サキュバスを腹上死させた魔王ですが世界中から狙われるようになりました

釧路太郎

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第二部

第三話 栗鳥院家と魔王アスモ 後編

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 見た目からはわからないけど、この女もうまなちゃんと同じくらい強いのだろう。今のところそのような感じは一切しない。見た目で判断するのは二流三流のやることだとは思うのだけど、それにしても強者のオーラを一切感じさせないのは疑問に感じていた。
「あなたは何も知らないみたいだから教えてあげるけど、この場で私を殺したところでうまなちゃんを開放したりしないからね。うまなちゃんを助けたいって思うんだったら、栗鳥院家のみんなを納得させることね。あなたにそれが出来るのかしら?」
 正直に言ってしまえばうまなちゃんがどうなろうと俺にはどうでもいい事なのだが、助けるつもりがなかったことが後々バレてしまうととんでもない目に遭ってしまいそうだなと思うので形だけでも助けに行くことにはなる。
「俺がみんなを説得するって、何人いるかもわからないような相手を説得するのは難しそうだな」
「自分で言っておいてなんだけど、栗鳥院家は今何人いるのかわかってないのよね。私の知らない親戚の方が世界各地に散らばっているっていう話も聞いているし、私みたいに直接戦うのが苦手な人がいるかもしれないわね」
「戦うのが苦手って、俺と勝負はしないって事?」
「別に殴り合うだけが全てって感じでもないでしょ。あなたの場合は戦っても強いというのはわかっているけど、それじゃない方面でも有名な魔王ですからね。うまなちゃんが私たちの世界にやってくるまではあなたの事を架空の存在だと思ってましたからね。世界を支配しているのが魔王であるにもかかわらず、人類にとっても平和で安定した世界なんて信じられないですからね。この世界にいた魔王は悪鬼羅刹と言っても過言ではないような奴でしたから、今こうしてあなたを見ていると本当にあなたが魔王なのか疑いたくなってしまうくらいですよ」
「俺は別に自分が暮らしやすい世界を作っただけだからな。誰にでも平等ってのを目指しているわけでもないし、たまたまそうなっただけだし。なんだったら、この世界も俺が支配してやろうか?」
 なんて冗談を言ってみたものの、この女は俺の冗談を真に受けてしまったのか表情が一変してしまった。まるで、心の底から信頼していた人から酷い裏切りを受けてしまったかのようだった。
「やはりお前も魔王だったということだな。うまなちゃんから聞いていた話ではお前はもう少し人間に近いのかとも思っていたが、やはり魔族は魔族ということだな。お前とは仲良くなれると思っていたけど、本当に残念だよ」
 軽い気持ちで言ってみた言葉をそんなに真剣に受け止めないでほしい。もっと喜んでもらえるかと思っていたけれど、この世界の事を何も知らない俺の失態と言えるかもしれない。俺がもともと住んでいた地球でも同じ国でも冗談が通じる場所と通じない場所があったように、この世界ではもう少し真面目に考えていた方がいいのかもしれないな。
「栗鳥院御影の名に懸けて魔王アスモデウス。お前を討つ」
 戦うのが苦手だと言っていた割には女の右手に高エネルギー反応があるのだが、さすがにアレの直撃を食らってしまったら多少は怪我をしてしまうかもしれない。もしかしたら、単純にダメージを与えるだけの攻撃ではない場合もあるので、何としても直撃だけは避けたいところだ。
 栗鳥院御影の右手に集まっていたエネルギーは全て栗鳥院御影の体内に吸収されたかのように見えたが、見た目の変化もなくどういう事になっているのかさっぱりわからなかった。ただ、攻撃をまともに食らうのはもちろん、攻撃を受けるのも良くないような予感がしていた。
「私だけでお前を殺すことは出来ないかもしれないが、後に続く者たちにお前を殺すヒントを残すことくらいは出来るだろう。今の私にできることなんてそれくらいしかないと思うし、私をいたぶってもらっても構わないので出来るだけ長くいかしてもらいたい。いや、たくさんイカせて欲しいと思う」
 ん?
 栗鳥院御影は俺に対して怒っているようではあるのだが、少し風向きが変わっているように感じた。俺に向けられていた殺気は一瞬で消えたような気もする。それに、心なしか栗鳥院御影の表情も柔らかくなっているように感じていた。
 ただ、俺に向かって来るパンチやキックには殺気にも似た恐ろしいものがのっているようにも思えるのにもかかわらず、俺を傷つけようという意図は感じられなかった。それでも、一撃でも食らってしまったらその後の展開が悲惨なことになっていったような気もするんだよな。
 見た目通りに軽快な動きで俺が避けた方を避けて攻撃してきているのだが、何も知らない人が見たらこれも一つのショーなのだと思えるくらいにピッタリと息があっていた。このまま動画を取ってしまえば人気者になれるかもしれないな。
「避けるのだけは上手いな。そうやってベッドの上でも女を動かせて自分は何もせずに寝ているというわけか。何とも破廉恥な」
「別に逃げてるわけじゃないし。ベッドの上って、今は関係なくないか?」
 時折混ざる関係ない言葉がいちいち引っかかってしまってまともに考えることも出来ない。ただ、この女もなんだかんだ言って俺との事を期待はしているようだな。その期待に応えるためにも、ここで死んでしまってはいけないな。
 それにしても、最初のころに比べて攻撃のテンポが上がっているように思える。
 鬼のような顔とは変わって、今では女神が恍惚の表情を浮かべているように見えていた。だが、そんな表情を浮かべながらも栗鳥院御影の攻撃がおさまることはなかったのだった。
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