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鈴木美波編
悩める鈴木さんと金髪少女と先生 第2話(全14話)
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「マサ君先生?何か考え事でもしていたの?ソフィーがなんでも相談に乗るよ」
この金髪の少女は小さい子供みたいに言われた事をすぐに他の人に言う癖があるのではないかと前々から感じてはいたのだけれど、きっとそういう癖があるタイプの人間なのだろう。
「先生の悩みは特にないけれど、今日は一段と暑いなと思って空を見ていたんだよ」
ここ三日ほど空はどんよりとした雲に覆われていたので今日のように抜けるような青空だと晴れ晴れした気持ちになってしまう。
もちろんそんなことは言わずに心の中にだけ秘めておかないと、またこの金髪の少女にまねされてしまうと思うので言わないでおく。
「これだけ綺麗な青空だと遠くまで行けそうな気がするなぁ。あんまり帰れてはいないけど、イギリスのお家にもこの空は続いているのかな?」
金髪の少女は抜けるような青空よりも美しい青い瞳で空を見上げると少しだけ憂いを含んだ表情で遠くを見つめていた。
不覚にも、その姿に見とれてしまっているとシャッター音が聞こえた。
「いやー、ソフィーが空を見ている姿があまりにも絵になっていたからついつい写真を撮っちゃったよ。ごめんね、いやだったら消すからさ」
そう言って金髪の少女に話しかけたショートカットの生徒はスマホの画面を見ていた。
「ううん、大丈夫だよ。写真を撮られたのはちょっと驚いたけど、ナナちゃんなら大丈夫。どんな写真になったか見せてもらってもいい?」
ショートカットで陸上部の齋藤さんはソフィアさんにスマホの画面を見せながらこっちを向いて悪態をついた。
「ソフィーを撮ろうと思ったら先生が写り込んじゃったんだよね。ソフィーだけでよかったんだけどさ。ねえ、先生、少しでも悪いと思ったなら私とソフィーのツーショットを撮ってよ。ね、お願いだからさ」
今日は何だかいつも以上に生徒から頼られている気がする、あまり深く考えない方が良さそうなので頼られた事実だけ受け止めておこう。
齋藤さんのカメラを起動してあるスマホを受け取ってレンズを二人の方に向けると、背の高い齋藤さんはソフィアさんの肩に左手をまわした。
齋藤さんに包まれた形になったソフィアさんは両手で齋藤さんに抱き着くと満面の笑みを浮かべてカメラに目線を送ってくれた。
齋藤さんはカメラから視線を外しているので表情はわかりにくいのだが、人の感情を読み取ることが苦手な僕が見ても照れていることははっきりと分かった。
「ナナちゃん?ちゃんとカメラを見ないとマサ君先生が写真撮れないよ?」
こちら側にほとんど聞こえないような声で「わかった」と言うとカメラ目線でではあるが、目が左右に泳いでいるのでシャッターチャンスがわかりにくい。
このまま待っていても齋藤さんは落ち着くことが無いと思うので、シャッターを長押しして二人が気付くまで連続撮影してあげることにしよう。
ムービー撮影でも良さそうだけれど、思い出はたくさんあった方が嬉しいのではないかと思い、今日は大人の優しさを見せてあげることにした。
ソフィアさんは連続撮影だどすぐに気づいだ様子ではあったが、齋藤さんは何秒間か気付かずにいろいろと面白い表情を切り取ることが出来た。
齋藤さんは口では怒っていたようだったがいつもよりも目尻が下がっていて口角が上がっていたので本心ではないだろう。
それを感じ取ったソフィアさんは後ろから齋藤さんに抱き着くと無邪気ないたずらっ子のように笑っていた。
外は相変わらず暑そうではあるが、教室内も若干暑くなった気がした。
「もう、先生って意外といたずらとかするんですね。中学の時の先生も今の陸上部の顧問も冗談とかあんまり言わない人だったから、意外でした」
そう言ってスマホを再び渡してきた齋藤さんはカメラに向かって自然な笑顔を向けていた。
さっきはいたずらで連続撮影していたが、この二人の笑顔は何枚でも撮りたくなってしまう魅力があった。
一度だけシャッターを押すと、誰も見たことが無いような齋藤さんの笑顔が写っていた。
ソフィアさんと齋藤さんは、二人で写真を見ながらお互いの髪について褒めあっていた。
「ナナちゃんみたいに元気な髪が良かったな。ハリがあってツヤがあってコシのある力強い素敵な髪の毛だよね」
「ソフィーのストレートで綺麗な金色の髪の方が憧れだよ。私なんて陸上やってるから紫外線対策とか大変だし、陸上やってる間はオシャレも控えめにしなくちゃだしね」
「ええ、ナナちゃんは背も高くてスタイルいいし、走ってる姿とか凄い綺麗だからみんな憧れてるよ」
「ありがとう、ソフィーは運動そんなに得意じゃないからそう見えるだけかも。私なんて走る事しか出来ないから、ソフィーの女子力の高さと日本人以上に大和撫子なところに憧れちゃうよ」
