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THE GROUND ZERO Chapter2
第6章 不幸の連鎖【3】
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「いいかテメエら大人しくしとけよ! まあもし逃げ出そうものなら、テメエらの死期がちょっとばかし早まるだけだけどな!」
僕とマジスターを牢屋の中にぶち込んだ後、戦士達は僕達を見下すようにゲラゲラと笑いながら去って行った。
地下牢は真っ暗で、蛍光灯のある時代に、ここでは蝋燭のか細い火だけが辺りを照らす光となっている。
ちなみに僕達以外に地下牢には囚人はいないようなのだが、僕とマジスターは同じ牢屋の中に放り込まれてしまった。
「……すまんコヨミ、わしのせいでこのようなことに」
「この状況が謝って済む状況かよ……せっかく命の危機から逃れたと思ったら、またしても命を刈り取られそうになって」
「うむむ……すまん! まさかエインめ、最初からわしを嵌めることだけを考えていたとは……無念っ!」
マジスターは表情に悔しさを滲ませる。
ホント、昔ながらの戦士って感じの熱いおっさんだよな……いや、僕の性格がサバサバし過ぎてるだけっていう可能性もあるかもしれないけれど。
「まあいいや……捕まっちゃったものは仕方ないし、あんたには一回助けられてるしな。それよりあのエインとかいうやつ、よくあんなのでここを仕切ってられるな」
「エインは元々、ここのリーダーではなかった。あの男がここのリーダーになったのは半年前、前のリーダーが急病を患い、次期リーダーの候補がいないまま亡くなってしまってな……その後釜として、勇者の血筋を受け継いでいたエインが良いだろうと支援国から推薦され、やつがリーダーになったんだ」
「ふうん……実力というよりかは、名でリーダーにさせられたって感じなのか」
「まあ、そうだな。ここまで大きく膨らんでしまったレジスタンスをまとめ上げるには、ある程度名の通っている者が良いだろうというのが支援国の考えだったのだろうが、しかし、国ならそれで通るかもしれんが、ここのように実力がものを言う世界ではそうはいかん。実際、エインがリーダーになってから出て行ったレジスタンスのメンバーも大勢いるし、数人の幹部も去って行った」
「あんなチンピラがリーダーじゃ、お先真っ暗だしな。ここみたいに」
「カッカッ……だが、この集団脱退がエインの中に不安と疑心を植え付けてしまってな。それ以降、エインの意向に背く者や疑念のある者は、こうやって地下牢に放り込まれていたのだが、だからといって死刑にされるまでの者は、今までいなかったのだがな」
「じゃあ僕達は不幸にも、その第一号になっちまうってわけなのか……ついてねえなぁ、本当に……」
僕は大きな溜息を吐く。自分の運の悪さを、運命を呪いながら。
こんな、戦場に駆り出されているわけでもないのに、背中に常に死が張り付いていることなんて早々無いだろうに……。
もしかして、これまでの怠慢の、神様からのツケだというのか。だとしたら、神様っていうのは暴利を課してくる、悪徳金融と同じだな。
ちなみに僕は、そんなところからお金を借りたことは無い。けれど、兵団の底辺連中の中にはそんな奴がちらほらいたな……数ヶ月後には何故か居なくなっちゃってたけど、辞めたのかな?
まあいいかそんな話は。今は他人の心配よりも、自分の心配だ。
「それでマジスターどうするんだ? このまま死刑の時間まで、大人しくしておくのか?」
「うむ……今回の件でわしも、あのエインという男にはほとほと愛想が尽きたわ。この場合、脱獄するというのがセオリーだと思うが……しかし わしらには装備が無いからな。この鉄格子すら、破る手段を持ち合わせていない」
「……なあマジスター、僕はこのまま死んでもいいと思ってるんだ」
「ぬ? どうしたコヨミ、そんなに弱気になって」
僕の問いに、マジスターは不安そうな表情を浮かべる。
「いや……こんなこと僕が言ったら、あんたはどう返してくれるのかなって思ってさ」
僕はもう、二度も死にかけている。一度なら抗ってみせたが、二度も、しかも連続でそれが巻き起こった。
これはもしかしたら本当に、僕はここで死んでしまった方が楽になるんじゃないのかと、そう思ってしまった。
「うむ……お前がもし、今が死する時だと思うのならわしは止めはせん。それがお前の決心ならな」
「…………」
「だが今、お前は死んでもいいと思っている、と言ったな。つまりお前は、ここを脱する手立てが自分にはあるというのに、それを自ら放棄しようとしておる。それは戦いを投げ出す臆病者と何一つ変わらん。兵士の恥晒しだ」
「…………」
「それに生きれる希望があるというのに、それを諦めて断つというのは、無念で死んでいった死者への冒涜だ。そしてわし自身も……まだお前は死ぬべき人間では無いと思っている。神はまだ、お前を見離してはおらんとな」
「…………そうか」
二つの死地を乗り越えて、それでもまだ僕は生きろというのか。
その答えが、僕がたまたまふくらはぎに仕込んでいたこの短刀と、たまたま外さずに済んだこのマテリアルガントレットだというのか。
僕はまだ、生きて何かを成し遂げろと、そう言っているのか?
「でもマジスター、仮にもしここから脱したら、その後はどうする? 僕達はもう、どこにも戻れはしないんだぞ?」
「ふん! 戻る場所が無ければ進めばいい! こうなったらわしらで、既存のレジスタンスには所属せず、新たな暁の火の反対勢力を作るっていうのも面白いかもしれんぞ?」
「新たな反対勢力……か。それもありかもしれないな」
今を支配してる勢力にも、それに抗う勢力にも僕は拒まれてしまったのなら……だったらこの世界に僕の居場所を強引に作るには、僕自身が新たな勢力になる他あるまい。
この世界に蔓延る、秩序と混沌。その両方をぶち壊す新たな勢力を、僕自身が築けばいいということか。
そんなこと、本当にできるのか?
