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小学生編
金髪姉妹と地味な男 第10話(全10話)
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隣同士なので同じマンションのエレベーターに乗ることは当然なのだが、アリスは自分の家の前に着いても握っている僕の手を離そうとはしなかった。
「ちょっとだけ遊びに行ってもいい?」
晩御飯まではもう少し時間もあることだし、今後の事で何か気になることがあるのかもしれないと思って、了解した。
「お邪魔します」
アリスが脱いだ靴を揃えると、もう一足女子用の靴が揃えて置いてあるのが目に入った。
「おかえり、今日も二人は遅かったじゃない。待ちくたびれちゃった。てか、マサ君の部屋鍵かかっててマンガ読めないんですけど」
ソフィアさんは自分の家のようにくつろいでいたのだが、うちの母親の姿は見えなかった。
「ママさんなら夕飯の買い物に行ってるわよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかしら」
そう言って何もない空間に何かのキャラクターを描いているソフィアさんはアリスを見ると、何かに気付いたようだった。
「あれ、昨日まで元気なかったように見えたけど、アリスは何かいい事あったのかな?」
「うん、いい事あったよ」
それは良かったというやり取りを二人がしている間に、僕は冷蔵庫からジュースを取り出していた。
二人がジュースを飲んでいる間に部屋に荷物を置いてこよう。
いつの間にかソファーにいたソフィアさんが隣にいて、僕よりも先に部屋に入ってマンガを物色し始めていた。
ソフィアさんは厳選したマンガを三冊持ってリビングに戻っていった。
荷物を置いて僕がリビングに戻った時には、ソファーに座るアリスとそのすぐ前のカーペットに寝そべるソフィアさんがいた。
僕はリビングのいつもの場所に腰を下ろすと、図書館で借りてきた本の続きを読むことにした。
「ねえ、二人で何か美味しいものでも食べに行ったの?」
マンガを読みながらソフィアさんがアリスに尋ねると、アリスがソフィアさんの太ももを触りながら
「食べてないよ」
それならいいんだけど、とソフィアさんが言うとマンガのページをパラパラと捲っていた。
僕の母親が帰ってきたのはそれから少し経ってからだった。
「あら、アリスちゃんもきてたのね。今日はハンバーグを作ろうと思っていたのよ」
帰宅した母がアリスにそう言うと、ハンバーグが好きなアリスは嬉しそうに両手を挙げて喜んでいた。
「アリスはママさんのハンバーグ大好きです!!」
そう言いながら母親に抱き着いていた。
「あの、ママさんに報告があります。ちょっといいですか?」
「あら、何かしら?」
そう言うとアリスはソファーに座っている僕の横に歩いてきた。
「アリスはママさんもパパさんも優しくて大好きです。でも、一番好きなのはマサです。これからもっと仲良くなりたいので、付き合うことになりました」
うん、付き合うことになったのか、知らなかった。
ソフィアさんは相変わらずマンガを読んでいてこちらには興味が無いようだった。
「ママさんはオッケーですか?」
「アリスちゃんがいいならうちは大丈夫よ。お祝いにケーキ買ってこなくちゃ」
そう言いながら冷蔵庫に買ってきた食材をしまうと、再び買い物に行ってしまった。
晩御飯は少し遅くなりそうだ。
僕の横に座ったアリスはこちらに向かって微笑むと、みんなの前でした時のように僕の首に両手をまわしてきた。
「これからよろしくね。アリスはマサが好きだよ」
ありがとうと言おうとしていたが、言葉を発することが出来なかった。
アリスが僕から離れると
「お姉ちゃんはアリスが幸せになれたみたいで嬉しいよ」
ソフィアさんは相変わらずマンガを読み続けていた。
アリスが僕を好きになった理由はわからないけれど、アリスが悲しむような事だけはしないようにしていこうと心に固く誓った。
マンガを読み終えたソフィアさんは続きを持ってくるといつもの場所ではなく、僕の横に座ってきた。
すぐにソファーに横になっていたのだが、僕の太ももの上に足を置いてきた。
時々バタバタと足を動かしては僕の足に小さいダメージを与え続けていた。
