スーサイドアップガール

釧路太郎

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小学生編

金髪姉妹と地味な男 第4話(全10話)

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サイクリングロードに向かって自転車を走らせると、少しだけ日差しがきつくなっていた。



僕の提案で少しだけ休憩することにしたので、サイクリングロード直前にあるコンビニでアイスを買うことにした。



ソフィアさんに五百円を渡して人数分買ってくるように言ったのだけれども、その人数に僕は含まれていないようだった。



僕の分のアイスはソフィアさんの栗最中に変身していた。



僕は大人なので体力もあるので大丈夫なのだが、アリスさんが心配してくれて食べかけのアイスを僕にくれた。



当たり付きのアイスは外れていた。



「さて、休憩も終わったしこれからサイクリングロードを走るわけなんだけど、最初の大きい休憩所までは街中を走る事になるのであんまりスピードを出しすぎないように気を付けること。大きい休憩所で少し休憩したら、あとは動物園まで何回かしか道路と交差していないので疲れない程度に飛ばしてもいいからね」



栗最中を食べ終わったソフィアさんの目が爛々と輝いていた。



「お兄さんはその自転車で動物園までどれくらいかかりますか?」



僕は何度か自転車で動物園に行っているのだけれど、その時々で結構時間が違ったりするので迷っていたが



「早い時でここから三十分くらいかな?」



それを聞いた三人は気合が入ったみたいで、ペダルを漕ぐ足が先ほどよりも力強かった。



「お兄さんの記録を抜いた人はお兄さんにお寿司奢ってもらえる権を獲得です!!」



ソフィアさんがそう言って二人が続いたのだが、出発してすぐ赤信号に捕まっていた。



いつまでたっても青に変わらないのは、押しボタン式だからなのだが、横断歩道の向こう側にいる子供が押しボタンを押すまでは気付かないようだった。



家の近くの押しボタンは夜間のみなので、この勘違いは仕方ないと思う。



「ソフィーはすぐムキになってしまうのでごめんなさい」



アリスさんがそう言って謝ってきたのだが、僕は何も気にしていなかった。



「ソフィアさんは確かにそういうところが多いかもね。アリスさんはあんまりそういうとこ無いよね」



「はい、私もソフィーみたいに強くなりたいって思いますけど、たぶん無理だと思います。学校でも友達を上手く作れないんです」



「ま、無理して頑張りすぎなくてもいいと思うよ。友達だってそのうち出来るんじゃないかな」



「あの、お兄さんは私と仲良くしてくれますか?」



「うん、これからも仲良く楽しく過ごしていきたいね」



「それなら、私の事はアリスって呼んでください。アリスにさんがつくのは先生に呼ばれているみたいでなんか嫌なんです」



「わかったよ。アリスは先生の事苦手なのかい?」



「いえ、苦手ではないけど、何だか距離を感じてます。クラスメイトも少し距離を感じてしまいますが」



ソフィアさんは持ち前の明るさとか行動力でクラスに溶け込むのも早そうだとは思ったが、アリスはそんなに溶け込むのが上手じゃないみたいだ。



僕もアリスに心を開いてもらうまでは結構時間がかかった気がしているので、クラスの人達も結構大変そうだなと考えてしまった。



「あの、もう一ついいですか?」



「なにかな?」



「お兄さんの事をマサって呼んでもいいですか?」



「うん、かまわんよ」



アリスは僕の名前を呼んでから少しだけスピードを上げていった。
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