「もう、そんなに褒めるナナちゃんが好き!!」
「私もソフィーが好き!!」
可愛い生徒たちがお互いを褒めあう姿は美しいなと思っていた。
この金髪の少女は小さい子供みたいに言われた事をすぐに他の人に言う癖があるのではないかと前々から感じてはいたのだけれど、きっとそういう癖があるタイプの人間なのだろう。
「先生の悩みは特にないけれど、今日は一段と暑いなと思って空を見ていたんだよ」
ここ三日ほど空はどんよりとした雲に覆われていたので今日のように抜けるような青空だと晴れ晴れした気持ちになってしまう。
もちろんそんなことは言わずに心の中にだけ秘めておかないと、またこの金髪の少女にまねされてしまうと思うので言わないでおく。
「これだけ綺麗な青空だと遠くまで行けそうな気がするなぁ。あんまり帰れてはいないけど、イギリスのお家にもこの空は続いているのかな?」
金髪の少女は抜けるような青空よりも美しい青い瞳で空を見上げると少しだけ憂いを含んだ表情で遠くを見つめていた。
不覚にも、その姿に見とれてしまっているとシャッター音が聞こえた。
「いやー、ソフィーが空を見ている姿があまりにも絵になっていたからついつい写真を撮っちゃったよ。ごめんね、いやだったら消すからさ」
そう言って金髪の少女に話しかけたショートカットの生徒はスマホの画面を見ていた。
「ううん、大丈夫だよ。写真を撮られたのはちょっと驚いたけど、ナナちゃんなら大丈夫。どんな写真になったか見せてもらってもいい?」
ショートカットで陸上部の齋藤さんはソフィアさんにスマホの画面を見せながらこっちを向いて悪態をついた。
「ソフィーを撮ろうと思ったら先生が写り込んじゃったんだよね。ソフィーだけでよかったんだけどさ。ねえ、先生、少しでも悪いと思ったなら私とソフィーのツーショットを撮ってよ。ね、お願いだからさ」
今日は何だかいつも以上に生徒から頼られている気がする、あまり深く考えない方が良さそうなので頼られた事実だけ受け止めておこう。
齋藤さんのカメラを起動してあるスマホを受け取ってレンズを二人の方に向けると、背の高い齋藤さんはソフィアさんの肩に左手をまわした。
齋藤さんに包まれた形になったソフィアさんは両手で齋藤さんに抱き着くと満面の笑みを浮かべてカメラに目線を送ってくれた。
齋藤さんはカメラから視線を外しているので表情はわかりにくいのだが、人の感情を読み取ることが苦手な僕が見ても照れていることははっきりと分かった。
「ナナちゃん?ちゃんとカメラを見ないとマサ君先生が写真撮れないよ?」
こちら側にほとんど聞こえないような声で「わかった」と言うとカメラ目線でではあるが、目が左右に泳いでいるのでシャッターチャンスがわかりにくい。
このまま待っていても齋藤さんは落ち着くことが無いと思うので、シャッターを長押しして二人が気付くまで連続撮影してあげることにしよう。
ムービー撮影でも良さそうだけれど、思い出はたくさんあった方が嬉しいのではないかと思い、今日は大人の優しさを見せてあげることにした。
ソフィアさんは連続撮影だどすぐに気づいだ様子ではあったが、齋藤さんは何秒間か気付かずにいろいろと面白い表情を切り取ることが出来た。
齋藤さんは口では怒っていたようだったがいつもよりも目尻が下がっていて口角が上がっていたので本心ではないだろう。
それを感じ取ったソフィアさんは後ろから齋藤さんに抱き着くと無邪気ないたずらっ子のように笑っていた。
外は相変わらず暑そうではあるが、教室内も若干暑くなった気がした。
「もう、先生って意外といたずらとかするんですね。中学の時の先生も今の陸上部の顧問も冗談とかあんまり言わない人だったから、意外でした」
そう言ってスマホを再び渡してきた齋藤さんはカメラに向かって自然な笑顔を向けていた。
さっきはいたずらで連続撮影していたが、この二人の笑顔は何枚でも撮りたくなってしまう魅力があった。
一度だけシャッターを押すと、誰も見たことが無いような齋藤さんの笑顔が写っていた。
ソフィアさんと齋藤さんは、二人で写真を見ながらお互いの髪について褒めあっていた。
「ナナちゃんみたいに元気な髪が良かったな。ハリがあってツヤがあってコシのある力強い素敵な髪の毛だよね」
「ソフィーのストレートで綺麗な金色の髪の方が憧れだよ。私なんて陸上やってるから紫外線対策とか大変だし、陸上やってる間はオシャレも控えめにしなくちゃだしね」
「ええ、ナナちゃんは背も高くてスタイルいいし、走ってる姿とか凄い綺麗だからみんな憧れてるよ」
「ありがとう、ソフィーは運動そんなに得意じゃないからそう見えるだけかも。私なんて走る事しか出来ないから、ソフィーの女子力の高さと日本人以上に大和撫子なところに憧れちゃうよ」
「もう、そんなに褒めるナナちゃんが好き!!」
「私もソフィーが好き!!」
可愛い生徒たちがお互いを褒めあう姿は美しいなと思っていた。
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