その攻撃は、母親がケーキを買って帰ってきても終わることは無かった。
次の休みは早起きしてどこか遠くへ行ってみよう。
「ちょっとだけ遊びに行ってもいい?」
晩御飯まではもう少し時間もあることだし、今後の事で何か気になることがあるのかもしれないと思って、了解した。
「お邪魔します」
アリスが脱いだ靴を揃えると、もう一足女子用の靴が揃えて置いてあるのが目に入った。
「おかえり、今日も二人は遅かったじゃない。待ちくたびれちゃった。てか、マサ君の部屋鍵かかっててマンガ読めないんですけど」
ソフィアさんは自分の家のようにくつろいでいたのだが、うちの母親の姿は見えなかった。
「ママさんなら夕飯の買い物に行ってるわよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかしら」
そう言って何もない空間に何かのキャラクターを描いているソフィアさんはアリスを見ると、何かに気付いたようだった。
「あれ、昨日まで元気なかったように見えたけど、アリスは何かいい事あったのかな?」
「うん、いい事あったよ」
それは良かったというやり取りを二人がしている間に、僕は冷蔵庫からジュースを取り出していた。
二人がジュースを飲んでいる間に部屋に荷物を置いてこよう。
いつの間にかソファーにいたソフィアさんが隣にいて、僕よりも先に部屋に入ってマンガを物色し始めていた。
ソフィアさんは厳選したマンガを三冊持ってリビングに戻っていった。
荷物を置いて僕がリビングに戻った時には、ソファーに座るアリスとそのすぐ前のカーペットに寝そべるソフィアさんがいた。
僕はリビングのいつもの場所に腰を下ろすと、図書館で借りてきた本の続きを読むことにした。
「ねえ、二人で何か美味しいものでも食べに行ったの?」
マンガを読みながらソフィアさんがアリスに尋ねると、アリスがソフィアさんの太ももを触りながら
「食べてないよ」
それならいいんだけど、とソフィアさんが言うとマンガのページをパラパラと捲っていた。
僕の母親が帰ってきたのはそれから少し経ってからだった。
「あら、アリスちゃんもきてたのね。今日はハンバーグを作ろうと思っていたのよ」
帰宅した母がアリスにそう言うと、ハンバーグが好きなアリスは嬉しそうに両手を挙げて喜んでいた。
「アリスはママさんのハンバーグ大好きです!!」
そう言いながら母親に抱き着いていた。
「あの、ママさんに報告があります。ちょっといいですか?」
「あら、何かしら?」
そう言うとアリスはソファーに座っている僕の横に歩いてきた。
「アリスはママさんもパパさんも優しくて大好きです。でも、一番好きなのはマサです。これからもっと仲良くなりたいので、付き合うことになりました」
うん、付き合うことになったのか、知らなかった。
ソフィアさんは相変わらずマンガを読んでいてこちらには興味が無いようだった。
「ママさんはオッケーですか?」
「アリスちゃんがいいならうちは大丈夫よ。お祝いにケーキ買ってこなくちゃ」
そう言いながら冷蔵庫に買ってきた食材をしまうと、再び買い物に行ってしまった。
晩御飯は少し遅くなりそうだ。
僕の横に座ったアリスはこちらに向かって微笑むと、みんなの前でした時のように僕の首に両手をまわしてきた。
「これからよろしくね。アリスはマサが好きだよ」
ありがとうと言おうとしていたが、言葉を発することが出来なかった。
アリスが僕から離れると
「お姉ちゃんはアリスが幸せになれたみたいで嬉しいよ」
ソフィアさんは相変わらずマンガを読み続けていた。
アリスが僕を好きになった理由はわからないけれど、アリスが悲しむような事だけはしないようにしていこうと心に固く誓った。
マンガを読み終えたソフィアさんは続きを持ってくるといつもの場所ではなく、僕の横に座ってきた。
すぐにソファーに横になっていたのだが、僕の太ももの上に足を置いてきた。
時々バタバタと足を動かしては僕の足に小さいダメージを与え続けていた。
その攻撃は、母親がケーキを買って帰ってきても終わることは無かった。
次の休みは早起きしてどこか遠くへ行ってみよう。
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