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葵咲良編
金髪と会長と美少女 第3話(全7話)
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「咲良って勉強は出来るけど頭は悪いところあるから、先生たちに迷惑かけると思うんだけど、先生ってそういう事を気にしなそうよね。私も咲良も先生の授業を受けったことはなんだけど、何となく人が良さそうな感じはしてるのよね」
「そう言ってもらえると嬉しいけど、迷惑だと思う事なんてないと思うよ」
「あら、それなら心強いわ。咲良の悩みって生徒会にかかわる事なんで、本来なら自分たちで解決しなくちゃいけないとは思うんだけれど、なかなか難しい問題になりそうなのよね」
「人間誰にでも悩みはあるだろうし、みんなで考えれば何とかなるんじゃないかな?」
「ええ、何とかなるとは思うんだけれど、それが最善の答えにはならないって咲良本人も気付いているのよ。その上で先生に助けを求めてるとは思うんだけど、本質的には解決できることが無いって誰もが知っているわ」
「そんなに難しい悩みだけれど、他の先生に頼れないってことは、結構重大なことなんじゃないの?」
「そうね、重大も重大ね。たぶん、咲良の今後の生き方にもかかわってくると思うし、多少なりとも相手に良くない影響を与えてしまうと思うの。咲良はそれを一番恐れているんだと思うわ」
「本質的には優しい咲良さんなんだろうけど、その優しさで自分が追い込まれているってことなのかな」
「たぶん、自分の気持ちよりも相手を思う気持ちの方が強いんだと思うわ。咲良って自己犠牲に何のためらいも持たない人だから、自分の気持ちを押し付けるくらいなら、相手を思いやって当然だと思っているんですもの」
咲良さんの悩みは思っていたよりも深刻そうだ。
僕は西野さんからもう少し話を聞きたかったのだけれど、西野さんは生徒会の仕事が残っているので生徒会室に戻って行くようだ。
「先生、私、先生を信頼してるので、咲良を助けてあげてください。問題が解決しなくてもいいので、咲良の気持ちを楽にしてあげてください。よろしくお願いします」
「うん、僕も全力で頑張るので、何かあったら副会長の協力もお願いします」
「はい、それは当然の事と承知しています。では、私はこれで失礼いたします」
西野さんは一礼して生徒会室に向かっていった。
僕は視聴覚準備室の鍵を開けて中に入る事にした。
雨が降っている日はカーテンを開けていても視聴覚準備室の中は薄暗かった。
窓辺に立つと先ほどよりも雨が一段と強くなっていることが分かった。
幸いにも風は強くなさそうなので、帰る時は思っているよりも濡れることはなさそうだと思った。
お湯を沸かしている間に小テストの問題を作ろうと思っていた。
その時にソフィアさんが鈴木さんを連れてやってきた。
「遅くなってごめんね。お菓子を選んでいたら美波ちゃんを見つけてしまったので、ここに連れてきてしまいました」
「私は生徒会の仕事が残っているって言っているのに、ソフィーが無理やり連れてきたんです。先生からも何か言ってあげてくださいよ」
さて、葵さんの相談は生徒会絡みだと思って間違いないので、鈴木さんを巻き込むのはまだ早い気がする。
かといって、この状況で葵さんが来たとしても、鈴木さんを追い返すのは不自然じゃないだろうか。
悩ましき問題ではあるが、ここは一つ話題を変えることにしよう。
「そう言えば、ここに向かう途中なんだけど、サッカー部が廊下で練習していて、部長さんと少し話をしたんだけど、今度ここに遊びに来たいって言ってたよ」
「サッカー部?なんで?」
ソフィアさんはサッカー部と接点はないのだけれど、部長の福原君はソフィアさんとの接点が欲しいなんて言えないよな。
「部長さんも何か悩みがあるみたいだし、話を聞いてもらいたいんじゃないかな?」
「岡本先輩も来るんですか?」
鈴木さんはサッカー部と言えば岡本君しか知らないのだろう。
「たぶん、部長の福原君と副部長くらいじゃないかな」
「え?岡本先輩って部長じゃなかったんですか?」
