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淫欲八姫
第38話 八姫たちを喜ばせる事だけを考えてほしいんだ。
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半年も経てば状況も変わるという事なのだろうが、もともと俺はこの世界の事をよくわかっていなかったのでどう変わったのかなんて興味が無かった。興味があるのは、イザーちゃんが俺のために労力を割いてお見舞いに来てくれていたという事実があったという事だけなのだ。
イザーちゃんのその思いにこたえるためにも俺はイザーちゃんのいる艮まで行く必要があると考えていたのだが、イザーちゃんが回復祈願をおこなっているという事で何人たりとも昆に近付くことが出来なくなっているそうだ。
回復祈願を行うためにイザーちゃんは昆を死後の世界と繋いで数多の亡霊を呼び寄せて負のエネルギーを限界まで集めてから反転させるという事だ。
全く意味が分からないことなのだが、この世界で回復祈願をするという事はあの世から亡霊を集めてそれを再び亡き者にしてエネルギーだけ頂いて生者に還元する。何とも意味の分からない行動をとるらしいのだが、回復祈願は早くても半年はかかってしまうそうだ。
つまり、どんなに早くても俺がイザーちゃんに会うことが出来るのは半年後だという事になってしまったのだった。
「そんなわけなんで、“まーくん”がどんなにイザーちゃんに会いたいって思ったって艮には行けないのだ。イザーちゃん以外の八姫と会って肉欲処女を呼び出す手はずを整えないとね。今はそれが一番の優先事項になってるんだよ」
「そんな事をしなくてもうまなちゃんに頼めば何とかしてくれるんじゃないの?」
「何とかしてくれるのかもしれないけど、うまなちゃんはイザーちゃんのいう事しか聞いてくれないみたいだからね。イザーちゃんはうまなちゃんを戦わせたくないって思ってるみたいだし、どんなに強くても戦わない人には期待出来ないでしょ。肉欲処女がダメになったら“まーくん”にお願いすることになると思うんだけど、今のところは肉欲処女がいれば名も無き神も怖くないって事になってるね。肉欲処女は名も無き神に対して最強の刃となりえるのさ」
「それだと、俺は自爆攻撃をする必要が無いってことになるんだよね?」
「もちろん。“まーくん”の犠牲のもとに完遂する作戦だったのが変更になったからね。今の“まーくん”の仕事は八姫を説得して肉欲処女をより完全な状態に近付けるってことになるんだよ。そのためにも、“まーくん”には八姫たちを喜ばせる事だけを考えてほしいんだ」
八姫たちを喜ばせろと言われたって、その八姫がどんな人たちなのか知らない俺には難しい話なのではないだろうか。
俺に出来ることなんてたかが知れているし、どう考えてもそんな事が得意なタイプでもないのだ。どっちかって言うと、俺はイザーちゃん以外の女子とあまり話をしたこともない。話をしようと思ったことは何度かあったりするのだけれど、どうやって会話を広げていけばいいのかわからなくて適当なことを言っていたりした。
もちろん、そんな男に女子が興味を持つわけもなく、イザーちゃん以外の女子と会話をした記憶はほとんどなかった。
そんな俺に八姫たちを喜ばせろというのは何の知識もない人がロケットを作って月に行って帰ってくることよりも難しいのではないだろうか。そう考えてしまうくらい俺には女子を喜ばせるという事が難題に思えてしまう。
「とりあえず、今週はゆっくり休んで来週から本格的に行動しようか。半年も寝たきりだったんだから体も動かすのが大変だろうし、何か困ったことがあったらいつでもオレに頼っていいからね。その辺にいるサキュバスに話しかけられても答えたりしたらダメだからね。みんな“まーくん”の事を狙ってる悪い奴らだから、その事を忘れちゃダメだからね」
「この前やってきたサキュバスがまだいるって事?」
「あのエッチなサキュバスの他にもいっぱいいるからね。“まーくん”みたいに他の世界からやってきた若い男の子ってサキュバス達にとって格好の餌食になるんだよ。あの時はオレが悪かったんで“まーくん”の事を責めることは出来ないかもしれないけど、次にあんなことがあったらオレは“まーくん”に対してちょっと本気で怒っちゃうかもしれないよ。だから、十分に気を付けてほしいな」
気を付けることはしっかりと戸締りをする事と、夜間に不要な外出を避けるという事。その二つを守っていればサキュバスに会う事も無いだろう。それくらいしか出来ることが無いとは思うのだが、他にも何か必要であればしっかりと気を付けるだけだ。
「来週までに“まーくん”の体力が戻らなかったら先延ばしにしてもいいんだけど、あんまり待たせると八姫たちも拗ねちゃうかもしれないからね。行く順番はオレが勝手に決めちゃうけど、誰に最初に会いたいとかあったりする?」
「誰に会いたいとか以前に、イザーちゃん以外の八姫がどんな人なのかも知らないんだけど。その程度の知識しかない俺が八姫のご機嫌を取るとか本当に出来ると考えてるの?」
「出来るとか出来ないじゃないんだよ。“まーくん”はやらないといけないんだよ。自分の命をこの世界に捨てても良いって考えているんだったらやらなくてもいいんだけど、本当にそれでいいのかな?」