僕とマジスターを牢屋の中にぶち込んだ後、戦士達は僕達を見下すようにゲラゲラと笑いながら去って行った。
地下牢は真っ暗で、蛍光灯のある時代に、ここでは蝋燭のか細い火だけが辺りを照らす光となっている。
ちなみに僕達以外に地下牢には囚人はいないようなのだが、僕とマジスターは同じ牢屋の中に放り込まれてしまった。
「……すまんコヨミ、わしのせいでこのようなことに」
「この状況が謝って済む状況かよ……せっかく命の危機から逃れたと思ったら、またしても命を刈り取られそうになって」
「うむむ……すまん! まさかエインめ、最初からわしを嵌めることだけを考えていたとは……無念っ!」
マジスターは表情に悔しさを滲ませる。
ホント、昔ながらの戦士って感じの熱いおっさんだよな……いや、僕の性格がサバサバし過ぎてるだけっていう可能性もあるかもしれないけれど。
「まあいいや……捕まっちゃったものは仕方ないし、あんたには一回助けられてるしな。それよりあのエインとかいうやつ、よくあんなのでここを仕切ってられるな」
「エインは元々、ここのリーダーではなかった。あの男がここのリーダーになったのは半年前、前のリーダーが急病を患い、次期リーダーの候補がいないまま亡くなってしまってな……その後釜として、勇者の血筋を受け継いでいたエインが良いだろうと支援国から推薦され、やつがリーダーになったんだ」
「ふうん……実力というよりかは、名でリーダーにさせられたって感じなのか」
「まあ、そうだな。ここまで大きく膨らんでしまったレジスタンスをまとめ上げるには、ある程度名の通っている者が良いだろうというのが支援国の考えだったのだろうが、しかし、国ならそれで通るかもしれんが、ここのように実力がものを言う世界ではそうはいかん。実際、エインがリーダーになってから出て行ったレジスタンスのメンバーも大勢いるし、数人の幹部も去って行った」
「あんなチンピラがリーダーじゃ、お先真っ暗だしな。ここみたいに」
「カッカッ……だが、この集団脱退がエインの中に不安と疑心を植え付けてしまってな。それ以降、エインの意向に背く者や疑念のある者は、こうやって地下牢に放り込まれていたのだが、だからといって死刑にされるまでの者は、今までいなかったのだがな」
「じゃあ僕達は不幸にも、その第一号になっちまうってわけなのか……ついてねえなぁ、本当に……」
僕は大きな溜息を吐く。自分の運の悪さを、運命を呪いながら。
こんな、戦場に駆り出されているわけでもないのに、背中に常に死が張り付いていることなんて早々無いだろうに……。
もしかして、これまでの怠慢の、神様からのツケだというのか。だとしたら、神様っていうのは暴利を課してくる、悪徳金融と同じだな。
ちなみに僕は、そんなところからお金を借りたことは無い。けれど、兵団の底辺連中の中にはそんな奴がちらほらいたな……数ヶ月後には何故か居なくなっちゃってたけど、辞めたのかな?
まあいいかそんな話は。今は他人の心配よりも、自分の心配だ。
「それでマジスターどうするんだ? このまま死刑の時間まで、大人しくしておくのか?」
「うむ……今回の件でわしも、あのエインという男にはほとほと愛想が尽きたわ。この場合、脱獄するというのがセオリーだと思うが……しかし わしらには装備が無いからな。この鉄格子すら、破る手段を持ち合わせていない」
「……なあマジスター、僕はこのまま死んでもいいと思ってるんだ」
「ぬ? どうしたコヨミ、そんなに弱気になって」
僕の問いに、マジスターは不安そうな表情を浮かべる。
「いや……こんなこと僕が言ったら、あんたはどう返してくれるのかなって思ってさ」
僕はもう、二度も死にかけている。一度なら抗ってみせたが、二度も、しかも連続でそれが巻き起こった。
これはもしかしたら本当に、僕はここで死んでしまった方が楽になるんじゃないのかと、そう思ってしまった。
「うむ……お前がもし、今が死する時だと思うのならわしは止めはせん。それがお前の決心ならな」
「…………」
「だが今、お前は死んでもいいと思っている、と言ったな。つまりお前は、ここを脱する手立てが自分にはあるというのに、それを自ら放棄しようとしておる。それは戦いを投げ出す臆病者と何一つ変わらん。兵士の恥晒しだ」
「…………」
「それに生きれる希望があるというのに、それを諦めて断つというのは、無念で死んでいった死者への冒涜だ。そしてわし自身も……まだお前は死ぬべき人間では無いと思っている。神はまだ、お前を見離してはおらんとな」
「…………そうか」
二つの死地を乗り越えて、それでもまだ僕は生きろというのか。
その答えが、僕がたまたまふくらはぎに仕込んでいたこの短刀と、たまたま外さずに済んだこのマテリアルガントレットだというのか。
僕はまだ、生きて何かを成し遂げろと、そう言っているのか?
「でもマジスター、仮にもしここから脱したら、その後はどうする? 僕達はもう、どこにも戻れはしないんだぞ?」
「ふん! 戻る場所が無ければ進めばいい! こうなったらわしらで、既存のレジスタンスには所属せず、新たな暁の火の反対勢力を作るっていうのも面白いかもしれんぞ?」
「新たな反対勢力……か。それもありかもしれないな」
今を支配してる勢力にも、それに抗う勢力にも僕は拒まれてしまったのなら……だったらこの世界に僕の居場所を強引に作るには、僕自身が新たな勢力になる他あるまい。
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