうとガイドマップを確認してみたところ、他の八姫と比べても愛華ちゃんの胸がひときわ大きいという事に気付いてしまった。
俺が会ったサキュバスと比べてもその胸の大きさは異常だと言えるくらい大きく、気にする人はかなり気にしてしまいそうだと思ってしまった。
ただ、自分の事を男だと思い込んでいるアスモちゃんがそんな事を理由にするはずが無いとは思うので、何か別の理由があるのだろう。
きっと、俺には言えない深い事情があるのだろうな。
俺としてはどちらから巡っても何も変わらないと思うのでアスモちゃんが決めてくれるという事が一番なのだけれど、今回は何故か北の町に行く事を避けようとしているのだ。
これから冬本番になるという事が理由なのかと思ったのだが、話を聞いてみると北の町も南の町も気候的には違いが無いとのことなので理由は不明なのだ。他に何か理由があるのだろうかと思って聞いてみても、アスモちゃんは頑なにそれを答えてはくれなかった。
「とにかく、今の状態で北の町に行くのは危険だと思うんだよね。ほら、“まーくん”も危ないって思ってるだろうし準備は整えてからにした方が良いと思う。何かあってからでは遅いし、イザーちゃんだって今の“まーくん”が北の町に行く事を快く思わないんじゃないかな」
「ソレって、何が理由なのかな?」
「別に深い理由はないんだけど、サキュバスに近い存在がいるってことだね。“まーくん”がそれなりに戦えるようになってからにしても遅くは無いと思うよ」
「そう言うもんなんだね。でも、東からまわったとしても、そんなに時間はかからないみたいだし、俺がそこまで成長できるかも疑問だよね。いや、俺も努力はしようと思っているけど、そんなに急に変わったりなんて出来ないと思うんだ。アスモちゃんが一生懸命教えてくれることを吸収して強くなりたいとは思うけど、俺にそこまで才能があるのかもわからないし。自爆攻撃をすることが唯一の攻撃手段じゃなくなったってのは嬉しいんだけど、それ以上に戦う事に対して恐怖心というものはあるんだよ。自分が負けることもそうだけど、相手を痛めつけるのがどうしても気になっちゃうんだ」
「“まーくん”は優しいね。でも、優しさは自分だけじゃなく味方も傷つけることがあるってのは覚えておいて欲しいな。“まーくん”が優しさで見逃した相手が“まーくん”の仲間を傷付ける可能性は高いんだよ。自分の敵は“まーくん”の仲間の敵でもあるって事なんだし、それをしっかりと覚えていて欲しいなって思う。オレだって今まで何度か敵を見逃したことはあるんだけど、そういうやつってオレがいないところで暴れるだけで何も変わらないんだよ。心を入れ替えて仲間になるやつもいるかもしれないんだけど、そんなのはごく一部の変わったやつだけさ」
「ごく一部だけだとしても、俺はそれを信じたいと思う」
「信じるのは“まーくん”の勝手なんだけど、オレはそれを許さないかもよ。もちろん、“まーくん”に何かをするってわけじゃないけどね」
いつもとは違う恐ろしさを滲ませているアスモちゃんは北ではなく東の門へと向かっていた。
どうしてそこまで北に行く事を拒むのかハッキリと答えてほしいのだが、何度聞いてもアスモちゃんは俺の質問に答えてはくれなかった。
それどころか、東の町へと向かっている最中に聞き出そうとした俺の言葉を遮ってまで別の話題でごまかそうとしていたのだ。
「この時期は東の町にあるお餅が美味しいんだよ。一見すると何の変哲もないただのお餅なんだけど、一口食べてみたらその美味しさがわかるんじゃないかな。“まーくん”はお餅ってよく食べたりするのかな?」
「あんまり食べないかも。お正月には食べるけど、それ以外でお餅を進んで食べる事は無いかも。お団子とか白玉なら時々食べたりもするんだけど、それも何か月かに一回ってくらいの話だし」
「そうなのか。まあ、普通はそれくらいの頻度だよね。オレも東の町に行った時くらいしかお餅は食べないんだけど、あの町で食べるお餅は特に美味しいんだよ。名物ってわけじゃないんだけど、とにかく食べてみたら美味しさがわかるはずだよ」
「それは楽しみだね。お餅なんて久しく食べてないからちょっと楽しみかも。それと話は変わるんだけど、どうしたアスモちゃんは北の町に行く事を拒んでいるのかな?」
「お餅だけじゃなく東の町はラーメンも美味しんだよ。“まーくん”の知っているラーメンとは少し違うかもしれないけど、あっさりとした中にも深みのあるスープが特に絶品でね。さすがにお餅とは合わないんだろうって思ってた時期もあったんだけどさ、いざ合わせてみると意外と美味しかったんだよ。あっさりとしたラーメンのスープに合わせるように麺が細くて一瞬っで食べ終わっちゃうのが欠点だったんだけど、そこに美味しいお餅を咥えることで満足感が急上昇しちゃうって話。小さな子供でもペロリと食べてしまうくらい美味しいし、あっさりしているから体に負担も少ないんだよ」
「それで、北の町に行きたくない理由って何?」
「もちろん、ラーメンだけじゃなくそばやうどんにも東の町のお餅は相性バッチリなのさ。ここまでくると、あわない料理を探す方が大変だったりするかもしれないね」
何度もチャレンジはしたのだが、アスモちゃんは俺の質問に一度も答えてはくれなかった。
北の町にはいったい何があるのだろうとガイドマップを確認してみたところ、他の八姫と比べても愛華ちゃんの胸がひときわ大きいという事に気付いてしまった。
俺が会ったサキュバスと比べてもその胸の大きさは異常だと言えるくらい大きく、気にする人はかなり気にしてしまいそうだと思ってしまった。
ただ、自分の事を男だと思い込んでいるアスモちゃんがそんな事を理由にするはずが無いとは思うので、何か別の理由があるのだろう。
きっと、俺には言えない深い事情があるのだろうな。
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