「急にどうしたの?」
「別に、“まーくん”がおかしなことを言い出したらそう思っただけだし。イザーちゃんだってそう思ってるはずだよ」
「イザーちゃんの名前を出されたら逆らえないな。よし、全部アスモちゃんに任せるよ」
イザーちゃんのその思いにこたえるためにも俺はイザーちゃんのいる艮まで行く必要があると考えていたのだが、イザーちゃんが回復祈願をおこなっているという事で何人たりとも昆に近付くことが出来なくなっているそうだ。
回復祈願を行うためにイザーちゃんは昆を死後の世界と繋いで数多の亡霊を呼び寄せて負のエネルギーを限界まで集めてから反転させるという事だ。
全く意味が分からないことなのだが、この世界で回復祈願をするという事はあの世から亡霊を集めてそれを再び亡き者にしてエネルギーだけ頂いて生者に還元する。何とも意味の分からない行動をとるらしいのだが、回復祈願は早くても半年はかかってしまうそうだ。
つまり、どんなに早くても俺がイザーちゃんに会うことが出来るのは半年後だという事になってしまったのだった。
「そんなわけなんで、“まーくん”がどんなにイザーちゃんに会いたいって思ったって艮には行けないのだ。イザーちゃん以外の八姫と会って肉欲処女を呼び出す手はずを整えないとね。今はそれが一番の優先事項になってるんだよ」
「そんな事をしなくてもうまなちゃんに頼めば何とかしてくれるんじゃないの?」
「何とかしてくれるのかもしれないけど、うまなちゃんはイザーちゃんのいう事しか聞いてくれないみたいだからね。イザーちゃんはうまなちゃんを戦わせたくないって思ってるみたいだし、どんなに強くても戦わない人には期待出来ないでしょ。肉欲処女がダメになったら“まーくん”にお願いすることになると思うんだけど、今のところは肉欲処女がいれば名も無き神も怖くないって事になってるね。肉欲処女は名も無き神に対して最強の刃となりえるのさ」
「それだと、俺は自爆攻撃をする必要が無いってことになるんだよね?」
「もちろん。“まーくん”の犠牲のもとに完遂する作戦だったのが変更になったからね。今の“まーくん”の仕事は八姫を説得して肉欲処女をより完全な状態に近付けるってことになるんだよ。そのためにも、“まーくん”には八姫たちを喜ばせる事だけを考えてほしいんだ」
八姫たちを喜ばせろと言われたって、その八姫がどんな人たちなのか知らない俺には難しい話なのではないだろうか。
俺に出来ることなんてたかが知れているし、どう考えてもそんな事が得意なタイプでもないのだ。どっちかって言うと、俺はイザーちゃん以外の女子とあまり話をしたこともない。話をしようと思ったことは何度かあったりするのだけれど、どうやって会話を広げていけばいいのかわからなくて適当なことを言っていたりした。
もちろん、そんな男に女子が興味を持つわけもなく、イザーちゃん以外の女子と会話をした記憶はほとんどなかった。
そんな俺に八姫たちを喜ばせろというのは何の知識もない人がロケットを作って月に行って帰ってくることよりも難しいのではないだろうか。そう考えてしまうくらい俺には女子を喜ばせるという事が難題に思えてしまう。
「とりあえず、今週はゆっくり休んで来週から本格的に行動しようか。半年も寝たきりだったんだから体も動かすのが大変だろうし、何か困ったことがあったらいつでもオレに頼っていいからね。その辺にいるサキュバスに話しかけられても答えたりしたらダメだからね。みんな“まーくん”の事を狙ってる悪い奴らだから、その事を忘れちゃダメだからね」
「この前やってきたサキュバスがまだいるって事?」
「あのエッチなサキュバスの他にもいっぱいいるからね。“まーくん”みたいに他の世界からやってきた若い男の子ってサキュバス達にとって格好の餌食になるんだよ。あの時はオレが悪かったんで“まーくん”の事を責めることは出来ないかもしれないけど、次にあんなことがあったらオレは“まーくん”に対してちょっと本気で怒っちゃうかもしれないよ。だから、十分に気を付けてほしいな」
気を付けることはしっかりと戸締りをする事と、夜間に不要な外出を避けるという事。その二つを守っていればサキュバスに会う事も無いだろう。それくらいしか出来ることが無いとは思うのだが、他にも何か必要であればしっかりと気を付けるだけだ。
「来週までに“まーくん”の体力が戻らなかったら先延ばしにしてもいいんだけど、あんまり待たせると八姫たちも拗ねちゃうかもしれないからね。行く順番はオレが勝手に決めちゃうけど、誰に最初に会いたいとかあったりする?」
「誰に会いたいとか以前に、イザーちゃん以外の八姫がどんな人なのかも知らないんだけど。その程度の知識しかない俺が八姫のご機嫌を取るとか本当に出来ると考えてるの?」
「出来るとか出来ないじゃないんだよ。“まーくん”はやらないといけないんだよ。自分の命をこの世界に捨てても良いって考えているんだったらやらなくてもいいんだけど、本当にそれでいいのかな?」
「急にどうしたの?」
「別に、“まーくん”がおかしなことを言い出したらそう思っただけだし。イザーちゃんだってそう思ってるはずだよ」
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