春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎

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ゴールデンウィーク編前半

真弓の嫉妬

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 僕たちはちょうどお昼時にレストラン街についたのだが、さすがに連休中という事もあって、どこの店も順番待ちの列が形成されていた。僕はそこまでお腹も空いていないので時間をずらしても平気だったのだけれど、真弓はどうなのだろう。一応確認しておくことにしよう。

「真弓はお腹空いてる?」
「そんなに空いてないかも。もう少し時間が遅くても平気だよ」
「それならさ、先に何か見たいものがあればそっちを優先しようよ」
「うん、本屋さんに行きたい」
「どっちの本屋が良いの?」
「どっちって、二つあるの?」
「一階にある子供向けの本屋と、二階にある普通の本屋だけど」
「子供向けの本屋に行くわけないでしょ。普通の本屋で良いよ」
「わかったよ。じゃあ、二階に行こうか。真弓はどんな本を探しているのかな?」
「どんな本って事もないけど、お兄ちゃんと本屋に行ってみたかったの」
「本屋くらいならいつでも行けると思うけど、どうして?」
「だってさ、お兄ちゃんと沙緒莉お姉ちゃんが二人で本屋に行ったって聞いたからさ。真弓もお兄ちゃんと一緒に行ってみたいなって思ったんだよ」
「あの時は真弓も陽香もケーキ作りに夢中になってたもんね。でも、本屋くらいだったら言ってくれればいつでも行けるからさ」
「そうなんだけどさ。そういうのじゃなくて、今みたいに二人で何も決めずに行くってのが良いの」
「そう言うもんなんだね。でもさ、ここの本屋は普通の本屋だよ?」
「それでもいいの。沙緒莉お姉ちゃんとどんな本を選んでたの?」
「どんな本って言われてもね。ほとんど別行動だったから沙緒莉姉さんが何をしてたかはほとんど知らないんだよね。途中で合流した時も勉強で使う資料みたいな本を選んでたからこれと言って何かを見てたってのも無いんだよね」
「へえ、じゃあ、今日は二人で一緒に本を探そうよ。真弓が好きそうな本を探してくれたら嬉しいな」
「真弓が好きそうな本って、マンガじゃないの?」
「漫画も好きだけどさ、そういうのじゃないんだよな。でも、それでもいっか」

 僕たちは二階の本屋の前まで歩いてきたのだけれど、真弓は途中にあったゲームセンターが気になっているようで、本屋よりもそちらの方をしきりに気にしている様子だった。

「ゲームが気になるならそっちを見る?」
「うーん、気になるけど、本を見てからでいいや。ゲームセンターに行ったらお金をたくさん使っちゃいそうだし」
「そうだね。本屋に行ってから一通り見てみようか」
「ありがとう。ゲームセンターって行った事ないから楽しみだよ」

 真弓の気はすでに本屋からゲームセンターに移動しているようなのだが、意外にも本を選ぶ時は真剣な表情になっていた。普段読まなそうなミステリー系の小説やホラー系の小説を丹念に吟味しているようなのだが、最終的に手に取った本は表紙が可愛い女の子になっている小説だった。
 僕のイメージで選んだと思うと決して的外れではないと思うのだけれど、出来ることなら一巻を選んでほしかった。いきなり二桁巻数の本を読む気にはなれないので自分で一巻を買ってみることにしたのだけれど、意外と好きな内容の本であると予感がしていた。
 僕も真弓に合いそうな本を探してみたのだけれど、大体は読んでいるだろうし、ここは趣向を変えて塗り絵を買ってみることにした。家に色鉛筆が無ければ帰りに買っていけばいいと思うし、意外と暇つぶしにもなるのではないかと思って選んだのだが、思っていた以上に真弓が食いついてきたのは意外だった。

「塗り絵って幼稚園の時以来やってなかったから楽しみだな。前にもらった色鉛筆セットを使う時がついにやってきたようだよ」
「そうか、それは良かった。じゃあ、ゲームセンターを見に行ってみようか」
「うん、どんなゲームがあるか楽しみだね」

 真弓は僕の手をしっかりと握ってるのを忘れているかのように元気よく手を振って歩いていた。実際に子供なので周りからも子供のように見られているとは思うのだけれど、連休中で人も多いという事もあって見られる回数も多く、僕は少しだけ恥ずかしい気持ちになってしまった。
 こんな時に限って知り合いに遭遇するというものなのだが、僕が遭遇した知り合いはいい方の知り合いだった。ここで悪い方の知り合いに遭わなかったのは幸運だったのかもしれない。

「あ、齋藤君だ。可愛い女の子を連れてるけど、もしかして齋藤君の彼女?」
「彼女じゃなくていとこだよ」
「え、齋藤君のいとこって事は、前田さんの妹さん?」
「そうだよ」
「え、ちょっと、前田さんの妹もめっちゃ可愛いじゃん。前田さんっぽくないけど、別の意味で可愛いって言うか、なんでこんな可愛い子と一緒に居るって教えてくれないのよ。齋藤君だけズルいじゃない」
「いや、ズルいって言われてもさ。今井さんに教えるような事じゃないと思ったんだよね」
「齋藤君はそう思ったかもしれないけどさ、私達ってガチで前田さんのファンなんだよね。だからさ、前田さんの事なら何でも知りたいなって思ってるんだよ。前田さんの事で他に隠している事って何かないの?」
「何かって言われてもな。陽香に姉がいるってことくらいだけど」
「ちょっとちょっと、そういう事は隠しちゃ駄目よ。隠すような事じゃないでしょ。そのお姉さんも可愛いの?」
「可愛いっていうよりも、美人タイプなんじゃないかな」
「もう、それなら余計隠して欲しくなかったわ。前田さんは綺麗で妹さんは可愛くてお姉さんは美人って、齋藤君ってどんだけいとこ運に恵まれているのよ。私達にも分け前をくれたっていいじゃない」
「分け前って、そういうのじゃないと思うんだけどな」