「うん。部長ではないみたいだし、エースでもないみたいだよ」
「それって、よくわからないけど、どういう事なんでしょう?」
「美波ちゃん、私も岡本先輩が部長でエースだと思っていたよ」
「そう言ってもらえると嬉しいけど、迷惑だと思う事なんてないと思うよ」
「あら、それなら心強いわ。咲良の悩みって生徒会にかかわる事なんで、本来なら自分たちで解決しなくちゃいけないとは思うんだけれど、なかなか難しい問題になりそうなのよね」
「人間誰にでも悩みはあるだろうし、みんなで考えれば何とかなるんじゃないかな?」
「ええ、何とかなるとは思うんだけれど、それが最善の答えにはならないって咲良本人も気付いているのよ。その上で先生に助けを求めてるとは思うんだけど、本質的には解決できることが無いって誰もが知っているわ」
「そんなに難しい悩みだけれど、他の先生に頼れないってことは、結構重大なことなんじゃないの?」
「そうね、重大も重大ね。たぶん、咲良の今後の生き方にもかかわってくると思うし、多少なりとも相手に良くない影響を与えてしまうと思うの。咲良はそれを一番恐れているんだと思うわ」
「本質的には優しい咲良さんなんだろうけど、その優しさで自分が追い込まれているってことなのかな」
「たぶん、自分の気持ちよりも相手を思う気持ちの方が強いんだと思うわ。咲良って自己犠牲に何のためらいも持たない人だから、自分の気持ちを押し付けるくらいなら、相手を思いやって当然だと思っているんですもの」
咲良さんの悩みは思っていたよりも深刻そうだ。
僕は西野さんからもう少し話を聞きたかったのだけれど、西野さんは生徒会の仕事が残っているので生徒会室に戻って行くようだ。
「先生、私、先生を信頼してるので、咲良を助けてあげてください。問題が解決しなくてもいいので、咲良の気持ちを楽にしてあげてください。よろしくお願いします」
「うん、僕も全力で頑張るので、何かあったら副会長の協力もお願いします」
「はい、それは当然の事と承知しています。では、私はこれで失礼いたします」
西野さんは一礼して生徒会室に向かっていった。
僕は視聴覚準備室の鍵を開けて中に入る事にした。
雨が降っている日はカーテンを開けていても視聴覚準備室の中は薄暗かった。
窓辺に立つと先ほどよりも雨が一段と強くなっていることが分かった。
幸いにも風は強くなさそうなので、帰る時は思っているよりも濡れることはなさそうだと思った。
お湯を沸かしている間に小テストの問題を作ろうと思っていた。
その時にソフィアさんが鈴木さんを連れてやってきた。
「遅くなってごめんね。お菓子を選んでいたら美波ちゃんを見つけてしまったので、ここに連れてきてしまいました」
「私は生徒会の仕事が残っているって言っているのに、ソフィーが無理やり連れてきたんです。先生からも何か言ってあげてくださいよ」
さて、葵さんの相談は生徒会絡みだと思って間違いないので、鈴木さんを巻き込むのはまだ早い気がする。
かといって、この状況で葵さんが来たとしても、鈴木さんを追い返すのは不自然じゃないだろうか。
悩ましき問題ではあるが、ここは一つ話題を変えることにしよう。
「そう言えば、ここに向かう途中なんだけど、サッカー部が廊下で練習していて、部長さんと少し話をしたんだけど、今度ここに遊びに来たいって言ってたよ」
「サッカー部?なんで?」
ソフィアさんはサッカー部と接点はないのだけれど、部長の福原君はソフィアさんとの接点が欲しいなんて言えないよな。
「部長さんも何か悩みがあるみたいだし、話を聞いてもらいたいんじゃないかな?」
「岡本先輩も来るんですか?」
鈴木さんはサッカー部と言えば岡本君しか知らないのだろう。
「たぶん、部長の福原君と副部長くらいじゃないかな」
「え?岡本先輩って部長じゃなかったんですか?」
「うん。部長ではないみたいだし、エースでもないみたいだよ」
「それって、よくわからないけど、どういう事なんでしょう?」
「美波ちゃん、私も岡本先輩が部長でエースだと思っていたよ」
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