スーサイドアップガール

釧路太郎

文字の大きさ
38 / 53
葵咲良編

金髪と会長と美少女 第3話(全7話)

しおりを挟む
「咲良って勉強は出来るけど頭は悪いところあるから、先生たちに迷惑かけると思うんだけど、先生ってそういう事を気にしなそうよね。私も咲良も先生の授業を受けったことはなんだけど、何となく人が良さそうな感じはしてるのよね」

「そう言ってもらえると嬉しいけど、迷惑だと思う事なんてないと思うよ」

「あら、それなら心強いわ。咲良の悩みって生徒会にかかわる事なんで、本来なら自分たちで解決しなくちゃいけないとは思うんだけれど、なかなか難しい問題になりそうなのよね」

「人間誰にでも悩みはあるだろうし、みんなで考えれば何とかなるんじゃないかな?」

「ええ、何とかなるとは思うんだけれど、それが最善の答えにはならないって咲良本人も気付いているのよ。その上で先生に助けを求めてるとは思うんだけど、本質的には解決できることが無いって誰もが知っているわ」

「そんなに難しい悩みだけれど、他の先生に頼れないってことは、結構重大なことなんじゃないの?」

「そうね、重大も重大ね。たぶん、咲良の今後の生き方にもかかわってくると思うし、多少なりとも相手に良くない影響を与えてしまうと思うの。咲良はそれを一番恐れているんだと思うわ」

「本質的には優しい咲良さんなんだろうけど、その優しさで自分が追い込まれているってことなのかな」

「たぶん、自分の気持ちよりも相手を思う気持ちの方が強いんだと思うわ。咲良って自己犠牲に何のためらいも持たない人だから、自分の気持ちを押し付けるくらいなら、相手を思いやって当然だと思っているんですもの」

咲良さんの悩みは思っていたよりも深刻そうだ。

僕は西野さんからもう少し話を聞きたかったのだけれど、西野さんは生徒会の仕事が残っているので生徒会室に戻って行くようだ。

「先生、私、先生を信頼してるので、咲良を助けてあげてください。問題が解決しなくてもいいので、咲良の気持ちを楽にしてあげてください。よろしくお願いします」

「うん、僕も全力で頑張るので、何かあったら副会長の協力もお願いします」

「はい、それは当然の事と承知しています。では、私はこれで失礼いたします」

西野さんは一礼して生徒会室に向かっていった。

僕は視聴覚準備室の鍵を開けて中に入る事にした。

雨が降っている日はカーテンを開けていても視聴覚準備室の中は薄暗かった。

窓辺に立つと先ほどよりも雨が一段と強くなっていることが分かった。

幸いにも風は強くなさそうなので、帰る時は思っているよりも濡れることはなさそうだと思った。

お湯を沸かしている間に小テストの問題を作ろうと思っていた。

その時にソフィアさんが鈴木さんを連れてやってきた。

「遅くなってごめんね。お菓子を選んでいたら美波ちゃんを見つけてしまったので、ここに連れてきてしまいました」

「私は生徒会の仕事が残っているって言っているのに、ソフィーが無理やり連れてきたんです。先生からも何か言ってあげてくださいよ」

さて、葵さんの相談は生徒会絡みだと思って間違いないので、鈴木さんを巻き込むのはまだ早い気がする。

かといって、この状況で葵さんが来たとしても、鈴木さんを追い返すのは不自然じゃないだろうか。

悩ましき問題ではあるが、ここは一つ話題を変えることにしよう。

「そう言えば、ここに向かう途中なんだけど、サッカー部が廊下で練習していて、部長さんと少し話をしたんだけど、今度ここに遊びに来たいって言ってたよ」

「サッカー部?なんで?」

ソフィアさんはサッカー部と接点はないのだけれど、部長の福原君はソフィアさんとの接点が欲しいなんて言えないよな。

「部長さんも何か悩みがあるみたいだし、話を聞いてもらいたいんじゃないかな?」

「岡本先輩も来るんですか?」

鈴木さんはサッカー部と言えば岡本君しか知らないのだろう。

「たぶん、部長の福原君と副部長くらいじゃないかな」

「え?岡本先輩って部長じゃなかったんですか?」

「うん。部長ではないみたいだし、エースでもないみたいだよ」

「それって、よくわからないけど、どういう事なんでしょう?」

「美波ちゃん、私も岡本先輩が部長でエースだと思っていたよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

秘められたサイズへの渇望

到冠
大衆娯楽
大きな胸であることを隠してる少女たちが、自分の真のサイズを開放して比べあうお話です。

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

処理中です...