 つないだ手を握る力が強くなってきたのを感じて真弓に視線を向けると、真弓は少し緊張しているようで顔が強張っているように見えた。
 どうしたのかなと思って顔を見ていると、僕の視線に気づいた真弓が今まで見せたことのないような困惑した表情を浮かべていた。

「あ、自己紹介してなかったね。私は齋藤君の同級生の今井聡美だよ」
「私も齋藤君の同級生の吉川雪だよ」
「えっと、私は前田真弓です。中学生です」
「中学生なんだ。前田さんの妹なんだから当然だよね。中学はこの辺なの?」
「この辺って、真弓は君達の後輩だよ。僕は中学は別だから後輩って言っていいのかわからないけど、君達が卒業した中学に入学したんだよ」
「それって、凄くない?」
「うん凄い。私らが今受験しても絶対落ちると思うし」
「だよね。大学生に入学してきた人が中学受験しても落ちるんじゃないかって言われているもんね」
「前田さんと齋藤君も凄いなって思ったけど、中学校に入ったってのを聞くとそれもかすんじゃうよね」
「確かにね、前田さんの家系ってもしかして、ヤバいんじゃない?」
「そうだ、お姉さんって今何している人なの?」
「沙緒莉お姉ちゃんは大学生です」
「大学生って、もしかしてうちの大学?」
「はい、そうです」
「マジ凄すぎるんだけど。三人姉妹が全員ウチの学校ってヤバすぎでしょ。もしかしてだけど、さらに妹がいて小学校に入ったとかは無いよね?」
「さすがにそれは無いでしょ。って、まさか」
「もちろん、そんな事はないよ。前田さんちは三姉妹だからね」
「そうなんだ。もしかしたらって思っちゃったもんね」
「私も思った。でもさ、真弓ちゃんも前田さんと違った魅力があるよね」
「そうそう、可愛いだけじゃない何かを感じるよね。そうだ、良かったらなんだけど、一緒に写真撮ろうよ。出会った記念に四人でさ」
「それメッチャいいじゃない。真弓ちゃんもいいよね?」
「えっと、別にいいですけど」

 真弓は意外とグイグイと来られるのが得意ではないのかもしれない。僕もこんな感じに来られるのは得意じゃないのだ。その証拠に、真弓が僕の手を握る強さは先ほどよりも強くなっていた。
 僕たちは今井さんと吉川さんに連れられて窓際まで行くと、何の合図も無く写真を撮られていた。何枚撮るんだろうというくらい撮影していたと思うのだけれど、その間もずっと真弓の握る力は強いままだった。

「じゃあ、四人で撮るのはこれくらいにしてさ、今度は齋藤君と真弓ちゃんの写真を撮らせてよ」
「良いね。何となく幸運のお守りになりそう」
「二人とも、もっとくっついてよ。じゃないとちゃんと撮れないよ」

 なぜかわからないけれど、僕と真弓が被写体になる撮影会が始まっていた。
 僕はカメラに笑顔を向けることが得意ではないのだけれど、何枚か撮ったうちの出来のいい写真を見せてもらったところ、僕ではないような笑顔の写真が撮れていた。
 その写真を見て真弓は何か納得がいかなかったようで、自分のスマホを吉川さんに渡すと何枚か写真を撮ってもらっていた。

 真弓のスマホで撮った写真はさっきの写真とは別人のように写っていたのだが、それは普段見慣れた僕の姿だと思う。

「ふふ、やっぱり変なフィルターをかけない方がいいね。この方がお兄ちゃんっぽいよ」

 真弓は吉川さんと今井さんと連絡先を交換したらしく、先程の写真も何枚か貰っていた。
 そう言えば、僕はこの二人と一緒にお弁当を食べることが多いけれど、連絡先なんて知らないなと思っていた。

「お兄ちゃんってさ、あの二人の先輩と連絡先交換してないんでしょ?」
「うん、今思ったけど、してないね」
「そっか、じゃあ、さっき貰った写真は真弓からお兄ちゃんに送るね」

 真弓はそう言って嬉しそうに笑っていた。吉川さんも今井さんも楽しそうにしていた。
 真弓も最初は緊張していたようなのだが、二人と話しているうちに打ち解けることが出来たようで、最終的には楽しそうにふざけ合ってもいた。

 僕は時間を確認したのだが、今から何か食べてしまうと晩御飯が食べられなくなってしまうと思っていた。
 真弓たちは話が予想以上に盛り上がってしまったようで、時間が結構立っていることに気付いてはいないようだ。今更昼食でもないなと思って僕は見守っていたのだけれど、結局僕たちはゲームをすることも無く帰宅することになるのだった。
 それでも、真弓は楽しそうに鼻歌を歌っていたりしたので、僕はショッピングモールに行って良かったなと思った。次に行くときは本屋以外で買い物もしようと心に固く誓ったのだった。
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