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鈴木美波編
悩める鈴木さんと金髪少女と先生 第11話(全14話)
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「マサ君先生。あの先輩が打たれてるみたいだけど、美波ちゃんがちゃんと返事していないからかな?」
先ほどからテンポよく打たれているのはサッカー部の岡本君だったようで、優しいソフィアさんは岡本君の心情を察して心配しているようだった。
「私は野球の事あんまり詳しくないんだけれどさ、打たれているんじゃなくて打たせてるんじゃないかな?」
ソフィアさんは野球のルールをあまり知らないので、バッターに向かって投げるのはすべて試合形式だと思っているようだった。
よく見なくてもそれは試合ではなく、フリーバッティングだという事は気付きそうなのだが。
「ソフィー、野球の試合ってさ、打ったら次の人に交代するでしょ?でも、さっきから同じ人が連続で打っているよね?」
もしかしたらソフィアさんは仲の良い人以外だと日本人の区別があまり着いていないのかもしれない。
心当たりは何度かあるのだが、野球部の場合は練習着も全員同じなのでより区別がつきにくいのかもしれない。
「本当だ!同じ人が交代しないでずっと打ってるよ。何だか楽しそうだね」
ルールはまだ理解していないようではあるが、新しい発見があった時のソフィアさんはいつも以上に生き生きとして嬉しそうな顔になるのだ。
「岡本先輩って真っすぐを投げるのが上手いって野球部の人に言われたって言ってたんだけど、それで真っすぐをたくさん投げているのかもね」
鈴木さんはソフィアさんを見つめながらそう言うと、窓から離れてポットのお湯を急須に注いだ。
窓辺に行った時もそうだったのだが、鈴木さんは岡本君の姿を見てはいないようだった。
淹れたてのお茶を持って窓辺に来た鈴木さんの視線の先を追ってみると、ピッチャーマウンドではなく、陸上部がストレッチをしている木陰の方向を向いているようだった。
「私にはちょっとした目標があるんですよ。だから、今は恋愛とかしている場合じゃないんですよね。それに、気持ちが無いと相手にも失礼だと思うんですよね」
返事を返さないで長期間放置するのも失礼な気がするのだが、それは鈴木さんの中では違う問題なのだろう。
「美波ちゃんの目標ってなに?」
「今は、目標の大学に合格する事かな」
「そっか、美波ちゃんなら頭良いし生徒会だし大丈夫だよ」
「ありがとう」
そう言って鈴木さんはソフィアさんの髪をなでると、僕の方を向いて真っすぐな目で見つめてきた。
先ほどからテンポよく打たれているのはサッカー部の岡本君だったようで、優しいソフィアさんは岡本君の心情を察して心配しているようだった。
「私は野球の事あんまり詳しくないんだけれどさ、打たれているんじゃなくて打たせてるんじゃないかな?」
ソフィアさんは野球のルールをあまり知らないので、バッターに向かって投げるのはすべて試合形式だと思っているようだった。
よく見なくてもそれは試合ではなく、フリーバッティングだという事は気付きそうなのだが。
「ソフィー、野球の試合ってさ、打ったら次の人に交代するでしょ?でも、さっきから同じ人が連続で打っているよね?」
もしかしたらソフィアさんは仲の良い人以外だと日本人の区別があまり着いていないのかもしれない。
心当たりは何度かあるのだが、野球部の場合は練習着も全員同じなのでより区別がつきにくいのかもしれない。
「本当だ!同じ人が交代しないでずっと打ってるよ。何だか楽しそうだね」
ルールはまだ理解していないようではあるが、新しい発見があった時のソフィアさんはいつも以上に生き生きとして嬉しそうな顔になるのだ。
「岡本先輩って真っすぐを投げるのが上手いって野球部の人に言われたって言ってたんだけど、それで真っすぐをたくさん投げているのかもね」
鈴木さんはソフィアさんを見つめながらそう言うと、窓から離れてポットのお湯を急須に注いだ。
窓辺に行った時もそうだったのだが、鈴木さんは岡本君の姿を見てはいないようだった。
淹れたてのお茶を持って窓辺に来た鈴木さんの視線の先を追ってみると、ピッチャーマウンドではなく、陸上部がストレッチをしている木陰の方向を向いているようだった。
「私にはちょっとした目標があるんですよ。だから、今は恋愛とかしている場合じゃないんですよね。それに、気持ちが無いと相手にも失礼だと思うんですよね」
返事を返さないで長期間放置するのも失礼な気がするのだが、それは鈴木さんの中では違う問題なのだろう。
「美波ちゃんの目標ってなに?」
「今は、目標の大学に合格する事かな」
「そっか、美波ちゃんなら頭良いし生徒会だし大丈夫だよ」
「ありがとう」
そう言って鈴木さんはソフィアさんの髪をなでると、僕の方を向いて真っすぐな目で見つめてきた。
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